生成AIを使ったコーディングでGoogle Homeがさらに便利になる?
生成AIの登場はAI運用のあり方を大きくアップデートする機会になった技術革新と言え、さまざまな企業がこれに関連するサービスの開発と提供を進めています。
スマートホーム化を促進するGoogle Homeもまた、生成AIの普及によって新しい価値を生み出そうとしているサービスです。
この記事では、そんなGoogle Homeが新たに提供を開始した、コーディング自動生成AIを実装するツール「Help me script」について、その概要を解説します。
目次:
- Google Homeについて
- Google Home活用の課題
- コーディングの自動化生成AIツール「Help me script」とは
- コーディング自動化で実現すること
- 自動スクリプトによってGoogle Home活用はどう変化するか
Google Homeについて
Google Homeは家庭用にGoogleが2017年に販売している、スマートスピーカーの一種です。Google Assistantと呼ばれるAIが標準搭載されており「OK、Google」などと呼びかけることで、スピーカーを音声操作することができます。
Google Homeには現在複数のバリエーションがあり、大きさや機能などの違いを備え、さまざまな消費者のニーズに応えられる製品として一定のシェアを獲得しています。
Google Home活用の課題
AIによる音声認識機能を備えたGoogle Homeは、家庭のIoT化を促進するプラットフォームとしての活躍が期待されてきました。音声操作だけであらゆる家庭内のタスクを完了できるというビジョンは、発表当時から現在に至るまで、多くの人の関心を集めています。
ただ、Google Homeはまだこれ以外のIoT機器が広く普及していないこともあり、発売から6年ほど経った現在でも爆発的な普及には至っていません。これにはいくつかの原因が考えられますが、その一つと言えるのが拡張性の問題です。
Google Homeがあればなんでもできるとはいえ、なんでもやらせるためには自宅の都合に合わせてプログラムをGoogle Homeに学ばせる必要があります。問題は、Google Homeに家のタスクを学習させる過程です。
Google Homeを使って柔軟にタスクをこなさせるためには、ユーザーがプログラムを組み、実装しなければなりません。AIはおろか、プログラミングに明るくない人が世の中の大多数を占めている以上、より簡単にGoogleにタスクを覚えてもらえる機能の追加が待たれてきました。
また、Google Homeのコーディングには「YAML」と呼ばれる専門のプログラムデータ形式が採用されていることも、余計にユーザーを遠ざける原因となっていると考えられます。
コーディングの自動化生成AIツール「help me script」とは
このような課題を解消するべく、Googleが2023年後半より実装を予定しているのが、コーディングの自動化生成AIツール「help me script」です*1。これはGoogle Homeに搭載されているGoogleアシスタントのオートメーション機能「Routine」にて利用可能な、スクリプトエディター機能の自動化ツールの一環として提供されます。
現在でもスクリプトの作成はある程度自動化されているものの、プログラミングの経験とスキルがなければその内容を理解しアウトプットすることができず、一般消費者向けとは言い難いのが問題です。
そこで登場したのがこのhelp me scriptで、同ツールの最大の特徴は自然言語でのコントロールができるところにあります。ChatGPTやBardのように、自然言語でAIに実装したい機能を伝えるだけで、それに最適なコードを自動で作成してくれるのが特徴です。
また、自動生成されたコードについては自分で編集もできるので、プログラマがオリジナルのコードを記述する際の土台としても役に立ちます。コーディングの知識がある人、及びない人の両者にとって、非常に便利なオートメーション機能となるでしょう。
コーディング自動化で実現すること
コーディングの自動化がhelp me scriptによって実現すれば、Google Hom利用に伴うコーディングをより身近なタスクにしていくことができるでしょう。
これまでコーディングの知識がなく、Google Homeのデフォルト機能しか使えなかったという人は、help me scriptを使って実際に試したかった機能を気軽に実装できるようになります。
また、コーディングの知識はあっても高度な制御のスキルはできなかった場合、help me scriptがあればより複雑な制御が可能になります。
例えばランプのオンオフはできたが、それ以上の制御はできなかったという人は、help me scriptに「4月から10月は午後18時になったら、11月から3月は午後17時になったら、自動でランプをオンにする」といった細かな制御を行えるようになるでしょう。
ただ家電をGoogle Homeで操作するだけではなく、操作に関する高度な条件設定を、簡単に実行できます。
自動スクリプトによってGoogle Home活用はどう変化するか
このようなGoogle Homeの高度な操作を実現し、スクリプティングそのものを身近にしてくれるhelp me scriptの存在は、Google Home、ひいてはスマートスピーカーのあり方をアップデートする機会になるかもしれません。
スマートスピーカーの普及が進まない理由には、わざわざ導入するほどの利便性を感じない、操作を覚えるのが面倒といったことも挙げられるでしょう。
ただ、help me scriptのような自動化ツールが普及すれば、消費者が自ら好きなようにAIを制御でき、家電をコントロールできるようになるため、従来とは比較にならないほどの利便性を得られます。
まだ実装こそされていませんが、自然言語でスクリプトを書くことができるようになったということは、今後は音声操作だけで新たに制御コードを書き、PCを開かずとも制御できるようになる可能性も示唆しています。
このような運用方法が可能になれば、スマートスピーカーはますます生活に根深く関与するデバイスとなることは間違い無いでしょう。
まとめ
この記事では、スマートスピーカーであるGoogle Homeの制御に役立つhelp me scriptについて、解説しました。生成AIを使ったこのコーディング自動化ツールは、今後のスマートスピーカー運用のあり方を刷新する可能性を秘めた、画期的なサービスです。
まずは正式リリースを気長に待ち、実際に自分の目でその実力を確かめておきたいところです。
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*1 Google「Google Home: How AI can help create custom Routines」
https://blog.google/products/google-nest/google-home-custom-routines-ai/