日本におけるBIMの成熟度の現状とその対策
今取り組まれているBIMが、どれくらいのステージにいるかというのを客観的に意識したことはありますでしょうか。
BIMの成熟度とも表現され、こちらの記事内(https://news.build-app.jp/article/19202/)でも紹介されているので是非読んでみてください。
その中では、ISO19650-1で示されている成熟度の段階、ステージ0を追加した図が示されています。
言葉の意味がわからないものも中にはあると思いますが、一つずつ説明していると本稿が終わってしまいますので、言葉自体の意味については調べてみてください。
諸外国でもこのBIMの成熟度に似た考えがあり、例えばイギリスでは約10年以上も前に同様の表が提示されており、そこではLevel0がCADになっていて、Level2,3に進むにつれてBIMが出てくるようになっています。
(chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.cdbb.cam.ac.uk/system/files/documents/BISBIMstrategyReport.pdf)
本稿では、このBIMの成熟度を元に、日本での現状と成熟度を上げるために必要なことを述べたいと思います。
目次
- BIM成熟度の現状
- BIM成熟度を高めるために
BIM成熟度の現状
日本では、まだ多くの企業が、BIM成熟度のステージ0にいます。
一部の大手企業ではBIMを活用した設計や施工が進んでいますが、一般的にはBIMの導入もまだというところが大半というのが現状です。
まだBIMの利点や可能性が認識されていないことをはじめ、高額な専用ソフトや相応のPC等の環境の整備にかかる費用の面でも大きなハードルになっています。
また、BIM人材や教育者の不足も要因の一つで、これまでの手法を確立している実務者に、普段の業務を行いながら、BIMというこれまでとは全く異なる設計手法を習得するハードルも相当高いです。
比較的小規模な設計事務所の中でもBIMに可能性を感じ、導入の検討を進めている事務所もありますが、実際試してみてダメだったというのも耳にします。
先日、とあるアトリエ系の設計事務所にBIMに関するヒアリングを行いました。そこも同じ状況で、以前BIMソフトを業務で試してみたが設計スタイルに合わずに元に戻したと仰っていました。
色々とお話を聞けたのですが、中でも図面に対する考え方に大手と差異があることは興味深かったです。
大手の事務所に比べて、図面は作品という色が濃いのです。何年もやってきた積み上げももちろんあると思いますが、こだわりがたくさん詰まっていて、それら全てをBIMで表現しようとするとどうしても時間がかかってしまいます。
BIMで作成した図面は、CADのそれとはやはり見た目が違うので、最初は違和感を覚えます。
BIMの考え的には、図面はあくまで情報伝達の手段の一つであり、大手の事務所はその辺りの割り切りが行いやすく、普及しやすいというのはあると思います。
また、ヒアリングしていると、建物や組織の規模が違えば業務内容にも違いがあることもわかりました。
計画の変更が頻繁にあるため、スケジュールもタイトで構造計算を外注していると納期に間に合わないので、簡単なものは全て意匠設計者が行っているのです。
規模が異なれば行っている業務も異なる中で、BIM普及のためには一概にこの通りやればうまくいくということではないのが実態です。それぞれに合った普及の方法を模索する必要があると複数の現場の声を聞いて感じました。
一方で、諸外国ではBIM活用が進んでいる事実もあるので、日本独自の業界の文化や慣習の違いなどを勘案し、マクロとミクロでの視点が必要そうです。
BIM成熟度を高めるために
BIM成熟度のステージを上げていくには、考えるべきことが多く、組織全体で計画的に動いていく必要があります。相応の有識者も必要になってくるので、中小規模の事務所には難易度が高いです。
要求がない限り、そこまでしなくても普段の業務を進めることは可能なので、ステージを進められるところは進むし、別に必要なければ進める必要がないという判断のところも多くあると思います。
続きは、Build App Newsにて公開していますので、是非ご覧ください。
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