DWG互換CADの注目株、BricsCADを導入すべき?AutoCADと徹底比較
現在、建築・製造分野におけるコスト最適化の一環として「既存のCADソフトウェアの置き換え」を検討する企業が増えています。そして新しく導入するCADの選択では、建築・製造分野ではもはや常識となっているAutoCADの基本ファイル形式DWGを扱えるかどうかがネックとなります。
この記事では
・ BricsCADとはどんなソフトウェアか
・AutoCADと比較してBricsCADにはどんなメリットがあるか
・BricsCADの導入を検討する際の注意点
についてご説明します。
BricsCADとは?
DWG互換CADを新規導入したい企業の多くが注目しているBricsCADは、ベルギーのBricsys社がIntelliCADを土台として独自に開発したDWG互換性を持つCADソフトウェアで、日本国内では図研アルファテック株式会社が正規代理店として販売とサポートを請け負っています。
BricsCADには
・ 2Dのみ作図・編集可能な「BricsCAD Classics」
・ ダイレクトモデリングやレンダリング等の機能を搭載した3DCAD「BricsCAD Pro」
・Proの機能に3D幾何拘束作成・アセンブリモデリング等の機能を追加した「BricsCAD Platinum」
・Platinumの機能にBIMオプションを追加した「BricsCAD BIM」
というグレードが存在します。
そもそもなぜ「DWG互換CAD」が必要とされるか
DWGはオートデスク社が独自に開発したAutoCAD専用のファイル形式で、仕様は非公開となっています。
オートデスク社はAutoCADで作成された図面データの互換用にDXFというファイル形式も用意し仕様を公開していますが、DXFファイルでは外部参照や印刷用の細かなレイアウト設定といったAutoCADの独自性を高めるデータが反映されません。
関係する作業者のPC全てにAutoCADがインストールできれば問題はありませんが、高額なAutoCAD導入費用を考えればそれも現実的ではなく、AutoCADとシームレスに連携できるDWG互換CADが求められているというわけです。
DWG互換CADを比較するときに覚えておきたいこと
仕様が公開されていないDWGの入出力機能を、オートデスク社以外のCADにも搭載することを目指して、非営利団体「オープン・デザイン・アライアンス」はDWGの解析を行い、読み書き用ライブラリー「Teigha」を開発しました。
このオープン・デザイン・アライアンスのメンバー企業が開発するCADソフトウェアのDWG互換性能は全て「Teigha」によるもので、
・ BricsCAD
・ JDraf
・ DraftsSight
・ IntelliCAD
・ CorelCAD
など、「Teigha」を搭載するCAD同士を比較するとき、DWG互換性能自体に格差はありません。
AutoCADとの比較で見えてくるBricsCADのポテンシャル
圧倒的なコストパフォーマンス
Auto CADの導入方法はサブスクリプション契約のみで、シングルライセンスの価格は下記の通りです。
AutoCAD LT
・ 1ヶ月:7,560円
・ 1年間:63,720円(月額換算5,310円)
・ 3年間:171,720円(月額換算4,770円)
AutoCAD
・ 1ヶ月:25,920円
・ 1年間:205,200円(月額換算17,100円)
・ 3年間:554,040円(月額換算15,390円)
それに対してBricsCADは1年毎のサブスクリプション契約と無償のマイナーアップデートを含む永年ライセンスの両方を販売しており、価格は下記の通りです。
BricsCAD Classics
・ 永年ライセンス:89,700円
・ 1年間のサブスクライブ:35,880円(1ヶ月あたり2,990
BricsCAD Pro
・ 永年ライセンス:122,200円
・ 1年間のサブスクライブ:48,880円(1ヶ月あたり約4,073円)
BricsCAD Platinum
・ 永年ライセンス:176,800円
・ 1年間のサブスクライブ:70,720円(1ヶ月あたり約5,893円)
BricsCAD BIM
・ 永年ライセンス:266,500円
・ 1年間のサブスクライブ:106,600円(1ヶ月あたり約8,883円)
このように比較すると、BricsCADは年間のサブスクリプションでも、2D図面のみの使用であればひと月当たり3000円以下、3Dモデリングが可能なフルスペックのPlatinumを選んでもひと月当たり6000円を超えないという、破格のリーズナブルさであることがわかります。
さらに、BricsCAD BIMでは、ひと月当たり10,000円を下回る費用でのBIM導入が可能になります。
(※上に掲載した価格は全て2019年7月現在の税込価格)
AutoCADとの共通性
BricsCADはDWG互換というだけでなく、機能面でもAutoCADに非常に似た作りとなっており、AutoCADに慣れたユーザーであればほぼ従来通りに使いこなすことが可能です。
BricsCADでは
・ CUIメニュー・リボンメニュー
・ 3Dサーフェース
・ 外部参照のインプレイス編集
など、図面・3Dモデルの作成に必要な主要機能の多くがAutoCADと共通しており、メニューを従来通りの操作感に似せてカスタマイズすることも可能です。
BricsCAD導入を検討する際に注意したい3つのポイント
「DWG互換」だけが目的なら他の選択肢もしっかり検討
上記の通り、Teighaを搭載しているCADであればDWG互換性能自体に違いはなく、しかもTeigha搭載CADの中には2Dであれば基本機能が永年無料で使用できるDraftSightという CADソフトウェアもあります。
DWG互換 CADを探しているなら、DWG互換性以外に何を求めているかを明確にした上でBricsCADや他のDWG互換 CADを比較検討すると良いでしょう。
BriscCADはAutoCADからの移行以外には不向き
BriscCADのデメリットの一つに、日本語による学習方法が極めて少ないことが挙げられます。
AutoCADであれば、操作方法を一から学んだり、より高いスキルを身に着けたりするための参考書やWebサイト、解説動画などが豊富に用意されているため、時間と費用さえあればしっかり学ぶことができます。しかしBricsCADには、関連書籍や操作方法を解説したサイトなどがほとんどありません。
図研アルファテック社による公式YouTubeチャンネルでもBricsCADの操作に関する動画が数本だけ公開されてはいますが、操作に習熟するために十分とは言えず、かなり情報が乏しいのが現状です。
ただし、BricsCADの基本機能はAutoCADに極めて似ているため、何か困ったことがあってもAutoCADのトラブルシューティングやTIPSを応用し解決することができます。。一方で、AutoCADについてほとんど何も知らないようであればBricsCADを使いこなすにはかなりの苦戦を強いられそうです。
対応しているOSはWindowsのみ
BricsCADはMacOSには対応していません。
BricsCAD Pro以上のグレードで3Dモデルを扱いたい場合には、32bitのWindowsにも非対応ですので注意しましょう。
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