AutoCADにおけるオブジェクトスナップの概要|代表的な種類や操作手順を解説
AutoCADではオブジェクトスナップの活用により、オブジェクトの位置を正確に示せるため、作図作業の効率化を図れるでしょう。しかし、どのように操作をすればよいのかよく分からないと悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
本記事ではAutoCADにおけるオブジェクトスナップの概要にふれつつ、設定の操作手順を解説します。ぜひ参考にしてください。
この記事を読むと以下のことが分かります。
1.AutoCADにおけるオブジェクトスナップの概要
2.AutoCADにおけるオブジェクトスナップを指定する操作手順
AutoCADのオブジェクトスナップ機能とは
オブジェクトスナップとは、正確にオブジェクトの場所や位置を指定する機能です。(*1)設定により、オブジェクトの中心から別のオブジェクトの中点までをつなぐ線分の作成において、正確性が向上します。オブジェクトスナップには一時と定常の2つがあります。細分化すると、点や線分などさまざまな種類があります。
ここでは、代表的な種類と一時および定常オブジェクトスナップの違いをみていきましょう。
オブジェクトスナップの種類
オブジェクトスナップには点や線分などさまざまな種類があります。代表的な種類と概要をみていきましょう。
オブジェクトスナップ | 概要 |
中心 | 円もしくは円弧の中心点に指定する |
中点 | 線や辺、円弧の中間点に指定する |
端点 | 線の両端や多角形の頂点に指定する |
交点 | 対象となる2つのオブジェクトの線が交差する点に指定する |
図心 | ポリラインやスプラインの図心に指定 |
平行 | 線分の平行線上の点に指定 |
垂線 | オブジェクトの垂線となる点に指定 |
一時オブジェクトスナップの意味と設定手順
一時オブジェクトスナップとは一時的に使用したい場合に設定します。設定の手順は次のとおりです。
1.キー「Shift」を押しつつマウスの右クリックを押す
2.カーソルメニュー内にあるオブジェクトスナップを選択する
設定後、図面上でカーソルをスナップ付近で動かすと、オブジェクトスナップによりカーソルは目的の点または線に移動します。
定常オブジェクトスナップの意味と設定手順
定常オブジェクトスナップは使用頻度の高いオブジェクトスナップをオンの設定に切り替えている状態を指します。定常オブジェクトスナップの設定手順をみていきましょう。(*2)
1.ステータスバーにある「オブジェクトスナップ」を右クリックする
2.「設定」をクリック
3.ダイアログボックス「作図補助設定」が画面上に表示される
4.ダイアログボックス内のタブ「オブジェクトスナップ」で使用頻度の高いオブジェクトスナップのチェック欄をオンへの切り替えを行う
定常オブジェクトスナップは次の手順で使用できるように操作を行います。(*3)
1.ステータスバーにあるボタン「オブジェクトスナップ」を選択または「F3」を押す
2.定常オブジェクトスナップの設定をオンに切り替える
3.ステータスバーにあるボタン「オブジェクトスナップ」の横にあるボタンをクリックする
4.対象を選択
常時オンの状態のままオブジェクトスナップを指定した場合、複数の配置場所が重複してしまう可能性があります。そういった場合、キー「Tab」を押してオン・オフを切り替え、再度点を指定しましょう。
AutoCADにおけるオブジェクトスナップに関する操作手順
ここでは、操作手順をみていきます。次の4つの手順を詳しくみていきましょう。
・オブジェクトスナップの指定の手順
・表示補助機能の設定手順
・解除の手順
・3Dで使用する操作方法
指定の手順
オブジェクトを指定するためには、次の4つの中からいずれかの方法で操作を行いましょう。(*4)
【方法1】
1.キー「Shift」を押しながら、マウスの右クリックを押す
2.ショートカットメニューを表示する
【方法2】
1.マウスを右クリックする
2.サブメニューに表示される「オブジェクトスナップの優先」から指定する
【方法3】
1.ツールバーにある「オブジェクトスナップ」を選択する
2.対象となるオブジェクトスナップを選択する
