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ダッソーシステムズの2D・3D CAD、DraftSight(ドラフトサイト)とは?

1. はじめに

近年、建築や製造、機械設計など、幅広い現場で活用できるCADソフトウェアが注目されています。中でもDassault Systèmesが提供するDraftSightは、有力な2次元CAD機能だけでなく、3次元CADのニーズにも対応できる設計ソフトとして多くの設計者から支持を集めています。特にDWGファイルをはじめ、DXFファイルやDGNファイルまで扱える柔軟性により、既存データとの互換性を重視する方にとって大きなメリットになっています。さらに、SOLIDWORKSや3DEXPERIENCEプラットフォームと連携しやすい点で、設計の自動化や円滑なチームコラボレーションが可能になることも大きな特長です。

多くの業務で求められる高精度な図面作成や製品設計はもちろん、PDFインポート機能によって紙図面との連携も容易になります。そのため、熟練した設計者の顕在ニーズである「既存の設計フローを効率化したい」という点だけでなく、潜在的に感じている「新しい技術への柔軟な対応」や「コスト削減につなげたい」という期待にも応えられるのがDraftSightの強みです。

本記事では、DraftSightの概要や主要機能、そしてライセンスオプションや実際の導入効果を通じて、なぜ多くのプロフェッショナルがこのCADツールを選ぶのかを詳しく解説します。最終的には、作業効率の向上やエラー削減、コストパフォーマンスの最適化といった、さまざまな効果を得るための具体的なステップを提示します。

2. DraftSightの基本概要

画像引用: SOLIDWORKS「DraftSight日本語特設サイト」

https://www.solidworks.com/ja/product/draftsight_JPN

DraftSightは2次元CADと3次元CADの両方のニーズに応えるため、幅広いファイル形式と操作性を備えたコンパクトかつ強力な設計ソフトです。従来の2次元図面を作成しながら、必要に応じて3Dモデリングやパラメトリック拘束機能も活用できるので、用途やプロジェクト規模に合わせた柔軟な使い方が可能です。特にDWGファイルとの互換性が高いため、過去の資産を再利用したり、他社との協業プロジェクトにおいてもスムーズにやり取りできます。

Dassault Systèmesが開発している点は大きな信頼要素といえます。SOLIDWORKSを利用されている組織や、3DEXPERIENCEプラットフォームを活用している開発環境との連携が可能であるため、チームや企業単位での一貫したワークフローが実現できます。PDFインポートをはじめ、DXFファイル・DGNファイルの読み書き、ラスター画像のベクトル変換など、一連の高度な機能が取り入れられており、設計の効率化による時間短縮やエラー削減に貢献します。

さらに、DraftSightにはProfessional、Premium、Enterprise、Mechanicalなど、目的や規模に応じたライセンスオプションが存在します。これにより、個人利用から大規模組織での導入まで、プロジェクトごとのニーズに合わせてスムーズにCAD購入を検討することができます。企業向けにはネットワークライセンスが用意され、利用者数に合わせた柔軟な運用が可能な点も注目に値します。設計者によってはAPI機能を使ってワークフローの自動化を行ったり、高度なCADチュートリアルをもとに学習を進められたりと、プロフェッショナルのレベルで使いこなす環境がしっかり整っています。

以上の点からわかるように、DraftSightは設計のプロが求める要素を幅広くカバーする総合的なCADソフトウェアです。コストパフォーマンスの高さと実務に直結する機能群により、多くの業界で採用されています。

2.1. DraftSightとは何か?

本ソフトウェアは、2次元CADの標準的な操作から高度な3次元CAD機能まで、幅広い作業を補助してくれる設計ソフトとして開発されました。最大の魅力は、DWGファイルやDXFファイル、DGNファイルといった主要なファイル形式をシームレスに扱える点と、Dassault Systèmesが長年の経験をもとに構築してきたSOLIDWORKSとの親和性です。これらによって、DraftSightは図面作成や設計自動化を推進し、製品設計の現場で求められる仕様をしっかりとカバーしてくれます。

