Revit2022の新機能とは?アップグレードの注意点も解説
BIMツールとして高い認知度を持つRevitは、3Dモデリングはもちろん図面作成、干渉チェックや構造解析などさまざまな業務を効率化できます。2022年2月にリリースされたRevit2022はコラボレート機能やパフォーマンス向上など、多くの新機能が搭載されました。
この記事ではRevit2022について、主な新機能をご紹介します。Revitをアップグレードする際の注意点もご紹介しますので、興味がある方はぜひ最後までお読みください。
この記事を読むと、以下の3つのことが分かります。
1.Revitの特徴や魅力
2.Revit2022の新機能
3.Revitをアップグレードする時の注意点
Revit2022の新機能
建築・土木業界におけるBIMツールとして世界的なシェアを持つRevit。図面作成や数量管理はもちろん、豊富なプラグインで柔軟なカスタマイズができ、性能が高いことから世界中で支持されています。
Revitは毎年アップグレードされており、2022ではコラボレート機能の強化やユーザーインターフェースの改善、作業効率化を狙ったさまざまな新機能が搭載されています。
ここでは、Revit2022の主な新機能について、コラボレート機能の強化・作業の効率化・ユーザーインターフェースの強化という3つに分けてご紹介します。
コラボレート機能の強化
Revit2022では、コラボレート機能を強化するために以下の新機能が追加されました。
2Dビューの共有
3DモデリングツールRhinocerous(ライノセラス)のファイルリンク
それぞれについて、順番に解説します。
2Dビューの共有
Revit2022では、[共有ビュー]のコマンドボタンから3Dモデルの2Dビューをクラウド内のプロジェクト関係者と共有できるようになりました。この新機能によって、Revitを持っていないメンバーともコラボできるようになります。
さらに関係者なら共有ビューでコメントや返信といったやり取りも可能で、意思疎通が効率化します(※1)
3DモデリングツールRhinocerous(ライノセラス)のファイルリンク
Rhinocerousで設計した3DMファイルをRevitにリンクさせることで、Revitでも設計できるようになりました。Rhinocerous側で設計したファイルを更新したときは、そのファイルをRevit内のモデルにリロードすることで常に最新状態を保てます。
Rhinocerousとは3次元モデリングツールで、3Dや2Dの図面制作やレンダリングが可能で、建築や自動車といった様々な分野で人気があるツールです。Revit2022よりファイルがリンクできるようになり、Rhinocerousユーザーとのデータのやり取りがより効率化します。(※1)
作業の効率化
Revit2022では、作業の効率化を目的として以下の新機能が追加されました。
PDF書き出し
カウント機能で集計作業の自動化
集計表のCSV形式による書出
それぞれについて、順番に解説します。
PDF書き出し
Revit2022よりPDFファイルへの書き出しが追加され、直接2Dビューとシートを書き出せるようになりました。複数の図面やシートをまとめて印刷する「バッチ印刷」にも対応しているので、ファイルを結合することでより効率的な書き出しが実現します。(※1)
カウント機能で集計作業の自動化
Revit2022では、カウント機能によってブロックやジオメトリの集計作業が自動化できます。人が数える必要がないので作業時間やヒューマンエラーの軽減効果があり、作業を大幅に効率化できます。(※2)
集計表のCSV形式による書出し
Revit2022では、ファイルの[書き出し]機能より集計を書き出し、CSVファイルに変換できるようになりました。集計表の書き出しダイアログよりタイトル・列見出し・グループ見出しなどの外観を指定でき、区切り記号もオプションより選べます。(※3)
他ツールとの互換性において、CSV形式は大変使い勝手の良いデータです。この新機能により、より他のツールと連携しやすくなり作業効率がアップします。
ユーザーインターフェースの強化
Revit2022では、ユーザーインターフェースの強化として以下の新機能が追加されました。
マルチ引出線タグ
テーパー付き壁の設定
3Dビューでの通り芯表示
それぞれについて、順番に解説します。
マルチ引出線タグ
Revit2022より[注釈]グループにマルチ引出線タグが追加されました。これにより、複数の要素をひとつのタグで指示できるようになります。(※1)
例えば同じ窓が4つ並んだデザインで窓のデザインをタグ付けしたい時などに使うことができ、複数ある同じ要素の部材に効率的に注釈をつけることができます。
