1. TOP
  2. ブログ
  3. Apple Watch Ultraの「何が違うのか」を徹底比較してみた

Apple Watch Ultraの「何が違うのか」を徹底比較してみた

多くの人が身につけるようになり、もはや当たり前のツールとして普及しているスマートウォッチ。その市場を開拓し、いまだにトップを走り続けているのがApple Watchです。
登場から間もなく10年目を迎えようとするタイミングで、Appleはさらに一歩先を行くフラッグシップモデル「Apple Watch Ultra」を出してきました。
今回の記事では「Apple Watch Ultra」の何が特別なのか、いろいろと比較しながらみていきましょう。

この記事でわかること
 ・Apple Watchの現行機種と比較
 ・ライバル機種と比較
 ・ダイバーズウォッチなどと比較

Apple Watchの現行機種と比較して「何が違うのか」

まずは「Apple Watch」を現行機種と比較し、「Ultra」との違いにフォーカスしてみましょう。現在発売されている機種は、Apple Watch Series 8(以下 S8)・SE・Ultraの3種類です。それぞれにサイズ・素材・通信機能の違いで、いくつかのバリエーションがあります。

(1)値段が違う

いやー、実に高い!
「Ultra」は49mmサイズ1種類だけですが、値段は124,800円からとなっています。
S8はアルミニウム素材・ケースサイズ41mm・GPSモデルが最安ですが、価格は59,800円からです。S8が2つ買えてしまう価格です。SEなら37,800円からですので、3つ買ってもお釣りがきます。

ちなみに、S8の米国発売価格は399ドルからとなっていますが、これはSeries 4から変わっていません。ところがSeries 4の日本発売価格は36,800円、S8は59,800円です。円安や流通コスト上昇の影響ということですが、それにしても上がりすぎじゃないでしょうか?
先進国の中でも日本だけ何十年も所得が上がらないのに、モノの値段だけがどんどん上がるのは勘弁して欲しいものです。

話を戻しましょう。
単純に各モデルの最安値だけを比較してみましたが、そもそも「Ultra」は素材も違いますし、Cellularモデルしかありません。ただ、それを言い始めるとキリがありませんので、とりあえず単純に「各モデルを最安値で購入した場合」で考えると、上記のようになりますが、それぞれのモデルのタイプごとの価格を記載しておきましょう。

モデル素材タイプケースサイズ価格
SEアルミニウムGPS40mm37,800円~
SEアルミニウムGPS44mm42,800円~
SEアルミニウムCellular40mm45,800円~
SEアルミニウムCellular44mm50,800円~
S 8アルミニウムGPS41mm59,800円~
S 8アルミニウムGPS45mm64,800円~
S 8アルミニウムCellular41mm74,800円~
S 8アルミニウムCellular45mm79,800円~
S 8ステンレスCellular41mm104,800円~
S 8ステンレスCellular45mm112,800円~
UltraチタニウムCellular49mm124,800円~

こうして見ると、「S8のステンレスケース・Cellularモデル・45mm」の存在意義はあるのでしょうか?あと少し頑張って「Ultra」にしようって思いそうな価格設定です。
 あ、それがAppleの狙いかもしれませんね。

(2)大きさ・重さが違う

とりあえず「Ultra」は大きく重いです。実際に現行機種と比較してみましょう。

モデル素材タイプケースサイズサイズ(mm)重量
SEアルミニウムGPS40mm40×34×10.726.4g
SEアルミニウムGPS44mm44×38×10.732.9g
SEアルミニウムCellular40mm40×34×10.727.8g
SEアルミニウムCellular44mm44×38×10.733.0g
S 8アルミニウムGPS41mm41×35×10.731.9g
S 8アルミニウムGPS45mm45×38×10.738.8g
S 8アルミニウムCellular41mm41×35×10.732.2g
S 8アルミニウムCellular45mm45×38×10.739.1g
S 8ステンレスCellular41mm41×35×10.742.3g
S 8ステンレスCellular45mm45×38×10.751.5g
UltraチタニウムCellular49mm49×44×14.461.3g

