1. TOP
  2. ブログ
  3. BIMでよく聞く「IFC」とは何? 活躍するシーンを紹介

BIMでよく聞く「IFC」とは何? 活躍するシーンを紹介

建設業界のデジタルトランスフォーメーションにより実務でもBIMの利活用が広まってきました。そのなかで、「ICT」や「CDE」など、よく見るけど内容はあまりわかっていない言葉が増えてきているという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、BIMでよく見る言葉のひとつ「IFC」について解説します。

どのようなシーンで活躍するのかも紹介するので、実務でもIFCを使いこなし、BIMでのやり取りをスムーズに行えるようになりましょう。

IFCって何?

それではさっそくIFCの概要について説明します。

拡張子に関する基本的な説明から始めるので、コンピューターが苦手な方でもぜひご覧になってみてください。

そもそも拡張子とは

IFCは、コンピューターで扱うファイルの「拡張子」のひとつです。

では、そもそも拡張子とは何でしょうか。

拡張子とは、ファイル形式のことをいいます。ファイルを作成したときに、ファイル名称の末尾に「.(ドット)〇〇〇」と表示されているのがそのファイルの拡張子です。Microsoft Wordファイルの「.doc」、Microsoft Excelファイルの「.xls」などが例として挙げられます。

ここで留意しておきたいのが、「汎用的な拡張子」と「ソフトウェア特有の拡張子」があるということです。

文章を扱うファイルを例に挙げてみましょう。

文章を扱うソフトウェアとしてはMicrosoft Wordが有名です。前述のとおり、Mirosoft Wordの拡張子は「.doc」であり、これはこのソフトウェア特有の拡張子であるといえます。

一方、同じく文章を扱うソフトウェアとして一般的なのが、Windowsのメモ帳です。メモ帳で作成したファイルは基本的に「.txt」という汎用性の高い拡張子で保存されます。「.txt」のファイルは、Microsoft WordやGoogle Docsなど、さまざまなソフトウェアで扱えるのが特徴です。

今回の主役であるIFCは、汎用性の高い拡張子です。

BIMの世界では、さまざまなソフトウェアで扱える「IFCデータ」と、各ソフトウェア特有の拡張子で保存されている「ネイティブデータ」があることを理解しておくとさまざまなやり取りを進めやすくなるでしょう。

IFCとは*1

IFCを策定したのは、建物データの共有化、相互運用を可能にするために活動している「buildingSMART」という国際的な団体です*2。以下にbuilding SMARTが定義しているIFCの意味を紹介します。*1

I (Industry)

  :建設業界(Industry)

F (Foundation)

  :共有のプロジェクト・モデルの基礎(Foundation)

C (Classes)

  :合意のもとに構築するための共通な言語としてのクラス(Classes)

この定義から、建設業界でプロジェクト・モデルを共有するために使用する共通ファイル形式であることが読み取れます。IFCは国際的に使用されており、BIMソフトウェアはIFC形式によるエクスポート・インポート機能を有しているのが一般的です。

IFCの特徴は、BIMが持つ建築的な情報や特性を保存できることです。これにより、建設業界のソフトウェア・アプリケーション間でデータを共有したときに、BIMの情報を失うことなく読み込むことができます。IFC形式でエクスポートしたモデルを転用すれば、意匠・構造・設備の設計検討や施工計画だけでなく、積算、維持管理など、さまざまな業務の効率化を図れるのです。

国土交通省は、BIMデータのやり取りをIFC形式で行うことを示しています*3_P.1。

既に直轄事業においては構造物モデルのIFCデータとネイティブデータの納品を求められています。民間事業においても、国土交通省の事業に倣いIFC形式でのやり取りがますます広まることでしょう。

IFC検定とは*3_P.2

上記のように、IFCは国際的に使われている汎用拡張子であり、日本でも使用ケースが増えています。しかし、BIMのプロジェクト横断的な活用を実現するためには、闇雲に使うのではなく、IFCの標準的な仕様や正しい使い方を理解しなければいけません。

そこで、buildingSMARTの日本支部であるbuildingSMART JAPANは、「IFC検定」を実施しています。IFC検定は、「IFCデータ連携の技術的仕様を国際IFC認証の枠組みに合わせて明文化し、IFCデータ連携の技術的内容を客観的に確認できる仕組みの構築を目指して実施するもの」(国土交通省)とされています。

IFCを使って正しく効率的にデータ連携を実施するため、IFC検定に取り組んでみるのもよいかもしれません。

IFCを扱えるソフトウェアの例

ここでは、IFCを扱える代表的なソフトウェアを紹介します。

BIMソフトウェアだけでなく、解析や積算関係のソフトウェアでもIFCを扱えるケースが増えています。BIMを扱えるソフトウェアを積極的に活用し、さまざまな部門の業務改善を図ってみてはいかがでしょうか。

設計ソフトウェアRevit*4、ArchiCAD*5
ビューワ、施工管理ソフトウェアNavisworks*6、BIM Collaborate Pro*7
設備設計ソフトウェアTfas*8、Rebro*9
構造解析ソフトウェアMidas*10
鉄骨モデリングソフトウェアTekla Structure*11
数量積算ソフトウェアHELIOS*12、すけるTON*13

