Leica BLK360 G2|価格の目安と知っておきたい特徴まとめ
1. はじめに
現場の状況を正確に把握できるかどうかは、建設やエンジニアリングの生産性を大きく左右します。近年は、3Dレーザースキャナーで素早く高精度のデータを集めるワークフローが広がり、その中でも注目されているのがLeica BLK360 G2です。
BLK360 G2は、建築測量やBIM、文化財の記録・保存など、さまざまなシーンで活躍するコンパクトな3Dスキャナー。取り回しがよく、短時間で現況を立体データとして残せるのが特長です。
一方で、多くの方が最初に気になるのは「価格はどれくらいか」「投資に見合う効果があるか」という点でしょう。検討時には本体代だけでなく、処理ソフトのライセンス、保守・校正などのランニングコスト、そしてリースやレンタルといった導入形態まで含めて考えることが大切です。
本記事では、BLK360 G2の価格の目安と主な特徴、そして購入前に確認したいポイントを、できるだけわかりやすい言葉で整理します。これから3Dスキャンを導入して、BIM/CADやデジタルツインの取り組みを強化したい方の判断材料になれば幸いです。
2. Leica BLK360 G2とは?

引用:https://leica-geosystems.com/ja-jp/products/laser-scanners/scanners/leica-blk360
Leica BLK360 G2は、長年高い評価を受けてきたBLK360シリーズの最新モデルです。3Dレーザースキャナーの一種で、周囲の環境を正確に計測し、立体データとしてデジタル化することができる測量機器として広く知られています。
この機種は持ち運びやすさと高速スキャン性能に加え、さまざまなソフトウェアと連携できる柔軟性が大きな特長です。建築測量やBIM(Building Information Modeling)はもちろん、文化財の保存・記録といった分野でも活用されており、クラウドを通じてデータを共有できる仕組みにより、チーム全体の作業効率を高める役割も期待されています。
以下では、BLK360 G2の基本情報や用途を整理し、さらに先代モデルからどのように進化したのかを見ていきましょう。3Dスキャナー業界は急速に技術革新が進んでおり、このモデルもその流れの中で「より高精度に、より高速に」という課題に応える形で開発されました。ここからは、その背景や技術的なポイントを順を追って紹介します。
2.1. 製品の基本情報と用途
BLK360 G2は、カメラとレーザースキャナーを一体化したコンパクト機器です。1回の計測で膨大な3Dポイント(点群データ)を収集し、それをCADやBIMソフトウェアと連携させることで、設計や施工管理の効率化に役立ちます。
建築分野では、既存建物の図面化やリノベーション計画のための基礎データ収集に利用されることが多く、文化財保存の現場では貴重な建築物や美術品をデジタルアーカイブとして残す取り組みに貢献しています。
さらに、BLK360 G2は軽量かつコンパクトなため、狭い空間や足場の限られた場所でも取り回しやすいのが魅力です。高速スキャンにより、短工期の現場でも作業時間を削減しながら高精度なデジタルツインを構築することができます。
例えば建設業界では、施工前後の状態を比較する「出来形管理」にも活用可能です。精度の高いデータを短時間で取得できるため、検証作業を効率的に進められます。
2.2. 技術的背景と進化
BLK360 G2が注目される理由のひとつは、前世代モデルであるBLK360 G1と比べてスキャン速度が大幅に向上した点です。さらに、4台の13MPカメラと5ブラケットHDRを搭載し、取得される球面画像やカラー点群の品質が格段に向上しました。その結果、短時間でより鮮明なデータを得られるようになっています。
こうした進化は、レーザースキャナーと高画質カメラを高度に統合する技術の進歩によるものです。センサーの改良や制御ソフトの最適化によって、計測精度と操作性の両面で前モデルを上回る完成度を実現しています。
また、BLK360 G2はクラウドとの連携も強化されており、スキャン後のデータをすぐにタブレットやPCに転送できるため、現場とオフィスの作業をシームレスにつなげます。BIM技術者にとっては、取得データを即時に活用・管理できることが大きなメリットです。
さらに、VIS(Visual Inertial System)による自動位置合わせや、Wi-Fi/USB-Cによる高速データ転送といった機能も進化しています。これにより、ユーザーが頻繁にキャリブレーションを行わなくても、正確な計測データを効率よく確保できるのです。
3. 価格の目安と含まれる内容
