VWXファイルとは?Vectorworksのファイルを関連サービスから徹底解説。dwgへの変換も。
1. はじめに
CADソフトウェアを使い始めたばかりの方や、これからVectorworksを導入してみたいという方の中には、.vwxファイルという拡張子を耳にするものの、実際にどのような特徴があるのか、そして何をすれば開けるのか分からず戸惑われるケースも多いのではないでしょうか。
まずはじめとして、.vwxファイルはVectorworksというデザインソフトウェア独自のファイル形式であり、その内部には2Dや3Dの図面やモデルデータが保存されています。近年は建築設計から舞台照明計画、ランドスケープデザインなど、さまざまな業界でVectorworksが利用されており、ファイル形式の変更が必要になることもしばしば発生します。
とりわけ、他のCADソフトウェアとのデータ互換を行いたいときや、DWG出力やPDF生成、さらには3Dモデル生成などを通してクラウドストレージへファイルをアップロードし、プロジェクトをリアルタイムコラボレーションしたり、モバイルアプリケーションでデータを確認したいというニーズが高まっています。特にVectorworks Cloud Servicesを使うと、クラウドベースCADの恩恵を受けて場所を選ばない共同作業が可能になり、Vectorworks Viewerを利用すれば、Vectorworksを持っていないパートナーともファイル共有が円滑に進められます。
画像引用: Vectorworks Japan 「Vectorworks 2025」
https://www.aanda.co.jp/Vectorworks2025/index.html
本記事では、VWXファイルの概要から、その歴史や拡張子が変化した経緯、さらにはVWXファイルを開くために必要なソフトウェアとツール、クラウドサービスでの活用、そしてVWXファイルを他の形式へ変換する具体的な方法について解説していきます。初心者の方が抱える「VWXファイルって何?」という顕在ニーズに的確に応えながら、データシンクロニゼーションやパブリッシュ機能まで幅広くカバーすることで、潜在ニーズである「将来的な応用やスムーズなコラボレーションを実現したい」という思いにもアプローチできればと考えています。
加えて、異なるCADプラットフォーム間でのファイル交換をシームレスに行えるような実践的な方法を取り上げることで、VWXファイルと他形式ファイル(例えばDWGなど)のデータ互換に関する参加者の期待する効果、つまり「時間とコストの節約につながるデータ運用」にもお応えできるでしょう。さらにクラウドベースの連携やVectorworks Service Selectを活用することで、場所にとらわれないリアルタイムの共同作業を実現する具体策にも注目します。
それでは、これからVWXファイルの基本や開き方、変換方法などを段階的に見ていきましょう。まずはVWXファイルとは何かというテーマから、その基礎知識を掘り下げて理解を深めていきたいと思います。
2. VWXファイルとは何か?
VWXファイルは、グラフィックや図面、3Dモデルなどを一括して扱うことのできる、Vectorworks独自のファイル形式です。このファイル形式は、建築設計から舞台照明計画、造園やランドスケープデザインまで、幅広い用途に応じて情報を包括的に保存するのに適しているという大きな特徴を持っています。
そもそも、Vectorworksは2D/3D汎用作図機能やBIM機能をはじめ、さまざまなプレゼンテーションツールとしての側面も充実しており、その利便性をフルに活かすためには、.vwxファイルの概念を理解することが重要になります。さらに、この形式を熟知しておくと、今後のデータ変換やDWG出力、あるいはPDF生成などの場面で、作業がスムーズかつ効率的に進む点がメリットと言えるでしょう。
また、Vectorworks Cloud Servicesと組み合わせて運用することで、クラウドベースCADとしての機能を発揮し、.vwxファイルをクラウドストレージへ保管・共有できるようになります。これにより、外出先でもモバイルアプリケーションを利用して図面データを確認したり、3Dモデル生成の結果をクライアントと素早く共有したりといった、リアルタイムコラボレーションが期待できるのです。
では、続いてVWXファイルをより深く理解するうえで欠かせない、基本的な構造や拡張子が変更されてきた歴史的経緯を確認してみましょう。VWXに至るまでの進化とその背景を知ることは、ファイル形式を使いこなすための基礎になるはずです。
2.1. VWXファイルの基本
