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Archicad(アーキキャド)とは? 建築分野で信頼されるCAD/BIMソフトウェアについて解説

はじめに

建築業界において、効率的な設計プロセスと高品質な建築物の提供は、競争力を保つための重要な要素です。そこで注目されるのが、CAD/BIMソフトウェアの「Archicad(アーキキャド)」です。Archicadは、ハンガリーのGRAPHISOFT社が開発した建築設計に特化したソフトウェアで、BIM(Building Information Modeling)を世界で初めて導入したことで知られています。

この記事では、Archicadの基本概要からその特徴、他のCADソフトウェアとの比較、ライセンスと価格、拡張オプション、導入事例、学び方までを詳しく解説します。これにより、建築業界でのBIM導入を検討している企業が、Archicadをどのように活用できるかを理解し、プロジェクトの効率化とクライアント満足度の向上を目指す手助けとなるでしょう。

Archicadの基本概要

Archicadとは何か?

Archicadは、建築設計のためのCAD/BIMソフトウェアであり、1984年にGRAPHISOFT社によって開発されました。BIMの概念を世界で初めて導入したソフトウェアです。BIMは、建物の設計、施工、運用に関する情報を一元管理することで、設計プロセスの効率化と精度向上を実現します。これにより、建築家が企画設計から施工段階までを見据えて建物を設計することができます。Archicadは、3Dモデルを基盤に、設計者が直感的に操作できる環境を提供し、MacOSとWindowsの両方に対応しています。これにより、設計者はどのプラットフォームでもスムーズに作業を進めることができます。

<画像引用>GRAPHISOFT Archicad https://graphisoft.com/jp/solutions/products/archicad

Archicadの主な特徴と機能

Archicadの特徴は、3Dモデリングを基盤にしたBIMの導入にあります。設計者は、3Dモデルを作成することで、必要な図面や画像が自動的に生成されるため、設計変更にも迅速に対応可能です。また、平面、立面、断面、3次元空間のどこからでも編集が可能で、設計者思考でのアプローチが可能です。さらに、充実した3Dオブジェクトライブラリを提供しており、設計者は多様なデザインを実現できます。これにより、クライアントとのコミュニケーションが向上し、設計プロセスの効率化が図られます。

また、Archicadは、OPENBIMを採用することで他のシステムや媒体との連携が可能で、クライアントへのプレゼンテーションや制作チーム内での共有に役立ちます。これにより、設計プロセスの透明性が向上します。

Archicadと他のCADソフトウェアとの比較

Archicad vs AutoCAD:焦点とワークフローの違い

ArchicadとAutoCADは、どちらも強力なCADソフトウェアですが、焦点とワークフローに違いがあります。Archicadは、建築プロジェクト専用で、BIMワークフローを活用しています。一方、AutoCADは、より汎用的で、様々な業界で2Dおよび3Dの設計と製図に使用されます。Archicadは、3DモデリングとBIMに優れ、構造的詳細と素材を持つリアルな没入型3Dモデルを提供しますが、AutoCADは2D製図に強く、3D機能もあるものの、複雑な建築3Dデザインには最適化されていません。

モデリング能力とコラボレーション機能の比較

Archicadは、複数のユーザーが同時に同じプロジェクトで作業できる、堅牢なリアルタイムコラボレーションツールを提供しています。これにより、設計者はチーム内での効率的なコミュニケーションを実現し、プロジェクトの進行をスムーズに行うことができます。一方、AutoCADはコラボレーションをサポートするものの、同時作業環境では効率が低い場合があります。Archicadの強力なBIM統合と効率的なチームワーク機能は、建築事務所にとって大きな利点です。

産業別応用と長所・短所

Archicadは、建築家と建設専門家向けに調整されており、建築のための直感的な3Dモデリングと強力なBIM統合を提供します。これにより、設計者は効率的にプロジェクトを進めることができます。一方、AutoCADは、工学、製造、グラフィックデザインなど、より広範な業界で使用されており、優れた2D製図能力と広範なユーザーベースを持っています。Archicadは、建築以外の産業には柔軟性が低いという短所がありますが、建築設計に特化した機能が豊富であるため、建築業界での利用に最適です。

Archicadのライセンスと価格

Archicadの価格

Archicadの価格体系は、ライセンスの種類や利用する機能によって異なります。また、価格改定やライセンス形態の変更がある場合があります。実際にご購入の際には販売代理店または以下公式のWebサイトをご確認ください。