もともと普及していた他社のCAD(BIMを含む)を置き換えて新たに導入する場合でも、すでに多くの設計者が慣れ親しんだコマンド体系やユーザーインターフェースをDraftSightが踏襲しているため、作業手順の学習コストを抑えやすいです。それと同時に、3DEXPERIENCEプラットフォームとの連携を視野に入れておけば、将来的により幅広い設計フローを一本化しやすいという利点も生まれます。


さらに、2次元と3次元のスイッチが容易なだけでなく、API機能を用いて社内独自のカスタマイズを実施できるのも大きな特徴です。設計の繰り返し作業を自動化したり、図面の標準化テンプレートを整備したりと、単なるCADツールにとどまらず、社内の生産性向上施策の軸となるポテンシャルを秘めています。設計者の使いやすさと拡張性の高さが両立しているからこそ、DraftSightは多彩な業種・業態からの評価を獲得しているといえるでしょう。

結果的に、設計スピードの向上やミスの低減といった顕在ニーズはもちろん、潜在ニーズとして抱えていた「将来的な業務環境のアップデート」や「より高度なコラボレーション環境構築」まで見据えた選択肢となるのがDraftSightの強みです。


2.2. 主な機能と利点

DraftSightに含まれる主な機能として、2次元環境と3次元環境の自由な切り替え、詳細な注釈・寸法設定、PDFインポートからの編集、そしてDXFファイルやDGNファイル翻訳といった幅広いファイル処理が挙げられます。特に、2D図面の作成から3Dモデリングまでを一手に引き受けられる点は効率的です。単一環境で作業できることで、データ変換時のミスやフォーマットのズレが減り、結果的にプロジェクト全体のスピードアップにつながります。

さらに、API機能によるカスタマイズや自動化も大きな魅力です。例えば、繰り返し行う寸法配置やレイヤー管理などをスクリプト化すれば、同じ作業をボタン一つで実行できます。これにより、作業時間だけでなく人的エラーを削減し、設計精度を高めることができるでしょう。加えて、ラスター画像をベクトル変換し、正確な図面に落とし込む機能も備わっているため、古い紙図面やスキャンした資料の再活用もしやすくなります。


利点としては、設計者それぞれのレベルや役割に応じた使い方ができる点が挙げられます。例えば初心者がCADチュートリアルを通して基本操作を覚えやすい設計になっている一方で、熟練者には高度なカスタマイズやパラメトリック拘束を用いた複雑作業の効率化が可能です。さらには、SOLIDWORKSや3DEXPERIENCEプラットフォームとの連携でデータの一元管理や高度な解析フローに移行することもできるため、大規模プロジェクトや企業利用にも適しています。結果として、顕在的な「多機能CADが欲しい」という要望と、潜在的な「将来的な生産性強化」というニーズの双方を満たせる利点があるといえます。

3. DraftSightの主要機能

ここでは、DraftSightが備える代表的な主要機能のうち、2Dおよび3D設計ツール、ファイル形式と互換性、高度な編集&カスタマイズの三点を詳しく見ていきます。これらは実際の業務において、図面作成の素早さと正確性、そしてマルチフォーマット対応をどの程度実現できるかを左右する重要なポイントです。

多くのプロフェッショナルがDraftSightを利用する動機として、設計ソフトとしての安定性だけではなく、柔軟なライセンスオプションにより、プロジェクト規模やメンバー数に合わせた費用管理が可能という経済性も挙げられます。特に複数人でツールを共有する必要があるチームでは、DraftSight Enterpriseなどのネットワークライセンスを選ぶことで、設計現場へ無理なく導入できる点が強みになっています。


また、CAD比較を行う際には、操作性や3Dモデリング精度、API機能による自動化のしやすさ、技術サポート体制など多くの視点が必要です。DraftSightはそれらの要素をバランス良く備えているだけでなく、無料トライアル期間を設けているため、実運用を想定したテストもしやすくなっています。以下、ご自身のプロジェクトに合わせて導入を検討する際のヒントとして、詳細な機能を順番に見ていきましょう。


CAD購入を検討する際に大切なのは、導入後の運用範囲をイメージすることです。普段は2次元CADメインの方であっても、急に3D業務が増えるケースもあります。DraftSightなら、あとからPremiumやMechanicalへ移行し、3Dモデリングを含むより高度な設計作業へスムーズに切り替えることができます。


