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Excelとの連携でさらに広がるBIM活用

BIMの潜在能力をさらに引き出そうという動きが各所で始まっていますが、既存の技術とBIMを連携し、より使いやすいシステムを構築しているのが三菱地所設計です。

Excelとの連携を実現することで、BIMの汎用性を高めるということですが、どのような運用が期待されているのでしょうか。

目次: ①三菱地所設計のBIM運用スキーム ②なぜExcelとの連携が重要なのか ③ExcelベースのBIM運用はこれからも発展する

三菱地所設計によるBIMとExcelの連携強化

2019年1月、三菱地所設計はBIM運用をさらに身近なものとするべく、 Excelで扱えるBIMシステムの構築スキームを発表しました。

三菱地所設計公式リリース:https://www.mj-sekkei.com/files/news_detail/file/497/file.pdf

実用性の高いBIMシステムの開発

この発表では実用性の高いBIMシステムの開発を進めているということ、そしてその詳細について紹介されていますが、中でも注目を集めているのがExcelの活用です。

Excelはもはや説明不要のオフィスソフトの1つで、表計算ができるこのソフトを導入していない企業はないとも言える製品ではないでしょうか。

三菱地所設計で進めているのは、そんなExcelを使ってBIMを扱えるようなシステムの開発で、設計業務の効率化、そして設計品質の向上を目的としたツールを作っています。

三菱地所設計のBIM活用ポリシー

三菱地所設計が今回の開発スキームの中で掲げているポリシーにおいても、Excelをベースとした開発が進められていることが明らかになっています。

今回発表したポリシーでは、BIM活用の場を建物の企画から施工、そして運用に至るまで、すべてのフェーズへと広げていくことが紹介されています。

すべてのBIM運用の土台にはExcelのマザーデータが存在し、組織の環境にとらわれない、円滑な情報共有を期待することができます。

ExcelとBIMの連携により、情報共有に汎用性を持たせ、効率化を目指すということです。

そして、Excelとの連携において採用されたBIMソフトが、AutodeskのRevitです。

国内でも有数のシェアを誇るBIMソフトであるだけでなく、以前から三菱地所設計においても導入が進められていたため、既存のBIM環境との統合にも差し支えないでしょう。

汎用性の高いBIMソフトを運用するということで、社内での情報共有やBIM活用にはもちろんのこと、社外とのコミュニケーションにおける有効活用も期待されています。

なぜExcelとの連携に注目が集まるのか

BIMを運用するためのデータ管理にはいくつかのアプローチがあり、Excel以外の方法も十分にあり得たでしょう。

しかしそれでも三菱地所設計がExcelの運用に力を入れていたのは、どういった背景があるのでしょうか。

情報共有の強みを活かせない現行のBIM運用

そもそものBIM運用における問題点として、これまでよく議題に挙がっていたのが、BIM運用は却って情報共有を阻害する、という問題についてです。

BIMの普及が進められているのは、BIMの強みが情報共有を円滑にしてくれるところにあるためです。

1つの3Dデータにまとめてやり取りすることができるBIMは、それだけで設計から施工、運用までをカバーすることができるポテンシャルを持っています。

プロジェクトの進行に伴う情報共有や修正作業の効率を大幅に削減してくれることが期待されていたBIMですが、実際は想定よりも少し異なる結果となっています。

それは企業や組織によってBIMの導入状況がまばらで、導入しているソフトも異なるため、情報のやり取りが却って面倒になってしまっている問題です。

BIMソフトはすべての企業で一律の導入が進めば、驚くほどのパフォーマンスを発揮してくれるのですが、それが実現するまではうまくメリットを生かすことができません。

BIMの中途半端な運用によって、そのポテンシャルは絵に描いた餅となりつつあったのです。

誰でも使えるExcelとの連携を強化

しかしBIMは理想的な導入が一律に進まなくとも、運用次第でその力をしっかりと発揮させることができます。

その取り組みと一環として始められたのが、Excelとの連携です。

Excelは多くの企業で導入されている表計算ソフトですが、最大の魅力はその汎用性と、導入済み企業の多さにあります。

情報管理や計算においては優秀な機能を発揮してくれるだけでなく、誰でも使えるユーザビリティの高さにも定評があります。

それゆえ、企業の導入実績も非常に多く、Excelを使用しない企業はないといっても過言ではないでしょう。

また、BIMとは違ってExcelは活躍の幅の広さと同時に、それを扱える人の数が多いのも特徴です。

BIMはExcelと違い、社会人の常識的なスキルとしてはまだ定着しておらず、正しく扱える人は少ないものです。

BIMとExcelの連携は、そんなBIMの弱みをExcelの汎用性の高さによって、しっかりとカバーするべく進められているのです。

あるいは、BIM運用のコストパフォーマンスのより高めようというメリットも、この連携によって得られるでしょう。

BIMソフトは導入コストが高く、人材育成にも時間とお金をかけなければいけません。

一方、Excelであれば新たに導入費用をかけることなく、人材育成も容易であるため、段階的にBIMを運用していくことが容易になります。

RevitとExcelの連携で進む新しい可能性

Autodesk RevitとExcelの連携によって、さらなるBIM運用が期待されていますが、すでに具体的な運用プランも明確になっています。

RevitとExcelの連携ツールを活用

三菱地所設計がRevitとExcelを連携して活用する事例の1つとして、Dynamoを活用したオートメーションの実現が挙げられます*1。

活用に際しては、まずあらゆる計算をExcelに落とし込み、簡素化するところから始めます。

Excelの入力においては膨大な量の作業が発生しますが、ここで活躍するのがRevitのプラグインであるDynamoです。

Dynamoの圧倒的な処理速度でExcel変換の作業を自動化し、BIM運用に最適化されたデータを構築することができるという仕組みです。

MRを活用した次世代ビジュアライゼーションも

またExcelとRevitの連携によって、これまでよりも複雑なシミュレーション結果を算出し、ビジュアライズすることができるようにもなるとされています*2。

それが三菱地所設計とアドバンスドナレッジ研究所が共同で開発した「FlowDesigner」です。

これは、建築環境設計において運用されている熱流体シミュレーションソフトで、BIMとの連携により、正確な風の流れをシミュレートすることができると期待されています。

このシミュレーションは実際にMR(複合現実)を通じて目で確認することもでき、より感覚的な理解を促す上でも役立つとして、期待されている技術です。

3D空間をまるで現実と変わりない世界として構築できるのも、BIMならではの仕様といえるでしょう。

それを身近な技術にしてくれるのが、Excelとの連携というわけです。

おわりに

Excelは私たちにとって身近なソフトですが、だからこそBIMとの連携によりもたらされる恩恵にも無視できないものがあります。

BIMとその他の技術との連携は、これからも盛んに行われていくでしょう。

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*1 BUILT「三菱地所設計が提唱する「DynamoとExcelを利活用した情報連携のススメ」 (1/4)」
https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/1912/16/news014.html
*2 BUILT「三菱地所設計が考案した「ExcelでできるBIM」、MRで気流解析の可視化も」
https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/1901/24/news023.html

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