CAD利用技術者試験対策|LibreCADで資格勉強&コスト削減する方法
はじめに
CAD資格を取りたいと考える際、多くの方が直面するのが経済的な負担です。試験そのものの受験料だけでなく、学習のために購入する教材費や有料CADソフトウェアのライセンス料など、初期投資がかさむことが原因となり、独学を諦めてしまうケースも少なくありません。特に市販のCADソフトウェアは高価なサブスクリプション制で提供されることが多く、CAD利用技術者試験を受けようとする初心者にとっては、大きなハードルに感じられるでしょう。しかし、コスト削減を意識しながらも専門スキルを身につけるためには、無料CADの選択肢を検討する余地があります。
そこで注目したいのがLibreCADというオープンソースCADツールです。LibreCADは完全に無料でダウンロードでき、ライセンスの維持や更新に費用がかかることもありません。さらにWindows、Mac、Linuxといった複数のOSで動作するため、学習環境を選ばないというメリットを持っています。CADコスト削減を目指す方はもちろん、初心者の方でもスムーズに導入できるLibreCADを使って学べば、経済的負担を最小限に抑えながら、CAD資格取得に向けた確かなスキルを身につけられる可能性が高いです。実際、LibreCADには2D作図機能やCADスナップ機能、レイヤー管理など、資格試験に必要な基本操作を練習するために役立つ要素がしっかり搭載されています。
また、資格学習を始めるにあたって、多くの受験者が目指すのがCAD利用技術者試験です。これは一般社団法人コンピュータ教育振興協会が実施しており、2DCADや3DCADなどさまざまなレベルの試験区分があります。LibreCADは2Dに特化した無料CADツールであるため、特に2級や基礎レベルの受験において大きな助けとなるでしょう。本記事では、このLibreCADを使って学習するメリットや導入方法を、CAD独学でコストを抑えたい方に向けて詳しくご紹介します。教材選びや学習プランの立て方、過去問題への取り組み方など、具体的な方法も含めて解説していきますので、ぜひ最後までお読みいただき、コストパフォーマンスに優れた資格学習を実現していただければと思います。本記事を通じてLibreCADを活用した具体的な学習方法を見ていきましょう。
LibreCADの基本情報とインストールガイド
ここではLibreCADに関する基本的な情報と、安全かつ確実なインストール方法をご紹介します。すでにLibreCADが無料である点や、2D CADに特化したオープンソースCADソフトウェアとして広く知られている点は言及しましたが、実際に導入する際に知っておきたい初期知識をまとめることで、これから始める方のハードルをできるだけ低くしていきましょう。特にCAD自宅学習をしたい方にとって、導入の簡便さはスムーズな学習スタートにつながります。
LibreCADのダウンロードと安全なインストール方法
<参考>LibreCAD「Free Open Source 2D CAD」
https://librecad.org/#download
まずはLibreCAD公式サイトである以下のURLhttps://librecad.org/にアクセスし、トップページのDownloadセクションを探しましょう。そこにはWindows向けのインストーラー(exeファイル)、Mac向けのアプリケーションパッケージ(dmgファイル)、Linux向けのパッケージへのリンクが並んでいます。自分の使用するOSに適合するパッケージをクリックし、ダウンロードを開始してください。ダウンロードが終わったら、OSの標準的なインストール手順に従ってLibreCADを導入します。いずれの環境でも、数分以内にセットアップが終わるのがLibreCADの魅力でしょう。
インストール時に気をつけたいのは、安全性の確保です。必ずLibreCAD公式サイトからダウンロードすることを心がけ、怪しいミラーサイトや転載ファイルを利用しないよう注意してください。オープンソースCADとして開発が進められているので信用度は高いですが、万一不正な改変がされたパッケージを使ってしまうと、ウイルス感染などの危険がゼロではありません。公式リポジトリを利用することで、安定したバージョンのLibreCADを安全に手に入れることができます。
