Amazonの独自開発したプロセッサはどのくらいの実力?


2018年11月の末に、Amazonはプロセッサを自社開発したと発表し、大いに注目されました。そもそも、AmazonはIntelからカスタムプロセッサの供給を受けていましたが、いつの間にか自前のプロセッサの開発に成功したようです。GoogleやMicrosoftも、相次いで自社プロセッサを開発しており、Amazonも独自にプロセッサを開発するということで、徐々にビジネスの形が変わりつつあるのかもしれません。果たして、Amazonが開発した独自プロセッサは、どんな影響を与えるのでしょうか。

この記事を読むと以下の3つのことがわかります。
① Amazonが独自に開発したプロセッサについて理解できる
② サーバーチップのシェア上の王様Intelの考えていることがわかる
③ Amazonがどうしてプロセッサを独自開発したかったかがわかる

 

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Amazonが独自のプロセッサを初めて発表したのは2016年

 

Amazonが独自プロセッサの開発に着手したとみられる日時は、実はかなり古く、2015年1月に約3億5000万ドルを投じて、Annapurna Labs(アンナプルナ)というイスラエルの半導体企業を買収したところから始まります。このAnnapurna Labsは、2016年から「Alpine」と呼ばれるプロセッサを発表しました。これが、Amazonが作り出した最初のプロセッサといえるでしょう。「Alpine」はARMアーキテクチャで設計されており、小さなIoT製品に安価で組み込むために開発されたプロセッサです。しかし、2018年にAmazonが開発したプロセッサは、これとは根本的に性格や目的が異なっています。

 

2018年にAmazonが開発したプロセッサは2種類

 

Amazonは、Intelからカスタマイズされたチップの提供を受けていますが、実は、クラウドサービスはLinuxベースでの開発が基本であり、プロセッサの能力にあまり左右されません。Amazonは、クラウドサービスの展開にかなりの力を入れており、チップの調達コストと、省電力性能を考えた際に、Intelからのチップよりも、自社開発したほうが利益になると考えたようです。では、2018年に開発されたプロセッサの特徴はどうなのでしょうか。今回発表されたプロセッサは、2種類です。

 

Amazonが開発したプロセッサ① AWS Graviton

 

まず紹介するのは「AWS Graviton」と呼ばれる、AWSサーバ用に開発されたプロセッサです。このプロセッサは、ARMベースで開発されており、コストと省電力性能に優れていると見られています。もともとAmazonはAMDとも専用プロセッサの共同開発を行っていましたが、見通しが悪いと見て、自社開発に切り替えたという流れがあります。ARMであれば、一定の数量さえ確保できれば、コストを下げることが可能です。また、ARMは発熱についても抑えることが出来、データセンターのプロセッサとしては最適な環境を維持できます。ARMは、スマートフォンの90%で採用されているほど省電力性が高いプロセッサであり、ARMをベースとした「AWS Graviton」については、クラウドサービスという前提はありますが、十分にサービス開発やデータセンターとしてのプロセッサとしては性能もよく、調達コストを下げることが出来るでしょう。「AWS Graviton」は安価なプロセッサとして、顧客へ卸すことが可能なのです。

 

Amazonが開発したプロセッサ② AWS Inferentia

 

Amazonが開発した、もう1つのプロセッサである「AWS Inferentia」は「AWS Graviton」以上に独自技術が組み込まれているプロセッサです。「AWS Inferentia」は機械学習のための専門チップといえるでしょう。現在、IT企業だけでなく、先進企業のほぼすべてが機械学習、特にディープラーニングに注目しています。そして、この機械学習を進めていく上で最も重要なのが速度とコストです。しかし、自社が行いたい機能やデータを組み込んだうえで速度を高めようとすれば、必ずカスタム化やオンプレミス化は避けられません。つまり、機械学習という分野で、他の企業と差別化するためには、自社開発のプロセッサが必須だったといえるでしょう。もちろん、機械学習に関する開発については、GoogleのTPUインフラストラクチャが、3年近く先行しているといわれていますが、このジャンルにかけるAmazonの気概が見え隠れするプロセッサといえるのではないでしょうか。

 

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そもそもサーバーチップのシェアはなんとIntelが99%とほぼ独占!

 

Amazonだけでなく、GoogleやAppleも独自開発を進めているプロセッサという分野ですが、こうした企業が独自開発をするまでは、なんとIntelが市場の99%の需要を握っていた分野です。インターネットビジネスに欠かせないデータセンター用のチップや、サービス開発やテスト環境を整えるための大型コンピュータのCPUなど、高性能チップやカスタマイズが必要な部分は、ほぼすべてIntel製の技術や製品が使われていました。顧客の様々な要望に対応するために、Intelは今まで汎用性の高いチップやコンピュータを提供して、大きな利益を上げてきたのです。しかしながら、汎用性が高いということは、専門的で独自色を強く打ち出したい時に十分な性能とならず、時には効率化や速度といった点で妥協が必要なこともありました。こうした、Intel一色のプロセッサ環境を変化させようとする動きが出てきているのが現状です。それが、Google・Apple・Facebook・Amazonという巨大IT企業であり、この4社を合わせて「GAFA」と呼ばれています。この4つの巨大IT企業は、有力な技術を持つ企業を買収したり、有能な人材を募集したりすることで、戦略的に研究開発を進めてきました。結果として、Intelの汎用性の高いチップや製品以上に、自社の研究開発に有用な能力を持ったプロセッサの開発に成功したのです。この状況は、Intelにとっては既視感のあるものかもしれません。Intelはコンピュータの中心がパソコンからスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末へ世界が変革を進めている際に、この変革の波に乗り遅れました。更に、現在ではAIなどの機械学習の分野においても、自身の資本力や開発力を十分に活かしているとは言えない状況にあります。次なる変革の波ともいえる、自社プロセッサ開発の波に対して、Intelはどのように対抗していくのかは、Intelに関係ないような企業でも、研究のする価値のあるテーマといえるでしょう。

 

Amazonの独自プロセッサは、戦略的意図がある?

 

Intelとのプロセッサ戦争について、Amazonとしては、特にIntelと対抗しようというような考え方はかなり薄いかもしれません。純粋に、現在行われているAI技術や機械学習技術の驚くべき変遷や、インターネットサービスのさらなる展開や拡充を目指していく上で、プロセッサのコストと性能を極限まで高める必要があったというだけでしょう。自社が行いたい環境や状況に強いプロセッサを生み出すことで、自社のサービスは他社と比べてさらに強いサービスとなることは間違いありません。特に機械学習という分野において、圧倒的に重要になるのは情報の量と質です。この情報の量と質をどのように高めていくのかは、まさに今後のIT企業の至上命題となっていくでしょう。この点については、検索エンジンから良質な情報を厳選できるGoogleが非常に大きな力を持っているのは間違いありません。Google以外の「GAFA」、あるいはその他の大手IT企業にとって、大きな可能性を秘めているのはIoT技術です。このIoT技術に適合しているARMを利用したプロセッサを開発することは、Amazonの中で戦略を練る人でなくとも、必然的に生まれる解であったかもしれません。そのくらい、プロセッサの自社開発は、Amazonにとって当たり前の事だったのです。

 

まとめ

 

インターネットサービスを展開しているすべての企業にとって、Intel以外のチップやプロセッサを利用できるという選択肢が増えることは、ビジネスの展開に大きな転換のきっかけとなるかもしれません。インターネットサービスは、よりリッチでかつ安価に提供できなければ、すぐに魅力がなくなってしまいます。サービスの魅力を高めるためにもAmazonのプロセッサに注目してみてください。

 

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