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Googleの機械学習プラットフォーム「Vertex AIとは?特徴や事例を解説

「Googleの機械学習に興味がある」
「GoogleのVertex AIは具体的に何がすごいの?」

とお考えの方へ。機械学習の開発は年々進んでいますが、実は工程ごとにツールが分かれているケースが多く、エンジニアの作業効率を落としています。

そこで提供されたのがGoogleのVertex AI(バーテックスAI)です。機械学習プラットフォームのVertex AIは他にないフルマネージドな仕組みが特徴で、AI開発の効率化に役立ちます。

この記事では、GoogleのVertex AIについて、概要やその特徴、料金についてご紹介します。企業における導入事例もご紹介しますので、興味があるかたはぜひ最後までお読みください。

この記事を読むと、以下の3つのことが分かります。

1.Googleの機械学習プラットフォーム「Vertex AI」の特徴やメリット
2.Googleの「Vertex AI」の料金
3.Vertex AIを実際に導入している企業の事例

Google Vertex AIとは機械学習プラットフォームである

GoogleのVertex AIとは、機械学習プラットフォームの1つです。

機械学習プラットフォームとは、AI開発で必要なソフトやサービスを備えている基盤で、AWSやMicrosoftのAzure、国内ではSONYやパナソニックも提供しています。

データサイエンティスト、機械学習エンジニア向けのマネージドプラットフォームとして生まれたGoogleのVertex AIは一般提供が始まっており、日本でも利用できます。

Googleはすでに機械学習関連の製品やサービスを多く提供していましたが、大規模な開発に最適な性能とはいえません。そこでGoogleはAI開発において大規模なワークフローを実現するため、Vertex AIの提供を始めたのです。

Vertex AIとは

Vertex AIは機械学習プラットフォームであり、Googleが提供するクラウドサービスであるGoogle Cloudで機械学習ワークロードを構築するためのものです。

Vertex AIのモデル作成では、機械学習モデルの反復的な学習を自動化できる「Auto ML(Automated Machine Learning)」の仕組みも利用できます。

Vertex AIの特徴は統合プラットフォームという点で、データセット作成、モデル作成、デプロイ管理、運用支援のために必要なサービスが統合されています。この統合されているという点がVertex AIの大きな特徴であり、メリットなのです。(※1)

すでにGoogle Cloud Platformをお使いの場合、ナビゲーションメニュー内の[Vertex AI]-[ダッシュボード]を選択すると画面が進み、データセットから始められます。興味がある方は、ぜひチェックしてみてください。

Vertex AIの特徴とメリット

Vertex AIはフルマネージドされた機械学習プラットフォームで、その統合性の高さが特徴です。機械学習モデルの構築からデプロイまでを包括的に行えるので、AI開発を効率化できます。

機械学習モデルの構築には、データ収集や処理、トレーニング、デプロイ、モニタリングといったステップがあり、目的ごとにツールが必要です。しかし統合されていないツールでは、目的ごとに別のツールを使わなければなりません。

従来のAI開発では、独立したツールを使って1工程を処理し、2工程目で別のツールで処理を行い……という繰り返しで、ツールの互換性が低いことで作業効率が落ちることが大きな課題でした。

しかし統合されたVertex AIなら、工程ごとに別のツールを使う必要がありません。ツールの互換性やデータ統合にかかる時間がなくなるので、開発を効率化できるのです。

一般的な機械学習ワークフローは、以下の通りです。(※2)

1.データセットを読み込む
2.データの準備(配列のフラット化やデータ型の変換)と特徴の設計(カテゴリのエンコードやエンベディングの作成)を行う
3.モデルを作成する(モデルアーキテクチャの選択やパラメータの調整、モデルのトレーニング)
4.モデルのデプロイ
5.予測の実行

一般的な機械学習ワークフローでは上記5つの工程が必要ですが、Vertex AIの導入で以下まで短縮できます。

1.データセットを読み込む
2.トレーニング予算を設定
3.Auto MLが処理を行う
4.予測の実行

Vertex AI事前構築済みモデルを使うことで、従来の機械学習で必要だったプロセスの多くをスキップできます。

従来ワークフローの②や③ではデータを整えるといった細かな作業が発生しますが、Vertex AIならこの部分が必要ありません。データセットを読み込みトレーニングの予算を設定すれば、Vertex AIが大部分を処理してくれます。そのため、スムーズに予測の実行まで進められるのです。

2023年6月から生成AIサポートを発表

2023年5月から一般提供を始めているVertex AIは、同年6月からは日本でも利用可能となり、生成AIのサポートも発表しました。具体的にはGoogleの大規模言語モデル(LLM)である「PaLM2」や、画像生成する拡散モデル「Imafen」Vertex AI上で利用できます。(※3)

