「XR City」とは?ドコモのXR事業の展望も調査してみました
2022年7月、ドコモはARサービスであるXR Cityの提供を開始しました。主要都市をはじめとする10エリアで利用できるようになっており、様々なサービスを展開しています。
この記事ではドコモのXR Cityについて、その概要と詳細なサービス、そしてドコモの成長戦略についてご紹介します。
この記事を読むと、以下の3つのことがわかります。
1.ドコモが発表したXR Cityの概要
2.XR Cityの収益構造について
3.ドコモの今後の展望につて
ドコモが発表したスマホアプリ「XR City」について
ドコモは2022年、「XR City」という新しいサービスをリリースしました。ユーザーはスマホ1つでXR Cityの新しい世界を体感でき、より便利になったりお得になったりといったメリットがあります。
興味がある方は、ぜひアプリをダウンロードして試してみてください。
<Android版>
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.nttdocomo.android.xrcity
<iOS版>
https://apps.apple.com/jp/app/id1535559092
2022年7月にXR Cityを発表
2022年に入り、ドコモはデジタルと現実世界を融合させたARサービスが体験できるXR Cityの提供を開始しました。
XR City公式サイトはこちら:https://xrcity.docomo.ne.jp/
「新感覚のあそび」というコンセプトで、次々と面白いサービスをリリースしているXR City。アプリをダウンロードしたユーザーならだれでもXR Cityを利用でき、通信キャリアは問われません。
XR CityはVPSという位置情報とカメラ越しの風景情報から正確な位置を判定する技術だけでなく、マーカーレスの「平面認識マーカー」という、特定の場所に依存しないAR技術にも対応しています。
そのため、「ARフィルター」のように屋内などの場所を選ばないARコンテンツが作れるのです。
提供エリアは以下の通りです。(2022年8月時点)(※1)
l 埼玉県庁(埼玉県さいたま市)
l 新宿中央公園(東京都新宿区)
l Hisaya-odori Park(愛知県名古屋市)
l HEP FIVE・ナビオ ダイニング
l 阪急三番街
l 阪急32番街
l 空庭Dining(大阪府大阪市)
l 神戸阪急(兵庫県神戸市)
l 淡路島公園アニメパーク「ニジゲンノモリ」(兵庫県淡路市)
l キャナルシティ博多(福岡県福岡市)
l 東京ドームシティ(東京都文京区)
l Hareza池袋と周辺地域(東京都豊島区)
l 三井ショッピングパーク
l ららぽーとTOKYO-BAY(千葉県船橋市)
主要都市から提供エリアを広げており、今後はさらに範囲が拡大していくでしょう。
XR Cityのサービス内容
2022年10月時点では、以下のようなサービスが提供されています。(※2)
l ARフィルター:空間にARコンテンツが表示され、SNS映えする写真や動画が撮影できる
l 謎解きコンテンツ:リアル脱出ゲームで人気のSCRAPとコラボ
l 「街回遊コンテンツ」:街歩きをしながらドラマのストーリーを楽しめる
上記以外にも多くのサービスや企業と協業してコンテンツをリリースしています。
例えば株式会社コロプラの人気ゲームとコラボした「白猫プロジェクト NEW WORD’S」や、ゲーム原作映画で史上最高興行収入記録を更新した「ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ」など、スマホゲームユーザーを強く引き付けるコンテンツが豊富です。
XR Cityでユーザーに生まれるメリット
AR技術を活用したXR Cityを使うことで、ユーザーはより新しい体験ができます。またInstagramなどのSNSユーザーにとって、バーチャルのコンテンツと撮影できるARフィルターは新しい体験です。
またXR Cityは観光ガイドRPGとして、兵庫県や東京ドームシティでデジタルと現実世界が融合した新しい体験を提供しています。
株式会社ニジゲンノモリが運営する兵庫県立淡路島公園アニメパーク「ニジゲンノモリ」はドコモとXR Cityにより連携することで、園内のF駐車場からモリノテラスというエリア間で「AR観光ガイドRPG」という体験スポットを設置しました。
ニジゲンノモリは「”二次元コンテンツ”の世界観を、五感を使い、体を動かしながら体験できる」ことをコンセプトとしており、ユーザーはXR Cityを通して新しい二次元体験を感じられます。(※3)
XR Cityはどう利益を得ているのか