Leica BLK360 G2を導入するにあたっては、本体価格だけを見て判断するのではなく、ソフトウェアライセンスやサポート契約、メンテナンス費用などを含めた総合的なコストを把握しておく必要があります。3Dレーザースキャナーは高精度が求められる機器のため価格帯は決して安くはありませんが、その分だけ大きな投資効果を期待できるのも事実です。
レーザースキャナーの中でも、BLK360シリーズはコンパクトさと操作性の高さを兼ね備えながら高精度スキャンを実現していることから、同クラスの機種と比べても競争力があると言われています。ここでは、本体価格と標準セットの内容、導入後に必要となる追加費用、さらにリースやレンタルといった柔軟な調達方法について解説します。実際の運用を想定したときに見落としやすい点も取り上げますので、導入判断の参考にしてください。
プロジェクトの規模や利用頻度に応じて調達方法を工夫することが、長期的に見た費用対効果を高めるカギになります。
3.1. 本体価格と標準セット内容
Leica BLK360 G2の国内価格はオープン価格で設定されており、代理店の見積もりや為替レートによって変動します。参考例として、中古市場では約310万円(2025年10月現在)で取引された事例もありますが、新品で導入する場合は本体に加え、ソフトウェアや保守契約を含めた総額での検討が必要です。
標準セットには、本体・専用バッテリー(複数個)・充電器・キャリングケース・USB-Cケーブルなどが含まれます。基本的な操作には無償のBLK Liveアプリが使えますが、本格的にデータ処理を行うにはCyclone REGISTER 360(BLK Edition)などのソフトウェアライセンスを別途契約するのが一般的です。そのため、購入時にはパッケージ内容を必ず確認しておく必要があります。
前モデル(BLK360 G1)と比べると、搭載技術の進化に伴い価格は上がっていますが、その分作業効率やデータ品質の向上により十分なリターンが見込めるケースが多く報告されています。特に、現場作業を途切れなく進めるためには、複数の着脱式バッテリーが付属するかどうかを確認し、必要に応じて追加購入しておくことが推奨されます。
3.2. 追加費用とランニングコスト
BLK360 G2の導入後には、計測データの処理や活用に必要なソフトウェア費用が発生します。たとえば、LeicaのCycloneシリーズやAutodesk製品との連携には、ライセンス契約や月額のサブスクリプション料金が必要です。
さらに、高精度機器であるがゆえに定期的なメンテナンスや校正(キャリブレーション)が欠かせません。メーカーによる点検やオーバーホールを依頼する費用も見積もりに含めておくべきでしょう。加えて、レンズやセンサーはデリケートな部品のため、現場環境によってはクリーニングや保護用アクセサリの費用も発生する可能性があります。
また、長期間の稼働を見据えると、故障時に備えたサポートプランや保険の有無が安心材料となります。こうしたランニングコストを含めて総合的に試算することで、初期の見積もりが適切かどうかを判断でき、投資の失敗を防ぐことにつながります。
3.3. レンタルとリースの選択肢
BLK360 G2は高額な機材のため、購入をためらうケースも少なくありません。その場合は、まずレンタルを利用して効果を検証してから購入判断を下す方法が有効です。レンタルは1日単位から数週間単位まで柔軟に対応できる業者があり、短期プロジェクトや試験導入に適しています。
一方、リース契約を選べば、初期費用を抑えつつ月額払いで導入することができます。リース内容によっては契約期間中にアップグレードや追加サポートを利用できる場合もあり、長期的に運用する企業にとっては魅力的な選択肢です。
ただし、レンタルを長期にわたって利用すると最終的に購入より割高になる可能性があります。自社のプロジェクト規模や将来的な利用頻度を考慮し、最適な調達方法を選ぶことが重要です。特に文化財保存など、公的機関と協働する期間限定のプロジェクトでは、レンタルを積極的に活用するケースも少なくありません。
4. 主な特徴とスペック
BLK360 G2は、他のレーザースキャナーと比較しても優れた機能を多く備えています。高精度な計測能力と高速スキャンを両立しつつ、持ち運びやすさや扱いやすさにもこだわって設計されているため、プロフェッショナルの現場をしっかり支える存在です。
この章では特に注目すべき「スキャン性能と精度」「デザインと携帯性」「イメージング機能とデータ処理」の3つの視点から解説します。BLK360 G2が生み出す点群データは、後からCADやBIMソフトに取り込んで活用しやすく、デジタルツイン構築にも直結します。また、スキャン結果にカラー画像を重ね合わせることで、可視化の完成度を大きく高められるのも魅力です。
それでは具体的な機能を見ていきましょう。いずれも「作業効率の向上」と「品質確保」の両立を意識して設計されています。
4.1. スキャン性能と精度
