Appleは完全に、スティーブ・ジョブスが去ってもやっていけると証明した。
最近気づいたことがある。
それは、Appleはスティーブ・ジョブスが去っても、やっていけることを証明できたことだ。
こういう私も、スティーブ・ジョブスが去った2011年、Appleはもう終わった、と思ったのは事実だ。
PCを生み出し、ipodによりソニーのウォークマンを駆逐し、iphoneで世界中の人々の行動様式を変えてしまった偉大な起業家、スティーブ・ジョブス。
世界は彼を失い、嘆き悲しんだ。
しかし、Appleはそれ以上の打撃を受けたに違いない。
Appleのすべてを指導し、生み出し、イノベーションを起こしたジョブス亡き後、後を継いだティム・クックはいかにも頼りなさそうなリーダーだった。
世間もそう思った。
「アップルはもう終わり」
「イノベーションは起きない」
「ティム・クックは守るだけ」
だが、そんな声を跳ね返すように、アップルは成功し続けた。
株価を見れば、一目瞭然である。2011年のジョブスの死は、アップルの株価に影響を与えるどころか、株価は伸び続け、真の意味でのNo.1企業を作り上げたのはティム・クックだった。
そういう後継者を選んだスティーブ・ジョブズの慧眼には恐れ入るばかりだが、それを裏切らないティム・クックに、我々は惜しみない賞賛を贈るべきだろう。
事実、ティム・クックはスティーブ・ジョブズ亡き後も、次々にイノベーティブな製品を世の中に送り続けている。
ipad pro、12インチmacbookは言うに及ばず、最近ではApple watchが極めて優れた製品であることが証明されつつある。
英国の市場調査会社、カナリスがまとめた、スマートウオッチやフィットネスバンド(活動量計)などのウエアラブルバンド(腕に装着するウエアラブル機器)市場に関する最新リポートによると、今年(2017年)7~9月期における、これら機器のメーカー別出荷台数トップ3は、1位から順に、米アップル、中国シャオミ(小米科技)、米フィットビットだった。
アップルは、今年1~3月期にシャオミと並んで首位だったが、4~6月期は3位に後退していた。しかし、7~9月期は、390万台を出荷し、アップルは首位に返り咲いた。これは、同社の四半期実績として今年に入って最高の数値だ。
すでに、iphoneの次に真の意味で浸透しつつあるのはApple watchであることは、アーリーアダプターの多くが感じている。
特に、iPhoneという母艦無しで、通信を可能にしたApple watch3は、スマートフォンを遥かに凌ぐ利便性と、モビリティを持つ。
Appleはすでに、イノベーティブではない、と訳知り顔で語る評論家も居る。
だが、実績を見れば、そんなものは戯言であることがよく分かる。
しかしなぜ、スティーブ・ジョブズ亡き後もAppleは成功し続けることができたのだろうか。
その一端は、アップルが持つ共通の理念に見ることができるかもしれない。
【成功するための11か条】
その1:古いことに固執せず、未来を大切にする
その2:いつも真実を話す。悪いニュースほど早く知りたいもの
その3:最も誠実な行為が要求される。分からないことは質問する
その4:ただの良きセールス・パーソンではなく、良きビジネス・パーソンたれ
その5:床を掃くのは全員で
その6:態度、話し方、顧客へのフォロー全てでプロであれ
その7:顧客の声に耳を傾ければ、概ね分かってくれる
その8:パートナーとウィン・ウィンの関係を築く
その9:スタッフ同士が気を配りあい、情報を共有するのは良いこと
その10:自分自身に捕われすぎない
その11:楽しめなければ価値がない
こんなことはどこの企業でもやっている、という方も居るかもしれない。
しかし、重視すべきはこの11か条を持っているのは、「勝っている」会社であるという事実だ。
勝っている会社が、自分たちの戒めるのは並大抵のことではない。
勢いのあるスタートアップが、自分たちの成功に溺れ、次々と退場していったことを思えば、「勝つこと」はできても「勝ち続ける」のは並々ならぬことだ。
そして、その鍵は「謙虚さ」にある。
「勝ち続ける」会社は、結局11か条に見るように、謙虚に振る舞うことを重視している。
ティム・クックの経営は、スティーブ・ジョブズの成功に奢らず、謙虚にユーザーに寄り添った結果、出てきたものなのだろう。
(写真:arsheffield)