VWXファイルは、Vectorworksにおいて標準かつ中心的な役割を果たすファイル形式となっています。ファイルの中には、作図情報(2D図面や3Dオブジェクト)、テクスチャ、レイヤ構造、さらにシンボルやプラグインオブジェクトといった要素がすべて一つにまとめられています。
この統合管理によって、複数のCADソフトウェアを行き来しなくとも、詳細なアセットや図面内容を一元的に扱いやすいという利点があります。実際にユーザーの顕在ニーズを考えると「.vwxファイルを開けばすべてが見える」という点は非常に魅力的ですし、将来的にはBIMの活用にもつながる重要な基礎になります。
特に、Vectorworks FundamentalsやVectorworks Architect、Vectorworks Landmarkといった製品ラインナップでは、それぞれの業務や分野に特化した機能が備わっているため、ファイル内部にはその分野に適したオブジェクト設定やツールが使われています。例えば建築設計なら壁や柱などのBIM要素が含まれ、ランドスケープデザインなら植栽や地形モデルが取り込まれるなど、分野独自の情報が盛り込まれるのです。
また、.vwxファイルをベースにしてパブリッシュ機能を使用すれば、PDF生成やDWGへのエクスポートだけでなく、Excel形式(.xlsや.xlsx)への出力、イメージファイルへの変換などもまとめて実行できます。これらはプログラム上で一度に指示することができ、作業の効率化につながる点が大きな特徴です。
2.2. VWXファイルの歴史と拡張子の変更
Vectorworksのファイル拡張子は、かつて「.mcd」という形式が採用されていました。ここにはMiniCADという名称が背景にあり、バージョン12.5までは拡張子が. mcdだったという歴史的経緯があります。
その後、2008年以降のバージョンで拡張子が「.vwx」に変更され、正式にVectorworksの名称に対応する形へ移行しました。これはソフトウェア自体の機能拡張や、より高度なグラフィック処理、3Dモデリングの充実などを経て、ブランドイメージを統一する狙いもあったとされています。まさにファイル形式の変更は、技術的進歩とソフトウェアブランドの再定義を示す、象徴的な出来事だったと言えるでしょう。
実際の運用においては、古いバージョンの.mcdファイルを開いたり、新しいバージョン向けの.vwxファイルに変換したりする際には、Vectorworksの対応バージョンやビュワーソフト(Vectorworks Viewer)を利用するのが一般的です。バージョン互換に注意しつつ、必要に応じてデータ互換を行うことで、ユーザーは過去の図面資産を活かしながら最新のVectorworks 2024やVectorworks 2025の新機能を活用できるようになります。
3. VWXファイルの開き方
VWXファイルを開くには、基本的にVectorworks自体をインストールしておくことが望ましいですが、Vectorworksを所有していない方や、簡易的に内容を確認したい場合でも、閲覧の選択肢は存在します。すぐにでもVWXファイルを見たい場合や、クライアントに図面を渡す必要がある場合は、後述するVectorworks Viewerなどを活用するとよいでしょう。
ここでは、VWXファイルを取り扱うために必要なソフトウェアや、無料で使えるViewerの使い方を紹介します。また、単純に閲覧するだけでなく、万一「開けない」「表示されない」といったトラブルに遭遇したときの対処法も含めてお伝えします。VWXファイルを取り巻く顕在ニーズとしては「ソフトを買わなくてもすぐ開けるのか?」という疑問が多いと思いますので、その点も含めて理解を深めていただければ幸いです。
さらに、Vectorworksにはバージョンが複数あり、古いバージョンのファイルを新しいバージョンで開こうとすると、自動的にファイル形式が上位互換のものに更新されるケースや、「保存時の互換設定」によって、下位のバージョン用ファイルとして書き出す場面も考えられます。そうした状況をコントロールするためにも、ツールやバージョン情報をきちんと把握しておくことが、最適な運用への第一歩になっていきます。
3.1. 必要なソフトウェアとツール
VWXファイルを本格的に作成・編集するためには、Vectorworks本体(Vectorworks FundamentalsやVectorworks Architectなど、使用環境に応じたエディション)が必要です。これらの製品には、2D/3D作図機能やBIM機能、プレゼンテーションツールなどが統合されているため、作成から修正、最終アウトプットにいたるまで一連の作業をこなせます。