ダウンロードやインストールが完了したら、さっそくLibreCADを起動してみましょう。シンプルなインターフェースに驚くかもしれませんが、CAD独学で基本操作を覚えるには十分な作図機能が備わっています。学習を進めながら、コマンドの配置やショートカットの使い方を少しずつ把握することで、やがて市販の高額CADソフトにも応用可能なベーススキルを身につけることができるのです。こうした“LibreCADの使い方”は実技を通して徐々に慣れていけば問題ありません。初心者が陥りやすい失敗を避けるためには、次の初期設定も合わせてチェックしておくと良いでしょう。
初期設定:言語設定と作業スペースのカスタマイズ
LibreCADインストール後、初めて起動すると画面表記が英語のままになっているケースがあります。そこでCAD操作技術をスムーズに身につけるために、言語を日本語にしておくことをおすすめします。方法は簡単で、LibreCADを起動したら上部メニューのOptionsからApplication Preferencesを選び、Languageの項目でJapaneseを選択すればOKです。設定を変更したらLibreCADを再起動して、メニュー表示が日本語化されていることを確認してください。これだけでも操作の敷居が下がり、大きく学習効率が上がるでしょう。
次に大切なのが作業スペースの基本カスタマイズです。CAD試験対策をするなら、まず寸法の単位をミリメートルやメートルに設定しておくと便利です。これも上部メニューのOptions→Current Drawing PreferencesからUnitsタブを開き、Main Drawing Unitを選択するだけで完了します。また、グリッド表示やスナップ設定など、作図を補助する機能のオンオフも自由に行えるため、自分が練習しやすいようにカスタマイズすると良いでしょう。CAD無料教材やオンラインマニュアルでは、これらの初期設定手順についても詳しく解説されているものが多いので、合わせて参考にすると迷わず行えます。
このようにLibreCADの初期設定を丁寧に行うだけでも、独学の学習効率を上げる効果があります。市販の有料CADを使っていると、設定箇所が複雑だったり、カスタマイズに制約があったりして戸惑う場面もあるかもしれませんが、LibreCADは初心者が試行錯誤しやすい環境です。まずは日本語化と単位などの設定あたりをしっかり確認しておきましょう。なお、初期設定の流れをまとめたLibreCADチュートリアル動画なども公開されていますので、感覚的に理解したい方はそのようなリソースも併用すると良いかもしれません。
マニュアルはこちら
<参考>LibreCAD「LibreCAD User Manual」
https://docs.librecad.org/en/2.2.0_a/
LibreCADの特徴と学習へのメリット
LibreCADは、市販の高額CADソフトウェアでは実現しづらいコスト面でのアドバンテージを持ちつつ、学習に必要な2D機能をきちんと備えています。資格取得を目指す中で、どのような操作レベルや知識が求められるかをあらかじめ理解するのは大切ですが、その前提として無料のCADであるLibreCADがどのような特性を有し、学びの効率を高めるためにどの程度役立つのかを見ていきましょう。加えて、CAD独学の進め方にもLibreCADが好相性である理由を掘り下げながら解説していきます。
無料で利用可能な2D CADツールとしての特性
LibreCAD最大の長所は、やはりライセンス費用ゼロで使えるという点です。有料ソフトからの乗り換えを考えている方に限らず、これから初めてCADを触るという初心者にとっても、完全に無料であることは大きな安心材料となるでしょう。また、商用利用も許されているので、資格学習だけでなくビジネス上のプロトタイプ作成、あるいは副業レベルの図面作成にも活用できるポテンシャルを持っています。