BLK360 G2は最大680,000点/秒で点群を取得でき、条件設定によってはわずか20秒で360°スキャンと球面画像の取得が可能です。これにより、限られた時間の中で複数回の計測を行う余裕が生まれ、現場での柔軟な対応を支えます。
計測精度は数ミリメートル単位の誤差に収まるため、建築測量や施工管理の現場で求められる厳密さに十分対応可能です。膨大な点を短時間で記録できるため、隙間のない3Dデータが生成され、後工程の設計や検証にそのまま活用できます。
計測レンジは0.5〜45mと屋内外の幅広い現場に対応します。ただし屋外では対象物の反射率や日射条件の影響を受けるため、環境に合わせた精度検証が推奨されます。特にBIMプロジェクトなど高精度モデルが前提となる業務では、こうした条件を踏まえた運用が重要です。
4.2. デザインと携帯性
BLK360 G2は、直径約80mm×高さ約155mm、質量約0.75〜0.85kgという非常にコンパクトで軽量な設計です。片手で持ち運べるサイズのため、狭い空間や足場の悪い場所でも簡単に設置できます。
本体はIP54相当の防塵・防滴性能を備えており、多少の雨やほこりがある環境でも安心して使用可能です。粉じんが舞う建設現場や屋外での作業でも安定して稼働する設計となっています。
携帯性の高さは、作業時間や人員の削減に直結します。例えば建設中の建物や文化財の細部など、これまでアクセスが難しかった箇所も容易にスキャンでき、取りこぼし防止につながります。未使用時は付属ケースに収納してそのまま車に積めるため、移動や保管もスムーズです。
4.3. イメージング機能とデータ処理
BLK360 G2には4台の13MPカメラが搭載され、5ブラケットHDR撮影に対応しています。これにより、取得した点群データに高精細なカラー情報を重ね合わせることができ、3Dモデルのリアリティが格段に向上します。
生成されたカラー付き点群は、まるで写真のような質感を持つ3D空間として活用できます。文化財保存の現場では、細かな装飾や素材の質感まで再現可能で、デジタルアーカイブや修復計画の基盤として大きな価値を発揮します。
また、スキャンしたデータはWi-Fi経由でタブレットへリアルタイム転送できるため、その場で結果を確認し、不足箇所があれば即座に再計測できます。大規模プロジェクトで増加するデータも、Cyclone REGISTER 360(BLK Edition)などの専用ソフトと連携することでスムーズに編集・モデル化可能です。現場とオフィスのワークフローが密接につながる点は、BLK360 G2ならではの強みといえるでしょう。
5. 導入メリットと活用シーン

引用:https://leica-geosystems.com/ja-jp/products/laser-scanners/scanners/leica-blk360
BLK360 G2を導入することで、建築やエンジニアリングの現場作業は飛躍的にスピードアップします。それだけでなく、文化財のデジタルアーカイブや学術的な保存活動にも大きく貢献できるのが特長です。BIM/CADとの親和性が高く、デジタルツインの基盤を整える機器としても高い評価を得ています。
ここでは、BLK360 G2がどのような場面で活用され、導入によってどんな効果が得られるのかを紹介します。高速かつ高精度なスキャンによる効率化は、単なる「作業の時短」や「人手不足の補完」にとどまらず、業務全体の質を底上げする力を持っています。
原寸大に近いデータをリアルタイムで取得できるメリットは、これまで図面と現場の間にあったギャップを大幅に減らす点にあります。以下では、特に代表的な2つの活用シーンを取り上げ、BLK360 G2の強みを具体的に見ていきましょう。
5.1. 建築とエンジニアリングでの利用
建築現場では、工事開始前の既存構造の把握、中間段階での進捗管理、施工後の品質検査など、あらゆる場面でBLK360 G2が活躍します。短時間で正確な点群データを取得できるため、図面更新や現況モデル化がスムーズに行え、関係者間で共有する資料の信頼性も向上します。
エンジニアリング分野においては、プラント設備のレイアウト検討、パイプライン設計、既存設備の改修時における干渉チェックなどに有効です。特に石油化学プラントや機械室のように複雑な配管が入り組む環境では、短時間で正確な3Dデータを取得できるBLK360 G2が、計画立案や設計変更を大幅に効率化します。
さらに、取得したデータをBIM/CADソフトに取り込み、構造解析や数量算出、予算管理に活用すれば、再作業やミスを未然に防止できます。結果として工数やコストの削減につながり、プロジェクト全体の生産性向上に直結します。
建築測量やプラント設計の現場でBLK360 G2が信頼を得ている理由は、このように「高精度」と「高速処理」という二つの特長を両立させている点にあります。
5.2. 文化財保存とデジタルアーカイブ