3.1. 2Dおよび3D設計ツール

DraftSightが提供する2D設計ツールは、寸法やテキスト、ハッチング、レイヤー管理など、図面作成に欠かせない機能が充実しています。例えば、視覚的にわかりやすい画層マネジメントや、PDFインポートを使った既存資料の活用などによって、すぐに製図業務をスタートできます。これらにより、作図におけるヒューマンエラーを抑え、作業スピードを大きく向上させられます。

一方で、3D設計ツールも同じ環境内で利用できるのがDraftSightの強みです。わざわざ別のソフトを立ち上げずに、3Dモデリングやパラメトリック拘束を活用し、部品同士の関係性を管理することが可能です。例えば、建築分野では2D図面から3Dビジュアルを素早く立ち上げることで、クライアントや他部門との認識ギャップを減らすことができます。また、機械や製造分野では、3次元形状をもとに干渉チェックを行う際にDraftSightの立体的な表示機能が役立ちます。


このように2次元と3次元を簡単に行き来できる統合型ソリューションは、「最初は小規模な図面作成をしていたが、後から3D利用の要望が増えた」というような場面でも柔軟に対応可能です。業務拡大や設計プロセスの変化に合わせたツール選択ができるため、長期的な視点からコストを最適化できます。また、Dassault SystèmesのSOLIDWORKSと並行使用するケースでも互換性が高く、図面やモデルをスムーズに共有できる利点があります。


3.2. ファイル形式と互換性

設計現場では、他社から送られてくるDWGファイルやDXFファイル、場合によってはDGNファイルなど、多種多様なデータを扱わなければならないケースが頻繁に発生します。DraftSightはそうしたマルチフォーマット環境でのやり取りに強く、しかもインポートした後の編集作業までもストレスなくこなせる点が評価されています。

例えばPDFインポート機能を活用すると、紙図面をスキャンしてPDF化したファイルを取り込み、そこから図面化するプロセスを効率化できます。さらに、実装されているベクトル変換ツールによって、ラスター画像を正確に変換し、再利用可能なデータに落とし込めます。結果的に既存リソースを最大限活用できるというメリットが生まれ、初期投資コストや時間をかけずに短期間で成果を出すことができるようになります。


このような高い互換性は、国内外の取引先との共同作業にも非常に重要です。オフィスによってはAutoCADを使っている場合もあれば、別の業界標準CADをメインにしている場合もありますが、DraftSightなら大抵のファイル形式を扱えるため、データの取り違えやレイヤー設定の崩れなどを最小限に抑えやすいです。そうした安定感が、導入企業の期待する効果である「効率化とコスト削減」に大きく貢献します。


3.3. 高度な編集とカスタマイズ機能

DraftSightには、設計の反復作業を削減するためのAPI機能や、カスタマイズ可能なコマンドやメニュー、ショートカットなどの仕組みが整っています。プログラミングに慣れていなくても、スクリプトや簡単なマクロを組むだけで作業手順をまとめられ、図面作成の時間を大幅に短縮することができます。こうした設計自動化の取り組みは、熟練CAD設計者にとって特に大きな効果をもたらします。


また、業務の種類によっては、特定の業界標準に従った寸法スタイルや注記方法が必要になります。DraftSightはそれらをテンプレートとして保存・管理できるので、省力化だけでなくヒューマンエラーを減らすことにも役立ちます。メカニカル要件が多い場合はDraftSight Mechanical、より高度な3次元活用が必要であればDraftSight PremiumやEnterprise Plusなど、ニーズに合わせて最適なパッケージが選択できる点も評価される理由です。


さらにプロジェクト規模が大きい企業向けにはDraftSight Enterpriseとしてネットワークライセンスや技術サポートが提供されるので、管理者が一括でインストールやバージョン管理を行うことが容易になります。ユーザー毎にライセンスを購入する必要がなく、同時使用数を柔軟にコントロールできるため、コストの見直しを行いやすいでしょう。これこそが、大規模チームや複数拠点で導入する際に大きなメリットとなります。