さらにLibreCADは2Dに特化しており、複雑な3D機能や高負荷のレンダリング機能が存在しない分、ソフトウェア自体が非常に軽量です。そのためパソコンのスペックがそれほど高くなくても動作しやすく、CADのデメリットとしてよく挙げられる動作の重さが原因で学習意欲をそがれるリスクも小さく済みます。CAD利用技術者試験の2D科目を受験する場合でも、線や円、寸法記入といった基本操作だけで作図する課題が中心なので、LibreCADの機能セットで十分に対応可能です。
また、LibreCADは作業環境に関しても自由度が高く、複数OSで操作手順が大きく変わることはありません。たとえば自宅のWindowsPCと職場のLinuxPCの両方でLibreCADを活用したり、大学のMac端末で勉強する場合でも、ほぼ同じ操作感を維持できます。これによって場所を選ばないCAD自宅学習のスタイルが確立できるため、日常の隙間時間を有効に活用したい社会人や学生にとって、自分のペースで学び続けやすい環境が整うのです。
さらに、CADのオンライン教材として、個人ブロガーや技術系YouTuberがLibreCADの使い方を解説したチュートリアルを数多く公開しています。円や四角形を描いて寸法を入れるといった基本操作から、応用的な作図テクニックまでさまざまな動画があるため、自分が苦手と感じる部分だけピックアップして学習できるでしょう。テキストベースの解説記事も多彩ですので、自分に合った学習スタイルを見つけやすいのが強みです。
CAD利用技術者試験の対策にも、これらのオンラインリソースは非常に役立ちます。試験で頻出となるコマンドの使い方やトラブル事例を事前に把握しておけば、本番で慌てるリスクを低減できます。こうした豊富な学習素材に加え、実際に問題を解いてみる実践型の学習法で知識を定着させるのが理想的です。自分一人では理解しきれない部分が出てきても、コミュニティと連携すれば解決しやすいため、自宅学習であっても孤立しづらい環境を得られるのがLibreCADの大きなメリットだといえます。
市販のCADソフトとの比較
ここまでLibreCADの特徴を見てきましたが、実際のところ市販ソフトウェアと比べてどのような差があるのでしょうか。CAD技術者試験の受験を控えている方や、将来的に仕事でCADを本格活用したい方にとっては、有料ソフトと無料オープンソースCADの違いを知ることは重要です。もちろん市販ソフトには豊富な機能や公式トレーニング資料、充実したサポート体制など多くの強みがあります。その一方で、LibreCADのような無料CADならではの利点も存在するため、目的や学習段階に応じて選択肢を再考する価値が十分にあるのです。以下の表も参考にしてみてください。
項目 | LibreCAD | AutoCAD(市販ソフトの例) |
価格 | 無料 | 高額(サブスク制) |
使用用途 | 2D設計 | 2D/3D設計 |
操作性 | シンプルで軽量 | 多機能で学習コストが高い |
学習コスト | 低い(無料のチュートリアルが多い) | 高い(公式教材やスクールが推奨) |
資格試験対応 | 2D試験の学習向き | 公式試験に最適 |
LibreCADを活用した資格学習の具体例
ここからは、LibreCADを活用して資格取得を目指す方に向け、具体的な学習法を提示していきます。すでにご存じのとおり、CAD利用技術者試験をはじめとする2D系の試験対策では、線を正確に引く、寸法を適切に入れる、図面を整理するなどの基本操作を確実に覚えることが重要です。LibreCADでこのような操作を繰り返し練習すれば、独学でも十分に合格レベルのスキルを身につけられるポテンシャルがあります。
基本操作の習得と実技対策
第一段階として、LibreCADの基本操作をしっかり身につけることが肝心です。具体的には、線や円を正確に引く、オフセットやトリムなどの編集コマンドを活用する、レイヤー管理で図面を整理する、そして寸法記入を正確に行うといった作業を繰り返し練習します。最初の頃は簡単な図形を組み合わせて部品や建築平面図の一部を再現してみるだけでも、操作に慣れるという点で大いに役立つでしょう。ここで大切なのはスナップ機能を十分に活用して、各パーツの端点や中心点にしっかり合う形で図面を描けるようになることです。