IFCでモデルをやり取りするシーン

ここからは、IFC形式でモデルをやり取りする具体的なシーンを紹介します。

現在の実務でも思い当たるシーンがあるかもしれません。

設計・構造・設備のモデルの重ね合わせ

設計関係者であれば、IFCをよく使うのはモデルを重ね合わせる場面です。

設計の実務では、意匠設計者はArhiCAD、構造設計者はRevit、設備設計者はRebroなど、それぞれが異なるソフトウェアを使っているケースが一般的です。そのようなときでも、IFC形式でモデルをエクスポートし、ビューワソフトに取り込んで3つのモデルを重ね合わせることで干渉チェックなどを実施できます。

重ね合わせによる干渉チェックは、施工段階での課題を早期に解決する手段として一般的な取り組みになってきています。これからも実施する機会は増えていくことでしょう。

建築確認申請*14

設計関係者の業務のひとつである確認申請でもIFCの活用が検討されています。

国土交通省がBIM確認申請を実現するために構築を進めているのが確認申請用CDEです。さらに、確認申請用CDE上のモデルを使用した図面審査やデータ審査が検討されています。

審査に用いるデータはIFC形式が指定されているため、今後のBIM確認申請においては作成したモデルをIFCでエクスポートして提出することになりそうです。

設計から施工にモデルを引き継ぐ

設計が完了すると、モデルは施工者に引き継がれます。そのときは、設計者がIFC形式のデータをエクスポート、施工者がそれをインポートすることになるので、それぞれの担当者が決められたルールでIFCを扱えるようにならなければいけません。

BIMデータの扱いのルールは、会社ごと、プロジェクトごとに決められているのが現状です。担当者間でしっかりと目線合わせを行い、情報の洩れや間違いが生じないようにしましょう。

これからもIFCが活躍するシーンは増える可能性が高い

前述のとおり、IFCは国際的なBIMの汎用拡張子です。国内でも対応しているソフトウェアが増えていることから、今後もIFCが活躍するシーンは増えていく可能性が高いと推測されます。積極的にIFCのエクスポートやインポートを行い、自在に操れるようになると、BIM業務に伴うストレスを低減できるかもしれません。

おわりに

IFCをはじめ、BIMに関する新しい言葉が続々と登場しています。その数の多さからすべてを完全に理解するのは難しいのが実情ですが、頻繁に見かける言葉は知っておくとスムーズにBIMの業務に取り組めることでしょう。

建設・土木業界向け 5分でわかるCAD・BIM・CIMの ホワイトペーパー配布中!

CAD・BIM・CIMの
❶データ活用方法
❷主要ソフトウェア
❸カスタマイズ
❹プログラミング
についてまとめたホワイトペーパーを配布中

*1

出所)building SMART JAPAN「IFCとは」

https://www.building-smart.or.jp/ifc/whatsifc/

*2

出所)buildingSMART JAPAN「buildingSMART JAPANとは」

https://www.building-smart.or.jp/aboutbsj/whatsbj/

*3

出所)国土交通省「オリジナル形式とIFC形式の関係について P.1-2」

https://www.nilim.go.jp/lab/qbg/bimcim/training/pdf/2/2.3.2.pdf

*4

出所)Autodesk「Revit LTおよびIFCについて」

https://help.autodesk.com/view/RVTLT/2024/JPN/?guid=GUID-6708CFD6-0AD7-461F-ADE8-6527423EC895

*5

出所)Graphisoft「IFCモデルをARCHICADにインポート」

https://help.autodesk.com/view/RVTLT/2024/JPN/?guid=GUID-6708CFD6-0AD7-461F-ADE8-6527423EC895

*6

出所)Autodesk「Navisworks 製品概要 P.3」

https://bim-design.com/infra/assets/file/product_slide_navisworks.pdf?ver1.0.1

*7

出所)Autodesk「BIM Collaborate Pro P.2」

https://bim-design.com/uploads/bim-collaborate-pro-brochure-ja.pdf

*8

出所)株式会社ダイテック「IFC入出力、Revit連携」

https://www.daitec.jp/catalog/BIMsolution/bim_02.html

*9

出所)株式会社NYKシステムズ「IFCの読み込み・保存 P.1」

https://www.daitec.jp/catalog/BIMsolution/bim_02.html

*10

出所)株式会社マイダスアイティジャパン「IFC書き出し機能の使用方法」

https://www.midasuser.com/jp/support/faq_view.asp?idx=11901&sk=&so=&sort=&bid=16&nCat2=&field=3&prog=CIM&pg=4

*11

出所)株式会社トリンブル・ソリューションズ「IFC形式でのエクスポート」

https://support.tekla.com/ja/doc/tekla-structures/2023/int_exporting_into_ifc

*12

出所)株式会社バル・システム「BIM連携」

https://www.val-system.co.jp/service/helios/bim

*13

出所)株式会社カルテック「すけるTON 構造パック 機能一覧」

http://www.caltec.co.jp/product/skeleton_kozo/detail.html

*14

出所)国土交通省「建築BIMの将来像と工程表の改定(増補)について P.3-4」

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/001594113.pdf

    カテゴリ一覧

    PAGE TOP