一般的にビジネスシーンで利用される腕時計は、38mmから40mmぐらいのサイズです。45mmとなると「かなり大きい」印象で、存在を主張してきます。
「Ultra」はさらに大きい49mmとなっており、とてもスーツの袖に隠れるようなサイズではありません。

重量も60gを超えてくると、寝ている時に装着したままでいることを苦痛に感じる人もいるでしょう。ウエルネス機能を利用するには常時装着が必要となるため、あまり「デカ・オモ」なモデルは向いてないかもしれません。
特に腕の細い女性の場合、馴染まない方もいるのではないでしょうか。

(3)頑丈さが違う

「Ultra」は、アメリカ国防総省の調達基準であるMIL-STD 810Hに基づく温度衝撃・浸漬・凍結/融解・衝撃・振動などのテストをクリアしています。さらに防塵性能はP6X等級であり、あらゆる防塵を防ぐことができます。
また100M防水を実現し、40M程度のレジャーダイビングであれば使用可能です。

フィットネス目的で利用することを考えると、野外での使用や汗や雨に対する耐性は当然求められますが、もっと過酷な状況での使用までカバーしているのが「Ultra」です。
前面ガラスもフラットサファイヤガラスを採用し、縁の処理にも工夫を凝らしているため、多少の衝撃を受けても破損しにくいようになっています。
ケースもチタニウムを採用するなど、素材でも他機種と比較して1ランク上となっています。

(4)明るさが違う

「Ultra」のディスプレイの明るさは2,000ニトとなっており、S8に比べて2倍です。夜間だけでなく、ダイビングで海に潜った時にも文字盤を確実に視認することができます。
大きさや重さについては良し悪しがありますが、ディスプレイは明るければ明るいほど良いに決まっていますので、この項目に関しては誰もが歓迎するところでしょう。

(5)搭載されているセンサーが違う

iPhoneが登場した当初、3軸ジャイロセンサーなんて携帯に搭載してどうするのか?と思ったものです。それぐらい、現時点で必要性が低いように思えるような豊富なセンサー類が後になってさまざまなアプリで活用され、利便性が格段に向上していきました。

同じように「Apple Watch」シリーズにも多くのセンサーが搭載され、フィットネス・ウェルネス分野などで活用されています。
さらに「Ultra」にはS8と比べて水深計・水温センサーが追加されており、ダイバーズウォッチとしての特徴を持っています。

S8自体も、皮膚温センサーや高重力加速度センサーが新たに搭載されるなど、S7から進化していますが、「Ultra」はさらにその一歩先へと進んでいます。
また、「Ultra」には高精度2周波GPSが搭載されており、S8と比較してもより正確な位置測定が可能となっています。

筐体が大きい分、さまざまなセンサーを余分に搭載することができることもあって、S8の完全な上位互換となっています。マイクやスピーカーなどもS8よりも高性能なものが搭載されていますので、通話品質も確実に向上しておりフラッグシップモデルならではの構成となっています。まさに「お値段相当」ですね。

(6)バッテリーの持ちが違う

これまで見てきたように、「Ultra」はS8と比較して多くの機能が搭載されています。
このような機能を実現するために搭載されたセンサー類は、常時さまざまな情報を取得する必要があり、当然それだけ多くの電力を消費するでしょう。

しかし、バッテリーの駆動時間はS8のなんと2倍を実現しています。通常利用であれば最大36時間駆動を続けてくれます。
スマートウォッチは便利だけど、充電し忘れたら出先で切れてしまう。そんな心配も必要ありません。1日ぐらいであれば平気で稼働を続けてくれます。

さらに低電力モードにすれば最大で60時間駆動するなど、これまでの「Apple Watch」シリーズと比べても、格段に稼働時間が増えました。
寝る時も腕に装着して使うことが多いApple Watchだからこそ、急速充電への対応や長時間駆動は必要不可欠な要件ですが、「Ultra」はかなり理想に近づいています。

