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LIXILが提供するトイレのBIMデータがもたらす活用のメリット

BIMは建設・土木業界を中心に活用が盛んに行われている、新しい3D技術ですが、関連企業の積極的な参入により、その使い勝手の改善が進んでいます。水回り設備やアルミサッシメーカーの大手であるLIXILも、そんなBIM活用の普及に取り組んでいる企業の一つで、自社製品のBIMデータ配布を積極的に推進しているのが特徴です。

この記事では、そんなLIXILが提供しているトイレのBIMデータについて、概要や活用メリットの最新情報を紹介します。

目次:

  1. LIXILが提供するBIMデータについて
  2. LIXILが共同開発した「パブリックトイレ空間BIMモデル」とは
  3. 企業が提供するBIMデータを活用するメリット
  4. BIMデータ運用をより効果的なものとする上でのポイント

LIXILが提供するBIMデータについて

LIXILは、同社の公式サイトにて自社製品のBIMデータ配布を以前から行っていました。およそ880にものぼるBIMデータを無料で提供しており、洗面化粧台やキッチン、ユニットバス、ビル用サッシなど、豊富なバリエーションを揃えているのが特徴です*1。

LIXILから提供されている多様なBIMデータは、各種BIMソフトと互換性を備えている点も便利なポイントです。RevitやARCHICAD、Rebroなど、日本で普及しているポピュラーなBIMソフトには対応が確認されているので、安心してデータをダウンロードし、自社のプロジェクトに活用することができます。

また、BIMデータをそのまま提供するだけでなく、設計者の業務支援につながる各種機能も揃えているのが特徴です。プロジェクトの仕様変更にも柔軟に対応できる自動設計ツールや、最適な位置への割り付け配置ができる機能と、よりBIMデータを使いやすくしてくれるサービスとなっています。

LIXILが共同開発した「パブリックトイレ空間BIMモデル」とは

早期からBIMデータの提供を進めてきたLIXILですが、2022年11月に発表した「パブリックトイレ空間BIMモデル」は、同社のBIMデータ活用をより後押しするものであるとして注目が集まります*2。

新たに発表したこのトイレ空間モデルは、パーテンションメーカーのコマニー社との共同開発によって誕生したBIMモデルです。LIXILのトイレモデルとコマニー社のトイレブースがBIMデータとして融合することにより、一つのデータでそれぞれのモデルの寸法調整を行え、設計者の業務効率化に貢献します。空間BIMモデルを採用することで、設計者が一つ一つのモデルを調整しなくとも確実な動作保証が期待できるため、干渉チェックなどの負担も軽減されるはずです。

また、同空間モデルは国土交通省が2021年に改正した建築設計標準にも対応しているので、設計者が最適化を行う必要がない点も魅力と言えます。同改正で重視されたのが、施設内における高齢者や障害者の円滑な移動をサポートする仕組みづくりです*3。全ての建物利用者が使いやすいと感じられる施設となれるよう、バリアフリー関連のルールを改正したことで、企業はバリアフリー規格の見直しが求められるようになりました。

今回LIXILが発表したパブリックトイレ空間モデルは、そんな法改正に対応した仕様のBIMデータとなりました。トイレのバリエーションを増加させたり、空間の確保面積を増やしたりと、さまざまなバージョンアップが図られています。

企業が提供するBIMデータを活用するメリット

このように、LIXILは企業への提供を想定したBIMデータの開発や公開を一層強化しています。同社の狙いとしては、自社製品のBIMデータを普及することにより、製品の販売促進を強化することが挙げられます。その一方で、BIMデータ提供を受ける側の企業にはどのような活用メリットがあるのでしょうか。

質の高いBIMモデルへと仕上げられる

企業のBIMデータ活用を積極的に行うメリットとしては、まず質の高いBIMモデルを簡単に利用できる点が挙げられるでしょう。自社でBIMモデルの設計を全て行う場合、設計者はトイレやキッチン、その他インテリアのモデルを自前で制作しなければなりません。

建物のモデルを作った上で、内装や設備のモデルも作るとなると、時間や人材も余計に発生し、コスト増加につながりますが、企業が提供するBIMデータを使えば、この問題を解決可能です。企業提供のBIMデータは、一つ一つのデータが実際の製品に基づいて精密なBIMモデルとして再現されているため、ダウンロードしてすぐに建物の中へ設置できます。

短期間の設計期間でも、クオリティにこだわったBIMモデルを仕上げられるでしょう。

豊富なデータを活用できる

LIXILでは主に水回り設備やサッシなどの自社製品のBIMデータを利用できますが、他の機材やインテリアを扱う企業のBIMデータを使えば、さらなるバリエーションを獲得可能です。自社でBIMモデルを一つ一つ設計する負担から解放され、スマートな設計環境へと移行できるでしょう。

無料で利用できる

メーカー企業が提供しているBIMデータの多くは、無料で利用できるため、余計なコストがかからないのも嬉しいポイントです。有料で販売されているBIM・CADデータもありますが、特定ブランドの製品をBIMモデルでも反映したいと考えている場合、それらの企業のBIMデータを使えば無料で設計を行うことができます。

BIMデータ運用をより効果的にするためのポイント

BIMデータ運用を自社に適した形で推進するためには、以下のポイントに気をつけておきましょう。

対応ソフトを正しく把握しておく

企業が公開しているBIMデータには、特定のBIMソフトには対応していないケースもあるため、互換性に注意が必要です。あらかじめ自社で使っているBIMソフトとの相性を確認してから、導入を進めましょう。

新しいBIMデータや法改正をチェックしておく

今回紹介したLIXILのBIMデータのように、時代のニーズや法改正に合わせてBIMデータがアップデートされるケースも起こりえます。常に最新のBIMデータの提供状況を確認し、現行の法律に則ったBIMデータを利用しましょう。

まとめ

この記事では、LIXILが提供しているトイレ空間のBIMモデルの活用メリットや、その仕様について解説しました。BIMモデルは一つ一つを丁寧に設計するのが負担となることもありますが、同社のデータを活用することで、モデル設計の負担を大幅に削減できます。

LIXIL以外にも、自社ブランドの製品をBIMデータとして公開している企業は複数存在します。自社のニーズに合わせて、最適なBIMデータ活用を推進しましょう。

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参考:
*1 LIXIL 「LIXILは設計者の皆さまをBIMデータでサポートします」
https://www.biz-lixil.com/service/cad/bim/

*2 BUILT「LIXIL「パブリックトイレ空間BIMモデル」に新プラン追加」
https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/2212/22/news069.html

*3 国土交通省「「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」を改正しました」
https://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_000868.html

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