試験対策には、CADの教材として市販のテキストや動画教材を組み合わせるのが効果的です。たとえば、インターネットで探せばLibreCADを使った演習問題や解説動画が見つかりますので、それらを日々の学習に取り入れてみましょう。わからない箇所が出てきたら、操作の手順をもう一度繰り返して理解を深めるか、コミュニティフォーラムなどで質問してみるのも良い方法です。個人学習で大事なのは、疑問点をひとつずつクリアにして、確実に手を動かすことにあります。
試験準備:過去問題と模擬試験の活用
基本操作が身についてきたら、次は過去問題集や模擬試験を使って実践的な演習に移りましょう。特に時間制限のある試験の場合、落ち着いて操作できるだけでなく、効率的に図面を仕上げるスピードが求められます。LibreCADでCADの試験対策を行う過程では、実際の試験形式と同じような条件を再現するのが効果的です。たとえばタイマーを用意して一定時間内に課題図面を描き上げる練習をする、印刷プレビューで寸法やレイアウトが正しく反映されているか確認するなど、本番を想定した取り組みを繰り返すと良いでしょう。
過去問題では、レイヤーの指示や寸法単位の設定、オフセット量の指定など、細かい指示が記載されているケースが多いです。これらをしっかり読んで誤りなく再現するのが合格につながるポイントですが、段取りを間違えると時間を浪費してしまう恐れもあります。たとえば先にレイヤーを分けておき、各図形を用意されたレイヤーに配置しながら作図を進めることで、後から修正しやすくなり、寸法記入も混乱しにくくなります。操作に慣れてきたら、作図のプロセスを自分なりに体系化し、どの順番で図形を描いていくかを定型化しておくと本番に迷いません。
画面上だけでなく出力にも慣れておくことが大事です。実際の試験では提出形式として印刷した図面や特定のファイル形式での提出が求められる場合がありますので、LibreCADのPDF出力やDXF形式の保存を一通り試しておくと安心できます。こうした実践的な演習に加え、弱点分野やミスが多いポイントを振り返る時間を作ることで、効率的に合格力を高められるでしょう。自宅学習であっても、模擬試験を自分で設定し、短時間で図面を完成させるトレーニングを積むことで、本番での焦りを最小限に抑えられます。
まとめ – LibreCADで始めるコスト効率の良いCAD学習
ここまで、CAD資格取得を目指す方がLibreCADを活用するメリットや導入方法、実際の学習ステップについて解説してきました。初期費用がかからないうえに、Windows・Mac・Linuxといった複数のOSに対応しているLibreCADは、初心者が独学でスタートする環境として非常に優れた選択肢です。特に無料のCADとして利用を始められることは、CADライセンス費の捻出が難しい学生や社会人にとっての大きな魅力といえます。また、オープンソースCADならではのコミュニティの活発さは、わからないことを質問したり、操作方法を学んだりする支援体制として機能するため、自宅での自己学習でも安心感を得られるでしょう。
CAD利用技術者試験の2D部門で必要とされる基本操作はいずれもLibreCADで十分にカバーできます。市販ソフトとの大きな差は3D設計機能や企業向けの保守サービスなどにあるため、それらを当面必要としない段階では、LibreCADを使い込むことでコストパフォーマンスを最大化できるでしょう。資格を取得した後に、さらに高度な3D設計スキルを身につけたいと思えば、別のソフトへの移行や追加学習を検討すれば良いわけです。
結果として、コストを抑えながらもしっかりとした2D CADのスキルが身につくため、CADの資格取得にとどまらず、その後のエンジニアリングやデザインワークにも応用が可能です。これは潜在ニーズとして挙げられる長期的なキャリアアップにも直結すると考えられます。無料で始められるというハードルの低さはもちろんですが、最終的に学習努力によって得られる知識やスキルの価値はとても大きいといえるでしょう。
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参考文献
・LibreCAD「Free Open Source 2D CAD」
https://librecad.org/
・CAD利用技術者試験「ACSP 一般社団法人コンピュータ教育振興協会」
https://www.acsp.jp/cad/