Sketch Upとは?Googleも注目したフリー3Dモデリング
近年劇的な進化を遂げている分野の一つが3Dプリント。と、同時にそのためのデータを作成する3DCAD等の3Dモデリングツールも注目を集めています。
とはいえ初心者がいきなりソフトを購入して3Dモデリングを始めるというのはかなりハードルが高そうですよね。しかし、実は無料でしかもブラウザ上で動作する3Dモデリングソフトがあるんです。
その名も「Sketch Up」。直感的な3Dモデリングを手軽に行うことができるこのソフトはかつてGoogleが運営していたこともあり、3D界隈では名の知れた存在です。
今回は3D業界が盛り上がる中、ますます注目を集めるモデリングソフト「Sketch Up」について解説していきます。
この記事では以下の3つのことがわかります。
①Sketch Upの特長・使い方
②Sketch Upの利用方法、有料版購入方法
③Sketch Up以外の無料3Dモデリング、3DCADソフト
Sketch Upとは
Sketch Up(スケッチアップ)はPC向けの3Dモデリングソフトです。
元々はアメリカの@Last Softwareという企業が開発したソフトウェアでしたが、2006年にGoogleが買収、「Google Sketch Up」として提供が開始されます。
2012年まではGoogleのもとで開発・提供が行われていましたが、2012年にGPS測量機器等を開発するTrimble社に売却されます。*1
現在Sketch UpはTrimble社から提供されていますが、Google Earthからコンテンツの提供を受けているなどGoogleとの協力関係は続いているようです。
Sketch Upの特長や使い方は?
直感的で手軽な操作性
Sketch Upの最大の特徴はその直感的な操作性にあります。
Sketch Upの操作の基本はプル&プッシュ。平面を引っ張って高さを与え立体を作ったり(プル)、取り込んだ3Dモデルを押し込んでくぼみを作って造形を整えていったり(プッシュ)と非常に直感的な操作で手軽に3Dモデリングを行うことが可能となっています。
実際のプッシュ&プルの操作の様子はこちらのYouTube動画が参考になります。
3Dモデリングソフトといえば3DCADがまず思い浮かびますが、高い習熟度を要求されることも多いCADソフトに比べモデリングを始めるハードルの低さはSketch Upの大きな特長の一つと言えるでしょう。
もちろん単純な造形だけでなく複雑な形状のモデリングも可能です。とはいえ複雑なモデルを作成するには当然ある程度の習熟度が要求されますが。
ブラウザで無料利用可能
3Dモデリングの参入障壁として操作性と並んで大きいのが価格面。いきなり高価な3Dモデリングソフトを購入するというのは心理的にも経済的にも負担が大きいですよね。
その点Sketch UpはPCさえあればブラウザから無料で利用が可能です。利用できるファイル形式や機能などに一部制限があるものの、まずは3Dモデリングを体験してみたい、Sketch Upというソフトに触れてみたい、という方にとってはWebブラウザからの利用でも十分な体験となるはず。
ただし無料で使えるSketch Upは商用での利用は許可されておらず、また3Dモデリングを行うのでそれなりのPCスペックがないと動作が厳しいという点には注意が必要です。
なお公式ページ*2による無料のWeb版の推奨スペックは以下の通りです。
【 Sketch Up推奨スペック】
・OS
Windows7以上 64ビット版
Mac macOS 10.12 (Sierra)以上
・メモリ
8GB以上
・CPU
2GHz以上のプロセッサー(Macは2.1GHz以上)
・グラフィックボード
1GB以上のメモリを搭載した3D対応のグラフィクボードでドライバはOpenGL3.0以上に準拠
またハードウエアアクセラレーションに対応していること
3Dデータギャラリー「3D Warehouse」
Sketch Upが提供する3Dモデルのギャラリーサイト「3D Warehouse」。世界中の3Dデザイナーが作った3DデータやGoogle Earthでで閲覧できる建物のデータなどが公開されており無料で利用することができます。データは直接Sketch Upにダウンロード可能で手元で加工することができます。
Google Earthのデータなど豊富な3Dデータを活用できるのもSketch Upの強みと言えます。
より高度な機能、業務向けの高機能版も
まず3Dモデリングに触れてみるという目的であればWeb上で無料で動作するSketch Upがオススメですが、さらに高機能を求めたり業務目的での利用がしたくなった場合のために有料のプランも用意されています。
業務目的で使用可能な高機能版「Sketch Up Pro」はWeb、デスクトップ何でも利用可能で、無制限のクラウドストレージやARモデルへの対応、2D図面の作成、入出力可能なファイル形式が増えるなどのメリットがあります。
日本では株式会社アルファコックスがSketch Upの販売代理店となっているので、有料ライセンスを購入したい場合は公式ページをチェックしてみましょう。
なおSketch Up Proの年間サブスクリプションの通常価格は44,000円(税抜)となっています。(注:価格は記事執筆時点)
ローエンドの3DCADでも十数万円以上の価格帯のソフトがざらにあるので、Sketch Up Proはかなりコスパの良いソフトと言えるでしょう。
購入前に30日間の無料体験が可能なので、まずはお試しで使ってみるのがオススメです。
使い方を知りたい場合は公式動画がオススメ
購入前に使い方を知りたい、実際に使っている画面を見てみたい、という方は公式が用意している動画がオススメです。
実際の操作の感覚や、Sketch Upで可能なモデリングがイメージできます。
Sketch Up以外に無料で3Dモデリングができるソフトはある?
かつては数百万円など高額な利用料が必要だった3DCADですが、近年では技術の普及も相まって低価格帯のソフトやSketch Up以外のフリーソフトも登場しています。
フリーで使える代表的な3DCADとしてはFusion360(学生、教職員が利用する場合)やFreeCAD、DesingSpark Mechanicalなどがあります。
特にFusion360は有償で提供されている全機能が教育現場においては無償で使えるので、これから3Dモデリングを初めてみたい学生さんなどにとってはありがたい存在です。
まとめ
今回はブラウザだけあれば無料で利用可能、操作も簡単で手軽に3Dモデリングを始められるソフト「Sketch Up」について解説しました。
価格面やハード面、そして操作性とあらゆる点で3Dモデリングへの参入ハードルを下げてくれているのが非常に嬉しいポイントですね。
これから本格的に3Dモデリングを始めたい方も、がっつりじゃないけどちょっと3Dの世界に触れてみたいという方も、まずはSketch Upで3Dモデリングの世界に触れてみてはいかがでしょうか。
*1 :ITmedia NEWS「Google、3Dモデリングツール「SketchUp」を売却」
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1204/27/news039.html
*2:SketchUp Hardware and Software Requirements
https://help.sketchup.com/en/sketchup/sketchup-hardware-and-software-requirements
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