4. DraftSightの利用シナリオ

実際にDraftSightを導入する際、どのような業種や場面で活用できるのでしょうか。以下では、業界別の具体的なケースや設計プロセス全体を最適化するためのポイントについて掘り下げます。DraftSightは2Dと3Dのいずれの環境も柔軟に扱えるため、建築、エンジニアリング、DIY分野など、さまざまなシーンで生産性向上を実現してきました。

特に、多くのCAD製図が求められるプロジェクトにおいては、ファイル共有を円滑に行える仕組みが重要視されます。DraftSightのファイル互換性とPDFインポート機能を組み合わせることで、クライアントや外部パートナーとのやり取りがシームレスになります。また、設計者同士が別々のツールを使っていても、最終的にはDraftSightで編集できれば、プロジェクト全体の統合がスピーディーに行えるメリットがあります。


一方、使いやすいユーザーインターフェースと豊富なチュートリアルは、導入初期の学習コストを抑えられる点でも評価されています。DraftSight ProfessionalやPremiumへのアップグレードも検討しやすく、それぞれの機能や価格帯に合わせて柔軟に運用できます。自社の設計フローやニーズを再確認しながら、実際の利用シナリオをイメージしてみてください。


4.1. 業界別の使用例

第一に、建築業界では建築施工図や意匠図の作成がメインになりますが、DraftSightならPDFから経路をベクトル変換してベース図面を作成した後、寸法や注釈を追加し、必要に応じて3D化する流れを一貫して行いやすいです。さらに、外部協力会社がAutoCADや他の業界標準CADツールを使っていても、DWGファイル・DXFファイル・DGNファイルを読み込んで編集できるため、図面の擦り合わせがスムーズに進みます。

製造業においては、3次元CADによる製品設計や、機械装置のアセンブリデータなどの複合的な管理が必要とされます。DraftSight PremiumやDraftSight Mechanicalを利用すれば、形状の確認から部品同士の干渉チェック、パラメトリック拘束による寸法変化の自動反映など、設計工程を合理化できます。そこで生まれる最適化の効果は、短いリードタイムや品質向上につながり、企業の競争力を高める要素となります。


さらに、個人のDIYや趣味の領域でもDraftSightは人気があります。コミュニティが活発でCADチュートリアルが充実している上に、2次元だけでなく3Dモデリングにも対応しているため、小規模なプロジェクトでも専門的なツールとして活かせるのです。設計者の経験レベルに関係なく、プロ品質の図面作成が可能になるため、幅広い利用スタイルが考えられます。

4.2. 設計プロセスの最適化

設計プロセスを考える際、どれだけスムーズに図面作成を行い、レビューや修正を反映できるかが重要です。DraftSightは操作性が自然で、2D・3D間の切り替えも簡単なうえに、SOLIDWORKSなどの他製品と連携するとデータの流れを統合しやすくなります。その結果、重複作業の削減やデータの重複管理リスクも大幅に下げられます。


また、API機能の活用により各企業の独自ワークフローに合わせた自動化を行えるのも大きな強みです。図面のバージョン管理や更新履歴の追跡、特定のルールに従った寸法の自動配置などをスクリプト化することで、日常的に発生しがちな単純作業を減らすことが可能です。こうした最適化は、設計者の集中力をよりクリエイティブな部分に向けることにもつながり、新しいアイデアの創出や複雑案件への対応力強化といった恩恵が期待できます。


さらに、無料トライアルを利用して自社や個人のプロセスにDraftSightがフィットするかを検証してから本格導入することもできるため、導入リスクを最小限に抑えやすいです。設計業務の全体像を俯瞰しながら、どこでコスト削減やエラー低減を図れるかを明確にすることで、より効果的な投資判断を下すことができるでしょう。

5. DraftSightのライセンスオプションとサポート

DraftSightを導入する際には、どのようなライセンスオプションがあり、また技術サポートや顧客サービスがどこまで充実しているのかが、製品選定の大きな基準になるでしょう。ソフトウェアの購入形態は組織ごとの使用人数や管理方法に合わせて最適解が異なります。DraftSightではProfessional、Premium、Mechanical、Enterpriseなど、さまざまなエディションとライセンスタイプが用意されており、それぞれ機能や導入条件が異なるため、事前に情報をよく整理することが大切です。

