SOLIDWORKSの初心者向けガイド:便利な機能と効率化
はじめに
SOLIDWORKSは、大学で機械工学を学ぶ学生はもちろん、多くのエンジニアや設計者に利用されている高機能な3D CADソフトウェアです。特に初心者の方にとって、基本操作や効率的な活用法を早期に習得することは、将来のキャリア形成やプロジェクトの成功に大きな影響を与えます。
本ガイドでは、SOLIDWORKSの基礎知識から始まり、アセンブリ設計、パラメトリックデザイン、ドキュメンテーションまで、幅広いテーマを分かりやすく解説します。具体的な作業手順やコツを紹介することで、作業時間の短縮と生産性の向上を目指します。また、効率化のためのツールの活用方法や、チームでの連携を円滑に進めるためのヒントも盛り込んでいます。
さらに、SOLIDWORKSの技術情報を得るためのコミュニティやオンラインリソースの利用例を通して、学習の効率や設計精度の向上にも役立つ内容を提供します。
これからSOLIDWORKSを始める皆さんが、自分らしい設計のアイデアを実現し、実践で自信を持って使いこなせるよう、本ガイドがその第一歩となれば幸いです。
SOLIDWORKSとは?
引用:SOLIDWORKS公式サイト:
https://www.solidworks.com/ja/lp/proven-solution-3d-design-and-product-development
SOLIDWORKSは、Dassault Systèmes社が提供する先進的な3D CADソフトウェアです。製品設計、解析、製造といった幅広い分野で利用されており、複雑な設計プロセスを効率化するための強力なツール群が揃っています。
このソフトウェアの大きな魅力は、フィーチャーベースの操作とアセンブリ機能にあります。フィーチャーベースの操作により、個々の部品や形状を簡単に編集・修正できるため、初心者でも直感的にワークフローを構築しやすいのが特徴です。また、複数の部品を組み合わせるアセンブリ機能は、全体の設計整合性を保ちながら複雑な構造物を効率的に作り上げることを可能にします。
さらに、SOLIDWORKSはドキュメンテーション機能を備えており、設計初期段階から自動で図面やパーツリストを生成できます。これにより、手作業での図面作成に比べ、作業効率が大幅に向上します。シミュレーション機能を活用すれば、強度や振動の解析を行い、試作品の段階で潜在的な問題を洗い出すことができ、結果として製作コストの削減にもつながります。
また、SOLIDWORKSはチームでの共同作業を支援するコラボレーション機能も充実しており、オンラインリソースやユーザーフォーラムが整備されているため、疑問やトラブルに直面した際にも迅速に解決策を見出すことが可能です。こうしたサポート体制のおかげで、大学や専門学校の学生など、SOLIDWORKS初心者でも安心して学習を進めることができます。
基本操作とユーザーインターフェイス
引用:SOLIDWORKSヘルプ:
https://help.solidworks.com/2025/japanese/WhatsNew/c_wn2025_draftsight_menu_bar_visibility.htm
SOLIDWORKSの操作を始めるにあたり、まず注目すべきはそのユーザーインターフェイスとメニューの配置です。画面上部に位置するリボンやツールバーには、よく使用するコマンドが集約されており、直感的に操作できるよう工夫されています。さらに、右クリックによるコンテキストメニューを活用すれば、選択した要素に応じたコマンドがすぐに表示され、作業の効率が大幅に向上します。
設計を進める上で欠かせないのが、スケッチやフィーチャーを管理するための設計ツリーです。設計ツリーでは、どの操作がどの順番で3D形状を作り上げたかが明確に示されるため、後から特定のステップに戻ってパラメトリックデザインを更新することが容易になります。また、ユーザーインターフェイス自体も柔軟にカスタマイズでき、必要に応じてタブやアイコンの配置を変更することが可能です。これにより、SOLIDWORKSマクロやアドインの導入時も、各自の作業スタイルに合わせた最適な環境を構築できます。
では、具体的にどの部分に力を入れて慣れていくべきなのでしょうか。以下のサブセクションで詳しく説明します。
直感的な操作性とカスタマイズ
