清水建設がKAP for Revitを活用し鉄骨の積算体制を効率化


清水建設は「Shimz One BIM」という生産性向上施策を実施中で、2023年を中期経営計画におけるひとつのゴールにBIMの活用に取り組んでいます。そのなかで先行している取り組みが、鉄骨積算業務の効率化です。

清水建設では積算ソフトのKAPとRevitを連携させるアプリケーションを開発し、実際に業務への適用を始めています。この記事では鉄骨積算業務にかかわる現状や清水建設の生産性向上施策、開発されたKAP for Revitについてご紹介します。

鉄骨造建築物が急増傾向

建物の構造には木造(W造)や鉄骨鉄筋コンクリート構造(SRC造)など、いくつか種類があります。

そのなかでも近年は鉄筋コンクリート構造(RC造)よりも鋼(鉄骨)構造(S造)の建物が増えてきているといわれています。

RC造はコンクリート打設の待機時間が課題

RC造は鉄筋のほかにコンクリートを使用します。
鉄筋は引っ張り力が強く、コンクリートは耐火性が大きく圧縮力にも強いため、鉄骨とコンクリートとが一体となった強固な構造により大型な建物が構築できます。

しかしRC従来工法でコンクリートを使うということは、柱や梁などを鉄骨で組んだあとに生コンを打設する工程が必要です。
コンクリートは速乾タイプであっても乾燥までの待機時間が完全にはなくせないため、すぐに工事が進められません。

コンクリートを使う部品を別の場所で作成して組み立てる工法が考案されるなど、RC造の工法も日々改善が進められています。

しかし昨今の建築工事の大規模化や人手不足などに伴う生産性向上の流れを踏まえると、RC造は作業性にやや課題があるといえるでしょう。

S造は作業効率が良いものの材料費がかかる

S造は、断面がH型や箱形になっている鋼材を組みあわせて骨組を作り、鋼板や筋かいなどで固定していきます。

作業は待機時間なく進められるものの、コンクリートと組みあわせる場合よりも大量に鉄骨を用いるため、鉄骨のコストが全体コストに与える影響が大きくなります。そ
れと同時に使用する鋼材が増えるため、鉄骨積算業務における負荷も高くなます。

鋼材の価格が高騰傾向で積算の精度向上が求められる

S造に使われる鉄骨類は、価格の高騰傾向が続いています。
2019年6月には鉄鋼製品を作るのに欠かせない鉄鉱石の価格が5年ぶりの高値をつけたほどで、今後も鋼材を安価に入手しつづけるのは難しい状況が続くと考えられます。

鋼材は建築物に不可欠ですが、鋼材のニーズは高まる一方で材料費は上がりつづけているのです。そのため早急に精度よく積算することと、積算業務自体の負荷を軽減につながる改善策が求められていました。

Shimz One BIMはRevitをベースとした業務の効率化システム

清水建設では、生産性向上施策として鉄筋工事や型枠工事、設備工事等の効率化を進めています。
中期経営計画〈2019-2023〉で挙げている目標は「2023年度における建設事業の生産性を2016年度比20%以上を達成」です。(1)(2)

Shimz One BIMの概要

清水建設では、中期経営計画の実現へ向け「Shimz One BIM」という施策を実施中です。これは実施から竣工までの工程を中心とした施策ですが、清水建設ではより広い範囲でBIMを活用することを想定しています。

・企画~基本設計:デザインシミュレーションを強化して、試行錯誤をしながら形状と性能の提案力を強化する運用
・運用:竣工BIMと物件そのもの管理を行うBM(ビルディングマネジメント)と、物件を活かして利益獲得を目指すFM(ファシリティマネジメント)とを連携

このようにBIMデータは、施工や発注などの製作工程、運用管理まで活用して「無駄なく、速く」業務を効率化させることを目標としています。

鉄骨構造物の開発にはKAPシステムを活用

清水建設や多くのゼネコン、ファブリケーターは、鉄骨構造物専用CAD/CAMシステムとしてKAPシステムを使っていることが多くみられます。

KAPシステムは1972年に開発された実績のあるシステムで、コンピューター内に鉄骨構造物のモデルが構築可能です。
さらに、3次元のモデルデータから鉄骨の積算ができたり製作発注などで必要な加工情報が取得できたりします。

