Revitの料金について知ろう:建築業界での必須ツールのコストを徹底解説
建築設計や土木設計で3Dモデリングを効率的に行うためのツールとして、広く使用されているのが「Revit」です。しかし、Revitの導入を検討する際、最も気になるのがその料金体系ではないでしょうか。
本記事では、Revitの料金について詳しく解説していきますので、導入の際の判断材料として役立てていただければ幸いです。
この記事でわかること
・Revitの料金体系と選択肢について
・IT導入補助金の利用について
・Revit導入のメリットと注意点
Revitの料金体系と選択肢
Revitは、「Revit」と「Revit LT」の2つのバージョンが存在し、それぞれ料金が異なります。通常の「Revit」は、高度な機能を備えたBIMソフトウェアであり、年間サブスクリプションの費用は40万円を超えます。
3台までの端末にインストールできますが、1度に利用できるのは一人までですので、決して安くはありません。
一方「Revit LT」は、機能が制限されていますが年間料金が10万円以下で済むため、「Revit」と比較して安価となっています。ただし、LTはコラボレーション機能やシミュレーション機能が、Revitに比べると劣っています。
またモデリングに関しても、やや機能が制限されています。しかし、基本的な作業は一通りできるため、個人事業所などで使うのであれば、十分な性能を持っています。
Revitの導入を検討している企業の場合、AutoCADなども同時に利用することが普通でしょう。このようなケースの場合、「AutoCAD Revit LT Suite」などのパッケージプランで検討しても良いでしょう。
事業所や業務で必要なソフトウェア、機能、使用する期間やコラボレーションの有無などを判断した上で、どのプランにするかを選択する必要があります。
◯Revitの料金(サブスクリプション・税込)※2024年8月19日現在
・1ヶ月契約 57,200円
・1年契約 453,200円(1ヶ月あたり約37,766円)
・3年契約 1,359,600円(1ヶ月あたり約37,766円)
契約期間は1ヶ月・1年・3年の3パターンが選べます。1ヶ月契約に比べて1年や3年契約であれば、34%程度の割引価格で契約できますので、かなりお得です。よほど特別な事情がない限り、1年以上の契約をおすすめします。
※AUTODESKは2024年5月に価格改定を行い、主要製品の多くが値上げとなりました。
Revitもこのタイミングで6%程度の値上げとなっています。*注1
◯Revit LTの料金(サブスクリプション・税込)※2024年8月19日現在
・1ヶ月契約 11,000円
・1年契約 83,600円(1ヶ月あたり約6,966円)
・3年契約 250,800円(1ヶ月あたり約6,966円)
LTはRevitと比べて、5分の1程度の料金で利用することができます。このくらいの金額であれば個人事業所でも、十分導入を検討する価値があるでしょう。
次に「AutoCAD Revit LT Suite」の料金も確認しておきましょう。
◯AutoCAD Revit LT Suiteの料金(サブスクリプション・税込)※2024年8月19日現在
・1ヶ月契約 13,200円
・1年契約 102,300円(1ヶ月あたり8,525円)
・3年契約 306,900円(1ヶ月あたり8,525円)
AutoCAD単体でのサブスクリプションが1ヶ月8,800円(税込)、1年71,500円(税込)ですので、1年契約なら1ヶ月あたり2,600円弱の追加でAutoCADも使える、かなりお得な料金設定となっています。*注2
IT導入補助金の利用について
2024年度は、「独立行政法人中小企業基盤整備機構」によるいわゆる「IT導入補助金」が実施されています。IT導入補助金は、中小企業等が労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けた ITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する補助金であり、Revitの導入にも適用されます。
IT導入補助金にはいくつかのカテゴリーがありますが、Revit導入に該当するのは「通常枠」です。第6次の受付が2024年8月ですので、本記事で初めて知った方は残念ながら間に合いません。
しかしこの制度は2023年から継続していますので、来年度も同様の予算が組まれる可能性があります。この機会にどんな制度かを確認しておきましょう。
・目的:事業のデジタル化を目的としたソフトウェアやシステムの導入を支援
・補助率:1/2以上
・補助額:1プロセス・・・5万円以上150万円未満
4プロセス・・・150万円以上450万円未満
プロセスというのがややわかりにくいですが、ソフトウェアの持つ機能をいくつかの種類に分類し、それに該当するものを補助対象とするために設定されたものです。
Revitであれば「業務特化型プロセス(その他業務固有のプロセス)」や「汎用プロセス(汎用・自動化・分析ツール)」などが該当します。
補助対象となる経費は、ソフトウェアの購入代金・クラウド利用料(最大2年分)に加え、機能拡張・データ連携・セキュリティなどの周辺サービスや導入コンサルティング、研修、保守サポートなどの役務などにも適用可能です。
例えばRevitを3年契約する際に補助される金額は、サブスクリプション契約料(2年分・税別)の1/2ですから、412,000円となり、丸々1年分が補助されます。
サブスクリプション契約料だけでは、補助額自体に余裕があるため(1プロセス150万円未満)、他にもコンサルティングなどの費用を加算して、補助を受けることが可能です。*注3
※補助金の算定については、税別金額での計算となります。
Revit導入のメリットと注意点
Revitの導入により、3Dモデリングやプロジェクトの効率的な管理が可能となり、設計業務の生産性が飛躍的に向上します。特に、Revitのクラウド機能を活用することで、プロジェクトチームがリアルタイムでデータを共有し、共同作業がスムーズに進むため、大規模な建築プロジェクトでも効果を発揮します。
ただし、導入に際しては注意が必要です。Revitは高機能である反面、導入コストが高く、さらに使用には高スペックのPCが必要です。
またBIMソフトの操作には一定の習熟が必要であり、教育やトレーニングにかかる時間も考慮する必要があります。
そのため導入前に実際にどの機能が必要かを慎重に検討し、必要に応じて試験的にRevit LTを導入するのも一つの方法です。
IT導入補助金の活用など、できるだけ導入コストを低減させる制度については、注意して情報収集を行いましょう。
また、Revitにはスポット利用に向いている「Flex」というプランもありますので、短期間の利用やお試し利用なら、検討の価値があります。費用対効果を十分精査した上で、どのプランを選択するか決定しましょう。
【まとめ】
Revitは、建築や土木設計において非常に強力なツールですが、料金や機能について理解し、適切なバージョンを選ぶことが重要です。初めてBIMを導入する場合は、Revit LTから始めるのも良い選択でしょう。コストや機能をしっかりと比較し、最適な導入プランを見つけてください。
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■参考文献
注1
AUTODESK 「Autodesk Revit:設計と施工のための BIM ソフトウェア」
https://www.autodesk.com/jp/products/revit/overview
AUTODESK 「Revit と Revit LT の比較」
https://www.autodesk.com/jp/products/revit/compare
注2
AUTODESK 「Revit LT: 変革をもたらす設計者のための 3D モデリング ツール」
https://www.autodesk.com/jp/products/revit-lt/overview
「Autodesk AutoCAD:自動化機能ですばやく作図できる業界最高クラスの 2D/3D CAD ソフトウェア」
https://www.autodesk.com/jp/products/autocad/overview
注3
IT導入補助金2024
https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/
IT導入補助金2024・通常枠