SOLIDWORKSの大きな強みのひとつは、直感的に操作できるユーザーインターフェイスと豊富なカスタマイズオプションです。初期設定では分かりやすく配置されたメニューが用意されていますが、業務内容や学習進度に応じて、ツールバーやショートカットキーの再配置、アイコン表示の変更など、自由度の高いカスタマイズが可能です。例えば、寸法ツールを頻繁に使う場合は、最も目立つ場所にまとめることで、迅速な作業が実現します。また、設定をテンプレート化しておくと、新規プロジェクトでも同じ作業環境をすぐに呼び出すことができ、作業効率が向上します。
さらに、SOLIDWORKSの各ウィンドウやダイアログボックスはドラッグ&ドロップで自由にレイアウトを調整できるため、作業に必要なツールを自分だけの環境で最適に配置できます。まずは公式の標準UIに慣れ、その後自分のペースでカスタマイズを進めることで、操作速度と学習効率の両面でメリットを享受できるでしょう。
スケッチ作成の基本
SOLIDWORKSのスケッチ機能は、3Dモデル作成の基盤となる重要な要素です。まずはスケッチ平面を選び、線、円、長方形などの基本図形を描いて、寸法や拘束条件を設定します。このプロセスにより、正確かつ変更に柔軟な下絵が作成され、パラメトリックデザインの考え方が自然に取り入れられます。たとえば、部品寸法をパラメータ化しておくことで、後から数値を変更すれば自動的に関連部分も更新されるため、修正作業が大幅に効率化されます。
また、スケッチ作成時に水平・垂直、重なりなどの拘束条件や寸法線を正しく設定することは、SOLIDWORKSドキュメンテーションや図面化の段階で非常に役立ちます。スケッチに不整合がある場合は、色分け表示で直ちに確認できるため、常に正確な設計データを維持することが可能です。これにより、後工程での混乱を防ぎ、よりスムーズな設計変更が実現します。
モデリングとアセンブリ
SOLIDWORKSのモデリングは、まず基本となるスケッチから始まり、押し出し、回転、スイープ、ロフトなどの機能を駆使して3次元形状を作り上げるプロセスです。これに加え、フィレットや面取り、パターン機能を組み合わせることで、より複雑な形状を効率的に生成できます。完成した各パーツは、SOLIDWORKSのアセンブリ機能を用いて組み合わせ、製品全体の構造を確立していきます。
アセンブリ段階では、各パーツに対して「メイト」と呼ばれる合致条件を設定し、部品同士の位置関係や可動範囲を正確に定義します。例えば、ある部品を固定し、別の部品に回転のみを許容するような指定が可能です。また、複数のパーツをひとまとめにするサブアセンブリを活用することで、複雑な構造も段階的に整理しながら設計でき、チームでの共同作業にも適しています。さらに、アセンブリ内での干渉チェック機能により、設計段階で部品同士の衝突を事前に検出し、問題解決を図ることができます。加えて、シミュレーション機能と併用することで、強度や熱解析など高度な評価も行えるため、試作前に設計の問題点を把握し、製作コストや手戻りのリスクを大幅に軽減することが可能です。
フィーチャーベースのモデリング
SOLIDWORKSでの3D形状作成は、フィーチャーベースモデリングに基づいて進行します。まず、スケッチで描いた輪郭を押し出しや切り抜き、回転、スイープ、ロフトなどのフィーチャーを重ねることで、最終的な形状が構築されます。各フィーチャーの履歴が記録されるため、後から寸法やパラメータを変更すると、モデル全体が自動的に再構築されるというメリットがあります。たとえば、エンジン部品の直径変更時も、関連する寸法やフィレットが連動して更新されるため、効率的で一貫性のある設計変更が可能です。さらに、フィーチャーに適切な命名やコメントを付けることで、後から設計内容を把握しやすくなり、チーム内での情報共有もスムーズになります。
アセンブリの作成と管理
アセンブリは、個々のパーツを組み合わせて製品全体の完成形を把握するための重要な工程です。各パーツは仮想空間内に配置され、メイトと呼ばれる合致条件によって部品同士の位置や動作が正確に定義されます。これにより、ヒンジ部品の回転範囲やネジ部品の貫通位置など、実際の使用環境に合わせたシミュレーションが容易に行えます。複雑なレイアウトの場合、サブアセンブリを利用して各構成要素を整理し、段階的に組み立てる手法が有効です。
