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スタンダードVRゴーグル「Meta Quest 2」と「Nreal Air」のちがいを徹底比較

こういうのを待ってたんです!メガネ型で自然に装着できる上に、価格もお手頃というARグラス「Nreal Air」。
サングラスのような形状で、室外で利用してもそれほど違和感を感じないデザインとなっています。
今回はこの「Nreal Air」を、少しカテゴリーは異なりますが、今最も普及しているスタンダードなVRゴーグル「Meta Quest 2」と比較してみましょう。

この記事でわかること

  1. Nreal Airの特徴について
  2. Meta Quest 2との違いとは
  3. Nreal Air のメリットとデメリットについて

Nreal Airの特徴

まずはNreal Airの特徴についてまとめていきましょう。

◯形状・構造など

見た目は一般的なウェリントン型のサングラスであり、装着した状態で人から見られても全く違和感がないぐらい「普通のサングラス」です。
スマホと連携して室外でも利用することができますので、これであれば喫茶店などで使っていても、特に注目されることはないでしょう。

外側に逆台形のサングラスがあり、その内側にマイクロOLEDディスプレイからの映像を反射するパーツがあることから、全体としてややがっしりとしたサングラスというイメージになります。
メガネ上部にマイクロOLEDディスプレイが入っており、上から映像を確認することができます。

他のVRヘッドセットやARグラスがいずれも特徴的な形状をしており、他人がいる場所で利用するのには少し抵抗があるのに比べ、Nreal Airなら自然に日常空間での利用ができそうです。
以前にGoogleが出していた、Google Glassのようなイメージに近いです。

鼻の高さは3段階で選択でき、メガネのヒンジも最大で40度まで調節が可能です。
重量も約79gと、普通のサングラスよりは重いですが、他のVR/ARヘッドセットやグラスと比べても圧倒的に軽くなっています。
持ち運び用のケースが付属していますので、バックに入れて出かけることができます。

◯ディスプレイ・スピーカー

ディスプレイには、1920×1080ピクセル(片目)の有機ELを搭載。sRGB 108%に対応しており、高精細で非常に鮮やかな映像を表示します。
また、2つの開放型スピーカーを搭載することで、サウンドも高品質という特徴があります。
さらにノイズキャンセル対応のデュアルマイクも搭載していますので、人混みの中でも違和感なく会話することが可能です。

ディスプレイに関して注目すべき点としては、前作のNreal Lightに比べて輝度が280nitsから400nitsへと大幅に向上した事です。
またPPDが49ppdへとなったことで、画質が確実に向上しています。49ppdの角解像度であれば、8ポイントのフォントサイズで作られた文章でも読むことができるレベルです。
ゲームや動画視聴ユースだけでなく、ビジネスでの使用も十分に耐えられる画質を実現しています。
Meta Quest 2の21ppdと比較しても、かなり優秀な画質であることがわかります。

◯トラッキング方式

3軸3DoFヘッドトラッキングに対応しています。前作のNreal Lightが6DoFだったのに比較して機能を制限していますが、その分価格を抑えて実用的に利用できるモデルとなっています。

※3DoFと6DoFとの違い
DoFは「Degree of Freedom」の略で、頭の動きを感知できる「自由度」を表しています。
3DoFでは空間座標のX軸、Y軸、Z軸の3軸の動きを感知することができます。3DoFに対応したHMDならば、頭の回転を検知することが可能です。

一方の6DoFでは、それぞれの軸に対する移動を検知することが可能です。このことにより、空間内における自分自身の位置をトラッキングすることができますので、映し出された物体に近づくことができるようになります。
VRゲームなどでより没入感が得られるという特徴があります。

◯バッテリーなど

公称では、Air Castingモードで最大5時間のビデオストリーミングが可能となっていますが、Nreal Airには軽量化のためバッテリーは搭載していません。
あくまでスマホと接続し、電源供給を受ける形で動作します。そのため、この「最大5時間」は使用しているスマホに依存します。

実際に使用している人のコメントを見てみると、かなり電池の消費も大きいらしく、モバイルバッテリーと併用しているケースもあるようです。
この点はスタンドアローンタイプのデバイスと、単純に比較はしにくいところです。

