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AppleやGoogleが取り組む「VPS(ビジュアル ポジショニング システム)」が熱い!

2022年前半のGAFA関連の話題といえば、「メタバース」がトップクラスの注目を集めていました。まるで映画「マトリックス」が現実になったような、仮想現実をベースにした世界です。

 一方、最近になっていくつかの有名企業が相次いで、「VPS」の実用化につながるサービスを提供することを発表しました。これは、NHKアニメ「電脳コイル」のようなAR技術方面の話題です。

 今回の記事では、この「VPS」について詳しく見ていきましょう。

この記事でわかること

 ・VPS(ビジュアル ポジションニング システム)について

 ・Google、AppleのVPS関連技術の発表について

 ・VPSの利用例や今後の実現について

VPS(ビジュアル ポジションニング システム)とは何か

 VPSは、「Vicual Positioning System=画像情報を利用した位置特定システム」の略称です。

 似たようなものには、GPS「Gloval Positioning System=全地球測位システム」があります。このシステムは、GPS衛星との通信を利用して位置情報を取得しています。

 元々軍事目的で開発されていたシステムを民間に開放することによって、カーナビなどに利用されるようになりました。

 スマホの場合、GPSにWiFiでの通信情報などを組み合わせて、精度を向上させています。しかしそれでも数メートルオーダー程度の精度が限界です。

 一方のVPSは、スマホやARグラスのカメラを通じて、建物などから特徴的なポイント情報を取得します。さらに取得した情報をサーバー上に蓄積されたデータと照合し、位置情報を特定するという手法が取られています。

 理論的には、数cmオーダーまでの精度で現在位置を特定することができるため、GPSに比べてはるかに正確なポジショニングシステムが構築できます。さらに重要な点としては「位置情報」だけでなく、利用者がどこを見ているかという「方向」に関する情報も、高い精度で特定できるということです。

 GPSは、デバイスに搭載されている電子コンパスを使って、東西南北のどちらを見ているかを特定します。しかしこの方法では、平面的・2次元的な情報しかわかりません。

 VPSの場合、ジャイロセンサーから得られる情報や画像情報を組み合わせることによって、上下方向の情報も特定することが可能です。

 ユーザーが今、上の方を見ているのか、目の前にある建造物の何階ぐらいを見ているのかなどを正確に特定することできます。3次元空間内でのユーザーの視線方向を特定することによって、ピンポイントで必要な情報を表示できるため、ARサービスの圧倒的な質の向上につながります。*注1

Google、Appleが相次いでVPS関連技術を発表

 このVPSについては、GoogleやApple、ポケモンGOで有名となったNianticが、2020年5月から6月にかけて相次いで関連技術を発表したことで、にわかに注目を集めました。

2022年5月 Google I/Oで「ARCore Geospatial API」を発表

 現実世界にCGを重ねて表示する「AR技術」の一部として発表されました。元々Googleマップですでに使われていた技術であり、これを公開することで一般ユーザーもARアプリを作成することができるようになります。

2022年6月6日 Apple WWDC 2020でARKit6の機能として「ロケーションアンカー」を発表

 こちらもGoogleの「ARCore Geospatial API」と同じVPS技術です。Appleも自社の地図サービス「マップ」を提供しており、その中で利用できる技術となります。

 これまでは、全米とイギリスのロンドンでのみ提供されていましたが、今回のアップグレードにおいて、世界の多くの都市でも利用できるようサービスが拡大されました。

 日本では、東京・大阪・京都・名古屋・福岡・横浜で展開されることが発表されています。

 VPSを実現するには、スマホやARグラスなどのデバイスに搭載されたカメラやジャイセンサーなどに加えて、その情報を参照するための膨大なデータベースが必要です。

 Googleのストリートビューのような画像情報がないと、せっかく情報を取得しても特定することができません。

 AppleのマップもGoogle Mapに対抗し、膨大な情報の収集に力を入れているということでしょう。*注2

 Googleのストリートビューは、Google自身が各地の画像データを取得することで作成されています。カメラやパソコンを搭載したグーグルビュー撮影車、通称「グーグルカー」が有名であり、他にもバイクや徒歩でも機材を使って各地の画像データを収集しています。

 それに対して、ゲームに参加しているユーザーが取得した画像情報を活用して、VPSに必要なデータベースを構築するという、独自のシステム開発に取り組んでいるのがポケモンGOで有名なNianticです。

2022年5月24日 Nianticが開発者会議 Lightship Summitで「Lightship VPS」を発表

 東京・サンフランシスコ・ロンドン・ロサンゼルス・ニューヨーク・シアトルの都市の中で3万ヶ所以上のGPSが使えるスポットとして紹介されました。

 Nianticによると、すでに全世界で1,000万ヶ所以上ものスポットデータを取得しており、順次サービスに反映される予定です。これらのデータは、Nianticが提供するポケモンGOやIngressなどのゲームに参加しているユーザーが取得した画像データを活用しています。

 GoogleやAppleが、「都市全域」の情報を利用できる「面」でVPSサービスを展開しているのに比べ、Nianticの場合はそれぞれのスポットを「点」でデータ収集していることが異なる部分となります。