また、アセンブリデータは構成部品表(BOM)の自動生成やSOLIDWORKS図面への展開といった機能を通じて、ドキュメンテーション作業も効率化されます。部品名、数量、材質などの情報が自動的に連動更新されるため、設計変更にも迅速に対応可能です。これにより、実際の試作や製造に進む前に、組み立て手順や動作確認を多角的に検証し、手戻りのリスクを最小限に抑えることができるのです。
効率化のための便利なツールと機能
SOLIDWORKSを使いこなすためには、モデリングやアセンブリ操作だけでなく、作業を効率化するための多彩なツールを把握することが非常に重要です。こうしたツールを駆使することで、繰り返し作業に費やす時間を減らし、よりクリエイティブな設計検討に時間を割くことができます。
まずは、SOLIDWORKS テンプレートの活用や、製図設定を標準化する方法を覚えると、プロジェクトの立ち上がりがスピーディになります。また、よく使う設定やコマンドをまとめておくことで、同じ操作を何度も繰り返さずに済むため、ダブルチェックやヒューマンエラーを防ぐ目的にも有効です。
加えて、設計の一部を自動化したいときは、SOLIDWORKS マクロ機能に注目するとよいでしょう。特に同じ種類の寸法変更や複数のパーツ統合を繰り返し行う場合には大きな効果が得られます。また、デザインレビューなどの段階では、干渉チェックやモーション解析、あるいはアドインを組み合わせることで、エラーを未然に防ぎ、チームや上司からのフィードバックを円滑に収集できます。このように、SOLIDWORKS 効率化につながるツールを積極的に取り入れることで、設計者としての生産性とクオリティが飛躍的に向上するはずです。
テンプレートとマクロの利用
SOLIDWORKSでは、各種設定や標準要素をあらかじめ登録したテンプレートを活用することで、図面、パーツ、アセンブリごとに寸法単位や公差設定、カラースキームなどを統一できます。新規ファイル作成時にゼロから設定する手間を省くとともに、チーム全体での作業環境の均一化を実現し、効率的な設計作業をサポートします。
さらに、SOLIDWORKSマクロを用いた作業の自動化は、繰り返し行う処理の迅速化に非常に有効です。Visual Basic for Applications(VBA)やAPIを使って記述されたマクロは、複数の部品に一定間隔で穴を開ける、ファイル名や文字列の一括変更といったルーチンワークをワンクリックで実行可能にします。これにより、ヒューマンエラーを減少させるとともに、作業時間の大幅な短縮が期待できます。
デザインレビュー機能
大規模プロジェクトやチームでの共同作業において、定期的なデザインレビューは非常に重要です。SOLIDWORKSには、モデルの干渉箇所や寸法の不整合を迅速に把握できる機能が搭載されており、設計段階での問題点を早期に発見することが可能です。特にアセンブリ内での干渉チェックは、部品同士が物理的に干渉しないか、隙間が適切に確保されているかを確認する上で不可欠です。
また、SOLIDWORKSシミュレーションと組み合わせることで、強度、振動、熱などの要因に基づくリスク評価も行えます。さらに、デザインレビュー機能では、回転表示やコメントの付与、ハイライト表示を活用して、遠隔地にいるチームメンバーとオンライン会議で画面共有しながら効率的に意見交換ができるため、意思疎通がスムーズになり、設計の精度向上に寄与します。
ショートカットキーの活用
SOLIDWORKSの操作では、マウスでアイコンを操作する時間が意外と大きくなることがあります。そこで、ショートカットキーを活用することで、頻繁に使う機能に即座にアクセスでき、作業スピードが格段に向上します。例えば、スケッチモードでの寸法設定、フィーチャーコマンドの切り替え、ビューの変更など、各種操作をショートカットで行えば、メニューをたどる手間が省け、効率的な作業が実現します。
ショートカットキーはユーザーごとにカスタマイズが可能であり、個々の作業スタイルに合わせた設定が可能です。さらに、チーム内で共通のショートカットキー設定を採用すれば、作業手順のばらつきを抑え、情報共有やトレーニングにも役立ちます。SOLIDWORKSのオンラインコースやユーザーフォーラムでは、便利なショートカットの一覧や先輩ユーザーの設定事例が紹介されているので、ぜひ参考にしてみてください。
