1. TOP
  2. ブログ
  3. なぜAppleの反訴はEpic敗訴に終わったのか?一審判決について解説!

なぜAppleの反訴はEpic敗訴に終わったのか?一審判決について解説!

2020年8月、Apple社(以下Apple)がEpic Game社(以下Epic)に反訴し、米カリフォルニア州北部地区連邦地裁がAppStore契約違反による多額の損害賠償金支払いをEpicへ命じた出来事は、まだ記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。業界内に大きな反響を与えたこの一件に関して、2021年9月12日にEpicが一審判決を不服として控訴を申し立てたことで再び話題となっています。本記事では裁判が起きた背景や、なぜEpicが一審判決で敗訴したのかを分かりやすく解説します。

この記事でわかることは下記です。

・なぜ裁判が起きたのか
・なぜEpicが敗訴となったのか
・AppStoreガイドラインについて

なぜ裁判が起きたのか

まず、この裁判がなぜ起きたのか一連の流れを説明します。

2020年8月13日、Epicは自社のゲームアプリ『フォートナイト』(OS及びAndroidを含むすべてのプラットフォームで利用可能なアプリケーション)のアップデートで新機能を追加しました。その新機能「MEGA DROP」は、同社独自の決済システムを利用しデジタルストアを介さずにゲーム内のアイテムを購入できるというものです。これにより、Epicはストアへ支払う手数料30%の発生を回避し、ユーザーへ最大20%の割引を可能にしました。しかしこの割引はApple及びGoogleのデジタルストアを通して購入した場合には適用されないものとしたため、この数時間後、『フォートナイト』は契約違反としてAppStore、Gppgle Playから削除されてしまったのです。これが発端となり、EpicはAppleをアメリカ合衆国カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所において独占禁止法違反及び反競争的行為を理由に提訴し、裁判となりました。*1

この背景には、Epic Games創業者でCEOのティム・スウィーニー氏がAppleやGoogleのデジタルストアが30%の収益分配(レベニューシェア)を得ている状況について疑問を持っていたことがあげられます。いくつかの必要要因を考慮しても、8%の収益分配が各サービスから得ることができれば、いずれのデジタルストアも十分な利益を上げ運営できると主張していました。*2

そのため、収益分配として徴収される手数料の削減を目的に独自の決済システムを開発したわけですが、これがApp Storeのガイドライン違反とみなされてしまったのです。アプリを削除されたEpicは、Appleが独占禁止法違反であると提訴し、「App Storeのルールは不正である」と言及しました。しかし裁判の結果、一審の米カリフォルニア州北部地区連邦地裁は、Epicに対し、Appleとの契約違反として違反期間中の収益の30%、およそ350万ドル(約3億8500万円)の支払いを命じました。*3


なぜEpicが敗訴となったのか

ではなぜ、提訴したEpicが裁判で負けてしまったのでしょうか。
理由は下記2つがあげられます。

・Epicがアップデート前にAppStore内アカウントを削除すれば避けられた事態であった
・Appleが独占禁止法で定める「独占企業」と認められなかった

まず1点目についてです。
今回の事態は、Epicが独自決済システムのアップデートをするまでに、App Storeのアカウント削除もしくは調整を行えば避けられたものであるというAppleの主張がありました。そしてApp Storeの契約内容をEpicも認識している中での行動であり、「意図的に数百万ドル(数億円)にのぼる手数料支払いを避けた」と不正行為を訴え、法廷がその損害を認めました。

続いて、2点目についてです。
収益分配が30%という数値は、ゲーム業界では平均値であるということがあげられ、法廷はAppleが独占禁止法を違反しているとは認められないと結論付けました。しかしながら、Appleに対しても、同社のガイドラインによるメーカーへの規制は消費者の選択を妨げていると指摘し、外部の決済手段への誘導を禁止する内容の撤回を求める永久的差止命令を出しました。これにより、Appleはアプリ向け開発者へ向けたガイドラインの訂正が必要となりました。*4

このように、Epicが不正行為をしたと認められたために敗訴はしましたが、Appleのガイドライン訂正についての問題は未だ解決しておらず、Epicは「消費者と開発者の勝利とはいえない」と、今後もAppleに意義を唱え続ける姿勢を示しています。*5


AppStoreガイドラインについて

上記のように、App Storeにおける購入・課金における手数料は30%が適用されていますが、近年注目を集め多くの企業が導入をしている「サブスクリプションモデル」の提供については、どのような契約内容となっているのでしょうか。良い機会なので、Appleが定める「自動更新サブスクリプション」のガイドラインを確認してみましょう。

サブスクリプションモデルの手数料は、単なる購入・課金とは純収益の構造が異なるため、サブスクリプション利用者それぞれの請求サイクルで、サブスクリプション価格の70%から税額を差し引いた金額をAppleが受け取っています。

詳細は下記リンクより確認できますので、目を通してみてください。
https://developer.apple.com/jp/app-store/subscriptions/#revenue-after-one-year
※Apple HP参照

また、2021年1月から小規模事業者に対して、手数料を15%にすると発表しました。
小規模事業者とは、「収益が100万ドル未満」の企業を指します。*6

まとめ

いかがでしたでしょうか。
普段何気なく使用しているApp Storeの運営の仕組みを初めて知った方もいるのではないでしょうか。

今回紹介したEpicの敗訴は、当時業界に与えた影響はとても大きかったと言われています。メーカーやでデベロッパーをはじめとする多くの企業が、AppleやGoogleの高い業界シェアに対して、利益を得づらく不都合に感じているようですね。一審判決に対する控訴の申し立てについて、その後どうなったのか、今後の情報に注目です。

大手ゼネコンBIM活用事例と 建設業界のDXについてまとめた ホワイトペーパー配布中!

❶大手ゼネコンのBIM活用事例
❷BIMを活かすためのツール紹介
❸DXレポートについて
❹建設業界におけるDX

▼キャパの公式Twitter・FacebookではITに関する情報を随時更新しています!

*1https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2008/14/news056.html
*2https://www.pcgamesn.com/steam-revenue-cut-tim-sweeney
*3https://www.gamebusiness.jp/article/2021/09/11/19047.html
*4https://automaton-media.com/articles/newsjp/20210923-176626/
*5https://www.4gamer.net/games/412/G041256/20210911005/
*6https://www.apple.com/jp/newsroom/2020/11/apple-announces-app-store-small-business-program/

    ホワイトペーパーフォームバナー

    【DL可能な資料タイトル】

    • ・プログラムによる建築/土木設計のQCD(品質/コスト/期間)向上
    • ・BIM/CIMの導入から活用までの手引書
    • ・大手ゼネコンBIM活用事例と建設業界のDXについて
    • ・デジタルツイン白書
    • ・建設業/製造業におけるデジタルツインの実現性と施設管理への応用

    詳細はこちら>>>

    PAGE TOP