 Nianticはユーザーがゲームに参加しながら、新しいスポット情報を収集したくなるような仕組みを提供することで、データベースを充実させていくことが今後の重要な戦略となっています。

 今回、ほぼ同時期にGoogle・Appleという巨大IT企業や、ポケモンGOという世界で一番成功したARサービスを展開するNianticが、VPSについて新たな取り組みを発表したというのは偶然ではないでしょう。

 いよいよNHKアニメ「電脳コイル」の世界が、現実になりつつあるのでしょうか。

VPSの利用例や今後実現すること

 では最後に、VPS技術によって私たちはどんな新しい体験をすることができるのか、いくつかの例を見ていきましょう。

道案内などの情報を3D表示

 これはGoogleマップやAppleのMapで、すでに実現しているサービスです。目的地を設定し、徒歩で進んでいくと交差点などにきた時、進行方向がスマホを通じて現実の風景の中に3Dで表示されます。

 Googleでは「ライブビュー」、Appleでは「AR Walking」と呼ばれています。

 他にも重要建築物や歴史上の有名スポット、観光情報などをそれぞれの地点で表示してくれるサービスなどが考えられます。

 また、VPSはGPSと違い衛星電波の届かない建物内でも利用することができるため、美術館内でのガイダンス表示や、地下空間での案内表示にも利用が可能です。

ARサイネージ

 多くの企業が最も注目しているのは、ひょっとしたらこの「ARサイネージサービス」かも知れません。ARデバイスを通じて見た景色の中に、企業CMが表示される機能です。

 映画「Back to the Future」でジョーズが3Dグラフィックで表示されたり、「ブレードランナー」に出てくるような巨大3DCGサイネージなどです。

 映画の例は、いずれも3Dグラフィックを実際の空間に表示してあり、肉眼で視認できるようになっています。VPSの場合は、なんからのARデバイスを通じて認識することになるという違いはありますが、イメージとしては一番近いのではないでしょうか。

 近未来SFに描かれる世界が、いよいよ現実のものになりつつあるのが実感できます。

フロントナビゲーションシステム

 漫画「宇宙兄弟」の中で、主人公のムッタが自動車メーカー勤務時代に提案していたシステムが、この「フロントナビゲーションシステム」です。

 空飛ぶ車を実際に運用すると仮定した時に、空中に標識や車線を設置する訳にはいきません。ではどうしたら安全に複数の空飛ぶ車が走行できるのか?を解決するために考え出されたアイディアです。

 フロントガラスに3DCGで必要な標識や進行方向に関するデータを表示することで、お互いに衝突することなく安全に走行することができるようになります。

 漫画の中では、これを月面で走行するバギーに利用しています。私たちの世界では、VPSを活用した自動車のナビゲーションシステムの実用化が期待できます。

渋谷エンタメテック推進プロジェクト

 KDDIと株式会社デジタルガレージが、AR技術とVPS技術を活用した実証実験として取り組んだプロジェクトが「渋谷エンタメテック推進プロジェクト」です。

 「現実の渋谷」に「デジタルで構築された渋谷」を重ねることで、新たなサービスを創出していくというプロジェクトです。

 専用アプリを使い、渋谷の街にかざすと3DCGで構成された「ヴァーチャルな渋谷」が表示されます。そこには、空を飛ぶクジラやデジタル化されたハチ公、デジタル広告などが現実の世界の中に重ねて表示されます。

 さらに見上げると、その日の温度や天気などの情報が空間内に現れます。そのすぐ近くを、ビルの間を縫ってクジラや魚が泳ぎ、各店舗の前には食べログの情報などが表示されています。

 目的地を設定すれば、そこまでの道案内が矢印で現れたりと、ARとVPSを組み合わせたさまざまなサービスをリアルタイムで体験することができます。

 エンタメ・プロモーション・店舗情報・道案内など、複数のサービスが現実空間の中で共存し自然な形で視認できるのは、まさしく近未来SFの世界を感じさせてくれます。

 ARグラスが使いやすい形で実用化されれば、本格的に「電脳コイル」の世界が現実になりそうです。

【まとめ】

 残念ながら「攻殻機動隊」に登場するような電脳化ができない私たちは、何らかのARデバイスを通じてでしかAR世界を体験することはできません。

 しかし、映画や漫画の中でしか存在しなかった「未来のサービス」の実現が、いよいよ現実味を帯びてきたような話題を今回はご紹介しました。

 現実とバーチャルが融合し新たな世界が幕を開ける瞬間に、私たちは立ち会っているのかも知れません。

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■参考文献
注1
Impress Watch 「Google・Niantic・Appleが相次いで仕掛ける「VPS」とはなにか」
https://www.watch.impress.co.jp/docs/series/nishida/1412862.html
ブルーバックス 「地形情報を「宝の山」に変える「VPS」とはどんな技術か?」
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/95820?page=6
注2
Web AR Lab 「WWDC22で発表されたARkit6、アップデート内容まとめ!」
https://webar-lab.palanar.com/news/wwdc22-arkit6/#LocationAnchors
ケータイWatch 「iPhoneの「マップ」アプリがパワーアップ、サイクリングルートやAR Walkingなど」
https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/1412370.html

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