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SolidWorks Treehouseとは?アセンブリ構造を見える化する便利ツール解説

1. はじめに

アセンブリ設計では、部品が増えるほど全体構造の把握が難しくなり、設計ミスや重複作業が発生しやすくなります。
特に複雑な構造を扱う場合、「どの部品がどこで使われているのか」が一目でわからず、設計の後半になってから重大な問題に気づくことも少なくありません。

こうした課題を解決するのが、SolidWorksに付属する「SolidWorks Treehouse」です。
Treehouseはアセンブリ構造をツリー形式で視覚的に表示し、部品やサブアセンブリの関係を直感的に把握できる便利なツールです。
直感的な操作と構造の見える化により、設計の初期段階から効率的に構成を管理できるようになります。

1.1 アセンブリ設計の課題とSolidWorks Treehouseの紹介

アセンブリ設計は、複数の部品やサブアセンブリを組み合わせて製品を作り上げる工程です。
しかし従来の方法では、ファイルの一覧や2Dの構成表だけでは全体像を把握しにくく、設計者同士の情報共有も非効率になりがちです。

SolidWorks Treehouseは、こうした課題を解消するために開発されたツールです。
部品構成をツリー構造で可視化し、ドラッグ&ドロップで構成を組み立てながら、部品ごとのプロパティも同時に設定できます。
これにより、設計プロセス全体を見渡しながら効率よくアセンブリ構造を作成・編集できます。

1.2 この記事の目的

本記事では、SolidWorks Treehouseの基本機能から使い方、活用のヒントまでを、初心者の方にもわかりやすく解説します。
Treehouseを使えば、アセンブリ構造の見える化により設計ミスの減少や作業効率の向上が期待できます。

記事を読み終えるころには、以下のようなメリットを実感できるはずです。

  • 設計全体の構造を把握しやすくなる
  • 部品やサブアセンブリの管理が効率化する
  • 他部門やチームメンバーとの情報共有がスムーズになる

これからSolidWorksでアセンブリ設計を行う方、または構造管理をもっと効率化したいと考えている方に、Treehouse活用の第一歩として役立つ情報をお届けします。

2. SolidWorks Treehouseとは?

引用:https://help.solidworks.com/2025/japanese/SolidWorks/treehouse/c_treehouse.htm

SolidWorks Treehouseは、アセンブリ設計を効率化するために用意された公式ツールです。SolidWorksに標準で含まれており、スタンドアロンアプリとして単独で起動できます。
このツールの目的は、部品やサブアセンブリ(子アセンブリ)の階層構造をツリー形式でわかりやすく表示し、直感的に編集できる環境を提供することです。

特に、大規模で複雑なアセンブリ構造を扱う場合に効果を発揮します。全体の構造を一目で把握でき、設計段階での部品管理や構成検討がスムーズになります。Treehouseは、設計全体を見渡す「ビジュアルマップ」として機能し、チームや他部門との情報共有にも役立ちます。

2.1. Treehouseの基本概念

Treehouseの最大の特徴は、アセンブリ構造を「ツリービュー」で表現できる点です。
1つの親アセンブリを頂点に、下位のサブアセンブリや部品が階層的につながる構造を、画面上で直感的に確認できます。
この階層構造は、ドラッグ&ドロップで自由に編集でき、必要に応じて部品やサブアセンブリの追加・削除・移動も可能です。

ツリービューによる表現は、部品間の依存関係や役割分担を視覚的に把握するのに適しており、複雑なアセンブリでも構成の全体像を簡単に理解できます。従来のテキストやリスト表示だけでは見えにくかった構造も、一目で理解できるようになります。

2.2. 主な特徴と機能

Treehouseの主な魅力は、その操作性と柔軟な構造管理機能にあります。

  • 直感的な編集操作
    ドラッグ&ドロップや右クリックメニューを活用して、部品やサブアセンブリを簡単に配置・編集できます。
  • プロパティ管理
    各部品に図番、名称、数量、材質、コメントなどのプロパティを入力でき、部品管理を効率化します。
  • 構造変更の即時反映
    構造を変更すると画面上ですぐに反映され、修正内容を視覚的に確認しながら作業を進められます。
  • 一括編集機能
    複数の部品に共通するプロパティをまとめて設定でき、大量の部品を扱う場合の入力作業を大幅に軽減します。
  • 出力・共有機能
    作成した構造図はPDFや画像、Excel形式で出力でき、レビュー資料や部品表として他部門と共有できます。