また現在、対応しているスマートフォンが限定されており、残念ながらiPhoneにはそのままでは接続することができません。iPhoneを使用する場合は、「Nreal Streaming Box」という別売品を購入する必要があります。

映像の焦点を調整する機能もないため、近眼の方の場合そのままではぼやけてしまいます。この場合は別売の度付きインサートレンズを購入する必要があり、JUNGINZAのオンラインサイトで注文できるようになっています。
付属品に視力矯正用レンズフレームがついていますので、それに合わせて作ってもらえるのであれば、近所の眼鏡屋でも大丈夫です。

◯価格

Nreal Airの価格は45,980円です。
同じカテゴリーに入るHolo LensやMagic Leapが、30万円程度からの価格設定になっているのに対して、格段にリーズナブルです。
もちろん、後者のターゲットがビジネスユースであり、Nreal Airがコンシューマーであることから、この価格差は当然ではあります。
またNreal Airは、携帯電話各社もしくはAmazonなどから購入することができます。※注1

Meta Quest 2との違い

では、VRゴーグルで最も成功している「Meta Quest 2」との違いを、一覧表にしてみましょう。

Nreal AirMeta Quest 2
ディスプレイ解像度1920 × 1080 ピクセル (×2)の有機EL ※視力矯正は別売 400nits、49ppd解像度1,832×1,920ドットの高速スイッチLCDディスプレイ ※メガネの上から着用可 200nits、21ppd
最大リフレッシュレート60Hz72Hz ※アップデートで90Hzに対応
見え方4mで130インチ(Air Casting 使用時)、6mで201インチの大画面モードを実装(MR Space 使用時)
トラッキング3DoF ヘッドトラッキング6DoF
IPD(瞳孔間距離)なし58、63、68mmで調整
ストレージなし128GB、256GB
バッテリー駆動時間Air Casting モードで最大5時間のビデオストリーミングが可能 ※スマホに依存ゲームで約2時間、動画視聴で約3時間
充電なし約2.5時間
インターフェースType-CUSB Type-C、3.5mmイヤフォンジャック、電源ボタン、LEDインジケータ
オーディオ2つの開放型スピーカースピーカーはヘッドセットに内蔵・ヘッドフォンなしで使用可能
アプリストアスマホのGoogle Playストアなどを利用Oculus Questストア (https://www.oculus.com/experiences/quest/)
コントローラーなし2本・サイズ:9×12cm・重量126g・電源 単3電池×2
サイズ148mm × 52mm × 159mm(使用時)、148mm × 52mm × 60mm(収納時) ※頭幅のサイズ:120-186mm に対応ストラップ折りたたみ状態:191.5×102×142.5mm(同) ストラップ展開状態:191.5×102×295.5mm(同)
重量約79g503g
カラーグレーライトグレー
オプションNreal Streaming Box(別売)
価格45,980円128GBモデルは59,400円 256GBモデルは74,400円

Nreal AirはMeta Quest 2と比較して、「安く軽量で外にも持ち歩くことができ、長時間利用も可能。機能的に制限はあるものの、十分に実用性が高いモデル」となっています。
そのまま利用するのであれば、実際の世界にコンテンツを表示する「AR/MRグラス」というモデルになりますが、カバーをかけるとより没入感の高い「VRグラス」的な使い方も可能です。

もちろん、3DoFしかトラッキングしませんので、VR空間内を自由に動いて回るということはできません。あくまで「VRグラスもどき」に留まります。
しかし例えば、移動中に動画を視聴するとか、自宅でPC作業しながら別モニターをARで表示するなどの使い方には適しているでしょう。
今後さらに対応するアプリやコンテンツが増えてくると、可能性は広がってくると思われます。*注2

Nreal Airのメリットとデメリット

Nreal Airは、Amazonでの評価を見てみると164件のグローバル評価があり、平均3.8の星となっています。星5が全体の45%・星4が21%であり、高評価が全体の3分の1程度ということですから、まあまあ満足のいく出来と言えるのではないでしょうか。

低評価だったユーザーのコメントを見てみると、そのままではiPhone非対応であることや、思ったよりも大画面には感じなかった、没入感が低い、といった内容を多く見かけます。
これは、Nreal Airというデバイスの特徴を把握せずに、過度な期待を持って購入した方だったのではないでしょうか。

