1. TOP
  2. ブログ
  3. 中国のクラウド3D CAD雲図三維とは?中国のBIM状況もご紹介します

中国のクラウド3D CAD雲図三維とは?中国のBIM状況もご紹介します

「3D CADの雲図三維とは何?」

「中国のBIMは進んでいるの?」

と興味をお持ちの方へ。中国のスタートアップ企業が「雲図三維(CLOUDCAD)」(yun tu san wei)というクラウド3D CADの開発を行い、数億円以上の資金調達に成功しました。クラウドならではのメリットも多く、今後の活用を期待されています。

この記事では中国の雲図三維というソフトの概要や中国特有のIT状況、BIMの状況をご紹介します。

この記事を読むと、以下の3つのことがわかります。

1.クラウド3D CAD雲図三維の概要

2.クラウド3D CAD雲図三維の魅力

3.中国のBIM状況について

資金調達に成功したクラウド3D CADツール雲図三維とは

2022年5月、クラウド3D CADプラットフォーム「雲図三維」を開発した中国企業「雲図軟件科技」が合計数千億円の資金調達を行ったと発表がありました。(※1)

雲図軟件科技は2020年1月に設立したスタートアップ企業で、製造業向けの3D CADをクラウド化させるビジネスを行っています。具体的にはモデリングやアセンブリー(組立)、ドラフィング(製図)やレンダリング(画像生成)といった機能を一体化したプラットフォーム開発を行っています。

3D CAD 雲図三維の特長

雲図三維の特長は、大きく分けて以下の3つです。

1.  オンラインでモデリングが行えること

2.  スピーディーな作図が可能になったこと

3.  「ミニプログラム」によってスマホからでも使用できること

雲図三維はクラウドで使用できる3D CADですから、オンラインでモデリングできます。またクラウドCADの技術は難度や競争力が大変高いため、雲図三維では略図とモデリングの幾何アルゴリズムや製図アルゴリズム、制約ソルバーといった技術を自社開発することで技術のクラウド以降を進めた点が大きな特徴です。

雲図三維は上記の幾何アルゴリズムと制約ソルバーをブラウザ側で構築することで、タイムラグの消滅に成功しました。クラウドタイプのCADソフトは大量の演算処理が発生するため、一定のタイムラグが発生しがちです。

しかし雲図三維は新しいシステムを開発することで、タイムラグがなく、作図過程でもリアルタイムかつスムーズに画像が変化する仕組みを実現しました。

プロダクト開発では「ビジュアル」と「双方向のやり取り」を重視しており、ユーザーからの声を隔週で更新するスピーディーな対応もとっています。

“ミニプログラム”とは?

雲図三維の魅力の1つとして、スマホの”ミニプログラム“からの使用も可能という点があります。しかしミニプログラムという言葉が耳慣れない方も多いのではないでしょうか。

ミニプログラムとはアプリ上で動く細かいプログラムの総称で、中国では巨大IT企業テンセント社が、「WeChat」(ウィーチャット)に搭載したことで有名になりました。WeChatとは日本でいうLINEのようなメッセンジャーアプリで、口座登録や決済サービスなども搭載された大変メジャーなアプリです。

ミニプログラムは「アプリの中のアプリ」といったイメージで、例えばWeChatの「ミニプログラム」コーナーからマクドナルドのミニプログラムを起動し、モバイルオーダーで注文といった操作ができます。

ミニプログラムはインストールやアカウント登録、決済方法の設定が不要で利用できるのでアプリより多くリリースされ、中国ではIT業界に大きな変化をもたらすとさえ言われる技術の1つです。

クラウド3DCADの魅力

雲図三維のようなクラウドタイプの3D CADは、SaaS型に分類されます。SaaS(Software as a Service)とは「サービスとしてのソフトウェア」という意味で、アプリがクラウド上にある点が特徴です。

SaaS型の主なメリットとしては、場所や環境を問わずアクセスできる点やシステム管理の負担が減る点、月額使用料を最適化できる点にあります。

職場に限らず家やカフェ、ワーキングスペースなどからもアクセスできるため、作業場所が限られません。中国でもテレワークが進んでいるため、日本と同じようにメリットを感じるでしょう。

またアプリの更新はサーバー側(=サービス事業者側)で行われるため、社内でコストの手間がかかりません。さらに従量課金制が一般的なので、人数が少ないほど月額使用料を最適化できます。