これらの機能により、設計の初期段階から構造を正確かつ効率的に整理でき、後工程の作業ミスや手戻りを防ぐことが可能になります。

2.3. 対応するSolidWorksのバージョンとライセンス

Treehouseは、多くのSolidWorksバージョンで利用可能な標準ツールです。特にProfessionalやPremiumといった上位エディションでは、標準機能として搭載されているため、追加購入なしで使えるケースがほとんどです。

ただし、環境によっては初回利用時にセットアップや設定の確認が必要になる場合があります。例えば、SolidWorksのインストール時に「ツールセット」を選択していない場合や、OS環境によってはショートカットが作成されない場合があるためです。その場合は、再インストールや設定の有効化を行う必要があります。

また、TreehouseはSolidWorks本体とは別に起動するため、SolidWorksが立ち上がっていない状態でも使用可能です。これにより、設計構造の計画やレビュー資料の作成を、モデリング作業とは独立して進められる柔軟さがあります。

3. Treehouseの主な機能と操作方法

SolidWorks Treehouseを活用すると、新規アセンブリの作成や既存構造の編集が効率的に行えます。
プロパティ情報の一括設定や構成図の出力にも対応しており、設計初期段階の計画から部品表作成前の整理まで、幅広い場面で役立ちます。
ここでは、Treehouseの代表的な機能と、その操作手順を順を追って解説します。

3.1. 新規アセンブリの作成

新規アセンブリを作る場合は、まずTreehouseを起動し、空のプロジェクトを作成します。
キャンバス上には、親アセンブリを表すノードを配置します。そこから必要に応じてサブアセンブリや部品ノードをドラッグ&ドロップで追加し、階層構造を構築していきます。

ドラッグ操作は直感的で、複雑なコマンドを覚える必要はありません。配置したノードは自由に位置を調整できるため、構造の全体像を見やすく整えられます。こうして作成した構成は、そのままSolidWorksにエクスポートして、詳細なモデリング作業を進めることが可能です。

3.2. 既存アセンブリの読み込みと編集

すでにSolidWorksで作成済みのアセンブリ(SLDASM形式)を読み込むと、Treehouse上にその階層構造が自動的に再現されます。
表示されたツリー構造を見ながら、部品やサブアセンブリを移動・追加・削除することで、構成の見直しや調整が可能です。

また、読み込んだ状態から部品のプロパティを直接編集し、SolidWorksに再エクスポートすれば、その変更内容が本体のアセンブリに反映されます。
この機能を使えば、既存設計の改良や構成の最適化を短時間で行えます。

3.3. プロパティや部品情報の一括編集

Treehouseでは、複数の部品やサブアセンブリをまとめて選択し、図番や名称、材質、コメントなどのプロパティを一括で変更できます。
これにより、大量の部品を扱う場合でも、個別に設定する手間を省き、短時間で情報を整えられます。

例えば、同じ種類の部品が多数存在する場合、一括編集機能を使えば誤入力を防ぎながら統一的な管理が可能になります。
こうして情報の整合性を保つことは、後の部品表(BOM)作成や製造工程での混乱防止にもつながります。

3.4. 構成図の出力と共有

Treehouseで作成・編集したアセンブリ構造は、PDFや画像形式で出力できるほか、Excelリストとしても保存できます。
この出力機能を使えば、構成図を設計レビュー資料として活用したり、部品リストを他部門や外注先に提示したりできます。

出力された構成図は、CADを使わないメンバーでも理解しやすく、設計内容を正確に伝えるのに効果的です。
特に製造部門や品質管理部門など、設計以外の部署との情報共有では、この機能が大きな役割を果たします。

4. Treehouseの基本操作手順

ここでは、SolidWorks Treehouseを使った基本的な操作の流れを紹介します。
起動から新規プロジェクトの作成、部品やアセンブリの追加、プロパティの設定、そしてSolidWorksへのエクスポートまでの一連の手順を理解すれば、構成設計をスムーズに進められるようになります。
まずは小規模なサンプル構成で試してみると、操作感をつかみやすく、応用にもつなげやすいでしょう。