XR Cityでは、パートナー事業者からの利用料、そして一部有償コンテンツの展開、つまりユーザーのアプリ課金が収入源となります。今後はXR Cityをメディアとして育てていく意向があり、広告料なども得ていく予定です。(※4)
ドコモは「XR Cityを自社の施設で展開したい」という法人向けに「XR City Platform」というプラットサービスも開発しています。パートナー事業者の利用料とはこのプラットフォームのことであり、法人向けのサービスも展開しているのです。
ドコモがXR事業に本腰を入れる背景
大手キャリアメーカーとして市場をけん引するドコモ。スマホ事業では格安スマホに押されてはいるものの、新料金の格安プランahamo(アハモ)を打ち出し、デジタルネイティブ層にもリーチしています。
そんなドコモが、XR CityをはじめとするXR事業に本腰を入れている背景について調査してみました。
ドコモのXR事業は3本立て
ドコモは社内におけるXR事業について、「VR・メタバース」「AR・MR」「法人向けソリューション」という3つの柱で戦略を立てています。冒頭でご紹介したXR Cityは、AR・MR分野で中核を担うサービスです。
AR・MR分野では、XR Cityによってアプリユーザーとエリアパートナー、そしてコンテンツパートナーのそれぞれに価値があるエコシステムを目指すことを明らかにしています。新しい技術を提供する事業者、そしてそれを利用する消費者たちがお互いに関わることで、新しい収益構造が生まれていくのでしょう。
またVR・メタバース事業では、メタバース事業の新会社である「NTTコノキュー」を設立しました。NTTグループ内のメタバース関連事業を集約して、デジタルツインやXRデバイスといった事業を展開します。(※5)
メタバースやデジタルツインは個人に限らず法人にも提供予定で、幅広いサービスの展開を狙っているのです。
XRコンテンツの大本命は「スマートグラス」
本腰を入れてXRに取り組む背景には、“グラススタンダード”の時代を見据えているためといわれています。(※6)
XR CityのようなARコンテンツは、生活者向けではスマートフォンで利用されるケースが一般的です。しかし近い将来、このコンテンツはスマートグラスにとってかわられるという声もあります。
そしてドコモは、このXR CityをきっかけにARビジネスで市場の主導権を取りたいと動いているのです。
Appleも2020年に「Apple Glass」としてAR/MRスマートグラスをリリースするのではと考えられています。すでにMicrosoftは、「Microsoft HoloLens」を2016年にリリース済みです。
またauは「au SMARTGLASSES」をリリースしており、スマートグラスの普及は確実に進んでいます。
まだ機能や性能、価格といった様々な課題で実用化には進んでいないスマートグラスですが、すでに多くの企業が開発・提供に乗り出している状況です。ドコモはXR Cityのコンテンツ拡充によって、ARを利用しやすいスマートグラスの普及を考えているのかもしれません。
XRビジネスはゲームの枠を超えられるのか?
「ポケモンGO」などゲームコンテンツの印象が強いARコンテンツ。国内でも普及が少しずつ進んでいますが、日常に浸透しているとはいえません。スマートグラスにおいても、消費者向けの商材も多く販売されてはいるものの、まだまだ主役はスマートフォンです。
一足先にXRビジネスに本格参入したドコモですが、普及に時間がかかっているこの技術では資金回収面が課題となるでしょう。今後XR Cityにどのようなコンテンツが拡充され普及が広がっていくのか、見守っていきたいところです。
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参照サイト:
※1 https://www.docomo.ne.jp/info/news_release/2022/07/13_00.html
※2 https://www.docomo.ne.jp/info/news_release/2022/07/13_00.html
※3 https://nijigennomori.com/2022/07/13/nijigennomori-7/
※4 https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/1424770.html
※5 https://www.docomo.ne.jp/info/news_release/2022/09/28_00.html
※6 https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00297/080400090/?P=2