eDrawingsの画面が見づらいときの明るさ調整ガイド
1. はじめに
設計作業では、画面の見やすさが作業効率や正確さに直結します。特にeDrawingsのようなCADビューアで3Dモデルや図面を確認するとき、画面が暗かったり線がはっきり見えなかったりすると、細部の確認に時間がかかり、思わぬミスにつながりかねません。
実際、背景色や表示モードといったちょっとした設定の違いだけで、図面の見やすさや判断のしやすさが大きく変わります。
こうした問題を防ぐには、PCやモニターの明るさ調整、背景色の切り替え、影の表示設定などを組み合わせて、自分に合った表示環境を整えることが大切です。明るさを最適化するだけで、寸法や形状がよりはっきりと把握でき、エラーを早期に発見しやすくなります。また、長時間の作業でも目が疲れにくく、集中力の維持にも効果的です。
本記事では、eDrawingsで明るさを調整するための基本的な方法から、プレゼンや画面共有といった応用場面で役立つ工夫までを解説します。初めて使う方にもわかりやすいよう、やさしい言葉でまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
2. eDrawingsでの明るさ調整の必要性
eDrawingsは、CADファイルを簡単に閲覧できるビューアとして、多くの現場で活用されています。しかし初期設定のままでは、線の色が淡かったり、背景色とのコントラストが十分でなかったりする場合が少なくありません。
このような状態をそのままにすると、モニターの明るさやライティング設定の影響も重なり、気づかないうちに「なんとなく見づらい画面」ができあがってしまいます。ソフトとしては問題なく動作していても、表示が不鮮明であれば細部の確認に余計な時間がかかり、結果的に設計ミスや見逃しが増えるリスクを招きます。
だからこそ、画面を明るく見やすく整えることは、CAD設計者の作業効率を左右する重要なポイントです。長時間のモニター作業が続く現場では、快適性を確保するために、環境光の調整やディスプレイの輝度設定も含め、総合的に環境を整える必要があります。本章では、その前提として「eDrawingsの役割」と「よくある問題点」を整理していきます。
2.1. eDrawingsの役割と基本的な使用シーン
eDrawingsは、主要なCADアプリケーションで作成されたファイルを幅広くサポートするビューアです。社内外での図面確認や3Dモデルのレビューに利用され、専用の設計ソフトを持っていない相手にもファイルを手軽に共有できる点が大きな特長です。
たとえば、SolidWorksで作成した3Dモデルを取引先に送った場合、相手が設計ソフトをインストールしていなくても、eDrawingsを使えばモデルを回転させて形状を確認したり、寸法を測定したりすることができます。製造現場では、こうした機能を活かして寸法間違いや形状不備を早期に発見するための確認ツールとして幅広く導入されてきました。
このように、視覚的な情報が中心となる場面では、暗い画面や薄い線色による見落としは大きな障害となります。そのため「3Dモデルの表示設定」や「レイヤーの表示設定」を適切に調整し、快適で正確なレビュー環境を整えることが欠かせません。
2.2. 「暗い」「線が薄い」などの一般的な問題点
eDrawingsでよく聞かれる悩みのひとつが、どれだけ拡大しても線が判別しにくい、あるいは背景全体が暗く沈んで見えるといった問題です。初期設定のままでは背景色が予想以上に濃かったり、ライティング設定の影響で影が強調され、モデルの細部が見えにくくなることがあります。
さらに、パソコン自体のディスプレイが暗めに設定されていたり、Windows側の輝度調整が不十分であったりすると、全体的な視認性の低下を助長してしまいます。こうした状況を改善するためには、背景色の変更やモニターの明るさ調整などの基本操作を理解し、必要に応じてカスタマイズすることが重要です。
加えて、画面共有やプロジェクターを用いる場面では、暗さの問題がさらに顕著になります。共有画面の圧縮処理や投影機器の設定によって、細い線や色分けの違いが正しく伝わらない場合もあるため、こうした状況に備えた工夫と対策が求められます。
3. 基本的な明るさ調整方法
ここでは、eDrawingsで実際に行える基本的な明るさ調整の方法を紹介します。最も手軽な方法は背景色を切り替えることで、線と背景のコントラストが強まり、図面やモデルが一気に見やすくなることも少なくありません。
さらに、表示モードやライティング設定を見直すことで、陰影の強さを抑えたり、明るさの見え方を調整できる点も大きなメリットです。ただし、ソフト側で色味を変えても、ディスプレイの設定が最適でなければ効果は十分に発揮されません。したがって、PCの明るさ調整も並行して行うことが望ましいでしょう。