4.1. 起動方法と新規プロジェクトの作成

Treehouseは、Windowsのスタートメニューから 「SolidWorksツール」 フォルダを開くと見つかります。バージョンによっては「SOLIDWORKS Treehouse」という独立したアイコンが表示される場合もあります。
起動すると、空白のキャンバスとツールアイコンが並んだ初期画面が表示されます。

新規プロジェクトを始めるには、「新規プロジェクトの作成」を選び、親アセンブリや部品のテンプレートを指定します。テンプレートはSolidWorks側で事前に設定しておくと便利です。部品用・アセンブリ用それぞれのテンプレートを準備しておけば、Treehouse上で迷わず作業を開始できます。

4.2. 部品やアセンブリの追加とプロパティの設定

キャンバスに親アセンブリを配置したら、サブアセンブリや部品ノードをドラッグ&ドロップで追加します。ノードを配置するだけで階層構造が自動的に形成され、全体像を視覚的に把握できます。

追加したノードは右クリックメニューから編集でき、名称や図番、材質、数量などのプロパティを入力可能です。また、備考欄にメモを残しておくことで、設計意図や注意点を記録できます。

部品数が多い場合は、ツリーを折りたたんで一部のみを表示しながら作業すると、視認性が高まり操作がしやすくなります。この方法は、大規模アセンブリの編集時に特に有効です。

4.3. SolidWorksへのエクスポート

構成の編集が完了したら、画面右上などにあるエクスポートボタンをクリックします。出力先としてSolidWorks形式を指定し、プロジェクトを保存すれば、アセンブリファイル(SLDASM)や部品ファイル(SLDPRT)として生成されます。

エクスポートしたファイルはSolidWorks本体で開き、詳細なモデリング作業を続けることができます。
もし後から構造やプロパティを修正したい場合は、再度Treehouseに読み込んで編集し、再エクスポートすることで内容を反映できます。

この反復作業により、構造設計とモデリングを段階的に進められ、効率的かつ正確なアセンブリ設計が可能になります。

5. Treehouseを使うメリット

SolidWorks Treehouseを活用することで、設計初期の段階から全体構造を可視化でき、作業の正確性と効率を大幅に高められます。
構成を視覚的に把握できるため、設計ミスの防止や作業の簡略化につながり、プロジェクト全体の品質向上にも寄与します。
さらに、チームや他部門との情報共有がスムーズになり、業務全体のスピードアップを実現できます。

5.1. 設計ミスの削減と効率化

Treehouseでは、部品の重複や不要なサブアセンブリを視覚的に確認できるため、設計段階でのミスを早期に発見できます。
従来は設計後半になってから気づくような誤りも、ツリー構造表示によって初期段階で把握でき、修正コストを大幅に削減できます。

また、複数の部品に共通するプロパティを一括で編集できるため、入力作業の効率化や入力ミスの防止にも効果的です。
設計レビュー時には、構造図を見ながら全体の整合性を確認できるため、手戻りや再設計の頻度を減らし、開発スピードの向上にもつながります。

5.2. 部品や構成の全体像の把握

Treehouseを使えば、複雑なアセンブリの全体構造を視覚的に把握できます。
どの部品がどのサブアセンブリに属しているのか、どの階層に位置しているのかを一目で確認できるため、設計の全容を素早く理解できます。

全体像を早期に把握できることで、コストや工数がかかる箇所の特定が容易になり、資源配分やスケジュール計画を立てやすくなります。
また、急な設計変更にも柔軟に対応でき、影響範囲を迅速に把握して的確な修正計画を立てることが可能になります。
こうした可視化は、特に部品点数が多い大規模プロジェクトで威力を発揮します。

5.3. 他部門との情報共有のスムーズ化

Treehouseで作成した構造図は、PDFや画像として出力できるため、CADソフトを使わない部署でも容易に理解できます。
製造部門や品質管理部門、営業や購買部門など、異なる専門領域のメンバーにも直感的に構造を伝えられます。

また、会議や設計レビューの場で構造図を提示すれば、製品全体の仕様や設計方針を関係者全員が共有でき、意思決定のスピードが向上します。
情報共有の円滑化は、部門間の連携強化や誤解の防止にもつながり、結果としてプロジェクト全体の進行をスムーズにします。

6. 活用シーンと具体例

SolidWorks Treehouseは、単なる構造表示ツールにとどまらず、実務のさまざまな場面で効果を発揮します。
新製品の設計計画、既存製品の改良、チームでの役割分担や進捗管理など、多様なシーンで活用でき、設計業務全体の効率化と品質向上に貢献します。
ここでは、代表的な活用シーンを具体例とともに紹介します。

