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Rhinocerosとは? 建築からピアノまで、デザインに強いCADを解説

はじめに

Rhinoceros(ライノセラス)は、3Dモデリングの世界で非常に高い評価を受けているCADソフトウェアです。特にその自由度の高いモデリング機能と精密なNURBSモデリング技術により、建築デザインやプロダクトデザイン、さらにはジュエリーデザインに至るまで、幅広い分野で活用されています。 Rhinocerosは、デザイナーやエンジニアにとって、創造性と精密性を兼ね備えた強力なツールであり、特に複雑な形状や有機的なデザインを実現するための能力を持っています。

画像: Louisiana State Museum and Sports Hall of Fame、ルイジアナ州 ルイジアナ ナッキトッシュ Trahan Architects (Method Design、Case, Inc.協力)
画像引用: Robert McNeel & Associates『建築、建設、エンジニアリングにおけるRhino』
https://www.rhino3d.com/jp/for/architecture/

本記事では、Rhinocerosの基本的な特徴や用途、そしてその強みについて詳しく解説します。さらに、実際の導入事例を通じて、どのようにRhinocerosがデザインプロセスを支えているのかを具体的に紹介します。これからRhinocerosを学びたいと考えている方や、デザインの幅を広げたいと考えている方にとって、この記事が一助となることを願っています。

Rhinocerosの基本概要

Rhinocerosとは

Rhinoceros、通称RhinoまたはRhino3Dは、Robert McNeel & Associates社によって開発された3Dモデリングソフトウェアです。1992年に初めてリリースされ、以来、建築や工業デザイン、ジュエリーデザイン、プロダクトデザインなど、さまざまな分野で利用されています。Rhinocerosの最大の特徴は、NURBS(Non-Uniform Rational B-Splines)という数学的アルゴリズムを使用して形状を生成する点です。この技術により、曲線や曲面を非常に滑らかで精密に作成することが可能です。

Rhinocerosは、WindowsとMacの両方に対応しており、直感的なインターフェースを提供しています。これにより、初心者でも比較的簡単に操作を習得することができ、デザインやモデリングにおいて必要な操作をスムーズに行うことができます。

主な用途:多岐にわたる活用分野

Rhinocerosは、その多機能性と柔軟性により、多くの分野で活用されています。以下に、Rhinocerosがどのような分野で使用されているかを紹介します。

  • 建築デザイン: Rhinocerosは、建築家にとって非常に重要なツールです。複雑な曲面や有機的な形状を設計することができ、建物の外観や内装デザイン、さらには都市計画のシミュレーションに至るまで、幅広く利用されています。
  • ジュエリーデザイン: 宝石のカットや金属の形状を精密にデザインするために、多くのジュエリーデザイナーがRhinocerosを使用しています。NURBSモデリングを活かした複雑な曲面や形状の作成が得意です。
  • 3Dプリント: Rhinocerosは、3Dプリントの準備段階でも非常に強力なツールです。多くの異なるファイルフォーマットに対応しており、3Dプリント用のデータを簡単に作成することができます。
  • 自動車・航空機デザイン: 車体の流線型や翼の設計、さらには内部構造のデザインなど、高精度な形状を求められるデザイン作業において、RhinocerosのNURBSモデリングが役立っています。
  • プロダクトデザイン: 家具や家電製品など、消費者向けの製品デザインを行う際に、精密で機能的な形状を作成するために使用されます。

Rhinocerosの主な特徴と強み

NURBSモデリング:自由形状の精密設計

Rhinocerosの最大の特徴は、NURBSモデリングにあります。NURBS(Non-Uniform Rational B-Splines)は、曲線や曲面を非常に滑らかに定義する数学的な手法です。この技術を活用することで、複雑な曲線や曲面を高精度で表現することができ、特にデザインにおいて自由度の高い作業を可能にします。NURBSモデリングは、建築デザインやジュエリーデザインなど、精密さが求められる分野で特に有用です。

プラグインとの互換性:無限の可能性

Rhinocerosは、非常に多くのプラグインをサポートしています。これにより、特定の用途に応じて機能を拡張することができ、ユーザーのニーズに合わせたカスタマイズが可能です。例えば、CAM機能を強化するための「RhinoCAM」、ジュエリーデザイン用の「Matrix」や「RhinoGold」、建築用の「VisualARQ」など、様々なプラグインを導入することで、Rhinocerosはその用途をさらに広げることができます。

レンダリング機能:リアルなビジュアル表現

Rhinocerosには、モデリングしたデザインをリアルに表現するためのレンダリング機能も搭載されています。内部には基本的なレンダリング機能が含まれており、さらに「V-Ray」や「Flamingo」など、外部レンダラーとの統合により、高品質なレンダリングが可能です。これにより、デザインを視覚的に評価することができ、プレゼンテーション用の画像作成にも対応しています。