これらの基本操作を理解しておくことで、CADビューアとしてのeDrawingsをより快適に活用できるようになります。特に「線が見えにくい」「背景と同化してしまう」といった悩みを抱えている場合には、ぜひ一度試してみる価値があります。
3.1. 背景色の変更方法
背景色を変更するには、eDrawingsのオプション画面や表示関連のメニューから設定を切り替えるのが一般的です。多くのユーザーは白い背景に慣れているため、まずは白背景にしてみるのがわかりやすいでしょう。一方で、黒やダークグレーを選ぶと、明るい線色やハイライト部分がより強調されるケースもあります。
白背景は紙の図面に近い感覚で確認できるため、製図作業の延長として扱いやすいという声もあります。ただし、長時間の使用では眩しさを感じやすくなるため、やや暗めのグレーを選ぶユーザーも少なくありません。重要なのは「線がきちんと浮き立つかどうか」であり、自分の作業スタイルに合わせた色を選ぶことが大切です。
背景色を変更した後は、一度拡大・縮小やズームアウトを行い、全体の見え方を確認すると良いでしょう。最初は違和感があっても、調整を繰り返すことで自分に合った配色バランスが見つかるはずです。
3.2. シェーディングモードとライティング設定の調整
eDrawingsには、ワイヤーフレーム表示やシェーディング表示など複数の表示モードが用意されています。ワイヤーフレームは線を鮮明に確認できますが、立体感が乏しいのが難点です。逆にシェーディング表示では凹凸を把握しやすい反面、影が濃いと画面全体が暗く感じられることがあります。
このような場合は、ライティング設定を見直し、Ambient Occlusion(アンビエント・オクルージョン)の切り替えや影の表示をオフにするといった工夫で明るさを確保しましょう。もしそれでも線が判別しにくいと感じる場合は、eDrawingsの[オプション]画面(バージョンによって名称が異なる場合あり)を開き、[表示設定>Ambient Occlusion]や[影の表示]を調整するのが効果的です。さらに、[オプション>一般>Graphics Boost]をオフにすれば、表示を軽くしつつ見やすさを改善できます。
3.3. ディスプレイ設定との組み合わせ
ソフトウェア側の設定だけでは不十分な場合、PCのディスプレイ設定を調整することも重要です。たとえば、Windowsの「明るさスライダー」を少し上げたり、NVIDIAコントロールパネルやIntel グラフィック・コマンド・センター、AMD Radeon Softwareでガンマやコントラストを最適化することで、画面全体の発色が改善されることがあります。
また、作業環境の照明やディスプレイの角度によっても見え方は大きく変わります。角度が合っていないとコントラストが落ち、視認性が下がる場合があるため注意が必要です。特にノートPCを使用する方は、内蔵モニターだけでなく外部モニターを併用するのも有効な方法です。
明るさ調整を効果的に行うためには、まずeDrawings側で基本設定を整え、それでも不足を感じるときにはグラフィックドライバの更新やモニター設定を見直すとスムーズに改善が進みます。
4. 図面の視認性を高める工夫
eDrawingsでは、明るさの調整以外にも、線色の変更やレイヤー設定、モデルの回転操作などを活用することで、図面の見やすさをさらに向上させることができます。もし背景と線のコントラストが合わず見づらいと感じる場合は、線そのものの色を調整するのがもっとも簡単で効果的な方法のひとつです。
特に細部が重なり合う部分では、不要なレイヤーを整理して非表示にすることで、注目すべき部分を明確に強調できます。こうした工夫を取り入れることで、CADビューアとしての機能を最大限に発揮し、構造や寸法を短時間で効率よく確認できるようになるでしょう。
この章では、線と背景のバランスを調整する「線色の変更」、情報をすっきり整理できる「レイヤー表示設定」、そして立体的な理解を助ける「回転機能」の効果的な活用法を解説します。
4.1. 線色と線の太さの調整
線が見えづらいと感じたときは、まず元データ(SOLIDWORKSやDWGなど)の段階で線色を調整するのが基本です。明度の高い色や背景と補色関係にある色を選ぶだけでも、コントラストが際立ち、細い線でもはっきりと認識できるようになります。
例えば、背景が明るめの場合は黒や濃い青といった強い色を、背景が暗めの場合は白や明るい黄色を選ぶと効果的です。なお、eDrawings上では線の太さを直接変更することはできませんが、印刷時の「線の太さ(Line Weights)」設定を利用すれば調整が可能です。
ただし、線を太くしすぎると寸法や注釈が重なり合い、全体が煩雑になってしまう恐れがあります。適切な太さを選び、全体のバランスを見ながら調整していくことが重要です。
4.2. レイヤー表示の最適化