(7)実は中身はそれほど違わない

Apple Watchのフラッグシップモデルであり、歴代最高峰に君臨する「Ultra」ですが、実は搭載されているチップは、S8やSEと同じものです。それどころか、型番自体は変化してきましたが、チップそのものの性能は2世代前からそれほど進化していません。

それだけApple開発のチップが優秀と見ることもできますし、この先新たなチップが搭載された時の性能アップに期待することもできるでしょう。
ただ、この時点で「Ultra」を購入するかどうかを検討するのであれば、「ハイエンドモデルにふさわしい次世代チップの搭載まで待ちたい」と思います。

最高性能のプロダクトであるからこそ、数世代前のチップではなく、大きなポテンシャルを発揮してくれそうな最新のチップが待たれます。
2023年秋には「Series9」と同時に第二世代「Ultra」が、2024年には「SeriesX」の登場が期待されています。そのどちらかで、新たなチップを搭載したモデルが登場するのであれば、その時まで待ってから決断したいと思っています。

しかし、チップ性能が進化していないとはいえ、処理にもたついたりすることは全くありません。現時点で必要な機能をストレスなく動かす分には、十分な性能を持っていることは間違いありません。
次のモデル発表まで待ち切れないという方は、即ゲットしても性能面で後悔することはないでしょう。*注1

ライバル機種と比較して「何が違うのか」

スマートウォッチ市場は順調に成長し、さまざまなプロダクトが存在します。その中から「Ultra」のライバルと一口に言っても、全てを網羅することはとても不可能です。
それでもあえてというならば、タフネスさと高機能でアウトドアスポーツ用途に人気のある「Garmin」がふさわしいでしょう。

ダイバーズスマートウォッチであれば「Descent GI」、アウトドアスポーツなら「fenix7」あたりが比較対象として適当だと思います。
「何が違うか」に関してですが、「Ultra」が1アイテムで広い範囲をカバーする機能を持たざるを得ないのに対して、「Garmin」は目的別に細かなラインナップがある点が大きな違いです。

その分、本格的なアウトドアスポーツに利用する場合、「Ultra」では不満の残るところでも「Garmin」なら十分満足できる機能を実現することができます。
ゴルフやトレッキング、サイクリングなど特定のスポーツに適したアプリや視認性の高い表示など、使うほどに「手に馴染む」点が大きな特徴です。

「我々はバッテリー持ちを“数か月”で測っており、“時間”ではない」Garminは、「Ultra」発表後にこのようなツイートをしました。
キャンプやトレッキング、長期間のアウトドアスポーツにとって、「Ultra」の36時間駆動は「話にならないぐらい短い」レベルです。本格的なアプトドアを行う人にとって、おそらく「Ultra」は「高いオモチャ」にしか見えないでしょう。

「Garmin」の豊富なラインナップのうち、「Instinct 2」はソーラーを搭載しており、バッテリー駆動時間は「無制限」です。ダイビングスマートウォッチの「Descent GI」は「約4ヶ月」となっています。
もし、ダイビング中に遭難して何日か漂流するような時に、「Ultra」を身につけていた人は後悔するでしょう。1日半で使えなくなる設備に、命を預けることはできません。

このような側面で見ると、「Ultra」はまだ「日常使いを主体とした、軽めのアウトドアユース」までしかカバーできないプロダクトです。
アイテム数を絞り込むAppleだから仕方ないことですが、残念ながら本格的なアウトドアユースでは「Garmin」のライバルにはなり得ないでしょう。*注2

ダイバーズウォッチなどと比較して「何が違うのか」

簡単にいうなら、ダイバーズウォッチが「専用機」であり、「Ultra」は「汎用機」です。ダイビングにも使えるスマートウォッチにしか過ぎず、専用機にはかないません。
海中でも視認性が高い点など優れた面もありますが、やはりバッテリー駆動時間の短さなど不足する面が目立ちます。

専用のダイバーウォッチであれば、耐水深度100Mは「低性能」な部類であり、200や300は当たり前、中には1,000Mに対応できるモデルもあります。
また専用のダイバーウォッチには、内部に溜まったガスを抜く機能を持つものが多く、圧力差による破損を防止することができます。「Ultra」にはそのような機能はありません。