【方法4】
1.対象となるオブジェクトスナップの名称を打ち込む
オブジェクトスナップではハッチングオブジェクトを無視できるように設定できます。設定するためには、システム変数の「OSOPTIONS」を使用しましょう。
表示補助機能の設定手順(*5)
オブジェクトスナップの機能として表示補助機能「AutoSnap」を利用できます。表示補助機能とは、より効率的にオブジェクトスナップを使用する機能です。AutoSnapは次の4つのツールで構成されています。
ツール | 概要 |
「マーカーを表示」 | カーソルをオブジェクト付近に移動すると、オブジェクトスナップの位置を示す |
「自動吸着」 | 自動で検出し、カーソルを引き寄せてロックする |
「AutoSnapターゲットボックスを表示」 | ・クロスヘアカーソル内に表示されるボックス・ターゲットボックスのサイズ変更、表示または非表示の変更が可能 |
「AutoSnapツールチップを表示」 | 名称が表示される |
また、表示補助機能のカスタマイズも可能です。カスタマイズの手順をみていきます。(*6)
1.作図領域で右クリックを押す
2.メニューの「オプション」をクリック
3.ダイアログボックス「オプション」が表示される
4.タブ「作図補助」にある「AutoSnapの設定」からカスタマイズを実行する
3Dで使用する手順
2D図面で指定した場合、基本的に3D図面においても同様に機能します。既定ではZ値はオブジェクトの3D配置によって指定されます。オブジェクトスナップをモデルのプランビューもしくは平面図で指定する場合、一定のZ値を使用するとより効率的に作業を進められるでしょう。
また、XY平面に全て反映したい場合、システム変数「OSNAPZ」のオンへの設定を推奨します。
まとめ
AutoCADにおけるオブジェクトスナップの概要にふれつつ、操作手順を解説しました。機能を活用することで、点や線分などの位置把握の正確性が向上するため、作図作業の生産性の向上にもつながります。
定常オブジェクトスナップが1つの図面上に複数存在している場合、スナップが重なって表示されてしまう可能性があるため留意しましょう。Tabキーで切替を行い、再度点を指定する必要があります。
また、より効率的に使用するために表示補助機能のAutoSnapがあります。表示補助機能は自身に適しているカスタマイズが可能なため、オブジェクトスナップの機能が使いやすいように設定するとよいでしょう。
建築・土木業向け BIM/CIMの導入方法から活用までがトータルで理解できる ホワイトペーパー配布中!
❶BIM/CIMの概要と重要性
❷BIM/CIM導入までの流れ
❸BIM/CIM導入でよくある失敗と課題
❹BIM活用を進めるためのポイント
についてまとめたホワイトペーパーを配布中
*1 *3 *4
「Autodesk|AutoCAD LT for Mac 2024|概要-オブジェクトスナップを使用する」
https://help.autodesk.com/view/ACDLTM/2024/JPN/?guid=GUID-8F5E5431-9EFB-414E-BC6D-2C65EFB2DAC3
*2
「Autodesk|AutoCAD LT for Mac 2024|定常オブジェクトスナップを設定するためには」
https://help.autodesk.com/view/ACDLTM/2024/JPN/?guid=GUID-065D81A0-4E00-4EF0-AAAF-745BB267CE1D
*5
「Autodesk|AutoCAD 2024|概要-オブジェクトスナップに表示補助機能を設定する」
https://help.autodesk.com/view/ACD/2024/JPN/?guid=GUID-9882004A-97FA-446A-84AB-13E061965034
*6
「Autodesk|AutoCAD 2024|オブジェクトスナップの表示補助機能をカスタマイズするには」
https://help.autodesk.com/view/ACD/2024/JPN/?guid=GUID-D68EF73B-4CE4-4253-94F2-CF46512C2318