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建築にイノベーションを起こすBIM CADとの違いについても解説

建設業界では図面を作成する際、これまでCADが使われてきました。CADは「Computer-Aided-Design(コンピュータ支援設計)」の略称で、建築物を平面図として表現するコンピュータ・ソフトウェアです。
現在、このCADに代わる技術としてBIM(Building Information Modeling)が注目されています。BIMとは、コンピュータ上で3次元のモデルを作成し、各パーツに様々な情報を持たせ、設計・施行・管理等の工程において活用する手法のことです。建築デザインにおいて、イノベーションを起こす手法として期待されています。
この記事では、BIMの特徴やメリットを紹介し、CADとの違いについても説明していきます。

 

BIMとは何か?

BIMが従来の建築手法と根本的に異なるのは、各パーツに付加的な情報を持たせることができるという点です。例えば、壁、柱、階段などといったパーツに、素材や寸法といった情報のみならず、数量や品番、価格といった情報などを持たせることができます。
コンピュータ上に3次元で作成したモデルからは、意匠、構造、設備など様々な図面を作成することができます。また、データがすべて連動しているため、変更があった場合でも他のすべての情報が自動的に修正され、変更に伴う手間や時間を軽減することができます。
BIMを使用すれば、複雑な建築物の設計であってもデータの整合性を取りながら、高精度に構築していくことができます。

 

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CADとは何か?

CADは元々、1960年代に航空機の設計を目的として開発されました。その後、コンピュータが普及していく過程で、機械や自動車などの設計にも使用されるようになりました。ある分野に特化したCADのことを「専用CAD」、様々な分野で利用できるものを「汎用CAD」と呼びます。
建築用のCADは、平面図、断面図などの図面をコンピュータで作成するものです。手書きよりも簡単でデータの修正がしやすいといった特徴があります。
有名なCADのソフトウェアには、3次元の図面も作成できる「AutoCAD」、フリーのソフトウェアである「Jw_cad」といったものがあります。

 

BIMとCADとの違い

データの整合性を保持するBIM

CADは基本的に製図をサポートするものであり、データを保持するためのものではありません。一方、BIMは「ビルディング・インフォメーション・モデリング」という名前が表す通り、単に製図をサポートするだけでなく、建築物の各要素に情報を付加することで、プロジェクトに関する情報を整合的に保持する役割も担っています。

最初から3次元で作成するBIM

もう一つの大きな違いとしては、CADが基本的に2次元の平面を扱うのに対し、BIMでは3次元のモデルを扱うということです。CADでも3次元のモデルを作ることは可能ですが、最初に2次元で図面を作ってから3次元のモデルを作るのが主流です。そのため、変更がある場合、2次元の図面からやり直す必要があり、手間や時間がかかります。
一方、BIMでは最初から3次元のモデルを作り、3次元のモデルから2次元の図面を作成します。3次元のモデルを修正すれば2次元の図面に自動的に反映されるため、修正にかかる時間や手間が削減できます。

 

BIMのメリット

イメージの共有

BIMのメリットの一つとして、関係者におけるイメージの共有があります。2次元の図面では、完成物のイメージにずれが生じる可能性がありますが、3次元のモデルを共有することで、完成物をイメージした上で仕事に取り組むことができます。同じイメージを共有することで、コミュニケーションのギャップが減り、作業のやり直しを防ぐことができます。
また、BIMはシミュレーションを行うことが容易で、高精度の見積もりを出すことも可能なため、顧客とのコミュニケーションもズムーズに行えます。

設計ミスの減少

その他のメリットとしては、設計書のミスの減少が挙げられます。前述した通り、従来の設計手法で変更が生じた場合、修正に多くの手間がかかるためミスが生じる可能性が高くなります。
BIMで設計すれば、データが連動しているため図面は整合性が取れたものになり、ミスが生じる可能性が低くなります。

これらBIMのメリットを活用することにより、高品質な成果物、コストの削減、プロジェクト時間の短縮といったものが期待されています。

 

日本における動向

BIMは米国で生み出された技術で、欧米ではソフトウェアやツールの開発が活発に行われています。国や自治体は建設業界におけるBIMのインパクトを理解し、積極的に導入を推進しています。公共事業プロジェクトの多くでBIMが採用されているそうです。
日本では、大手の建設会社が導入を開始し、2014年には国土交通省が「BIMガイドライン」を発表しました。2018年の日本建設業連合会の調査によると、約7割近くの企業がBIMに取り組んでいるとの結果が出ました。
技術者の不足や導入コストが高いといった問題があり、導入が進まない時期がありましたが、現在は大手だけでなく中小企業にも広がり始めています。

 

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代表的なBIMソフトウェア

ここでは日本で利用されているBIM対応のソフトウェアについて紹介していきます。

ArchiCAD

ハンガリーのGRAPHISOFT(グラフィソフト)社が開発するソフトウェア。1982年に開発が始められ、パーソナルコンピュータ初のCADとして知られています。日本では1994年から販売が開始され、世界中で10万人以上が使用している伝統あるソフトウェアです。
30年以上にわたるCAD開発の経験を活かし、BIMとしての使いやすさ、導入のしやすさが考慮されています。

価格 ARCHICAD 22:840,000円(税抜) ARCHICAD 22 Solo:345000円(税抜)

Revit

米国のAutoDesk(オートデスク)社開発のソフトウェア。日本国内のBIMソフトウェア市場は、前述のArchiCADとRevitが二分している状況です。Revitは意匠設計用、構造設計用、設備設計用と3つのソフトウェアに分かれていましたが、BIMに基づいた設計を可能にするためそれらが統合されました。
設計者向け、構造エンジニア向け、施行者向けなど、業態に合わせたツールが用意されており、分野を超えたコラボレーション設計を可能にしています。

価格 1年間:371,520円 2年間:743,040円 3年間:1,114,560円

 

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5分で分かる!BIMのCADソフト「Revit」とは

Vectorworks Architect

ドイツのNEMETSCHEK GROUPが開発するBIMソフトウェア。3Dビジュアライズ機能など先進的なBIM機能に加え、建築向けのデータライブラリを搭載しています。
3Dモデルを様々な角度から見ることのできるマルチビューや、VRゴーグルでバーチャルリアリティを体験できるといった機能も追加されています。

価格 416,000円

GLOOBE

福井コンピュータアーキテクト株式会社が開発する国産のソフトウェア。日本の設計手法や建築基準法に対応したBIMであることが特徴です。
日本仕様の建材データや法規チェックなどを含み、日本の建築設計に最適化されています。竹中工務店などの大手も導入しており、サポートが充実しているのも特徴です。

価格 年間:144,000円(税別)

 

まとめ

以上、BIMについて特徴やメリット、CADとの違い、代表的なソフトウェアについて解説してきました。
BIMを使うことにより、よりよい建造物を作り出すことができ、効率的なモノづくりが可能になります。BIMを利用することで正確で効率的な建築が可能になるため、今後、ますます普及していくことが期待されており、建築業界で働く人にとっては必須のツールになっていくことでしょう。

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