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ついにXR事業始動!NTTドコモが設立した「NTTコノキュー」とは

2022年10月、NTTドコモは子会社としてXR事業を行う株式会社NTTコノキューを設立しました。XRに関わるソフトやハードウェア事業に加え、メタバースやデジタルツインなど新技術を駆使したビジネスを展開します。

この記事では、ドコモが設立した新会社であるNTTコノキューの企業概要と、XR事業のこれからについて解説します。

この記事を読むと、以下の3つのことがわかります。

1.NTTドコモが設立した株式会社NTTコノキューの概要
2.XRが注目される背景
3.XR技術で私たちが気を付けておきたいリスク

ドコモが設立したXR事業の新会社「株式会社NTTコノキュー」

2022年9月、NTTドコモはXR事業のさらなる推進を目的とした事業を開始すると発表しました。株式会社NTTコノキューという新会社を設立して、NTTグループのXR技術を集約させます。(※1)

NTTコノキューはグループ内の若手社員が考案した社名です。「Quest over Network」(高度なネットワークによるXR世界の追求)、現実と仮想空間を行き来するというコンセプト、そして始まりの合図である「キュー」を掛け合わせたもので、XR時代のスタートを思わせます。

株式会社NTTコノキューはドコモ100%出資の子会社

NTTコノキューは今まで「NTT XR」というブランドで展開していた各社のXR事業を集約させた企業で、NTTドコモ100%出資の完全子会社となっています。

それまではNTTグループを横断する形で存在したXR事業を独立させ、XRすべての運営を担当する見通しです。

集約するのは技術のみで、営業面ではNTTの各グループと協力します。会社が保有する顧客基盤やdポイントの会員基盤、国内外の営業体制を活用して、XR事業の新規開発やメタバースの普及なども進めていきます。

株式会社NTTコノキューの3つの主力事業

NTTコノキューが主力とするものは、XR・メタバース・XRデバイスのXRを中心とする以下3つの事業です。(※1)

1.XRに関わるソフトウェア・ハードウェアの技術開発
2.メタバース・デジタルツイン領域における、グローバル市場を見据えたサービスおよびソリューションの提供
3.XRデバイスの企画開発

NTTコノキューはXRをメイン技術としており、個人と法人の両方でソリューションを提供していきます。

株式会社NTTコノキューのプロジェクト

NTTコノキューはXR領域を担う企業として、すでに以下4つのプロジェクトを進めています。(※2)

1.XR World
マルチデバイス型メタバースサービスで、音楽などのコンテンツ体験、アバターを介したコミュニケーションサービスなどを提供する。バーチャル空間上では、音楽やライブ映像やボイスチャットといった技術によって、現実世界のような没入感のあるメタバース体験が可能となる。

2.XR City
「新感覚街遊びARサービス」として、AR観光ガイドRPGやARフィルターといった新しい体験を提供する。専用アプリ「XR City」をダウンロードしたスマートフォンがあれば、その場に合ったARコンテンツを表示できる。法人の場合、XR Cityの活用で集客効果も期待でき、エリア内の活性化、新たなデータ活用といったメリットもある。

3.Matrix Stream
NTTコノキュー独自のバーチャルライブシステムで、バーチャルライブ及び汎用映像送出システムサービス。リアルのライブハウスや2次元プラットフォーム配信、さらにメタバース空間などの3次元プラットフォームといった3つの配信をリアルタイムに同時配信できる。

4.Tacitly(タシットリー)
NTTコノキューが運営するバーチャルユニット。日本語・中国語・イギリス語の3か国を話せるトリリンガルユニットで、Twitterでエンディング曲の歌詞を募集するなどユーザーが積極的に参加できる。2022年11月には都内で2ndワンマンライブを開催している。

またこのほかにも、「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」において「大阪・関西万博バーチャル会場」の実現もNTTコノキューが行います。このバーチャル会場はオンライン空間上に夢洲会場を3DCGで再現するものです。

どのような機能があるかは明かされていませんが、メタバースのように一般ユーザーが参加できるかもしれません。

NTTコノキューのソリューションとして、個人向けとしては前述したXR Worldをはじめとしたサービスを開発しており、法人向けにはNTTグループとして推進してきた「NTT XR」のノウハウやソリューションを提供します。

NTTコノキューが注力するXRの基本

NTTドコモがNTTコノキューという子会社にXR技術を結集させたように、世間ではXRへの注目度が高まっています。「そもそもXRって何?」という方に向けて、この時代に把握しておきたい基本をご紹介します。

XRとは

XRとはExtended Realityの頭文字を取った言葉で、和訳すると「クロスリアリティ」という意味です。

“クロス”という言葉通り、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)、SR(代替現実)という技術を組み合わせ、現実世界と仮想世界を融合させることで新しい体験や価値を生み出します。