データ製作では加工マクロなども使用できるため、数万トン級の大型物件の開発にも対応でき、清水建設で用いるST-CADの読み込みも可能です。(*3)

しかし、KAPシステムは鉄骨業だけを対象に独立したシステムのため、BIMと連携を図ろうと思った場合、必要なデータを一つひとつ入力する工程が発生します。
Shimz One BIMではBIMを一気通貫で用いる構想を描いているため、この入力にかかる手間と時間の削減が運用上の課題に挙げられました。

KAP for Revitで設計から竣工までの工程が効率化

清水建設では3年間で約5億円という大規模な予算を投じ、KAPとRevitをつなぐシステム構築を行いました。

4KAP for RevitはBIMとKAPシステムをつなぐツール

鉄骨専用CADであるKAPシステムは、もともとBIMソフトウェアのひとつであるRevitの入出力に対応していました。また、AutodeskのRevitは、国内外のBIMにおけるデファクト・スタンダードになりつつあります。

清水建設ではこれらのことに注目し、Revitで作成した構造データをKAPシステム用のデータへと変換するツールとして「KAP for Revit(K4R)」のシステム構築にあたりました。

KAP for Revitは2021年度中の完成を目指しています。現在、おおよそのシステム構築が完了し、すべての構造設計者のパソコン内に導入、実案件での適用を始めています。(*4)

KAP for Revit導入による効果

平面図や立面図、断面図などの概要資料だけで行う見積もりでは、正確な試算ができません。これに対してKAP for Revitを適用すると、各工程で作業効率が大きく向上するのです。

・データ変換業務:Revitで作成した構造データが。自動でKAPシステム用のデータに変換されます。大規模物件であっても数時間で自動変換されるため、個別入力に数日かかっていたデータ入力工数が省略になります。

・設計段階:構造設計者が鉄骨数量を簡単に把握でき、経済的な構造プランの追求が可能です。受注競争力が向上するほか、VEやCDの検討余地もあります。

・積算・発注業務:製作する鉄骨の仕様や数量がわかりやすく、鉄骨ファブリケーターともデータ連携が可能です。積算数量整合などの意思疎通がスムーズで双方の業務効率化が図れます。

・施工業務:BIMデータをそのまま現場で確認できるため、鉄骨工事のために作成していた施工図作成の工数が省人化できます。

清水建設では、最終目標として鉄骨調達情報を本社で一元管理することを目論んでいます。データが一元管理できれば、全社レベルでのコスト戦略立案や鉄骨調達に関わるコスト競争力が強化できるでしょう。

KAP for Revitはトライアル版が使用可能

CADやBIMはバラバラの仕様が乱立している状況です。
いくらST-BridgeやIFCデータのような標準フォーマットがあっても、データ管理やデータ欠損などの課題がつきまといます。
したがってデータ変換をせずに1つのデータを使用できるのが運用上の理想です。

KAP for Revitは、Autodesk Revit 2018、2019で稼働するバージョンが一定期間のあいだ無料で利用可能です。
KAP for RevitはKAPシステムとBIMをつなぎ、鉄骨にかかわるさまざまな建築関連業務を効率化できるメリットが期待あります。
Revit自体の貸与はありませんが、関連業務に携わっている場合は、検討してみるのも一案です。(*5)

まとめ

生産性を高め省人化を図るためには、鉄骨造建築物における鉄骨の積算業務の負荷軽減や鉄骨自体の調達効率化が非常に重要です。清水建設ではKAPシステムとRevitとがよりシームレスに連携できるようKAP for Revitを開発・実務適用することで、さらなる設計効率化を図っています。

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参考URL

*1 https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2020/2019050.html

*2 https://www.shimz.co.jp/company/about/strategy/#sec4

*3 http://kapsystem.jp/system/index.html

*4 https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2019/2019036.html

*5 https://www.kapsystem.jp/kapforrevit/index.html

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