自動作図システムとは?CADやBIMに与えるメリットや主な製品を解説
CADは現代の設計業務には欠かせないツールとして知られています。また、最近では次世代の3DモデリングをBIM導入によって推進する企業も増えており、現場の効率化が進んできました。
これらの技術をさらに有効活用するための方法として、併せて注目されているのが自動作図システムです。この記事では自動作図システムとはどのようなツールなのか、CADやBIM活用にどんなメリットを与えるのかについて、解説します。
目次:
- 自動作図システムとは
- 自動作図システムが注目される背景
- 自動作図システム導入のメリット
- 自動作図システムの主な機能
- 人気の自動作図システム
自動作図システムとは
自動作図システムは、フォーマットに作成したいモデルの寸法などを入力することで、自動で図面を作図してくれるツールです。
作図作業は基本的に、正確に要件を図面に反映しなければなりません。そのためどれだけ描画そのものはツールに任せることができても、実際の図面を描く作業全体の進行は人間が手がける必要がありました。
一方で自動作図システムは、図面の描画工程全体を自動化することができます。オペレーターは線を引いたりする作業を解消でき、正確かつスピーディな図面作成が実現できる技術です。
作図作業は複雑な工程を含むものが多い一方、シンプルな要件にまとめられている図面も存在します。
自動作図システムは、特にこのようなシチュエーションにおいて活躍が期待できる製品です。自動作図システムを使って、生産性の向上を実現できます。
自動作図システムが注目される背景
自動作図システムのようなツール導入が進んでいる背景には、人材不足の深刻化が挙げられます。
近年は多様な業界で人手不足が深刻化していますが、CADやBIMを運用する建設業界などは特に影響が大きいのが現状です。
CAD運用やBIM運用の人材を確保するのが難しい理由の一つに、ある程度の専門的なスキルの取得が求められる点が挙げられます。人手が足りないからといってすぐに穴埋めができるわけではなく、人材の育成に時間をかける必要があるため、拡充には時間がかかるわけです。
そこで活躍するのが、自動作図システムです。自動作図システムを使って業務上発生する比較的単純な作図作業を自動化することで、人手不足を穴埋めし、人材をより高度な業務に配置することができます。
自動作図システム導入のメリット
自動作図システムの導入は、業務効率化において絶大な効果を発揮します。どれだけシンプルな図面の作成であっても、人の手でそれを行うとなると、効率化にも限界があるものです。
一方で自動作図システムは、寸法さえ入力してしまえば、あとは自動的に図面が生成されます。作図負担がほぼ丸ごと解消されるといっても過言ではないでしょう。
また、自動作図システムでは図面の生成そのものを自動化できるだけでなく、高速で図面を作成できるという点もメリットの一つです。
通常の人力作業では、一つの図面を作成するのにはそれなりの時間を必要とします。自動作図システムを使えば、寸法を入力すると瞬時に図面が生成されるため、所要時間は人の手に比べるとごくわずかです。
加えて、自動作図システムはプログラムに則って、ミスのない作図を行ってくれるのも魅力と言えます。手動での作図作業は、どれだけベテランが対応しても、常にケアレスミスのリスクが残ります。
一方の自動作図システムは、そのようなヒューマンエラーのリスクがほぼありません。プログラムの通りに図面が生成されるので、安心して仕事を任せることができます。
自動作図システムの主な機能
自動作図システムを運用する場合、以下のような流れ図面の作成を行います。どんな処理が発生するのか、確認しておきましょう。
寸法データの入力
自動作図システムを使用するには、まずシステムに寸法データを入力する必要があります。
システムへの寸法データの入力は、主にExcelを使って流し込みます。Excel上で作成したフォーマットに、あらかじめ用意した寸法データを入力しましょう。
入力情報の確認
Excelに入力したデータが有効なものかどうか、自動作図システム上で図面に反映する前に確認の工程を挟みます。ExcelにもVBAと呼ばれる自動化システムがあるので、これを使って作図前の確認を行います。
自動作図の実行
Excelデータを自動作図システムに流し込み、自動作図を実行します。読み込んだデータに問題がなければ、事前に入力していたデータ通りの図面がシステム上で生成されます。
自動作図の内容は、製品によって様々です。2Dの図面作成にのみ対応しているものもあれば、BIM運用可能なデータに仕上げてくれるものもあるなど、必要に応じて多様な製品の中から自社に合ったものを選ぶと良いでしょう。
図面の活用
作図した図面は、そのまま従来の工程通りに使用することができます。下流工程に図面を共有し、業務を遂行してもらいましょう。
また、自動作図システムを使って生成した図面を、CADソフトやBIMソフトに読み込ませることで、モデルを自動で作成するような運用方法も可能です。必要があれば、別途モデルの自動生成に対応したサービスの導入も検討しましょう。
人気の自動作図システム
自動作図システムには、複数の種類が存在しています。ここでは日本での運用に対応している、人気の自動作図システムをピックアップして紹介します。
CAD自動作図システム・3D(アイ・シー・エス)
アイ・シー・エスのCAD自動作図システムは、Excelからデータを入力して、寸法通りの図面を作成してくれるシステムです。
主に製造業界での運用を想定しており、CADソフトであるSOLIDWORKSとの連携運用に対応しています*1。
自動作図システム(CDX)
CDXの自動作図システムは、ExcelデータとCADソフトを連携して運用するタイプの製品です。
自動作図システムの導入に加え、図面とデータの連携やIoT活用などの複数のソリューションの導入を支援しているため、建設DXをまとめて推進したい場合に活躍します。
A5-AD2020system Ver.1(Arch 5)
Arch 5のA5-AD2020system Ver.1は、BIM運用に対応した自動作図システムです。ARCHICADとの併用を想定しているソフトで、2D図面を3D化する上でも活躍できます。
図面データから集計表を取り出して内訳表を作成するなど、高度なデータ運用に対応している製品です*2。
まとめ
この記事では、自動作図システムとはどのような製品なのか、導入によってどんなメリットがあるのかについて解説しました。
高度な図面作成の自動化は、すでに現場での採用が進んでいます。今後はユーザビリティの改善やデータ連携機能も拡充され、より使いやすいシステムが登場することにも期待できます。
早いうちからシステムを導入し、有効活用できるノウハウの蓄積に努めましょう。
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出典:
*1 アイ・シー・エス「CAD自動作図システム」
https://www.ise-ics.co.jp/cases/cad-auto-drawing-3D/
*2 Arch 5「A5-AD2020system Ver.1」