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デザイン作成にも活用されている生成AIについて

ChatGPTの登場以来、生成AIに注目が集まっています。
まるでSF映画に出てくるマザーコンピューターのように、質問に対して人間が作成したような自然な文章で回答する。。。まさに21世紀という感じですね。
生成AIの応用範囲は文章作成にとどまらず、画像や音楽にも応用されており、あらゆる分野に進出しつつある状況です。
今回は特に、デザイン分野で利用され始めた生成AIの例について見ていきましょう。

この記事でわかること
 ・生成AIについて
 ・Canvaに導入されたAIについて
 ・その他のデザイン系AIに関して

生成AIとは何か

まず初めに、基本的な用語の整理からしていきましょう。
ひとつ目は「生成AI」です。最近では当たり前のように使っていますが、簡単にその仕組みについて説明したいと思います。
キーワードは3つです。

◯ニューラルネットワーク

AIが飛躍的に進化した重要なステップの一つです。人間の脳内で起こる神経接続をコンピュータのアルゴリズムに応用したものです。
この新しい技術の導入によって、機械学習やディープラーニングを従来の手法より効果的・効率的に処理することが可能となりました。*注1

◯ジェネレーティブモデル

AIにあるデータセットを入力すると、そのデータを学習した上で新しいデータを生成することができるモデルを表します。
効率的な学習ができるアルゴリズムを採用すると、膨大な量のデータセットを必要とせず
「自ら学習する」ことで、統計的な法則を見つけ出し、それに従う新たなデータを生成することができます。

画像を生成するAIや音楽を生成するAIなど、生成系AIはいずれもこの仕組みをベースとして構築されています。
ちょっと乱暴な例えですが、「ニューラルネットワーク」は『生徒の頭の良さ』であり「ジェネレーティブモデル」は『適切な参考書と学び方を教えると、自分で新しい問題を作れるようになる』ようなことです。

この生徒はとても頭が良いのですが、学ばせる参考書が不適切だったり、学び方を間違えていると期待する成果を出すことができません。そこで、目的に合わせて適切にチューンアップすることが重要となります。

◯大規模言語モデル(LLM)

ChatGPTでは、ユーザーからの質問もAIからの回答も、自然な言語でやりとりすることができます。これは大規模言語モデル(LLM)の働きによるものです。言語に特化したジェネレーティブモデルであると捉えると良いでしょう。
大規模言語モデル(LLM)は、大量のテキストデータを学習し、人間と自然な会話ができるようにチューンナップされたモデルです。

さて、ここで本稿のテーマである「デザイン作成にも活用されている生成AI」を話題にしなくてはいけません。しかし、実は「デザイン」という簡単な用語には非常に広い意味があり、人によってイメージする対象が異なります。

ある人は建築物の外観デザインを、別の人はチラシやポスターのデザインを思い浮かべるでしょう。人生設計のような「計画」にもデザインという言葉が使われることがあります。
さらに洋服のデザインや工業製品のデザインなどもあり、実に幅広い分野でこの用語が使われています。

では生成AIの守備範囲はどこまででしょうか。人生設計には具体的な実例が見当たりませんが、それ以外の分野であれば、ほぼ生成AIがカバーすることが可能です。
具体的なサービスやアプリケーションも順次リリースされており、AIが活躍するシーンが日々増加しています。

建築分野ではCAD・BIMソフトで業界をリードするAutoDesk社が、ジェネレーティブ・デザイン機能を導入することを発表。
イラスト制作ではブラウザベースで操作できるドロー系ソフト「Canva」が、複数のAI機能を導入しています。PhotoShopやIllustratorなどDTP系ソフトで知られるAdobe社も、順次AI機能を既存ソフトに搭載する予定です。

他にもプレゼン作成ツール、アイコンやロゴ作成ツールなど、次々にAIが搭載され、これまでよりもスピーディかつ効果的なデザインを手に入れることができるようになってきました。
だからといって、全てがAI任せで良いということでもありません。AIはあくまで複数のデザイン案を素早く提示してくれる優秀なアシスタントの役割です。適切な指示・修正・選択など、重要な部分は人間の仕事です。

Canvaに導入されたAIについて

デザインソフトへの具体的なAI機能導入事例として「Canva」の例を取り上げてみましょう。テキストを入力するとオリジナル画像を出力してくれる生成AI機能以外にも、制作目的に従ったアシスタント機能など、一般的なAIを活用した新たな機能が充実しています。

◯Magic Write

ChatGPTのような自動文章生成機能です。デザイン系、しかもイラストや画像編集をするソフトウエアで文章作成?と違和感を感じる方もいるかもしれません。
 
私たちがイラストや画像を作成する時、多くのケースではプレゼンや資料に差し込むことが目的です。当然、画像に関する説明や関連する文章作成も伴うはずでしょう。
そんな時にChatGPTを使うことで、別に文章を作成する手間を省くことができます。画像作成だけでなく、関連する周辺作業もカバーしてくれるのが「Magic Write」です。