スクリプトとカスタマイズ:個別ニーズに応える柔軟性

Rhinocerosは、ユーザーが自分自身でツールをカスタマイズできるスクリプト機能も備えています。これにより、特定の作業を自動化したり、カスタムツールを作成することができます。特に、PythonやRhinoScriptを使用して、作業を効率化することができ、複雑な作業を迅速に処理することが可能です。

Grasshopper: コンピュテーショナルデザインを支えるGUIプログラミングツール

Grasshopperは、Rhinocerosに統合されたビジュアルプログラミングツールで、パラメトリックデザインを可能にします。これにより、デザイナーは視覚的なビジュアル言語を用いて効率的に設計案を生成し、数千から数万件ものプランを短時間で比較・検証することができます。Grasshopperは、特に建築デザインやプロダクトデザインにおいて、複雑な形状やパターンを効率的に作成するための強力なツールです。

画像: RhinoとGrasshopperのUI
画像引用: Robert McNeel & Associates『建築、建設、エンジニアリングにおけるRhino』
https://www.rhino3d.com/jp/for/architecture/

ライセンスと価格

商用版と教育版の違い

Rhinocerosのライセンスは、商用版と教育版の2種類があります。2024年12月現在、商用版は、企業やプロフェッショナル向けに提供されており、価格は187,000円(税込)です。一方、教育版は学生や教職員が非商用目的で使用する場合のライセンスで、価格は39,600円(税込)です。教育版の購入には証明書が必要ですが、学生にとっては非常にコストパフォーマンスの高い選択肢となっています。

現在、AutoCADやArchiCADなどの多くのCADソフトウェアはサブスクリプション契約での提供となっており、買い切りでの永久版が購入できるRhinocerousはコストメリットの高いCADと言えるでしょう。また、ライセンス、金額については変更の可能性があります。実際にご購入の際には、代理店もしくは公式サイトよりご確認ください。

価格参考: Robert McNeel & Associates 『Rhinocerous – 購入(日本)』
https://www.rhino3d.com/jp/sales/asia/Japan/

無償版評価ライセンスの活用

Rhinocerosは、90日間の無償版評価ライセンスを提供しており、これを活用することで、購入前にソフトウェアの機能を試すことができます。無償版評価ライセンスは、Rhinocerosの公式ウェブサイトからダウンロード可能で、初心者が基本的な操作を習得するための絶好の機会となります。特に、学生や新規ユーザーにとって、学習コストを抑えつつスキルアップを図るための有効な手段です。

参考: Robert McNeel & Associates 評価版ダウンロードページ
『Rhinocerous – Windows版 Rhino 8 評価版をダウンロード』
https://www.rhino3d.com/download/rhino/evaluation/

導入事例

建築デザイン:日本設計の事例

日本設計は、RhinocerosとGrasshopperを活用し、コンピュテーショナルデザインを設計プロセスに深く組み込んでいます。具体的な事例として、高級マンションの窓際設計の検証が挙げられます。異なるプランにおける日射量や熱負荷の変化をシミュレーションし、最適な案を選定しました。これにより、提案内容に数値的な裏付けを持たせ、顧客への説得力を高めています。この技術は合意形成の迅速化や設計期間の短縮にも寄与しています。

プロダクトデザイン:河合楽器製作所の事例

河合楽器製作所では、Rhinocerosを使用して楽器デザインの初期コンセプトモデルから詳細設計までを効率よく進めています。特に、自由曲面の作成が得意でリーズナブルな買い切り型ソフトであることが、同社のデザインプロセスにおいて大きな利点となっています。さらに、VR技術を取り入れ、デザインレビューや量感確認の効率化を図っています。これにより、デザインプロセス全体での修正回数が減少し、効率的な業務運営が実現しています。

画像引用: 株式会社Too『Rhino導入事例 – 株式会社河合楽器製作所 様』
https://www.too.com/fun/case/rhino/kawai.html

まとめ

Rhinocerosは、その高精度なモデリング技術と柔軟なカスタマイズ機能により、デザイン業界で広く使用されています。建築、ジュエリー、プロダクトデザインなど、さまざまな分野で活躍できる汎用性を持ち、デザインの幅を広げる強力なツールです。高い自由度を持ちながらも、使いやすさを保っており、初心者からプロフェッショナルまで幅広く対応しています。

Rhinocerosを使いこなすことで、業界内での競争力を高めることができます。特に、曲線制御やGrasshopperを利用したパラメトリックデザインなどの高度な機能を駆使することで、従来では難しかった多様なデザインを実現することが可能です。興味がある方は、まずは基本を学び、実際のプロジェクトに活かしてみてはいかがでしょうか。

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参考:
Robert McNeel & Associates 『Rhinocerous』
https://www.rhino3d.com/

Robert McNeel & Associates『建築、建設、エンジニアリングにおけるRhino』

https://www.rhino3d.com/jp/for/architecture/

日経クロステック『日本設計が使い倒すコンピュテーショナルデザイン、「グラスホッパー」で検証は当たり前に』
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00933/020800026

株式会社Too『Rhino導入事例 – 株式会社河合楽器製作所 様』
https://www.too.com/fun/case/rhino/kawai.html

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