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CATIAでSTEPにデータ変換ができない!注意点と変換手順

CAITAを使用する場合、別のCADやシステムへデータを渡したい場合があります。
この記事では中間ファイルフォーマットの例やCADのデータ変換を行う際の注意点、CATIAでSTEPデータを授受する際の変換手順などをご紹介します。

中間ファイルフォーマットの具体例

異なるCADソフトウェア間でのデータの交換や共有を行う際に、データを中間ファイルフォーマットに変換して共有することがあります。
ここでは代表的な中間ファイルフォーマットを紹介します。

STEPはISOで定められた規格

STEP(STandard for the Exchange of Product model data)は、ISO10303で定められたCADデータ交換の規格です。
そのため多くのCADがSTEP形式のデータへのデータ変換や読み込みに対応しています。

STEPデータは幾何学的な形状のほか、属性や履歴、物性、製造プロセスなどのデータを含むことが可能です。
中間ファイルフォーマットのなかでは比較的面の折れや欠けが少なく、精度が高いデータのやりとりができます。

  • 形状:3Dソリッドデータまたは3Dサーフェス
  • 拡張子:「.stp」または「.step」

STEPに関わる規格名称のAPはApplication protocolのことで、以下のような規定があります。

規格名称ISO10303の規格内容(抜粋)
AP203Configuration controlled 3D design of mechanical parts and assemblies(機械部品および組立体の構成管理による3Dデザイン)(*1)
AP209Multidisciplinary analysis and design(複合材料と金属構造)(*2)
AP214Core data for automotive mechanical design processes(自動車設計プロセスのためのコアデータ)(*3)
AP233Systems engineering(システムエンジニアリング)(*4)
AP239Product life cycle support(製品ライフサイクルサポート)(*5)
AP242Managed model-based 3D engineering(管理されたモデルベースの3Dエンジニアリング)(*6)

IGESはアメリカ発の歴史あるフォーマット

IGES(Initial Graphics Exchange Specification)は、ANSIというアメリカの企画団体が1981年に承認した中間ファイルフォーマットです。

もとの形状が3Dソリッドデータであっても、IGESに返還した場合はサーフェス状態になるため、受け取った相手はデータの結合作業が必要です。

  • 形状:3Dサーフェス
  • 拡張子:「.igs」

STLは用途が拡大傾向

STL(Standard Triangulated Language)は、CAEや3Dプリンタ用のデータフォーマット、リバースエンジニアリングで使われることが多いデータ形式です。
3D形状をサーフェスとして認識し、三角形のポリゴンで表現します。
STEPと異なり形状情報のみを保持していて、履歴や属性の情報は持ちません。

複雑な自由局面も三角形メッシュとして表現するため、再現精度は他の中間ファイルフォーマットと比較すると粗い傾向です。

  • 形状:三角ポリゴン面
  • 拡張子:「.stl」

CADで中間ファイル形式が必要となる理由

CADのデータを扱う際に中間ファイル形式が求められるのは以下のような場合です。

異なるCADデータ間の連携

CADでは図面や3D形状を作る際は、各々のカーネルが元になっています。

カーネルとは、幾何学的な計算方法やデータ構造の管理、図形の表示、モデリング機能、データの編集、変換などの基準が定義されています。

そのため、基本的に別のCADのデータは異なるCADで読み込めないのでチーム設計に苦労するのです。

バージョンの違い

CADは常に機能拡充が行われているため、データ自体の仕様が変わることがあります。

古いソフトウェアのバージョンアップは読み込めるように上位互換されていても、新しいソフトウェアで作成したデータを古いバージョンのソフトウェアで読み込める下位互換が可能とは限りません。

もし下位互換がサポートされていない場合には、中間ファイルを用います。

CAEやCAMなどサードパーティ機器へ出力する場合

解析ソフトウェアやレンダリング、CAM、3Dプリンタ、リバース エンジニアリングなどへCADデータを出力する場合に、中間ファイルフォーマットで連携することがあります。

プラットフォームの違い

Windows、Mac、Linux などOSが異なる場合には、データが連携できないことがあります。

運用の都合

例えば、「社内のノウハウが詰まったデータを履歴つきの状態で社外に提出するのは難しい」場合に、ジオメトリを隠す目的で中間ファイル形式のデータを生成することがあります。