例えば、個人利用や小規模チーム向けにはスタンドアロンライセンスであるDraftSight ProfessionalやDraftSight Premiumがおすすめです。対して大規模な企業環境では、ネットワークライセンスを利用できるDraftSight EnterpriseやEnterprise Plus、あるいはDraftSight Mechanicalなどを検討することで、ユーザー数や同時使用数を柔軟に運用できます。またEXCEL連携やAPI機能を通じて独自に追加カスタマイズできるなど、エディションごとの特徴を見極めて導入することで、設計自動化や長期的なコストパフォーマンス向上に寄与するはずです。


さらに、初期トレーニングや導入後の問い合わせ体制が整っているかどうかも大きなポイントになります。Dassault Systèmesのブランド力に裏打ちされた技術サポートや、ソリューションパートナーによるサポート体制は、新規導入のハードルを下げ、長期的なサクセスを実現しやすくしてくれます。次項では、より具体的なライセンスの種類や特徴と、どのような顧客サービスが期待できるのかを見ていきましょう。


5.1. ライセンスの種類と特徴

DraftSightのライセンス体系は主に以下のように分かれます。

表1. DraftSightのライセンス

ライセンス価格機能
個人向け・小規模ユーザー向け
Professional299 米ドル/年・DWG、DXF、およびDGNファイルを作成、表示、編集
・誰でも使える、機能豊富でお手頃価格の2次元製図ツール
・編集、設計、および自動化ツールを全て準備(Autolispを含む)
Premium599 米ドル/年・シートセットマネージャーを使用し、大量の2次元図面セットを管理
・PDFインポートとバッチ印刷で時間を節約
・パラメトリック拘束を使用した高度な2次元製図と3次元設計
Network399 米ドル/年・組織全体での同時使用とコンプライアンスの有効化
・SOLIDWORKS パートナーが提供する完全な技術サポート
・ネットワークライセンスの導入が簡単で時間を節約できます
企業向け
DraftSight Enterprise都度見積もり・2次元製図および図面
・APIを含むProfessionalの全機能
・ネットワーク ライセンス
・技術サポート
・展開ウィザード
DraftSight Enterprise Plus都度見積もりDraftSight Enterpriseの機能+

・2次元拘束
・3次元モデリング

※価格・ライセンスは2025/3/10現在のものであり、改定の可能性がございます。実際の購入の際には公式サイトもご確認ください。

まず、個人や小規模事業者向けにはDraftSight ProfessionalとDraftSight Premiumがあります。Professionalでは、2次元CAD機能を中心に、基本的な図面作成から簡易的なAPIによる自動化までを網羅しています。一方Premiumになると、3次元CADに近い3Dモデリング機能やパラメトリック拘束が加わり、より複雑な製品設計や検証を一元管理できます。

企業向けにはDraftSight EnterpriseとEnterprise Plusが存在し、これらはネットワークライセンスに対応しています。組織内で同時接続数を超えない範囲であれば、複数ユーザーが自由にDraftSightを使えるため、ライセンス数を最適化しやすい利点があります。さらに、Enterprise PlusではPremium同様の3D機能や高度な編集機能が追加され、大規模プロジェクトにおけるトータル設計ソリューションが実装可能になります。DraftSight Mechanicalは、機械要素を扱うプロジェクトで効率的に導入できるように設計されており、DWGベースのメカニカル機能強化がなされているのが特徴です。


こうした豊富なエディションとライセンスタイプは、ユーザーの活動規模・分野・コラボレーション体制などに応じて最適な組み合わせを見つけやすいメリットをもたらします。それこそが、顕在ニーズとしての「コストパフォーマンスが良いCADを探したい」に加え、潜在ニーズとして考えられる「将来的にプロジェクトが拡大しても柔軟に対応したい」という要望にもマッチする要因といえます。


5.2. 技術サポートと顧客サービス

CADソフトウェアを日常的に使うことを想定した場合、技術トラブルの迅速な解決や操作に関する問い合わせを躊躇なく行える体制は非常に重要です。DraftSightでは、Dassault Systèmesが培ってきたSOLIDWORKSでのサポートノウハウを活かし、充実した顧客サービスを用意しています。特に企業向けのDraftSight Enterprise形態では、Eメールや電話などによる優先的な技術サポートが提供され、システム管理者もライセンス管理を含めて相談しやすい仕組みになっています。

