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1級建築士が語る!大学におけるBIM教育の現状とは

近年BIMが急速に普及し、それに伴って、設計に必要とされるスキルも徐々に変わってきています。手書きで設計していた時代からCADを使った設計が主流となり、今はBIMを使った設計への過渡期にあります。当然大学の教育も変わって行くべきですが、実情はどうなっているのでしょうか。
今回は設計実務を行う一級建築士が、大学のBIM教育の現状について紹介していきたいと思います。

 

大学のBIM教育の現状

 

単刀直入に言うと、大学のBIM教育は遅れています。理由は複数考えられますが、まずは教える人が居ないことが挙げられます。日本は、BIMの導入が他の国に比べて遅れている現状があるので、BIMを使える技術者がまだまだ少ないのです。

大企業を中心にBIMの導入が進んでいるものの、小さな事務所では依然として2次元CADを使っているのが現状です。大学の講師の多くは、個人で小規模な事務所を経営しながら講師を兼任しているため、BIMを実務で使っていない場合が多いのです。

BIMの教育が遅れることで、新卒の社会人がBIMになじめずに戸惑っている現状があります。慣れてしまえば簡単な操作ですが、新社会人にはなかなかハードルが高いかもしれません。会社側のBIMの研修制度もまだまだ確立されていない段階なので、大学のBIM教育と併せて今後の課題と言えるでしょう。

 

大学の授業でどこまでBIMを教えるべきか

 

大学でBIMを教える必要性はあるものの、手書きやCADを使った授業も並行して必要だと言えます。手書きでの図面作成を覚えることは、建築の知識を得る上で欠かせないステップだからです。

BIMを使った設計は、コンピューター上に建物のモデルを作成し、その副産物として平面図や立面図をはじめとした図面を自動的に生成します。実務的には非常に便利なBIMですが、あまりにも便利すぎて学生の勉強にならないのです。図面を自分で書いた経験が無いと、BIMで生成された図面が正しいのかどうか検証ができません。いくらBIMが進化したとしても、最終的には人間がチエックしないと図面は使い物にはなりません。 ですから、図面を書く練習というのは無くなるものではないのです。

手書きで図面を書く必要性は、設計の手法が「手書きからCAD」に移り変わった時も議論の対象になりました。実務でいきなりCADを使った設計を行った世代は、細かい建物の納まりを理解していないと言われています。CADを使えば、コピーとペーストを用いれば図面が書けてしまいますし、それで問題が起こることもまずありません。しかし、本質的な部分を理解していないため、応用が効かないと言われています。ですから、実務の中心がBIMに移り変わっても手書きの練習は必須と言えるでしょう。

 

大学のBIM教育の展望

 

将来的には大学のBIM教育も充実するでしょう。徐々にBIMの普及率が高まることで、教えることができる人が増えるためです。また、実務的にBIMを使用する会社が多くなってくると学生側からのBIM教育の要望も増えるはずです。

ただし、BIMはあまりにも実務的すぎるので、学生がBIMに慣れすぎるのも少し問題かもしれません。BIMはあくまで実務に向くように開発されているので、学生の考える「建築」に必ずしもフィットするとは言えないからです。「建築」にはアートの側面や、思想の側面があるので、BIMで表現できないような「建築」は必ずあります。大学は職業訓練所ではないので、そういった自由な発想を妨げるようなことがあってはいけません。BIMはあくまで、設計を支える1つの手段と捉えるべきです。

 

BIMが普及すると共に、大学のBIM教育が注目されています。現状ではまだまだ充実しているとは言えませんが、今後徐々に整備されていくことでしょう。BIMを使うことで今まで以上に魅力的で自由な発想を持った「建築」が生まれることを願うばかりです。

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