同価格帯のダイバーズウォッチやダイビングコンピューターなども数多く存在しますが、どれか適当に一つ選んできたとしても、ダイビング用途に限定するなら「Ultra」の勝ち目は少ないでしょう。

こうしてみると、「Ultra」はかなり頑張ってアウトドアスポーツやダイビングなど、ハードな用途でも使用できるように進化したモデルではありますが、あくまで「日常使い」が基準だとわかります。
「Garmin」の各モデルにしろ、ダイバーズウォッチにしろ、専用機には及ばない面が多々あります。

あくまで個人的な感想ではありますが、私はここで比較したようなさまざまな「違い」から、「Ultra」には”中途半端さ”を感じています。
ビジネスシーンで本格的なダイバーズウォッチや「Garmin」のモデルを身につけている人には、それなりのこだわりを感じるのですが、「Ultra」にはそれは感じません。

とはいうものの、「Ultra」はAppleがリリースした新しいカテゴリーのプロダクトです。今後の進化次第では、本格的な用途を目的にする人たちにも十分訴求できるよう、進化していく可能性までは否定できません。
まだ第一世代ですので、これからに期待というところでしょう。*注3

【まとめ】
大きくて、重くて、高い、Apple Watchシリーズの最高峰。それが「Ultra」です。
あまりハードな場面でなければ、耐久性は十分であり、雨・汗・ホコリなども気にせずアウトドアで使えます。
Apple Watchシリーズとしては過去最高のバッテリー駆動時間ではありますが、それでも十分ではありません。新型チップ搭載やもっと本格的なアウトドア対応に次世代モデルが進化することを期待して、この記事を終えることにしましょう。

建築・土木業向け BIM/CIMの導入方法から活用までがトータルで理解できる ホワイトペーパー配布中!

❶BIM/CIMの概要と重要性
❷BIM/CIM導入までの流れ
❸BIM/CIM導入でよくある失敗と課題
❹BIM活用を進めるためのポイント
についてまとめたホワイトペーパーを配布中


▼キャパの公式Twitter・FacebookではITに関する情報を随時更新しています!

■参考文献
注1
Apple 「あなたにぴったりのApple Watchは?」
https://www.apple.com/jp/watch/compare/

「Apple Watch Ultra」
https://www.apple.com/jp/apple-watch-ultra/

「Apple Watch Series 8」
https://www.apple.com/jp/apple-watch-series-8/

「Apple Watch SE」
https://www.apple.com/jp/apple-watch-se/

注2
WIRED 「耐久性を高めた「Apple Watch Ultra」は、まだガーミン製品の真の競争相手ではない」
https://wired.jp/article/apple-watch-ultra-garmin-sports-watch/

Garmin 「fenix 7」
https://www.garmin.co.jp/products/wearables/fenix-7-silver/

「GARMIN DUAL POWER」
https://www.garmin.co.jp/minisite/solar/

GetNaviWeb 「ガーミン、Apple Watch Ultraに「バッテリー持ちは“時間”ではなく1か月単位で測る」とけん制?」
https://getnavi.jp/digital/786003/

注3
Diving Tool Watch 「ダイブコンピューターのおすすめ20選!ダイコンの上手な選び方を徹底解説『2022年版』」
https://web-lue.com/dive-computer-recommend/

RASIN Web Magazine 「価格帯別 ダイバーズウォッチ人気お勧めモデル33選!【2023】」
https://www.rasin.co.jp/blog/iwc/diverswatches20/

    ホワイトペーパーフォームバナー

    【DL可能な資料タイトル】

    • ・プログラムによる建築/土木設計のQCD(品質/コスト/期間)向上
    • ・BIM/CIMの導入から活用までの手引書
    • ・大手ゼネコンBIM活用事例と建設業界のDXについて
    • ・デジタルツイン白書
    • ・建設業/製造業におけるデジタルツインの実現性と施設管理への応用

    詳細はこちら>>>

    PAGE TOP