Revitのアドイン開発に際して知っておきたいこと
BIMモデリングにおいて強力な効果を発揮するAutodeskのRevitは、そのままでも十分便利な製品ですが、アドイン機能を活用すれば、より便利な環境構築が可能です。この記事では、そんなアドイン開発とはそもそもどのようなものか、アドイン開発のメリットは何かなど、アドイン開発の前に知っておきたい情報について、紹介します。
目次:
- Revitアドインとは
- Revitアドイン開発のメリット
- Revitにおけるプログラミングの種類
- アドイン開発で選ぶべきプログラミング言語
- アドイン開発で参考になる主なドキュメント
- アドイン開発の前に確認しておきたいこと
Revitアドインとは
Revitアドインは、簡単に言えばBIMソフトであるRevitをより便利に使うための、拡張機能のような存在です。アドオンやプラグインという名前でも呼ばれることがあります。
Revit開発元のAutodeskが独自に公開しているものはもちろんのこと、サードパーティが開発しているアドインも存在し、Revit単体で利用するよりもはるかに柔軟性の高い環境を実現できます。
また、Revitアドインは環境さえ整っていれば、自社で独自開発できる点も特徴です。欲しい機能があるが実装されていないという場合、Revitアドインの開発と導入によって、ソフトを丸ごと買い換えるような負担を回避できます。
Revitは汎用性の高いBIMソフトとして知られていますが、専門性の高い業務や自社独自のノウハウやニーズにまで応えられるとは限りません。そこでRevitアドインを用いることで、より効果的にRevitを運用可能です。
Revitアドイン開発のメリット
Revitアドインの開発を自社で行えられるのであれば、その機会を有効活用するに越したことはありません。Revitアドイン開発を自前で行える場合、期待したいのはやはり自社運用に最適化されたRevit環境を整備できる点です。
Revitは汎用性の高いBIMソフトではありますが、必ずしも自社の全てのニーズに応えてくれるわけではありません。しかし自社の課題解決に最適なアドインを独自に開発できるのであれば、Revitの弱点を自前で補うことができます。Revitの強みは、必要に応じてアドインを使って不便な機能を充足できるところにあるとも言えるでしょう。
また、開発したRevitアドインは他のユーザーに向け、公開することもできます。社外ユーザーのフィードバックを受けながらさらなる改善を行えば、より便利なツールとしてアップデートしていくことも可能でしょう。
Revitにおけるプログラミングの種類
そもそもRevitでは、複数のプログラミングアプローチを必要に応じて使い分けます。主な種類としては、
- Dynamo for Revit
- SharpDevelop
- Visual Studio
の3つです*1。Dynamo for Revitはいわゆるビジュアルプログラミング手法の一種で、スクリプトを従来のコーディング手法よりも簡単に作成することができます。SharpDevelopはプログラミング言語を使い、業務自動化を進めるためのマクロを作成する際に用いられる手法です。
そしてVisual Studioですが、これはRevitとは別途購入が必要なプログラミング環境で、アドイン開発にはこれが必要になります。Revit単体ではアドイン開発ができないため、注意しておきましょう。
アドイン開発で選ぶべきプログラミング言語
それでは、Visual Studioを使ってアドインを開発する場合、どのようなプログラミング言語を使うことができるのでしょうか。使用可能な言語は複数あり、
- C#
- VB.NET
- C++
- Ruby
- Python
と、他のエンジニアリングにおいても使用されるポピュラーなものが揃います。逆を言えば、これらの言語を扱えるエンジニアがいれば、すぐにでもアドイン開発を進められるため、開発そのもののハードルはそこまで高くはありません。
また、注目したいのはRubyとPythonという、近年人気の高まる2つの言語が使える点です。これらはWebアプリ開発や機械学習の分野でも盛んに使用されており、スキルを持ったエンジニアも今後増加が期待されます。Revitアドイン開発にも使えるこれらの言語を持った人材を確保しておけば、今後の業務のデジタル化においても役に立ってくれるはずです。
アドイン開発で参考になる主なドキュメント
アドイン開発をゼロから始める場合、何から手をつけて良いのかわからないということもあるでしょう。アドイン開発のスタートに際しては、
- Revit開発者用ガイド
- Revit APIリファレンス
の2つにあらかじめ目を通しておき、必要に応じて開発中も参考にすると良いでしょう。
Revit開発者用ガイドは、Revitの製品ヘルプ内で参照することのできる、Autodeskの公式ガイドです。アドイン開発を含め、Revit関連のあらゆるトラブルシューティングやノウハウ提供を日本語で行っているので、参考にしておいて損はありません。
Revit APIリファレンスは、Revit SDKの中に含まれているガイドブックです。英語表記ではあるものの、アドイン開発にまつわるAPI運用のノウハウなどが記されており、非常に使い勝手に優れます。
アドイン開発の前に確認しておきたいこと
Revitアドイン開発を行う前には、以下の3つのポイントも確認しておくことをおすすめします。
Revitストアで既存のアドインを確認する
一般公開されているRevitアドインは、基本的にRevitストアで手に入れることができます。自社でアドイン開発を考えている場合、すでに似たようなアドインが公開されていないか、一度確認しておくと良いでしょう。
既存のアドインで賄えるのであれば、開発にかかるコストを削減できます。
開発環境が整っているか確認する
Revitアドイン開発には、Visual Studioを揃えたり、プログラミング環境を構築したりと少し準備が必要です。自社でシステム開発の業務が希薄だった場合、満足のいくアドイン開発環境が得られない可能性があるため、事前に確認しておきましょう。
開発のためのスキルや人材を確認する
アドイン開発のハードルは比較的低いとはいえ、本格的なツールを作成するには相応のスキルが必要です。対応言語などを参考にしながら、自社で開発に対応できる人材やスキルを賄えるのか、検討しておくことをおすすめします。
まとめ
この記事では、Revitアドインの開発に関して知っておくべきことをまとめました。Revitは単体でも便利ですが、アドインの併用によりさらに使い勝手が増すため、その仕組みや使い方を理解しておくに越したことはありません。
また、アドインを自社開発することで効率化を図る方法もありますが、アドイン開発の実現には超えるべきハードルもあるため、事前の検討が大切です。まずはRevit単体で運用し、どのようなシーンでアドインが必要なのか、考えてみると良いでしょう。
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参考:
*1 Autodesk「Revit アドイン基礎」
https://adndevblog.typepad.com/files/1.revit-%E3%82%A2%E3%83%89%E3%82%A4%E3%83%B3%E5%9F%BA%E7%A4%8E.pdf p.6