Nreal Airはあくまでもコンシューマー向けの簡易的なARグラスであり、機能的には不十分なところもありますが、「手軽に利用でき、そこそこ便利」というポジションを理解すれば、もっと異なる評価になるでしょう。
そもそもMeta Quest 2のような、ゲーム空間に没入して楽しめるようなデバイスではありません。*注3

◯Nreal Airのメリット

なんといっても手軽さでしょう。軽量で持ち運びでき、外出時でも利用することが可能です。
モバイルバッテリーを併用すれば、かなり長時間の使用に耐えることができます。また、スマホと連携することで4Gや5G通信なども利用可能です。

スピーカーの音質も良く、ノイズキャンセリングマイクが搭載されていますので、「外を散歩しながらオンライン会議に参加」なんていう使い道もできます。ちょっと危なそうですので、あまりおすすめはできませんが。

◯Nreal Airのデメリット

iPhoneに対応するためには、オプションのStreaming Boxを購入する必要があります。
また、本格的なVRゴーグルと比較すると没入感は劣ります。スマホとの連携が必須であり、スタンドアローンでは動作しません。
視度調整機能がないため、近眼の方は度入りレンズを別途準備しなくてはいけません。

 
Nreal Airは、手軽に動画を視聴したりARコンテンツを利用する目的であれば、最高のデバイスです。
一方、本格的なVRゲームなどを楽しみたい方なら、Meta Quest 2の方に軍配が上がるでしょう。そもそも異なる目的を持つ2つのデバイスですから、競合というよりは異なる市場で共存できる存在と位置付けて良いでしょう。

ARデバイスの出荷数はここ数年急速に伸びており、その中でもNrealのマーケットシェア率は非常に高くなっています。
Lightに続くAirの発売でさらに攻勢をかけてきたNrealは、今後最も注目に値する企業の一つとなってきました。*注4

最近の円安の影響もあってか、当初発売時点よりも価格が上がっているのが唯一残念な点です。
機能的にまだまだな部分も確かにありますが、Nreal Airこそ「求めていた形・求めていた手軽さ」です。
旅行や出張中に持ち歩ける「動画視聴用の大型ディスプレイ兼拡張モニタ」がこの価格であれば、十分に検討に値するのではないでしょうか。

【まとめ】

Meta Quest 2を見た私の最初の印象は「エヴァンゲリオンに出てくるゼーレ幹部のゴーグルみたいだな」でした。
私としては、もっと自然で普段つけていても違和感のないプロダクトを期待しており、今回ご紹介したNreal Airがまさにそれ!だと感じました。
ブルースブラザーズのようなサングラスが少々ゴツい感じではありますが、それでもゼーレ幹部よりはマシです。

最近の円安の影響もあってか、当初発売時点よりも価格が上がっているのが唯一残念な点です。
機能的にまだまだな部分も確かにありますが、Nreal Airこそ「求めていた形・求めていた手軽さ」です。
旅行や出張中に持ち歩ける「動画視聴用の大型ディスプレイ兼拡張モニタ」がこの価格であれば、十分に検討に値するのではないでしょうか。

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■参考文献
注1
AV Watch 「MRグラスの急先鋒、「Nreal Air」を試す」
https://av.watch.impress.co.jp/docs/series/zooma/1407984.html

Nreal Light 
https://www.nreal.ai/light/

Nreal Air
https://www.nreal.ai/air/

注2
秋葉原ぶらり 「Nreal Air」ARグラスと最新VRヘッドセットを徹底 比較!」
http://akiba.jpn.org/?p=91624#EL3DoF

VRon WEBMEDIA 「【2022年11月版】最新VRゴーグル・VRHMD・MRグラス購入・比較ガイド」
https://vron.jp/2022/10/02/hmd-guide-2022/

MoguLive 「【2022年最新版】VRヘッドセットはどれを買うべき? 用途ごとのおすすめを紹介」
https://www.moguravr.com/vr-headset-by-use-recommended-introduction/

Mogura VR 「“一歩下がった”が画質と実用性は進化。スマートグラス「Nreal Air」の狙いを考える」
https://www.moguravr.com/nreal-air-review/

注3
Amazon 「Nreal Air」
https://www.amazon.co.jp/dp/B0B56ST8FJ

注4 
AV Watch 「iPhone/Switch映像を表示できるNreal Air用アダプター」
https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1434376.html

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