Appleが高単価のみのiPhone XS、XS Max、XRしかリリースしかなかったことはとても重要な意味がある
今年も予定通り新iPhoneがリリースされました。
2007年6月に初代iPhoneがリリースされて以来Appleは毎年9月に新型iPhoneを発表してきました。
すでにAppleはスマートフォン販売台数においてトップシェアを誇るメーカーではないとは言え、10年もの長きの間全く同じブランドを進化させ、毎年確実にリリースするのことはもの凄い大変なことです。
その間に衰退していったブランドも数知れず。日本の家電メーカーはここ10年グローバル市場では全く存在感をなくしました。
日本のメーカーだけではありません。フィンランドのノキア、カナダのブラックベリー、スウェーデンのエリクソンなど、10年前なら世界有数のブランドだった携帯電話メーカーは燦々たる状況です。
今世界市場で成功していると言えるスマホメーカーは、Apple以外では韓国サムスン、中国シャオミ、オッポ、台湾ホンハイなどアジアのメーカーです。
(出典:IDC https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prUS44188018)
さてそんな中、欧米メーカーとして唯一孤軍奮闘のAppleですが今年の新iPhoneのリリースでは重要な決断をしました。
それは全てのモデルにおいてFace IDを採用したことです。
iPhone 8以前の「旧来のiPhone」とiPhone X以降の新型「iPhone」には、はっきりとした明確な物理的な違いがあります。
それはホームボタンの有無です。
ホームボタンは初代iPhone以降ずっと搭載された来たいわば「当たり前」に必要だった機能です。
なにせフロントパネル上の唯一のボタンですから重要でないわけがないのです。
しかし昨年発表されたiPhone Xはそのホームボタンを「完全」にはなくしました。
Appleの創業者であり全CEOジョブズは生前
「洗練を突き詰めるとシンプルになる」と語っていた通り、
Apple製品の進化の歴史はユーザーインターフェイス(UI)洗練の歴史でもあります。
MacはGUI(グラフィカルインターフェイス)とマウスを採用することで、パソコンの操作方法に革命をもたらしました。
iPodでは、クリックホイールを搭載することで極めてシンプルな操作方法を実現しました。
MacBookのトラックパッドは10年以上の歳月をかけ、ジェスチャーと呼ばれる様々な操作方法をたった一枚のパッド上で可能にしました。
つまり、Apple製品の進化の歴史とはそのまま操作方法の進化の歴史と言っても過言ではないのです。
今回発表された新iPhoneの3機種iPhone XS、XS Max、XRの全てがFace IDになったことは、iPhone 8以前の「旧来のiPhone」との決別をはっきりと提示しています。
今後Touch IDのiPhoneが新しくリリースされる確率は恐らく極めて低いと思われます。Appleは今まで最高の操作方法以外の製品はいつもバッサリ切り捨てていったからです。
ところでiPhone XS、XS Max、XRの価格ですが、現在のスマホ市場ではほぼ最上位の価格になっています。
「そんな価格だともう買う気がしない。同様のスペックではるかに低価格なスマホはいくらでもある。」
と思った人。
正解です。
でもAppleはそれを意図的にやっています。
すでにスマホが車や家電製品のようにコモディティ化していることを見越して、
Appleはエルメスやベンツのようなプレミアムブランドへ脱皮しようとしているのです。
全ての人を対象にした製品を大量生産するのではなく、常に業界最高品質の製品を生み出し、それを払うだけの対価を持ち合わせている人に絞り、「Apple」というブランドを提供しようとしているのです。
Appleが高単価のみのiPhone XS、XS Max、XRだけしかリリースしかなかったことはとても重要な意味があったのです。
今年の新iPhoneの発表は、今後10年のAppleの進むべき道、その重要な岐路はすでに過ぎさり、すでにプレミアムブランドへと歩み始めたことを明確に示しているのです。
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