XRと同じように注目される技術に「メタバース」もあります。メタバースとXRは似ている技術ですが、同義ではありません。

メタバースは仮想空間そのものやサービスのことなど「場所」を指し、経済性を持ちます。またリアルタイムで連動するライブ性があり、複数ユーザーに対する同時接続制限はありません。

一方でXRは技術を指した言葉で、VRやARといった複数の技術を組み合わせたものです。XRはメタバースを体験できる技術の1つですが、メタバースの構築に不可欠なものではありません。

XRの市場予測

矢野経済研究所の調査では、XRの市場規模は2021年度で744億円、2022年度は前年比245.2%の1,825億円と目覚ましい成長を遂げています。2年後の2024年度は4,997億円とさらになる市場の成長を予測されており、留まるところを知りません。(※3)

「XR元年」といわれる2016年以降、市場ではVRデバイスやHMD(ヘッドマウントディスプレイ)、スマートグラスといったデバイス開発が進んでいます。XRが注目され始めてからしばらくは一般消費者向けのデバイスやサービス開発が盛んでしたが、「浸透している」とはいえません。

一般消費者のメインデバイスは相変わらずスマートフォンで、「VRデバイスは高額で手が出ない」「VRコンテンツは酔ってしまう」などの声もあり普及スピードは上がりませんでした。

そこで今注目されているのがB to Bです。NTTコノキューも法人向けビジネスを積極的に展開しており、法人向け市場は一般ユーザー市場よりも高い伸びが期待されています。

例えば法人向けの技術といえば、MicrosoftのHoloLens(ホロレンズ)が有名です。HoloLensはヘッドセットタイプのデバイスで、リアル空間で装着すると、MR技術によって現実世界の上の仮想の映像を重ねて映すことができます。

このHoloLensは建設や製造、医療や教育といったさまざまな企業での導入事例が多く、業務効率化やトレーニング目的で導入する事例が少なくありません。

XRが注目される背景

XRが注目される背景には、以下の3つのポイントがあります。

5.5Gの登場
6.技術の進化
7.生活様式の変化

XRの普及を後押しする大きな要因となるものが5Gです。2020年から本格的に導入が進んでいる5Gは、高速かつ大容量通信という特徴があります。XRコンテンツの配信には大容量かつ低遅延の通信環境が必須であるため、5G×XRという組み合わせが欠かせません。

またXRの実現には、ソフト・ハード両面での技術の進化も必要です。没入感を高めるためには高画質な映像や音響をよりリアルに作る必要があり、4Kや8K、ヘッドマウントディスプレイといった技術がXRを後押しします。

そしてコロナ禍における生活様式の変化も、XRの重要性を高める大きな要因となっています。もし新型コロナウイルス感染拡大がなければ、「バーチャルよりもリアルの方がいい」と感じる消費者はもっと多かったでしょう。

しかし非接触や“三密”を避ける生活スタイルとなった今、XRによるリモートワークやバーチャルイベントの価値が高まっています。例えば音楽ライブなど、リアルでは断念せざるを得なかったイベントもXRによるバーチャルイベントで実現可能となり、XRの進歩を待ち望む消費者も増えています。

XRの課題

期待が高まるXR技術ですが、デメリットもあります。XRの普及に伴い、以下の課題が残っています。

・個人情報の管理
・フェイクエクスペリエンス
・著作権問題

XRに限りませんが、新しい技術には個人情報の乱用というリスクが伴います。没入型技術ともいわれるXRは個人を決定づける情報が得やすく、人の感情や反応といった私的な感情の入手も簡単です。

悪意ある第三者がこの個人情報を入手した危険性については、企業も消費者も考えなければいけません。没入感のある技術だからこそ、XRにおけるフェイクエクスペリエンスはリスクとなります。

例えば紛争地域での仮想体験を経験すれば、人は様々な感情を抱きます。

しかしその体験がフェイクで悪意のある人が作り上げたものだったとしたら、人は嘘の情報を信じてしまうのです。子どもはもちろん、大人であってもフェイクエクスペリエンスのリスクは付きまといます。

XRは確かに可能性のある素晴らしい技術ですが、悪影響についても十分に理解しておかなければなりません。

NTTドコモが設立した子会社NTTコノキューについて、その概要とXRの可能性についてご紹介しました。日本でも導入が進むXR技術は、私たち消費者にも身近なものとなっています。

生活様式の変化や5Gの導入に後押しされ、XRはこれからもどんどん進化していくでしょう。これからどんな面白いサービスが生まれるのか、注目していきたいところです。

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参照サイト:

※1 https://www.docomo.ne.jp/info/news_release/2022/09/28_00.html

※2 https://www.nttqonoq.com/(プロジェクト一覧)

※3 https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3068

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