また、独自のカスタマイズを行う場合やAPI機能を活用する際にも、導入支援パートナーと連携しやすい環境が導入時点から整備されています。CADチュートリアルやFAQはもちろんのこと、ケーススタディや地域に根差したトレーニングなど、多角的なアプローチでユーザーをサポートしてくれるのです。したがって、初めてCADツールに触れる方でも、あるいは他社のCAD比較を経て乗り換えを検討中の方にとっても、スムーズに移行できるように配慮が行き届いているといえます。


さらに、重要なアップデートやバージョンのリリース情報に関しても、Dassault Systèmesの製品サイトやパートナーを通して入手が容易なため、常に最新機能をキャッチアップしながら作業の効率と品質を高めることができます。こうした対応力と情報提供があることで、長期的にみても安心して使い続けられる環境が整うわけです。

5.3. 無料トライアルと購入方法

DraftSightを実際に試してみたい方には、無料トライアル版が用意されています。公式ウェブサイトからダウンロードすれば、30日間にわたってほとんどの機能を試用可能です。これにより、機能や操作性はもちろん、ファイル互換性やAPI機能の活用度合いまで、導入前にしっかり検証できます。また、パフォーマンスを見極めたうえで各ライセンスオプション(Professional、Premium、Mechanical、Enterpriseなど)を比較しながら、自分や組織の目的に合ったエディションを検討すると良いでしょう。

購入方法としては、オンラインストアから直接ライセンスを購入するパターンと、代理店経由で見積もりを依頼するパターンが挙げられます。個人やスタンドアロン利用の場合はオンラインストアでの手続きがスムーズですが、法人や大規模企業でのネットワークライセンス導入を考えている場合は、代理店を通して要件に合ったカスタムプランを提案してもらうのもおすすめです。導入サポートやトレーニングサービスを受けられる場合もあり、結果的に運用コスト削減や技術サポート面での安心感につながります。


いずれにしても、CAD購入は長期的な投資です。導入が決まったら、トライアル結果に基づいて最適なエディションを選び、活用方法や学習計画、チームでの連携フローなどをあらかじめ設計しておきましょう。DraftSightがもたらす作業効率向上とコスト削減のメリットを最大限活かすために、サポートリソースも十分に活用しながら、スムーズに本格運用へ移行することをおすすめします。

6. DraftSightと他のCADソフトウェアの比較

CADツールを導入する際、競合製品との比較は欠かせません。実際のところ、市場には多数のCADソフトウェアがあり、それぞれが特徴的な機能やライセンス形態を提供しています。その中でもAutoCADは長年の実績と圧倒的なユーザーベースを誇る業界標準ツールといえるでしょう。一方、他社製品も特定分野に特化した機能を備えたり、独自のユーザーインターフェースを採用したりと、多様化が進んでいます。

DraftSightが支持を集める要因として、2Dおよび3Dの統合型機能と、ファイル互換性の高さ、そしてコスト面での優位性が挙げられます。AutoCADだけでなく、他の業界標準CADソフトウェアとも比べると、ライセンスオプションの幅が広く規模に応じて選択しやすい点も魅力の一つといえます。以下では、自分に合った最適なCAD購入を検討する際に知っておくと役立つポイントとして、具体的な比較を行います。


6.1. AutoCADとの比較

AutoCADは2DCADソフトとしての歴史や実績が非常に長く、業界のデファクトスタンダードとも呼べる存在です。多様なオプションやノウハウが蓄積されている反面、最新バージョンではサブスクリプションライセンスの導入でコストが気になる企業も少なくありません。

対してDraftSightは、DWGファイルとの互換性や操作性においてAutoCADとの遜色がないだけでなく、ライセンスオプションが豊富である点が魅力です。例えば個人および小規模にはDraftSight Professional、大規模チームにはDraftSight Enterpriseというように予算や使用人数に合わせて最適な導入形態を選択しやすいでしょう。また、Dassault Systèmes製品群との連携を視野に入れていれば、SOLIDWORKSや3DEXPERIENCEプラットフォームとのワークフロー統合がスムーズに行えます。