eDrawingsには、レイヤーごとに表示・非表示を切り替えられる機能が搭載されています。この機能は主にDWG/DXF/SLDDRWといった図面データで活用でき、3Dモデルでは元データ側の設定に依存する場合があります。複数のレイヤーが同時に表示されると線が多すぎて混乱を招きやすくなるため、必要に応じて整理することが大切です。
余分な注釈や補助線をオフにするだけで、主要な形状や寸法が一目で把握できるようになります。多くの要素を一度に表示しなければならない場合でも、その時々で必要なレイヤーだけを切り替えることで、見やすさと作業効率を両立できます。
確認したい部分に合わせてレイヤーを切り替えれば、全体像を俯瞰しつつ詳細にもアクセスできるため、長時間作業での目の負担を減らし、効率的に作業を進めることが可能です。
4.3. モデルの回転とズームの活用
3Dモデルを扱う際の大きな利点は、任意の角度に回転させて形状を確認できることです。光の当たり方が変わるだけで、同じ形状でも明るさや陰影の印象が大きく変わります。もし特定の部分が暗く沈んで見える場合は、モデルを少し回転させて光の当たる面を増やすだけでも改善されることがあります。
また、ズームイン・ズームアウトを頻繁に使うことで、細部と全体をバランスよく確認できます。拡大表示で線の太さや色を確認した後は、必ずズームアウトで全体像をチェックするなど、行き来しながら操作するのが効率的です。
特に暗い部分があるときは、ライティング設定を調整する前にモデルを回転させるだけで、驚くほど見やすくなることも少なくありません。わずかな角度の違いで視認性が大きく向上するケースもあるため、まずは回転操作を試してみると良いでしょう。
5. トラブルシューティング:暗さが改善されない場合

これまで紹介した方法を試しても「どうしても暗いまま」と感じる方もいるかもしれません。その場合、原因はeDrawings本体の設定だけでなく、PC環境や周辺機器に潜んでいる可能性があります。したがって、別の角度から対処を検討する必要があります。
たとえば、使用しているPCのグラフィックドライバが古いままでは、CADビューアの描画性能を十分に引き出せず、画面が暗く見えたりぼやけたりすることがあります。また、利用しているeDrawings自体が古いバージョンであれば、最新のOSにうまく適応できず、表示品質が低下している可能性もあります。
ここでは、暗さが改善されないときに考えられる代表的な3つの原因と、それぞれの解決策について解説します。
5.1. グラフィックドライバの更新
NVIDIAコントロールパネルやIntel グラフィック・コマンド・センターで設定を調整しても改善しない場合は、まずグラフィックドライバが最新かどうかを確認しましょう。AMD Radeon Softwareも含め、各メーカーが提供する最新のアップデートを適用することで、表示品質が向上したり不具合が修正されたりするケースは多くあります。
ドライバが更新されていないと、eDrawingsでの明るさ調整がうまく効かないだけでなく、描画エラーやアプリのクラッシュにつながるリスクも高まります。公式サイトから提供されている更新プログラムをチェックし、指示に従ってインストールしてください。
なお、更新作業の前には作業中のデータを必ず保存しておきましょう。インストール完了後はPCを再起動し、eDrawingsの表示がどの程度改善されたかを確認すると安心です。
5.2. eDrawingsのバージョンアップ
利用しているeDrawingsが古いバージョンである場合、表示の問題が改善されにくいことがあります。最新版にアップデートすることで、描画処理や互換性が向上し、暗さや表示不具合が解消される可能性が高まります。
新しいバージョンでは環境光の処理やビューポートの描画が最適化されていることも多く、グラフィックドライバやOSとの相性も改善されています。ただし、企業や組織によってはすぐにアップデートできない場合もあるため、IT担当者と相談しながら安全に進めましょう。
不具合に備えて旧バージョンをバックアップし、段階的に移行する方法を取るのも有効です。バージョンアップ後には、表示がどの程度改善したかを必ず確認してください。
5.3. ディスプレイの切り替えと設定の再確認
ディスプレイの種類や設定によって、明るさや発色は大きく変わります。外部モニターを使用している場合は、PCの内蔵ディスプレイに切り替えて比較してみたり、逆に外部モニターで試してみることが有効です。複数の画面で表示を比較することで、暗さの原因がディスプレイにあるかどうかを切り分けられます。
それでも改善しない場合は、Windowsのディスプレイ設定やモニター本体のOSD(オンスクリーンディスプレイ)メニューを開き、輝度やコントラストを再調整してください。HDR設定がオンになっていると色味が通常と異なって見える場合もあるため、この点も確認が必要です。
また、複数のモニターを同時に使用する場合は、それぞれの明るさや色温度をできるだけ近づけておくことが望ましいです。細かな調整の積み重ねが、結果として安定した視認性の確保につながります。