テーパー付き壁の設定
Revit2022では壁のテーパー設定ができるようになり、傾斜壁やテーパー壁も設定できるようになりました。対象の壁のプロパティから角度を設定できますし、建具の配置も可能です。(※4)
Revit2021までは作成できる壁は床から90度のみで、傾斜壁の作成では[壁(面)]を使うかインプレイスファミリを設定する必要がありました。Revit2022以降は、断面を使って壁の内角と外角を個別に設定でき、断面にテーパーを付けることが可能となりました。
3Dビューでの通芯表示
Revit2022では、3Dビューでの作業時にモデルの通芯を表示したり修正したりできるようになりました。(※1)
通芯(とおりしん)は“通り芯”とも表記され、壁や柱の中心を通る線の事です。水平(平面)方向の基準となる線で、何もない敷地に建設する際はこの通芯を基準とするほど重要なものです。
例えば窓の配置なら「通芯から100mmの場所」など通芯を基準とすることで、明確に位置を指定できます。
3Dビューのプロパティ[グラフィックス]より[グリッドを表示]の横にある[編集ボタン]から、[グリッドを表示]ダイアログから通芯線を表示するレベルのチェックボックスをオンにすることで表示できます。
通芯は構造のレイアウトやモデル内の要素の配置を目的とした、名前が付いた参照面のセットです。レベル面とグリッドサービスの交点を通芯線として表示しており、レベル位置が変更されたら自動手で更新されます。
Revitのアップグレードで注意したいこと
Revitのアップグレード自体は難しくなく、ファイルやプロジェクトといったRevitモデルを新しい製品バージョンで開けば、自動的にアップグレードしてくれます。
しかしアップグレードするにあたり、注意点として以下の2つは知っておいてください。
下位互換はできない
バージョンはスキップしない
それぞれについて、順番に解説します。
下位互換はできない
Revitは下位互換ができず、旧バージョンのデータ形式で保存したり、旧バージョンで新しいRevitのファイル形式を扱ったりすることはできません。また一度アップグレードしたら、バージョンを下げる「ダウングレード」もできないので気を付けましょう。
例えばMicrosoft Officeなら「互換モード」として旧バージョンのファイルを開くことができますが、Revitではできません。
アップグレードした後に旧バージョンのファイルを開くと、Revitが自動で現在のバージョンにアップグレードします。その際はダイアログが表示され、他ユーザーにも通知されるようになっています。
バージョンはスキップしない
Revitは毎年アップデートされますが、その都度アップデートしないユーザーも多いものです。例えばRevit2022から2024にスキップしてアップグレードする場合、スキップはせず、2022→2023→2024と順番に行ってください。
スキップしてバージョンアップできない仕様ではありませんが、スキップすると上手くアップグレードできない事例が報告されています。そのため、オートデスクの公式サイトでも順番にアップグレードすることを推奨しています。(※5)
Revit2022の主な新機能やアップグレードについてご紹介しました。Revit2022は作業の効率化や細かなユーザーインターフェースの強化などの目的で新機能が追加されており、旧バージョンよりも使いやすさがアップしています。Revit2022の導入や2022へのアップグレードを検討している方の参考になれば幸いです。
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参照サイト
※1
https://adndevblog.typepad.com/technology_perspective/2021/04/new-features-on-revit-2022-part1.html
※2 https://blogs.autodesk.com/autodesk-news-japan/autocad-2022/
※3 https://help.autodesk.com/view/RVTLT/2024/JPN/?guid=GUID-710B830F-4D4A-4321-A84C-3D4747581DD6
※4
https://help.autodesk.com/view/RVT/2022/JPN/?guid=GUID-39664D84-4FC5-4582-A6EF-65ED0F2EB1A4
※5
om/view/RVTLT/2024/JPN/?guid=GUID-710B830F-4D4A-4321-A84C-3D4747581DD6