操作面でもコマンド名やショートカットはAutoCAD使用者にとってなじみやすく、短期間でスキル移行が可能です。さらに、AutoLISPなどのカスタマイズ機能を類似の方法でサポートしているため、これまでAutoCAD向けに作成したマクロやツールが再利用できるケースも多いです。総合すると、操作の親和性とライセンス費用の柔軟さがDraftSightの大きな強みと言えるでしょう。


6.2. 他の業界標準CADツールとの比較

AutoCAD以外にも、VectorworksやBricsCAD、またはSOLIDWORKSやInventorといった3次元主軸のCADなど、テクニカルなセットアップが必要なツールが多く存在します。これらの中には建築専門や機械設計専門といった特化機能がある場合もあります。ただし、特化型ソフトウェアを導入すると、あらゆるプロジェクトに対応するのには追加コストやサブツールが必要になるリスクもあります。

DraftSightは本来2次元CADソフトとしてのポジションが大きかったものの、3Dモデリングやパラメトリック拘束といった機能をプレミアム版やエンタープライズ版に搭載することで、広範囲の業務領域をカバーできるようになりました。たとえ3DEXPERIENCEプラットフォームなどのクラウド統合を必要としない状況でも、基本機能だけで多くの設計作業をこなせるため、オールラウンドなCADツールを求める設計者にとって理想的な選択肢です。


また、海外や他社のツールを導入しているプロジェクトともデータ連携しやすいことから、協業や外注を伴うケースでも数字上のコストだけでなく、運用の手間も削減できます。もし、特定分野で対応が難しい場合には、Dassault SystèmesのSOLIDWORKSやCATIAなどの上位製品への連携を通じて拡張する道も残されており、長期的な設計戦略を視野に入れる企業に最適なソリューションといえます。

6.3. DraftSightを選ぶべき理由

一つ目の理由は、2Dから3Dまで段階的に拡張可能な設計ソフトという点です。最初はDraftSight Professionalでシンプルな2次元CADとして導入し、後々3Dモデリングやパラメトリック拘束が必要になれば、DraftSight PremiumやEnterprise Plusへ移行しやすい柔軟性があります。DWGファイルやDXFファイルへの対応力やAPI機能による効率化も含め、要求に合わせたレベルアップができるのは大きな魅力です。

二つ目として、Dassault Systèmesのソリューション群との高い親和性が挙げられます。すでにSOLIDWORKSや3DEXPERIENCEプラットフォームを利用している場合、DraftSightを併用することでデータ管理やコラボレーションが格段に便利になります。更に、技術サポートやユーザーコミュニティの存在は、大規模から個人規模まで幅広い層にとって安心できる要因となるでしょう。


三つ目には、ライセンスオプションの多彩さとコストメリットが挙げられます。スタンドアロンからネットワークライセンスまで選択肢が豊富で、導入規模や運用スタイルに合わせて効率的にカスタマイズできます。特に企業のプロジェクトでは、時期によって人手が増減することがありますが、DraftSight Enterpriseなら同時使用数を管理しやすいため、ムダなライセンス費用を抑えられます。そして、VDI(仮想環境)などでの運用実績もあるため、ITインフラ面での拡張も考慮しやすいのです。


総じて、DraftSightは幅広いユースケースと多彩なニーズに応えられるCADツールです。これまで解説してきた全要素を踏まえてもなお、追加で専門機能や特定分野への対応が求められる場合には、SOLIDWORKSなどの連携製品との差別化をしっかり見極めながら、最適な構成を検討するとよいでしょう。

7. 導入事例

使い勝手やコストパフォーマンスを考慮し、DraftSightを導入した組織や個人は年々増加しています。実際にどのようなメリットを得ているか、また導入によってどのような成果や課題があったのかを把握することは、今後の選定や運用の参考になります。本節では企業における実際の導入効果、そして個人ユーザーの体験談を通して、DraftSightが現場でどのように利用されているのかをご紹介します。

特に、2Dと3Dを併用するような案件では、図面作成からデータ変換までの時間削減、さらにAPI機能によるカスタマイズ効果が高く評価されています。設計者のなかには、以前は別のCADソフトウェアを使用していたものの、ライセンスオプションや技術サポートの充実度を考慮してDraftSightへ乗り換えた方も多く見受けられます。このように導入の背景や実利を把握することで、自社や自身のプロジェクトにも応用しやすくなるでしょう。