学習リソースとコミュニティ
引用:SOLIDWORKSフォーラム:
https://forum.solidworks.com/
SOLIDWORKSのスキルを効率的かつ継続的に向上させるためには、公式の教材やオンライン学習プラットフォームが非常に重要な役割を果たします。SOLIDWORKS チュートリアルやオンラインコースでは、基本操作から応用技術まで、具体的な事例や演習問題を通じて体系的に学習することができ、実務に直結する能力の育成に大きく貢献します。また、大学や専門講座での指導を受けながら学ぶことで、進捗状況やつまずきやすいポイントを明確にし、効率的に理解を深める環境が整えられています。個人学習に加え、仲間や指導者との交流も、理解を一層深め、問題解決力の向上に寄与します。
公式チュートリアルとウェビナー
公式サイトや認定パートナーが提供するチュートリアルやウェビナーは、SOLIDWORKS学習の基礎固めに最適です。ソフトウェア内蔵のチュートリアルでは、ステップバイステップの解説とサンプルファイルを利用して、直感的に操作方法を習得できます。また、リアルタイムのウェビナー形式のトレーニングでは、専門家や熟練ユーザーが実際の操作を解説し、質問にもその場で対応してくれるため、実践的な知識を効率的に吸収できます。これらの公式教材を活用することで、SOLIDWORKSの幅広い機能—コラボレーション、シミュレーション、アセンブリ管理、図面作成など—を段階的に学び、初心者から上級者まで無理なくスキルを積み上げることができます。
ユーザーフォーラムとコミュニティ
SOLIDWORKSの学習リソースとして、ユーザーフォーラムやオンラインコミュニティは欠かせない存在です。これらのプラットフォームでは、世界中のユーザーが実際に直面した課題やその解決策が共有されており、過去のディスカッションから自分と似た問題の回答を迅速に得ることができます。また、定期的な情報交換を通じて、最新のリリース情報や便利なアドインの活用事例などをキャッチアップでき、設計効率の向上や新機能の早期導入に役立ちます。さらに、SNSやオンラインイベント、ユーザー会などを通じた対面・オンラインの交流は、実務のコツや最新トレンドを学ぶ貴重な機会となり、SOLIDWORKSの深い理解とスキルアップに大いに貢献します。
まとめ
本記事では、SOLIDWORKSの基本操作、アセンブリ構築、効率化ツール、学習リソースやコミュニティについて詳しくご紹介しました。まずは、ユーザーインターフェイスやスケッチ、フィーチャーベースモデリングといった基礎をしっかりと理解することが、SOLIDWORKS初心者としての第一歩です。これらの基本技術を身につけることで、後の応用機能—アドイン、マクロ、自動化など—の習得もスムーズに進みます。
さらに、アセンブリのメイト設定やサブアセンブリの活用は、製品全体の構造を正確に把握し、効率的なドキュメンテーションを実現する上で不可欠です。デザインレビュー、ショートカットキー、テンプレートの利用といった効率化ツールを組み合わせることで、作業のスピードと品質を同時に向上させることができます。
最後に、公式チュートリアルやユーザーフォーラム、オンラインリソースといった学習環境やコミュニティは、継続的なスキルアップのために大変有用です。実際の設計課題に取り組みながら、先人たちの知見や最新情報を積極的に取り入れることで、SOLIDWORKSの理解を一層深め、将来的なキャリア形成にも大きく貢献できるでしょう。
これからSOLIDWORKSを学ぶ皆さんが、本記事を参考にして確かな技術を習得し、実務においても自信を持って活用できるようになることを願っています。
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参考情報
・SOLIDWORKS公式サイト
https://www.solidworks.com/ja/lp/proven-solution-3d-design-and-product-development
・SOLIDWORKSヘルプ
https://help.solidworks.com/2025/japanese/WhatsNew/c_wn2025_welcome.htm
・SOLIDWORKS YouTubeチャンネル