雲図三維プロダクト3つの特長

雲図三維のプロダクトでは、以下の3つが特徴です。

1.組織を超えたデータ使用ができる

雲図三維はデータをより活用できるよう、組織や部署を超えてデータを使用できるようにしました。サプライチェーンの中で関係者たちが協力して効率化できるようになります。さらにクラウドなのでテレワークにも対応しており、場所にとらわれない働き方が可能です。

2.複数人での同時作業ができる

「審議や組み立てなどの作業を、関係者と一緒に行いたい」というニーズに応え、複数の人が共同作業を行えるように設計されています。BIMでは1つの3Dモデルを複数人で同時に編集することで効率化を狙っていますから、雲図三維でもBIMを進めることが可能です。

3D AI検索ができる

雲図三維が構築している標準部品DBに設計師が3D AI検索をかけることで、業界の知識を得られます。3D AI検索により、規格外部品や特殊部品、図面作成といった多岐にわたる建築業界の知識を幅広く活用できるのです。

3DCAD 雲図三維の今後の方針

雲図三維は今後、設計士以外の顧客を増やし、サプライチェーンの上流・下流を含め顧客範囲を広げようとしています。ユーザーは2022年頃からの半年間で10倍UPの10万人超え・継続率も倍以上上昇しており、拡大が進むばかりです。

すでに雲図三維はテンセント社が提供する「Tencent Document」や大手オフィスメーカーと提携し、3D製図をオンラインで保存できるようにしました。さらにWeb会議プラットフォームでの提携によりオンライン上でのチェックが可能になり、より共同利用の範囲が広がっています。

2022年5月現在で、雲図三維のプロダクトの主な機能モジュール開発は基本的に終わっています。運営面では、前述したミニプログラムやコミュニティを活用してユーザーのロイヤリティを高めようとしているのです。

中国のBIM状況について

人口およそ14億人の中国は、その豊富な労働力から「世界の工場」とも呼ばれます。大規模な社会インフラ建築のプロジェクトが多く、アジアの中でもBIMが進む国の1つです。

中国がBIMの取り組みを宣言したのは、2011年です。(※2)中国の国家行政機関である「住宅・都市農村建設部」が宣言を行い、2016年には「BIM適用の統一標準」を発行しました。

日本でBIMの取り組みが始まったのは2009年であり、この年が日本のBIM元年ともいわれています。取り組みは日本の方が早いものの、人口の大きさから労働力も多く、「日本の方が進んでいる」とはいえません。

また中国は政府の力が強いことでも有名です。そして中国政府はBIMを推進しており、BIM推進のためにプロジェクトを立ち上げたり研究予算を配分したりとBIMの普及に努めています。企業は採算度外視で3DCADやBIMツールの導入・利用を進めている状態です。

2021年7月完成予定の大規模競技場にもBIMをフル活用

中国四川省の省都である成都市では、ユニークな形をした競技場「Phoenix Mountain Sports Park」の建設において、BIMをフル活用して進めています。(※3)

設計、生産、施工でBIMプロセスを活用しており、デザインチームはオートデスク社のRevit と NavisworksというBIMツールを活用し、施工技術や管理問題を解決しました。非BIMよりもリードタイムを132日短縮することに成功し、なんと16億円以上もの施工費用を削減できています。

Phoenix Mountain Sports Parkは2021年7月完成予定で、第 31 回ユニバーシアード夏季大会 (FISU)、 2023 年 AFC アジアカップの主会場となる予定です。

中国はGAFAの影響を受けず独自のIT社会が発達しています。しかし諸外国と同じくBIMで建築を効率化させる取り組みを進めており、日本との協業実績もあります。今後中国という大きな国からどのようなBIM技術が生まれるのか、注目したいところです。

建設・土木業界向け 5分でわかるCAD・BIM・CIMの ホワイトペーパー配布中!

CAD・BIM・CIMの
❶データ活用方法
❷主要ソフトウェア
❸カスタマイズ
❹プログラミング
についてまとめたホワイトペーパーを配布中


▼キャパの公式Twitter・FacebookではITに関する情報を随時更新しています!

参照サイト:
※1 https://36kr.jp/183700/
※2 P.4「アジアのBIM」より http://www.sparj.com/apca2020/shide.pdf
※3 https://redshift.autodesk.co.jp/green-architecture/

    ホワイトペーパーフォームバナー

    【DL可能な資料タイトル】

    • ・プログラムによる建築/土木設計のQCD(品質/コスト/期間)向上
    • ・BIM/CIMの導入から活用までの手引書
    • ・大手ゼネコンBIM活用事例と建設業界のDXについて
    • ・デジタルツイン白書
    • ・建設業/製造業におけるデジタルツインの実現性と施設管理への応用

    詳細はこちら>>>

    PAGE TOP