Revitの使い方|初心者向けに基本操作と便利な使い方をわかりやすく解説!
作図がもっと早く、快適にできるツールがあれば、毎日の仕事がラクになりますよね。
そこで今回は、オートデスクのBIMソフトウェア「Revit」の使い方をご紹介します。
Revitをまだ使ったことがない方や、他のソフトと比較検討している方に向けて、Revitの使い方とメリットをわかりやすく解説します。
Revitの使い方をざっくり理解して、最適なソフトウェアを見つけていきましょう。
この記事を読むと以下の3つのことがわかります
1.Revitとはどんなソフト?(価格と動作環境)
2.Revitの使い方(基本操作・便利な使い方)
3.Revitと他のソフトの違い(Sketchup・Rhinocerosと比較)
Revitとはどんなソフト?
Revitとは、BIMのためのソフトウェアです。
BIMは、3Dモデルを使って建築物の情報を共有することで、生産性の向上を目指す取り組みのことです。(*1)
Revitでは2D図面と3Dモデルの作成ができますが、CADソフトで作った3Dモデルと違って、モデルのパーツそれぞれに資材情報が入力されています。
この3Dモデル(BIMモデル)を使って、資材調達のための集計表を作成したり、建築物の解析を行ったりと、プロジェクトにかかわる多くのメンバーと情報を共有し、効率を上げることができます。
Revitは、こうした生産性の向上につながるワークフロー「BIM」を進めやすくするためのソフトウェアです。
Revitの価格と購入方法
Revitは、年に一度新バージョンがリリースされています。
現在の最新バージョンは2024年4月2日にリリースされた「Revit 2025」で、価格は453,200円(1年・1ユーザーのサブスクリプション)です。(*2)(*3)(記事執筆時点2024年9月23日)
ライト版として、83,600円(1年・1ユーザー)の「Revit LT」もありますが、MEPモデリングや解析が使えない点に注意しましょう。(*4)
Revit 2025の動作環境
Revit 2025をダウンロードする前に、動作環境を確認しましょう。
Revitの動作環境は、エントリレベル・バリュー・パフォーマンスの3種類があります。
それぞれ最小(一戸建て程度)・中規模(オフィスビル程度)・大規模モデル(ショッピングモール程度)の作成に適しているので、Revitで行いたい作業の内容にあわせて選びましょう。
ここでは、バリューの動作環境をご紹介します。(*5)
OS:64ビット版 Windows 11
CPU:2.5GHz以上
メモリ:16GBのRAM
ビデオアダプタ:DirectX 11対応グラフィックスカードおよび4GB以上のビデオメモリ
ディスク空き容量:30GB
Revitでできること
Revitでできることは、BIMモデルの作成と解析です。(*3)
また、3Dモデルで建築物をわかりやすく表現したり、ワークシェアリング機能で遠くのメンバーとも共同で作業ができる環境が作れます。
Revitの大きな特徴は、一つのソフトウェアでBIMに関する作業のすべてが完結できることです。
図面作成だけでなく、3Dモデルの編集も、集計表の作成・共有も、Revit一つで実現できます。
Revitの使い方 基本操作
ここからは、Revitの基本操作を見ていきましょう。
最初に、AutoCADからRevitへの変換方法をご紹介します。
AutoCADからRevitへの変換方法
AutoCADとRevitには、互換性があります。
RevitにAutoCADで作成した図面を取り込むには、2つの方法があります。(*6)
一つは「読み込み」です。(*7)
Revit上にCADファイルを読み込んで、展開します。
もう一つは「リンク」です。
Revit上にCADファイルをリンクして表示します。
リンクすると、CADファイルに変更があった場合は反映されるため、オートデスクでは「リンク」を推奨しています。
AutoCADの図面をRevitにリンクさせる方法はこちらです。(*8)
1.Revitモデルを開く
2.リンクファイルを表示したいビューを開く
3.「挿入」タブの「リンク」パネルから「CAD リンク」をクリック
4.リンクしたいファイルを選択する
5.読み込みのオプションを設定する
6.「開く」をクリック
Revitで平面図を作成する方法
Revitで平面図を作成するには、「図面枠の作成」と「平面図ビューの追加」の2つのステップが必要です。
まずは、図面枠の作成から見ていきましょう。
Revitでは、図面枠はテンプレート(ファミリ)として扱われます。