もし団体や企業での導入を検討されているのであれば、Vectorworks Service Selectの契約によってクラウドベースCADとしてさらに柔軟に運用できるケースもあります。自動バージョンアップやVectorworks Cloud Servicesとの連携強化、手厚いサポートなどを受けられるため、大規模なプロジェクトや多数のライセンスを管理する際には大きな助けになるでしょう。
一方で、作業の一部を他のCADソフトウェアへ引き継ぐ場合や、別形式で配布したい場面では、DWG出力(AutoCAD等との連携)や逆に他のフォーマットからインポートするためのデータ互換機能が必要になります。Vectorworksはインポート/エクスポート形式が豊富なので、3Dモデル生成やPDF生成まで含めて幅広い応用が可能です。実際のところ、Vectorworksだけでなく、BricsCADやその他海外製CADとも連携を取れる場面は多く、特に建築設計や舞台照明計画では異なるソフト間のデータシンクロニゼーションがプロジェクトを円滑にします。
3.2. Vectorworks Viewerの使用
Vectorworks Viewerは、Vectorworksユーザー以外でもVWXファイルを開いて図面を閲覧したり、印刷したりできる無料ツールです。例えばクライアントがソフトを所有していなくても、このViewerを導入してもらうことで、.vwxファイルの内容を的確に確認できます。特に、Vectorworks 2024やVectorworks 2025で作成されたファイルに対応しているバージョンをダウンロードすれば、比較的最新の機能を使った図面でも問題なく表示が可能です。
Viewerの使い方は、提供元サイトで配布されるインストーラーをダウンロードして、インストール後にファイルを開くだけです。ダブルクリックやソフト起動による「ファイルを開く」操作で、.vwxファイルの中身をそのままのレイアウトで閲覧できます。注意点としては、Viewerには編集機能が備わっていないため、あくまで確認と印刷のみが目的で使うことになります。もし修正や3Dモデル生成などの操作を行いたい場合は、Vectorworks本体のインストールが必要になる点を押さえておきましょう。
また、Vectorworks Viewerは疑問点があっても技術サポートを受けられないケースが一般的ですが、公式のドキュメントやヘルプを読み込むことでトラブル回避ができる場合もあります。さらに、VWXファイルのバージョン互換性にだけ気をつければ、旧バージョンから新バージョンまで幅広く読み込めるメリットがあります。それゆえ、チーム内で複数人がファイルを確認する場合や、過去に設計された図面の資料チェックなどにも、十分に活用できるでしょう。
4. VWXファイルの活用方法
VWXファイルを使ったプロジェクト管理は、単なる図面データの保存にとどまらず、さまざまな可能性をもたらします。デザインソフトウェアとしてのVectorworksをフル活用することで、CADソフトウェア間でのデータ互換やリアルタイムコラボレーションが促進されるだけでなく、BIM要素の取り扱いを通して設計情報をより深いレベルで活用することもできます。
最近ではクラウドベースCADの概念が一般的になり、モバイルアプリケーションを使った現場での図面確認や修正指示が行えるようになりました。Vectorworks Cloud Servicesを利用すれば、プロジェクトメンバー全員がクラウドストレージ上のVWXファイルにアクセスし、PDF生成や3Dモデル生成などをクラウド側で実行できます。これが実現するのは、チームの生産性を大幅に高める要因となるでしょう。
ここからは、VWXファイルをより戦略的に使うための具体的な活用例として、データ交換やファイル共有の方法、さらにはクラウドサービスでの利用事例について詳しく取り上げていきます。特に建築設計やインテリアデザイン、また大規模な舞台照明計画など、多様な関係者が頻繁にファイルをやり取りする現場では、VWXファイルの運用効率が全体のプロジェクト成果を左右しかねません。各ポイントを抑えておけば、潜在ニーズである「効率的なプロジェクトコラボレーションを実現したい」という課題にもアプローチできるはずです。
4.1. データ交換とファイル共有
VWXファイルのデータ交換は、主にVectorworksを導入している組織やチーム内で簡単に完結します。ファイルをそのままメールに添付するか、ネットワークドライブ上で共有するだけで、相手がVectorworksを持っていれば高品質のまま編集が行えます。しかし実際には、Vectorworksを保有していない外部協力者やクライアントとコラボレーションする機会も多いでしょう。
そのような場合、DWG出力などの変換機能を用いて相手のCADソフトウェアでも扱いやすい形式に書き出す手段が有効です。AutoCADやBricsCADといったDWG互換CADを使用している相手先に対してもファイル互換が容易になり、図面交換がスムーズに進みます。さらに、PDF生成を行えば定形の紙図面と同じ感覚で情報を伝えられますし、必要があれば3Dモデル生成で視覚的に訴求力あるプレゼンテーションを行うこともできます。
