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Bluetooth SMART、Googleも活用するその技術とは?

Bluetooth SMARTってご存知ですか?

先日大手補聴器メーカーであるGNヒアリングがBluetooth SMARTを採用した補聴器をGoogleと共同開発したと発表しました。*1
Bluetooth SMARTはBluetoothのなかでも省電力性を重視した通信規格です。が、実はこの「Bluetooth SMART」という名前、現在では公式に推奨されていない呼び方だったりといろいろややこしい点も…
今回はこの補聴器のニュースをきっかけに、Bluetooth SMARTやBluetooth全般の規格について解説していこうと思います。

Bluetooth SMARTとは?

Bluetooth SMARTはBluetooth4.0にて登場した省電力通信技術「Bluetooth Low Energy」と互換性を持つ機器のために、規格化団体Bluetooth SIGが制定したブランドです。
いきなりややこしいですね…順を追って整理していきましょう。

まずBluetoothにはいくつかのバージョンがあり、2009年に発表されたのがBluetooth4.0です。(現在の最新バージョンはBluetooth5.1)
そして、Bluetooth4.0において新たに追加された省電力通信技術の名称が「Bluetooth Low Energy」(通称BLE)です。
そしてBLEに対応するBluetooth機器を区別表示するために制定されたブランド及び表示のためのロゴが「Bluetooth SMART」です。

「Bluetooth Low Energy」が技術自体の名前、そしてその技術を搭載した機器のためのブランド名が「Bluetooth SMART」という関係ですね。
ちなみにこれらのブランドの決定やBluetooth全体の規格の管理等を行っている規格化団体がBluetooth SIGという名前の団体です。

さらにややこしいことに、このBluetooth SMARTというブランドは2016年にBluetooth SIGより廃止が通達されています。つまり現在は使われていないブランド名ということになります。

Bluetooth SMART?Bluetooth SMART READY?その違いは

廃止うんぬんの前にまずBluetooth SMARTが発表された当時のロゴの区別について説明しておきましょう。この節の記載はあくまでBluetooth4.0が発表された当時の話ですのでお気をつけください。

Bluetooth SMARTが発表された当時、Bluetoothを搭載する機器に表示できるロゴは以下の3つがありました。

・Bluetooth SMART READY
・Bluetooth
・Bluetooth SMART

まずBluetooth SMART READYですが、これは大雑把にいうと「従来のBluetooth規格にも、BLEにも対応 =(4.0発表時点の)全種類の規格に対応」した機器につけられるロゴです。4.0発表以降のホストデバイス(スマートフォンやPC等)は従来のBluetoothを搭載した機器、BLEを用いた機器いずれとも接続可能であることが求められるので基本的に2009年以降発売のホスト側機器はこのBluetooth SMART READYとなっています。
Bluetooth SMART READYの機器は上記3種類いずれのロゴが表記された機器とも接続が可能です。

一方無印のBluetoothロゴはBLE非対応の機器のためのロゴです。
無印Bluetoothロゴが表示されている機器は、Bluetooth SMART READYまたは無印Bluetoothロゴの機器と接続が可能です。

最後にBluetooth SMARTはBLEでの通信「のみ」に対応したクライアント側の機器に用いられるロゴで、Bluetooth SMART READYとのみ通信可能です。

まとめておくと下記のとおりです。

1.Bluetooth SMART READY
Bluetooth SMART READY、(無印の)Bluetooth、Bluetooth SMARTと通信可能

2.Bluetooth
Bluetooth SMART READY、(無印の)Bluetoothと通信可能

3.Bluetooth SMART
Bluetooth SMART READYと通信可能

2016年にBluetooth SMARTブランドは廃止

上記のようにBLE技術への対応状況を表示するためにBluetooth SMARTブランドが導入されたわけですが、その後2016年にBluetooth SIGがBluetooth SMARTの廃止を決定しました。
これに伴いBluetoothの商標として有効なのは無印の「Bluetooth」のみとなりました。
SMARTやSMART READYという名称が廃止された代わりに、今後はv4.2やv5.0といったバージョンを示す識別子をBluetoothにつけることで区別を図っていく方針です。*2

ということでここまでの結論をまとめると、Bluetooth SMARTはBluetooth Low Energyという技術への対応状況を示すためのブランド、ロゴとして登場したもののその後撤廃され現在では公式には使用されていないもの、ということになります。

Bluetooth Low Energyがなくなったわけではない

現在は使われなくなってしまったBluetooth SMARTのロゴですが、その背景にあったBluetooth Low Energyという技術がなくなったわけではなく、むしろバリバリ使われています。

つい先日も補聴器の世界的大手メーカーであるGNリサウンドがBluetooth Low Energy技術を採用した補聴器をGoogleと共同開発したと発表しました。*1
注:なおGNリサウンドのプレスリリースの中では「「Bluetooth Smart」という新技術を採用」と以前のブランド表記が用いられています。

Bluetooth SMARTというブランド自体はなくなったものの、その根幹となるBLEはまだまだ現役、というよりも拡大の途中にあります。そもそもBLEおよびBluetooth SMARTが制定されて以降のホスト側機器は基本的にBLEの規格に対応しているため、ユーザー側は特に規格の違いを気にすることなくBluetooth機器を利用することができます。

BLEは物理的なデバイスだけではなくOS側での対応も必要ですが、対応OSをあげると、パソコンならばWindows8以降、macOS、Linux3.4以降が対応、スマートフォン向けOSでもGoogle、Apple両陣営が対応済みでAndroid4.3以降、iOS5以降が対応しています。つまり一般的な用途で使うOSに関しては基本的にBLEに対応済みと思っておいて良いでしょう。

実際この記事を読んでいる方でも「Bluetooth同士の規格が違ったので接続できなかった」という方はかなりまれではないでしょうか。それは現在使われている多くのデバイスはBLE登場以前のBluetooth(BR/EDRなどと呼ばれる)とBLEの両方に対応しているからというわけです。

Bluetooth Low Energyの目的と用途

Bluetooth Low Energyはその名の通り省電力で通信を行えること、さらには低コストでの採用が可能であることを目指して開発された技術です。
消費電力が少ないためボタン電池1個で何年も動作する事が可能で、IoT機器への採用が見込まれています。実際、ご紹介した補聴器を始めヘルスケアやフィットネスの分野、PC周辺機器など多岐にわたってBLEの技術が採用されています。

まとめ

今回はBluetooth SMART及びその背景にあるBluetooth Low Energy(BLE)を中心にBluetoothの通信技術についてまとめました。
Bluetoothは5.1で方向探知機能が追加されるなど今なお進化をつづけており、今後のIoT分野で大きな役割を果たす規格であることは間違いありません。今後のBluetoothの展開、そしてそれを利用した新たな技術やデバイスに注目していきたいところです。

*1 Googleと2年以上の共同開発でついに実現 新技術「Bluetooth Smart」を採用した 世界初Android対応“スマート補聴器” 2019年9月 ダイレクトストリーミング開始.PR TIMES
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000045184.html

*2 Bluetooth® v4の概要.Tech Web
https://micro.rohm.com/jp/techweb_iot/knowledge/iot02/s-iot02/01-s-iot02/175


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