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AppleがMicroLEDを自社開発へ

ジョブスのAppleからティム・クックのAppleへの大きな変化

 

AppleがiPhoneなどに搭載する予定のマイクロLEDを自社開発するとブルームバーグが報じました。匿名の関係者からの情報として流れた記事ですが、その内容については信憑性が高く、これまでのAppleの方針を大きく転換し垂直統合型のメーカーへと進化しようとしているようです。

 

 

次世代のディスプレイとして有望なマイクロLEDとは

 

液晶から有機ELへと進化してきたディスプレイですが、次世代の技術としてマイクロLEDは非常に有望とされています。大きさ0.1mm程度の微細なLEDを敷き詰め、それらが発光することで映像を映し出すのがマイクロLEDの仕組みです。

液晶ディスプレイと比べて圧倒的に高いコントラストであり、有機ELと比べても100倍の高精細を実現することができるとされています。視野角もほぼ180度であり、自発光式のため黒の表現力も圧倒的です。高輝度のため室外での利用にも向いており、省電力での動作、長寿命と、未来のディスプレイとしての利点を全て持っていると言ってもいいぐらいです。

現時点でのネックは製造コストですが、数年以内に量産化・商品化が実現しコスト面でも有機ELレベルには落ち着くものと見られています。Appleとしては、最初はiWatchへの投入が予想されていますが、いずれは主力商品であるiPhoneへの採用を想定しての開発でしょう。このように開発に成功しさえすればライバルに対する圧倒的なアドバンテージを得られる可能性のあるマイクロLEDですが、これまでのAppleはこのようなコアな開発については避ける傾向にありました。これについて、Appleにどのような変化があったのでしょう。

 

 

デザインに特化し収益性を高めた戦略

 

1990年代、かつてのAppleは製造ラインを有したコンピューターメーカーでした。WindowsとAT互換機全盛時代が到来し、シェアを落とし続け倒産寸前となった1997年にジョブズが復帰し、最初に行った改革の一つが「デザインに特化する」ことでした。パテント・デザインと言う最も収益性の高い部分を自社が握り、製造については外注するという戦略です。

国内ではキーエンスなどのメーカーがこうしたビジネスモデルで成功していますが、当時としては思い切った改革であったと言えるでしょう。事実、設計から製造まで一貫して自社開発している「垂直統合型」モデルである日本の家電メーカーなどの失速を見ると、ジョブズの先見性がいかに時代を先取りしていたかがわかります。

iPhoneの部品は世界中のサプライメーカーから調達しています。Appleが公表している資料には台湾、アメリカ、日本、中国、韓国、ドイツなど269社が掲載されており、同じ部品についても複数のサプライヤーと契約することによりリスクを分散しています。中でもSamsungとは、スマートフォンのシェアを世界中で競いながら、部品の調達についてはしっかりと手を握るという微妙なバランスの関係を保っています。

 

 

他社の動向に左右されないサプライチェーンの確保

 

液晶と違いiPhoneXに搭載された有機ELは、製造が難しく調達できる企業が限られています。コアとなる特許にしろ、製造にノウハウにしろ、製品の品質を大きく左右するこのような部品について、いよいよAppleは自社で開発し保有する方向に舵を切ることにしたようです。iPhoneに搭載された新型チップA11 BionicはすでにAppleが開発をおこなっており、機械学習(AI)やAR、3Dゲームに最適された上にエネルギー効率も70%向上を実現しています。2020年にはMacに搭載されるCPUについても自社開発されるというニュースが出ており、チップについてはインテルとの決別へと進みつつあります。

Apple社の現EOであるティム・クックは、もともとこうした調達関連の責任者としてAppleの飛躍の原動力となった人物です。以前のAppleでは市場予想を誤り、大量の在庫を抱えたり、売れ線の製品の欠品が続くといった失敗を繰り返していました。ティム・クックが調達関連を担当してからは「顧客が求めるiPhoneを全て販売した後には在庫は1台も残らない」と言われるほどの手腕を発揮してきました。

 

 

まとめ

 

ティム・クックにとってみれば、CPUやモニタなどの主要部品についても自社で完全にコントロールできる体制を整える段階に来たということなのでしょう。現在のAppleは潤沢な現金性資産を保有し、おそらく世界で一番「やりたいことができる」企業です。ハードとソフトの両方をデザインしていることによる製品の完成度の高さに加えて、コアとなる部品についても自社で技術を保有することで、これまで以上の優位性を確保することができるようになるでしょう。いずれにしろこのような方針変更は、いよいよティム・クックによる舵取りが本格化してきたという現れなのではないでしょうか。

 

 

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