またクラウドベースCADとしてVectorworks Cloud Servicesを導入している場合、ファイル共有の仕組みがさらに広がります。クラウド上にアップロードした.vwxファイルをリンクで共有すれば、外部メンバーがセキュアにダウンロードできるようになり、メールの容量制限やバージョン管理の混乱を防げるメリットがあります。実際に、協力会社が異なるCADソフトウェアを使っていても、互換形式として書き出したファイルを同じクラウドフォルダ内で管理するなど、運用上の工夫は多岐にわたります。
4.2. クラウドサービスでの利用
Vectorworks Cloud Servicesは、クラウドストレージにVWXファイルや関連データをアップロードし、ウェブポータルやモバイルアプリケーションを通してリアルタイムコラボレーションを可能にする仕組みです。例えば、外出先であってもスマートフォンやタブレットからクラウドにアクセスし、その場でPDFをダウンロードしたり3Dモデルをプレビューしたりできるのです。
画像引用: Vectorworks Japan「Vectorworks Cloud Services」
https://www.aanda.co.jp/VCS/index.html
このプラットフォームの大きなポイントは、クラウドでレンダリング処理を任せられる点にあります。大規模な3Dモデル生成や高解像度でのレイアウトPDFの作成など、コンピュータリソースを多く消費する作業を外部サーバーにオフロードできるので、自身のPCの負荷を抑えつつ作業を進めることができます。こうしたサービス活用は、作業環境やハードウェア制限によるストレスを軽減するだけでなく、緊急時の修正や短時間でのプレゼンテーション資料作成にも力を発揮するでしょう。
さらに、DropboxやGoogle Driveとの連携機能も備わっているため、既存のファイル保管ルーチンを大幅に変更することなく、Vectorworks Cloud Servicesのメリットを活かせます。これらの連携によって、プロジェクトメンバー間のデータシンクロニゼーションがよりシームレスになったり、複数のCADソフトウェアとのファイル連携がますます容易になります。他業種や海外のパートナーとの協業が増えるほど、このクラウド上の環境が重要になり、最終的には業務全体の効率とスピードが大きく向上するのです。
5. VWXファイルの変換
VWXファイルは、Vectorworksでスムーズに扱う上で非常に便利ですが、他のCAD環境や表計算ソフトなどを利用する場面では、別のフォーマットへの変換が求められます。例えば、建築設計の現場においてはAutoCADを使う企業がまだまだ多数派だったり、あるいは舞台照明計画の資料をExcelなどで管理したほうがわかりやすいといったケースです。
変換作業は逐一手動で行うと手間がかかる場合もありますが、Vectorworksにはパブリッシュ機能が標準装備されており、複数のシートレイヤや画面をまとめてDWG出力にしたり、PDF生成を一括で行ったりといった操作がスピーディにできます。こうした機能を使いこなせば、複数部署や関係会社に対して、同時に異なるファイル形式の資料を用意する手間が削減されるでしょう。
5.1. 他のフォーマットへの変換方法
ほとんどの場合、VWXファイルから他形式への変換は「ファイル」メニューから選択できるエクスポート機能を使用します。具体的には、エクスポート→DWG/DXFを選ぶことでAutoCAD形式のファイルに変換でき、さらにエクスポート→画像ファイルでJPEGやPNGなどを作成することも可能です。多くのタイプに対応しているため、必要に応じてプロジェクトの仕様や相手先の要望に合わせて出力先を切り替えましょう。
また、Vectorworksを使えば3Dモデル生成にも対応しており、3Dのデータを他ソフトウェアで利用したい際には、IFCや3DS、OBJ形式などへの変換も検討可能です。特にBIMプロジェクトではIFC形式による情報のやりとりが一般的なので、Vectorworksが備える幅広いエクスポート機能は大きな助けになります。
初心者の方にとって大切なのは、バージョン設定が合わないと相手側のソフトウェアで開けないケースがあり得ることです。例えばDWGへのエクスポート時には、バージョンを選べるようになっているため、相手先の対応バージョンに合わせて出力を行うことが一つのポイントになります。適切なバージョン選定はデータ互換性を確保し、スムーズな情報共有に貢献します。
5.2. パブリッシュ機能の活用