図面枠を作成するには、まず「図面枠ファミリ」というファイルを作成します。
・図面枠の作成方法(*9)
1.「ファイル」の「新規作成」から「図面枠」をクリック
2.「新しい図面枠」ダイアログから図面枠を選択する
使いたい図面枠がない場合は、「新しいサイズ」を選択して作成する
3.「開く」をクリック
4.図面枠の線と文字を編集する
5.「ファイル」タブの「保存」をクリック
図面枠ができたら、平面図ビューを追加しましょう。
通常は、新しいレベルをプロジェクトに追加すると、自動的に平面図ビューが作成されています。
・平面図ビューの作成方法(*10)
1.「表示」タブの「作成」パネルから「平面図」をクリック
2.「新しい平面図」ダイアログを設定する
Revitの使い方 ビジュアライゼーション
Revitでは、2D図面から3Dモデルを簡単に作成できます。
・3Dモデルの作成方法(*11)
「表示」タブの「作成」「3Dビュー」から「既定の3Dビュー」をクリック
これで、3Dモデルが自動で作成されます。
さらにRevitでは、3Dモデルの表示範囲を変更することで、モデルを真っ二つに切ったような断面モデルを作成することができます。
・断面モデルの作成方法(*12)
1.3Dビューを開く
2.プロパティの「範囲」から「切断ボックス」を選択
3.「OK」をクリック
4.ドラッグコントロールで切断したい場所に範囲を変更する
Revitの使い方 便利なツールの活用方法
Revitには便利なツールが多数用意されています。
基本操作に慣れたら、このようなツールも使ってみましょう。
ワークシェアリングでリモートワークを快適に
Revitには、複数人で同じモデルを同時に編集できる「ワークシェアリング」という機能があります。(*3)
ワークシェアリングを使うと、これまで難しかった「同一モデルを編集するリモートワーク」が可能になります。
同じモデルを同時に編集できるため、リアルタイムで変更が更新され、作業時間の短縮につながります。
Twinmotionで美しく見やすいプレゼンテーションが可能に
Revitは、ビジュアライゼーション作成ソフトの「Twinmotion」を直接起動できます。(*13)
Twinmotionは、まるで実写のような3Dモデルを簡単に作成できるソフトウェアです。
Revitで作成した3Dモデルよりさらにリアルな画面が作成できるので、より説得力のあるプレゼンテーションが可能になります。
Revitと他のソフトの違い
Revitは一つでBIMが完結する多機能なソフトですが、他にも同様のソフトウェアがあります。
ここでは、Revitとほかのソフトウェアの違いを比較してみましょう。
RevitとSketchUpの違い
SketchUp(スケッチアップ)は、アメリカのトリンブル社が開発した3D CADです。(*14)
ブラウザで使える利便性の高さや、フリー版も充実していることなどで人気を集めています。
SketchUpの特徴は、初心者にもわかりやすい直感的でシンプルな操作感です。
一方で、BIMソフトとして快適に使うには「BIMバンドル」というプラグインの購入が必要ですが、本体価格が73,260円(1年・1ユーザー SketchUp Pro の場合)と、合計してもRevitより大幅に安価となります。(*15)(*16)
Revitにもプラグインはありますが、もともとBIMソフトウェアとして開発されているため、追加機能が必要なければソフト一本のみで十分使えます。
しかし、その分価格が大幅に高くなります。
どちらのソフトもBIMツールとして使うことは可能ですが、SketchUpは初心者向けで低価格、Revitは機能豊富で高価格、という違いがあります。
RevitとRhinocerosの違い
Rhinoceros(ライノセラス)は、日本の株式会社アプリクラフトが開発した3D CADソフトウェアです。(*17)
ソフトウェアは買い切りで、最新バージョンのRhino 8が187,000円(税込)です。
Rhinocerosの特徴は、自由形状の3Dモデルが簡単に作成できることです。
モデルに対してプッシュ&プル(面をつかんで押したり引き出したり)することで、直感的に自由な曲面を表現できます。
RhinocerosをRevitのようにBIMソフトとして使うなら、Grasshopper(グラスホッパー)というVPL(ビジュアルプログラミング言語)ソフトが必要です。(*18)
Grasshopperは、Rhinoceros上で使えるVPLで、モデリングのシミュレーションなどができるほか、オブジェクトに数値情報を持たせることができます。
RevitとRhinocerosの違いは、得意分野です。