参考: GRAPHISOFT 『価格表』
https://graphisoft.com/jp/buy-archicad/price

Archicadは2024年12月31日に、永久ライセンスの新規顧客への販売を終了しており、2025年末までに既存顧客への販売も段階的に停止すると発表しているため、今後購入する際にはサブスクリプションの契約を行うことになります。2024年12月現在、Archicadサブスクリプションの価格は以下の通りです。

製品名1ヶ月12ヶ月(1年)36ヶ月(3年)
Archicad Collaborate (※1)56,400円(税込 62,040円)395,100円(税込 434,610円)1,066,770円(税込 1,173,447円)
Archicad Solo40,200円(税込 44,220円)282,000円(税込 310,200円)
BIMcloud SaaS13,200円(税込 14,520円)75,000円(税込 82,500円)

※1 Archicad CollaborateはArchicadとBIMcloud SaaSとBIMx Proが含まれております。

Archicadの拡張オプションと連携システム

GRAPHISOFT BIMcloud

GRAPHISOFT BIMcloudは、Archicadの拡張オプションとして提供されるクラウドベースのコラボレーションプラットフォームです。BIMcloudは、プロジェクトチームがリアルタイムで共同作業を行うことを可能にし、設計プロセスの効率化を図ります。これにより、設計者は場所を問わず、プロジェクトにアクセスし、変更をリアルタイムで反映させることができます。BIMcloudは、プロジェクトの透明性を向上させ、チーム間のコミュニケーションを強化します。

GRAPHISOFT BIMx

GRAPHISOFT BIMxは、Archicadの3Dモデルをモバイルデバイスで表示するためのアプリケーションです。BIMxは、クライアントやプロジェクトチームが3Dモデルを視覚的に確認し、設計の意図を理解するのに役立ちます。これにより、クライアントへのプレゼンテーションが容易になり、設計プロセスの透明性が向上します。BIMxは、iOSやAndroidデバイスで利用可能で、設計者は外出先でもプロジェクトを確認し、クライアントとのコミュニケーションを円滑に行うことができます。

SOLIBRI

SOLIBRIは、BIMモデルの品質管理と干渉チェックを行うためのソフトウェアであり、Archicadと連携して使用されます。SOLIBRIは、設計プロセスの初期段階で不整合を検出し、設計の精度を向上させるのに役立ちます。これにより、設計者は設計変更を迅速に行い、プロジェクトの成功率を高めることができます。SOLIBRIとの連携により、Archicadは、設計から施工までのプロセスを一元管理し、効率化を図るための強力なツールとなります。

Archicadの導入事例

株式会社竹中工務店 – 名古屋市国際展示場 第1展示館の設計

竹中工務店は、設計・施工プロセスにおいてArchicadを活用し、BIMの高度な技術を駆使しています。同社は、RhinocerosやGrasshopperを用いた初期設計の自由なアイデア出しから、BIMデータを基にした詳細設計まで、各工程を効率的に連携させています。特に名古屋市国際展示場第1展示館のプロジェクトでは、複雑な波状の屋根やファサードのデザインをパラメトリックモデリングで最適化し、70ユニットに分割することで生産性と施工性を向上させました。

画像引用: GRAPHISOFT 『GRAPHISOFT Archicad ユーザ事例集 Vol.016
株式会社竹中工務店 波のようなファサードが輝く名古屋市国際展示場 第 1 展示館。BIM が支えた建設の舞台裏に迫る』

また、BIMデータを活用して数量計算やコスト管理を行い、Solibriを用いて干渉チェックを実施。設計・構造・設備の各分野の調整を図る「重ね合わせ会」を通じて施工計画を改善しました。さらに、実物大モックアップを製作することで、施工性やデザイン精度を確認し、職人や施工管理者の不安を解消するプロセスを実現しました。

竹中工務店は独自の「設計BIMツール」を開発し、クライアントへの設計提案を効率化すると同時に、情報と形状を分離管理できる仕組みを提供。クラウドベースでデータを共有し、建設プロセス全体の透明性を向上させています。これにより、設計者はより創造的な業務に集中でき、データドリブンな設計提案が可能となりました。AIの活用も視野に入れ、竹中工務店は建設業界における新たな業務フローの確立を目指しています。