◯Magic Presentation

Magic Presentationは、プレゼンテーション作成をアシストしてくれるAI機能です。どんな内容のプレゼンテーションにしたいかをテキストで入力すると、それに応じたテンプレートを作成してくれます。コーポレートカラーを指定することも可能です。

プレゼン資料を作るときの、テンプレートをまとめサイトから探して、自社のイメージに合わせたアレンジを加えて、、、という最初の手間がかなり削減されます。
もちろん、生成されたデザインテンプレートそのままではなく、多少は手を加える必要があるでしょうが。その辺は「こだわり」次第と言えます。

◯Text to Image
 
テキスト入力からオリジナル画像を生成してくれる機能です。資料に差し込むイラストをネットから探してくる時、意外に困るのが「同じテイストのイラストを探すこと」です。

作者が違うと異なるイメージのイラストになってしまいますが、同じ作者で目的のイラストが揃うとは限りません。とは言え、あまりにテイストが異なるイラストを組み合わせると全体のバランスが悪くなります。

「Text to Image」を使うと、同じテイストで必要なイラストを生成することができます。これです、これ!こういうのが欲しかったんです。

資料を作成する時、実際に手を動かす時間よりも、考える時間や探す時間の方が圧倒的に長いことがあります。ここまで紹介した3つの機能がうまく活用できれば、かなりの効率化を実現できるのではないでしょうか。

他にも画像を一部修正してくれる「Magic Edit」や、不用な部分を自動で消去してくれる「Magic eraser」などが搭載されました。
Canvaは単なる画像作成・修正ソフトから、オールインワンの「画像特化型資料作成支援ツール」として進化しています。

Canvaは無料で使うこともでき、PCからはブラウザベースで利用できるツールです。スマホアプリなどもあり、デバイスに制限されません。
社内資料を作るぐらいであれば、IllustratorやPhotoShopを使う必要もないぐらい便利になってます。まだ使ったことのない方はこの機会にぜひ一度試して見るとよいでしょう。*注2

その他のデザイン系AIに関して

デザイン系AIとして、少しユニークな事例をご紹介しましょう。

生成AIではないのですが、実際に有名企業がパッケージデザインにAIのアシストを活用して売り上げを伸ばした例です。

カルビーがパッケージデザインに利用したのは、2019年にリリースされた「パッケージデザインAI」です。1000万人以上の学習データを元に、わずか10秒でパッケージデザインを評価することができます。
好感度を5段階で評価したり、パッケージのどの部分に注目が集まるかをヒートマップで表示するなど、客観的で豊富なデータを出力する優れものです。

こうしたAIのアシストを受けて、パッケージデザインを一新した「クランチポテト」は、売り上げが1.3倍に伸びるなど、大きな成果を出しています。
売り手が意識したイメージや特徴をパッケージデザインが十分に表現できてない、そんな時にAIが大きな役割を果たした実例となりました。*注3

AIを使ったサービスが次々に実用化され、市場に投入されています。こんなこともできるのか?という驚きを与え続けていますが、すでに即戦力として有名商品のデザインにまで活用されています。この動きは今後も止まる事なく、確実に拡大していくでしょう。

【まとめ】
2000年代に入り将棋AIが登場し、棋士の存在意義やAIをどう活用するのかなど新たな視点に基づいた議論が起こりました。
その後、生成AIの飛躍的な進化に伴い、私たちの日常生活やビジネスの最前線に大きな変化を起こしています。その変化に対して、私たちは決して臆する事なく、楽しみながらうまく活用することが一番重要ではないでしょうか。いよいよ21世紀!という感じがしてワクワクします。

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■参考文献
注1
IBM 「ニューラル・ネットワークとは」
https://www.ibm.com/jp-ja/topics/neural-networks

ビジネス+IT 「ニューラルネットワークの基礎解説:仕組みや機械学習・ディープラーニングとの関係は」
https://www.sbbit.jp/article/cont1/33345#head3

注2 
マイナビニュース 「デザイン生成から営業資料・企画書作成まで、幅広いシーンに役立つ!AI機能を搭載した「Canva」」
https://news.mynavi.jp/techplus/kikaku/sateraito_AI-3/

Canva 「AIデザインでアイデアを視覚化しよう」
https://www.canva.com/ja_jp/magic-design/

「無料のオンラインAI画像生成機能」
https://www.canva.com/ja_jp/ai-image-generator/

注3
CNET Japan 「カルビーのポテチを売上1.3倍にしたAIの正体–プラグの「パッケージデザインAI」の実力」
https://japan.cnet.com/article/35169952/

PLUG AI 「パッケージデザインAIver 8.1」
https://hp.package-ai.jp/

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