文化財保存の分野でも、BLK360 G2は欠かせないツールとなりつつあります。建物や仏像、絵画といった有形文化財を、次世代に正確な形で残すために3Dスキャンによるデジタル記録が注目されているのです。
BLK360 G2は、高精度スキャンと繊細なイメージング機能を備えているため、装飾の細部や劣化状況まで忠実に捉えることが可能です。寺社仏閣の建築測量や彫刻の記録では、目視や写真では見落としがちな情報を余すことなく保存できます。しかも軽量かつ小型設計のため、保管庫や屋根裏といった狭い空間でも活用しやすいのが大きな利点です。
取得した点群データは、後に3Dモデルとして再構築でき、修復や復元シミュレーションの基盤として利用できます。さらに、VRやAR技術と組み合わせることで、博物館のデジタル展示や観光振興にも応用可能です。
また、定期的な計測によって劣化の進行比較や災害後の被害把握にも役立つため、文化財の長期的な保存と管理に大きな力を発揮します。BLK360 G2の高精度データは、文化財の未来を守るための強力な手段といえるでしょう。
6. 購入前に確認すべき注意点

BLK360 G2をはじめとする3Dレーザースキャナーの導入には、相応のコストがかかります。高額な投資であるからこそ、メリットとコストのバランスを冷静に見極めることが大切です。購入前には、以下の点をしっかりとチェックしておきましょう。
まず最初に確認すべきは、自社で利用しているBIM/CADソフトウェアとの互換性です。BLK360 G2から出力される点群データの形式や、専用ソフトとの連携方法をあらかじめ把握しておかないと、導入後に「データが思うように扱えない」といった問題が発生する可能性があります。運用開始前に試験的な連携検証を行っておくのが安心です。
次に重要なのが、計測範囲と精度の要件がプロジェクトに合致しているかどうかの確認です。BLK360 G2が対応できる射程距離や解像度が自社の業務ニーズに合っているかを見極めることで、不要に高スペックな機器を選んでしまったり、逆に必要な精度を満たせず不便を感じたりするリスクを避けられます。
さらに、メーカー保証やメンテナンス契約の内容も導入前にしっかり把握しておきましょう。BLK360 G2用のメンテナンスプランには、定期校正や故障時のサポートが含まれるケースもあります。比較検討して、万一のトラブル時に迅速な対応が受けられるプランを選ぶことが、長期運用の安心につながります。
最後に忘れてはいけないのが、導入後の社内教育体制です。3Dスキャン技術は初心者にはやや複雑に見えるかもしれませんが、習熟すれば業務効率を大きく改善できます。メーカーや代理店が提供するトレーニング、オンラインのウェビナーやマニュアルを積極的に活用し、チーム全体がスムーズに扱える環境を整えることが成功のカギとなるでしょう。
7. まとめ
Leica BLK360 G2は、スピードと精度を兼ね備えた3Dレーザースキャナーとして、建設・エンジニアリング・文化財保存など幅広い分野で活躍しています。シンプルな操作性と携帯性の高さにより、短期プロジェクトでも大きな効果を発揮し、BIM/CADソフトと組み合わせることで効率的なデジタルツイン構築を可能にします。
導入方法も多様で、新品購入に加え、リースやレンタルといった柔軟な選択肢が用意されています。初期費用を抑えて試したい場合や、実運用を経てから判断したい場合には特に有効です。ただし、価格だけに注目するのではなく、ランニングコスト・サポート体制・メンテナンス費用まで含めた総合的な視点で検討することが重要です。
実際に導入すれば、建築測量では作業時間や工数の削減につながり、正確な3Dデータを即座に共有できるようになります。文化財保存の分野でも、微細なデータを正確に残すことで後世への継承や修復活動に大きく貢献できるでしょう。こうした背景から、高精度スキャンの需要は今後さらに高まると考えられます。
一見すると高額な投資に思えるかもしれませんが、長期的に見ればプロジェクトの効率化や品質向上に大きなリターンをもたらす可能性があります。購入前には注意点をしっかり確認し、自社のニーズに合った最適な導入方法を検討してください。
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<参考文献>
Leica BLK360 G2 イメージングレーザースキャナー | Leica Geosystems
https://leica-geosystems.com/ja-jp/products/laser-scanners/scanners/leica-blk360
日本カスタマーサポート | Leica Geosystems
https://leica-geosystems.com/ja-jp/services-and-support/customer-support-services