6. 応用:プレゼンテーションと共有時の明るさ対策
設計データをプレゼンや会議で共有するとき、モデルの回転や光源の見せ方、プロジェクターやモニターの明るさ設定が整っていないと、「暗くて見えづらい」と指摘されることがあります。どれだけ細部まで作り込んだ設計でも、画面が暗いだけで魅力が十分に伝わらないのは残念なことです。
この章では、プロジェクターや会議室モニターを使って複数人にデータを見せる場合、あるいはオンライン会議で画面共有を行う場合に押さえておきたいポイントを整理します。特にモデル配色や光源設定は軽視されがちですが、少し工夫するだけで視認性が大きく向上するため、ぜひ注目してください。
より説得力のあるプレゼンや円滑なコミュニケーションを目指すのであれば、ここで紹介する方法を実践し、快適な「明るさ対策」を取り入れてみましょう。
6.1. プロジェクターとモニターの明るさ調整
プロジェクターは暗い部屋では映えますが、少し明るい環境では一気に見づらくなることがあります。そのため、ランプモードを切り替える、スクリーンの反射率を考慮するなど、照明条件に合わせた調整が必要です。
会議室のモニターを使う場合も、室内の照明環境を含めて調整しましょう。蛍光灯や自然光が強いと、コントラストを上げるだけでなく、モニターの輝度そのものを高める必要がある場合があります。
特に重要なのは、プロジェクターやモニターで映し出される画面と、自分のPC画面との色味の違いを把握しておくことです。本番前に必ずテスト投影を行い、「暗くならないか」「細い線も識別できるか」を確認しておけば安心です。
6.2. 画面共有時の視認性向上テクニック
オンライン会議で画面共有をすると、回線速度や映像圧縮の影響で線や色がつぶれて見えることがあります。特に線色と背景のコントラストが弱いと、相手側の画面ではほとんど見えないこともあります。
そこで事前に線色をはっきりした色に変更したり、背景を無彩色にして高コントラストを保ったりすることが効果的です。また、ズームを使って細部を拡大するだけでなく、要所ではマウスカーソルやハイライト機能を活用して注目ポイントを示すと、誤解が減りスムーズに伝わります。
さらに、モデルが重くて動きがカクカクする場合は、eDrawingsのビューポート設定で表示品質を下げることで軽量化できます。多少解像度を犠牲にしてでも、滑らかな回転やアニメーションのほうが相手には見やすくなる場合が多いのです。
6.3. モデル配色の工夫
もうひとつの有効な方法は、モデルの色設定を工夫することです。パーツごとに色を変えておけば、画面がやや暗めでも各部位の識別が容易になります。
たとえば、重要な部分を明るい色で強調し、補助的な部位はグレー系でまとめると、構造のレイヤーが一目でわかります。これは視認性の向上だけでなく、説明のしやすさという点でも効果的です。「赤い部分を確認してください」と指示すれば、相手にとっても理解しやすくなります。
ただし、元のCADデータに配色の意図がある場合は注意が必要です。見やすさのために一時的に色を変更した場合でも、作業終了後には必ず元の設定に戻すことを忘れないようにしましょう。
7. まとめ
ここまで紹介してきたように、eDrawingsでの明るさ調整には多くの工夫の余地があります。まずは背景色やシェーディングモード、ライティング設定など、ソフトウェア内部でできる「基本の調整」をしっかり押さえることが第一歩です。そのうえで、ディスプレイの輝度やコントラスト設定、グラフィックドライバのアップデートといったPC側の対策を組み合わせれば、さらに一段上の視認性を実現できます。
視認性を高めることは、図面の見落としを防ぐだけでなく、作業効率や設計の品質にも直結します。暗い画面で細部を確認する手間が省ければ、エラーを減らすだけでなく、レビューや打ち合わせのスピードも向上します。
また、多くの設計現場では、周囲の照明条件、プロジェクターやモニターの性能、さらにはオンライン会議での画面共有など、環境がめまぐるしく変化します。そのような状況でも冷静に明るさを調整できれば、クライアントやチームに対して正確で分かりやすい情報を届けやすくなります。ぜひ本記事を参考に、自分に合った環境を整え、快適かつ効率的に設計業務を進めてみてください。
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<参考文献>
eDrawings Viewer
https://www.edrawingsviewer.jp/
eDrawings へようこそ(Welcome to eDrawings) – 2025 – eDrawings ヘルプ
https://help.solidworks.com/2025/japanese/edrawings/c_Welcome_to_eDrawings_Help.htm