6.1. 新製品の設計計画時の活用

新製品の開発では、コンセプト段階から必要な部品や構成を明確にし、抜け漏れなく整理することが重要です。
Treehouseを使えば、親アセンブリから各サブアセンブリ、さらにその下位部品までを階層的に可視化でき、構成全体を俯瞰しながら計画を立てられます。

この段階で構造を視覚化することで、外注が必要な部品やコストが集中しそうな箇所を早期に把握できます。
また、試作段階や量産準備段階に移行する際にも、Treehouseで作成した階層構造がそのまま指針となり、工程管理や部品調達をスムーズに進められます。

6.2. 既存製品の構造変更と改良

既存製品の品質改善や市場からのフィードバックに基づく改良では、変更が全体構造に与える影響を迅速に把握する必要があります。
Treehouseで既存アセンブリを読み込めば、どの部品がどの構造に属しているか、関連部品への影響範囲まで一目で確認できます。

例えば、ある部品を強化素材に置き換える場合や、一部のサブアセンブリを設計変更する場合でも、関連部品や組立順序の見直しを含め、全体の最適化を効率よく進められます。
これにより、不要な修正や二次的な不具合の発生を防ぎ、改良スピードを向上させることが可能になります。

6.3. チームでの役割分担と部品設計管理

複数人で進めるプロジェクトでは、誰がどの部品やサブアセンブリを担当しているかを明確にすることが欠かせません。
Treehouseでは、部品やアセンブリに担当者名や備考を記録でき、役割分担を視覚的に管理できます。

また、進捗状況や設計意図を共有メモとして残すことで、担当者同士のコミュニケーションロスを防ぎます。
製造管理チームや組立ライン担当者といった他部署とも情報を共有しやすくなり、全体の作業効率と品質が向上します。

7. まとめ

SolidWorks Treehouseは、アセンブリ構造を「見える化」し、設計の正確性と効率を大きく向上させる強力なツールです。
特に部品点数が多く複雑な大規模アセンブリでは、構造全体を直感的に把握できることが、設計ミスの削減や手戻りの防止につながります。
また、視覚的な構造図を使った情報共有は、チームや他部門との連携をスムーズにし、プロジェクト全体の進行を加速します。

Treehouseは、設計計画段階から日常的な部品管理、そして製造部門や外部パートナーとのコミュニケーションまで幅広く活用できるため、SolidWorksユーザーにとって心強い支援ツールとなるでしょう。

7.1. Treehouseの効果的な活用方法

まずは、小規模なアセンブリを題材にTreehouseの基本操作を試してみることをおすすめします。
ドラッグ&ドロップでの構成作成や、一括プロパティ編集、構成図の出力など、代表的な機能を一通り触れてみることで、操作感を自然に身につけられます。

さらに、部品名や図番を事前に整理してから構成を作成すると、BOM作成や設計レビュー時に混乱が少なくなります。
日常的な設計業務に取り入れて慣れていくことで、より複雑なアセンブリや大規模プロジェクトでも安心してTreehouseを使いこなせるようになります。

7.2. 次のステップへの進み方

Treehouseの操作に慣れたら、PDM(製品データ管理システム)や他の設計支援ツールとの連携を検討するとさらに効果が高まります。
設計情報を一元管理すれば、部品表や構成図の整合性を保ちながら、設計・製造・品質管理の各プロセスをシームレスにつなぐことが可能です。

また、他部署や外部パートナーとの協働が多い場合は、Treehouseで作成した構成図を共有のベースとして活用することで、意思決定の迅速化や設計変更時の混乱防止にもつながります。

Treehouseを日常業務の中で活用し続ければ、SolidWorksによるアセンブリ設計の質とスピードは確実に向上し、プロジェクトの成功率を大きく高められるでしょう。

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<参考文献>

Treehouse – 2025 – SOLIDWORKS ヘルプ

https://help.solidworks.com/2025/japanese/SolidWorks/treehouse/c_treehouse.htm

Treehouse ユーザー インタフェース – 2025 – SOLIDWORKS ヘルプ

https://help.solidworks.com/2025/japanese/SolidWorks/treehouse/r_treehouse_user_interface.htm

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https://blogs.solidworks.com/japan/solidworks-blog/3dexperience/20210616/

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