Rhinocerosは自由形状の3Dモデルが簡単に作成できますが、RevitはBIMモデルを簡単に作成できます。
まとめ
RevitはBIMのためのソフトウェアで、BIMのワークフローを効率よく進めることができます。
AutoCADとは図面枠などの概念が違うため、慣れるまで少々時間がかかるかもしれませんが、使いこなせれば図面作成の時間を大幅に短縮することができます。
Revitを使いこなして、毎日の作業を快適に進めていきましょう。
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◆参考URL
*1 AUTODESK「BIM ソフトとCAD ソフト Revit とAutoCAD」
https://www.autodesk.com/jp/solutions/revit-vs-autocad
*2 AUTODESK「Revit 2025 の新機能」
https://www.autodesk.com/blogs/aec/2024/04/02/whats-new-in-revit-2025/
*3 AUTODESK「Autodesk Revit」
https://www.autodesk.com/jp/products/revit/overview?term=1-YEAR&tab=subscription
*4 AUTODESK「Revit と Revit LT の比較」
https://www.autodesk.com/jp/products/revit/compare
*5 AUTODESK「Revit 2025 製品の動作環境」
*6 Revit 2025「CAD ファイルの読み込みまたはリンクについて」
https://help.autodesk.com/view/RVT/2025/JPN/?guid=GUID-630EC38E-37FE-41BC-8369-2238825BF4F6
*7 Revit 2025「CAD ファイルを読み込む」
https://help.autodesk.com/view/RVT/2025/JPN/?guid=GUID-E8705303-0610-4A82-9118-0C3A742706D2
*8 Revit 2025「CAD ファイルをリンクする」
https://help.autodesk.com/view/RVT/2025/JPN/?guid=GUID-5A021344-77C9-449B-8428-EA5C8B786E09
*9 Revit 2025「図面枠を作成する」
https://help.autodesk.com/view/RVT/2025/JPN/?guid=GUID-B687C849-67F0-4616-ABBC-05BD127DC5BA
*10 Revit 2025「平面図ビューを作成する」
https://help.autodesk.com/view/RVT/2025/JPN/?guid=GUID-3FE4DAED-82D8-4C56-A017-737BDA740E50
*11 Revit 2025「3D ビュー」
https://help.autodesk.com/view/RVT/2025/JPN/?guid=GUID-B3354433-8ED8-4DA7-8078-C2514195BEB5
*12 Revit 2025「3D ビューの範囲の変更」
https://help.autodesk.com/view/RVT/2025/JPN/?guid=GUID-BC219BE7-2917-47A8-9596-71C6C01659CF
*13 AUTODESK「Twinmotion for Revit を使用して優れたビジュアライゼーションを作成」
https://www.autodesk.com/jp/products/revit/features/twinmotion
*14 ニコン・トリンブル「3次元モデリングソフトウェア「SketchUp」」
https://www.nikon-trimble.co.jp/products/product_detail.html?tid=445
*15 SketchUp日本正規販売代理店 株式会社アルファコックス「BIM バンドル」
https://www.alphacox.com/products/bimbundle/
*16 SketchUp日本正規販売代理店 株式会社アルファコックス「プランと価格」
https://sketchup-alphacox.jp/planpricing
*17 Rhinoceros「Rhino 8 」
*18 AppliCraft「BIM用Grasshopper」