CATIAで中間ファイルデータを用いる際の注意点

基本的にCATIAで設計を始めたプロジェクトはCATIAのデータだけで開発や生産を終えるのが理想です。
中間ファイルにデータ変換をしていると、以下のような問題を抱える可能性があります。

フォーマットの互換性確保

中間ファイルにすればすべてのCADで連携できるわけではありません。
受け取るシステムがもつ互換性により、受け入れ可能な中間ファイルの種類が異なります。

ジオメトリの正確さが失われる

特に複雑な曲面や高度な形状を含むデータでは、中間ファイル自体の表現の制約から期待した演算が行われず、オリジナルのCADデータとは異なる履歴やジオメトリになる可能性があります。

データサイズによるパフォーマンス低下

大規模なモデルや複雑なアセンブリの場合、中間ファイルのデータ変換や読み込みの処理に時間がかかる場合があります。

場合によってはワークステーションで演算しきれないというケースがあるかもしれません。

データの一貫性が失われる

中間ファイルでデータを共有する場合、アウトプットするだけであれば問題は起こりにくい傾向です。

一方、STEPデータに編集が加えられてインプット情報になるような場合には、もともと作っていたCADデータとの一貫性が保てるように慎重に編集を行う必要があります。

CATIAでSTEPデータを授受する方法

CATIAではいくつかの中間ファイルフォーマットにデータ変換が可能です。
データ変換の方法は中間ファイルの種類により異なります。

ここではよく使われるSTEPデータの変換をCATIAに読み込む(インポート)場合と、CATIAからデータをSTEP形式に変換する(アウトプット)場合にわけてご紹介します。

STEP形式のデータをCATIAで読み込む方法(インプット)

STEP形式のデータをCATIAで読み込みたい場合は、以下の手順で行います。

  1. 「ファイルを開く」からデータ変換されたSTEPファイルを選択
  2. 形状や履歴の欠落や違和感がないかを確認

CATIAでSTEPデータを開く場合は、他のCATIAデータと同じようにファイル名をダブルクリックするだけで読み込まれます。

ただし、データ変換前のCADのトレランス(表示精度)とCATIAのトレランスが合っていない場合や、データに自由曲面やアセンブリなど複雑な形状が入っている場合には、受け取ったデータをそのまま正として扱えない可能性があります。

STEPは比較的精度の高いデータ変換方法ですが、念のため変換時に問題がないかを確かめましょう。
もし期待する形状の精度が得られない場合はIGESなど別のデータ形式での変換を試してみるのも一案です。

CATIAデータをSTEP形式に変換する方法(アウトプット)

中間ファイルのうち、IGESやSTLなどは標準のライセンスでもデータ変換が可能です。
しかしSTEPは、「CATIA STEP コア インターフェイス 1 (ST1)」というライセンスを登録しておく必要があるのです。
ライセンスが取得できているかどうかは、オプションの「ライセンス交付」にチェックがついているかで確認します。

CATIAでSTEPデータを変換したい場合は、以下の手順で行います。

  1. ST1ライセンスを交付
  2. 保存する際に「名前を付けて保存」を選択
  3. データ形式で「.stp」を選択して保存

CATIA STEP コア インターフェイス 1(ST1)では、STEPのAP214またはSTEP AP203形式でデータが読み書きできます。

もしCATIAのST1ライセンスがない場合には、データ変換サービスなど別のシステムを介する方法があります。
例えばSOLIDWORKSでは追加ライセンスを用いずにSTEPデータの授受ができるかもしれません。(*7)

まとめ

CATIAでも良く用いられる中間ファイルにはSTEPのほか、IGES、STLなどがあります。
CATIAでSTEPデータはそのまま読み込みが可能です。
一方、STEPデータを変換する際はライセンスが必要です。

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参考URL
*1 https://www.iso.org/standard/44305.html
*2 https://www.iso.org/standard/59780.html
*3 https://www.iso.org/standard/43669.html
*4 https://www.iso.org/standard/55257.html
*5 https://www.iso.org/standard/54791.html
*6 https://www.iso.org/standard/84667.html
*7 https://help.solidworks.com/2021/Japanese/SolidWorks/sldworks/c_Step_Files.html

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