上記モデルはVertex AIのモデル集である「Model Garden」に含まれています。ユーザーはこのモデル集を使うことで、ChatGPTのようなチャットbotなどの生成AI開発が可能です。

Model Gardenはすでに60以上のモデルが登録されており、コード補完や生成のためのモデルも利用できます。現在Googleが力を入れているVertex AIでは、今後Model Garden にGoogleに限らずサードパーティ製モデルも追加される予定です。

Vertex AIの料金【無料枠あり】

Vertex AIはモデルトレーニングや予測、デプロイなどその使用用途によって料金が異なります。一例として、の料金を表にまとめました。(※4)

Vertex AI内の生成AIサポート種類 料金
Imagen 画像生成(1024×1024px) 0.020ドル/枚
画像編集(1024×1024px)
生成サポートモデル PaLM 2 Text Bison 0.0010ドル/1,000文字
PaLM 2 Chat Bison 0.0005ドル/1,000文字
AutoML トレーニング(画像データ) 3.465ドル/1ノード時間(オブジェクト検出)
トレーニング(動画データ) 3.300ドル/1ノート時間(動作確認)

上記のように、GoogleのVertex AIは用途や種類によって料金が大きく変わります。詳細については、Vertex AIの公式サイトをご確認ください。

→Vertex AI公式サイト Vertex AI の料金
https://cloud.google.com/vertex-ai/pricing?hl=ja#video-data

Vertex AIのトライアルについては、Google Cloudを始めて利用する場合に無料トライアルを体験できます。また300ドルのクレジットが付いてくるため、トライアル後に有料プランを契約する場合、この300ドルのディスカウントを利用できます。

無料トライアルは90日間の期間限定で、経過後はクレジットが消滅します。無料トライアルの対象者については、Vertex AI公式サイトをご参照ください。

90 日間 $300 分無料トライアル

Googleは生成AIで企業需要の開拓を進める

ChatGPTをはじめ生成AIへの注目が日々高まっています。テキストに限らず画像や動画といったコンテンツにも使える生成AIは、今後ビジネスでも多くの分野で導入していくでしょう。

生成AI業界をけん引しているのは、やはりGAFAに代表されるようなメガテックです。中でも生成AIで競争を加速させているのがVertex AIを開発したGoogleやMicrosoftで、この2社は特に企業向けのソリューション開発に注力しています。

例えばMicrosoftは2023年1月にオープンAI製のLLMサービス「Azure OpenAI Service」の正式提供を行い、同年3月には「Microsoft 365 Copilot」を発表しました。

MicrosoftとGoogleは消費者だけでなく、企業向けの生成AIサービスの拡充に注力していることで有名です。今後もこの2社が企業向けの生成AIをけん引していくのかもしれません。

Vertex AIにおける企業の事例2選

最後に、実際にVertex AIを導入して成果を上げている2社の事例をご紹介します。

コカコーラ

コカ・コーラ ボトラーズジャパンは、約70万台もの自動販売機のデータ分析においてGoogle Cloudを採用しました。そしてVertex AIを活用し、MLOpsを実現しています。(※5)

MLOpsとは機械学習(ML)と運用(Operations)を組み合わせた造語です。Vertex AI により、ML パイプラインの構築から実行までの開発ライフサイクルを効率化する MLOps の実現に成功しました。

自販機の設置には、場所や商品、置き場所の予測が必要です。そこでコカコーラはVertex AIを使い、自動販売機の設置場所や製品で予測モデルを作り、地図上で分析できる仕組みを構築しました。

Vertex AIのおかげでシステム構築面での苦労は少なく、プラットフォームの検討から導入、予測モデルの構築や現場でのPoCからロールアウトまでを短時間で実現しています。

三菱重工業

三菱グループの重工業メーカーである三菱重工業では、Vertex AIのソリューション導入によって工場や航空機組み立てにおける生産性が改善しました。

江波工場における取組では自動化技術の高度化としてVertex AIを活用しており、切紛検知やWebカメラによる作業生産性指標の自動取得プロジェクトを進めています。

この作業では常にオペレーターによる監視が必要でしたが、Vertex AIを使った残置切粉有無の自動判定に加え、残置切粉の自動排除にも取り組み、試験環境で切粉検知を達成しました。今後は本番環境での導入に適用できるよう、開発を進めています。(※6)

機械学習を学びたい人、スキルアップをしたい人は、ぜひGoogleのVertex AIを試してみてください。

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参照サイト:
※1 https://cloud.google.com/vertex-ai?hl=ja
※2 https://www.youtube.com/watch?v=1Absf6KuQDY 5:00
※3  https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2306/11/news048.html
※4 https://cloud.google.com/vertex-ai/pricing?hl=ja#video-data
※5 https://cloud.google.com/customers/ccbj?hl=ja
※6 https://news.mynavi.jp/techplus/article/techp5839/

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