高松建設株式会社 – Archicadによる効率的なBIM活用

高松建設は、グラフィソフト社のBIMソフト「Archicad」を活用し、企画設計から施工までの全プロセスを効率化しています。同社では、1990年代からArchicadを試験導入し、2019年にBIM推進チームを設立。その後、操作性の高さやプレゼンテーション能力を評価し、全社的にBIMデータを活用する方針を確立しました。

現在、大阪本店では年間60件以上の物件でBIMを導入し、設計段階から施工まで一貫したデータ管理を行っています。企画設計では、GDLとAPIを活用してモデル図面を作成し、敷地モデルや仮定断面モデルを用いた山留検討や土量算出、施工工法の検討を行います。さらに、BIMモデルは施工図や積算に反映され、現場での効率的な施工を支援しています。施工段階では、3Dモデルを用いた鉄骨建方のシミュレーションや複雑な形状の建物の施工検討が可能となり、精度の向上と効率化を実現しています。

画像引用: GRAPHISOFT 『GRAPHISOFT Archicad ユーザ事例集 Vol.016
高松建設×グラフィソフトジャパン座談会 「Archicad」による効率的なBIM活用を実現』

また、BIMを活用した教育体制も整備されており、新入社員研修では「Archicad Magic」や社内マニュアルを活用して基本操作を指導。中級者以上には「BIM Classes」を通じてスキルアップを図っています。現場や設計部門では、BIMデータを用いたフロントローディングによる初期段階での確認や、不整合部分の検出が行われており、設計・施工の連携を強化しています。

高松建設では、BIMによる業務の効率化だけでなく、働き方改革にも積極的に取り組んでいます。BIM業務の内製化を進めることで、従業員の負担を軽減しつつ、設計施工率90%を活かした「Oneデータ」でのBIM運用を目指しています。今後もBIMを活用し、業界全体の効率化と労働環境の改善をリードする方針です。

Archicadの学び方

BIM classesとは

BIM classesは、Archicadの基本操作から応用までを学ぶためのトレーニングプログラムです。初心者から中級者、上級者まで、各レベルに応じたカリキュラムが用意されており、実践的なスキルを習得することができます。BIM classesでは、3DモデリングやBIMの基本概念、設計プロセスの効率化手法などを学ぶことができ、実際のプロジェクトでの応用力を高めることができます。

オンラインリソースとトレーニング

Archicadの学習には、オンラインリソースとトレーニングが豊富に用意されています。GRAPHISOFT社の公式サイトでは、最新のソフトウェアに関するプレゼンテーションやスキルアップムービーが提供されており、初心者から熟練者まで参考にできる書籍も用意されています。また、体験版やデモ版のインストールが可能で、実際にソフトウェアを操作しながら学ぶことができます。これにより、ユーザーは自分のペースで学習を進めることができ、スムーズにArchicadを導入することができます。

Archicadを学ぶためのヒントとコツ

Archicadを学ぶためのヒントとコツとして、まずは基本操作をしっかりと習得することが重要です。公式のトレーニングプログラムやオンラインリソースを活用し、3DモデリングやBIMの基本概念を理解することが大切です。また、実際のプロジェクトでの応用力を高めるために、実践的な課題に取り組むこともおすすめです。さらに、他のユーザーとの情報交換やコミュニティへの参加を通じて、最新の技術やトレンドを学ぶことも効果的です。

まとめ

Archicadは、建築設計に特化したCAD/BIMソフトウェアとして、設計プロセスの効率化とクライアントとのコミュニケーション向上を実現する強力なツールです。BIMの導入により、設計から施工、維持管理までのプロセスを一元管理し、プロジェクトの成功率を高めることができます。また、MacOSとWindowsの両方に対応しているため、設計者はどのプラットフォームでもスムーズに作業を進めることができます。

Archicadの導入事例を参考に、自社のプロジェクトにどのように活用できるかを検討し、効率的な設計プロセスと高品質な建築物の提供を目指しましょう。これにより、建築業界での競争力を強化し、クライアント満足度の向上を実現することができるでしょう。

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参考:
GRAPHISOFT SOLUTION CATALOG

GRAPHISOFT 『新サブスクリプションモデルへの移行を発表』(2024/04/04)
https://graphisoft.com/jp/press-releases/new-subscriptionmodel-20240404

GRAPHISOFT 『価格表』
https://graphisoft.com/jp/buy-archicad/price

GRAPHISOFT Archicad ユーザ事例集 Vol.016

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