7.1. 企業における導入効果

ある製造業の企業では、これまで複数の海外拠点を含むチームがそれぞれ独自のCADソフトを使用していました。その結果、互換性の問題やバージョン違いによるトラブルが頻繁に起こり、作業効率や品質管理に悪影響を及ぼしていました。そこで、DraftSight Enterpriseを導入し、ネットワークライセンスで一元管理を行う運用に切り替えたところ、異なる拠点からのアクセスが一本化され、図面データのバージョン管理が容易になったうえ、ライセンス費用の合理化にも成功したといいます。

同様に、社内の標準図面やテンプレートをDraftSightのAPI機能で整備し、繰り返し作業を自動化した結果、設計プロセス全体が大幅に短縮された事例もあります。製品設計の初期段階から3Dモデリングへの切り替えが必要になっても、DraftSight PremiumやEnterprise Plusの追加機能で対応できるため、安心して規模を拡大できたとの報告がありました。これらは顕在ニーズとしての「業務効率を上げたい」「ミスを減らしたい」にとどまらず、潜在ニーズの「国際連携の強化」や「プロジェクト管理の最適化」にまで効果をもたらす好例といえます。


7.2. 個人ユーザーの体験談

個人ユーザーやフリーランスの設計者の中にも、DraftSightを愛用する人が増えています。例えば、趣味でDIYや木工作品を作ったり、小規模の建築プランを作成したりする際に「高価なCADソフトまでは手が出せないが、プロ品質に近い環境で作業したい」というニーズがあります。DraftSight Professionalの導入でDWGファイルを扱い、業務レベルの図面を容易に仕上げられるようになり、クライアントへのプレゼンテーションが格段にわかりやすくなったという声が聞かれます。

また、もともと他の2DCADソフトを使用していたユーザーがDraftSightに切り替えたケースも少なくありません。理由としては、操作感が似ていて移行がスムーズなこと、ライセンス費用が比較的安価かつ更新も容易なこと、そしてDassault Systèmesの技術サポートやコミュニティフォーラムが充実していて安心できることが挙げられます。結果的にコストと時間の両面で効果が感じられ、より多くのプロジェクトを受注したり、独自のアイデア実現に時間を割く余裕が生まれたりと、プラスの影響を実感できるそうです。

8. まとめと次のステップ

ここまで、DraftSightの基本概要や主要な機能、さらにライセンスオプションや導入事例などを幅広くご紹介しました。2次元CADとしての操作性の高さやDWGファイルをはじめとするマルチフォーマット対応力、そして3次元CAD機能やAPI機能による設計自動化など、多様なニーズに応えられる設計ソフトであることがおわかりいただけたかと思います。Dassault Systèmesが提供しているため、世界的にも評価が高く、SOLIDWORKSや3DEXPERIENCEプラットフォームとの連携がスムーズなのも特徴です。

特に、顕在ニーズの「設計効率を上げたい」「ファイル互換性の高いツールが欲しい」という点から、潜在ニーズである「設計プロセスを簡素化しながら拡張に備えたい」「コストを抑えつつ技術サポートを充実させたい」まで、DraftSightはその期待を裏切ることなく応えてくれるはずです。最終的に得られる効果としては、エラーの減少、チームコラボレーション強化、市場競争力の向上などが挙げられ、業務の生産性を高めながら企業や個人の利益を増大させることができます。

今後は、試用や評価版の利用、あるいは詳しいCADチュートリアルを活用しながら、実際の制作現場にDraftSightを組み込むステップに進むのが理想的です。導入がスムーズに行えるかを確認するためにも、無料トライアルや購入方法の情報を活用し、ぜひご自身のワークフローを最適化する第一歩を踏み出してみてください。

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参考情報:

DraftSight「DraftSight2次元CAD設計および製図ソフトウェア」

https://www.draftsight.com/ja

DraftSight Enterprise「DraftSight Enterprise 2次元CADソフトウェア」

https://www.draftsight.com/ja/product/draftsight-enterprise-2d-cad-software

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