パブリッシュ機能とは、複数のシートレイヤや登録画面、ワークシートなどをまとめて他形式へ変換・出力できるVectorworksの便利な機能です。例えば、設計図書を複数のPDFに分割して作成していたり、DWG出力やExcel変換を複数回に分けて行っていたりすると、その分の作業が大きな負担になる場合があります。
この機能を利用すれば、一度の操作ですべてのシートをPDFにまとめて変換したり、DWG形式のファイルを一挙に書き出したりと、大幅に作業効率を向上できます。また、クラウドと連携すればコンピュータ負荷を抑えながら、バックグラウンドでパブリッシュ処理を実行することも可能です。大規模なプロジェクトほどこうした省力化プロセスが重要になってくるため、パブリッシュ機能を使いこなすことは企業規模のワークフロー改善にもつながるでしょう。
注意点としては、エクスポートしたファイルの品質やレイヤ構造、線種や文字情報などの設定が、パブリッシュダイアログのオプションで細かく指定できるため、慣れないうちは誤った設定をしてしまうケースがあるかもしれません。最初は小規模なテストを行い、問題なく出力されることを確認してから本番の大きなファイルに適用することで、トラブルを回避できます。
6. よくある質問とその回答
VWXファイルを扱う上で、初心者の方や別のCADソフトウェアから移行してきた方がよく抱く疑問点としては、以下のようなものが挙げられます。
まず「VWXファイルを開こうとしたらバージョンエラーが出て合わない」というケースです。これは作成元と開き先のVectorworksバージョンが異なるために生じる事象であり、その場合はVectorworks Viewerの対応バージョンを合わせるか、保存時に旧バージョンとの互換形式で保存することが必要になります。Vectorworks 2024やVectorworks 2025で作成したファイルを旧環境で開く場合には、逆方向の変換はバージョンによっては難しいこともあるため、プロジェクト開始時点で制作バージョンをそろえるか、パブリッシュ機能で下位バージョンエクスポートするなどの工夫が求められます。
次に「外部のクライアントと図面データを共有すると、相手方が開けないことが多い」という質問があります。これには、Vectorworks Viewerを案内する、あるいはPDFやDWG形式で送付するなどの方法があります。特にDWG出力は業界標準の1つとして認知されているため、多くのCADソフトウェアで開くことができ、データシンクロニゼーションの面でも有効な手段です。
さらに「複数の人とリアルタイムコラボレーションを行いたい」という場合、Vectorworks Cloud Servicesの導入や、社内のクラウドストレージ構築を検討するのがベストです。Vectorworks Service Selectの契約を併用すれば、最新バージョンの維持やクラウド連携機能の強化なども見込めます。こうしたサービスを使いこなすことで、離れた場所にいるメンバーともタイムラグなく情報共有が行え、最終的なプロジェクトの質やスピードが向上するでしょう。
最後に、パブリッシュ機能に関する「PDFの生成や印刷がうまくいかない」については、個別のシートレイヤやワークシートを正しく指定しているか、解像度やレイアウトの設定が正しいかを確認するのがポイントです。大型の3Dモデル生成や複雑な2D図面でも、設定をきちんと把握していれば問題なく出力できるケースがほとんどなので、最初は小さいファイルを使った試験的なパブリッシュを推奨します。
7. 結論
ここまで、VWXファイルの基本から実際の運用に至るまで、さまざまな角度からご紹介してきました。特に初学者の方が抱く「VWXファイルとはいったい何なのか」「どうやって開けばよいのか」「ほかのCADソフトウェアと連携するにはどうすればいいのか」という顕在ニーズに対して、Vectorworks閲覧・編集の具体例、すなわちVectorworks Viewerの利用やDWG出力、PDF生成、そしてパブリッシュ機能を活用した効率化など、具体的な方法や根拠を交えて解説しました。
さらに、クラウドストレージを活用したリアルタイムコラボレーションや、3Dモデル生成を通じたわかりやすいプレゼンテーションなど、クラウドベースCAD時代に求められる活用方法にも触れています。Vectorworks Cloud ServicesやVectorworks Service Selectといったサービスを導入すれば、バージョンアップの手間や異なるソフトウェアとのデータ互換の煩雑さも手軽に解消できるようになるでしょう。こうした取り組みが結果として、時間とコストの削減や、より洗練された設計プロセスの確立につながるという期待する効果も見逃せません。
これからVWXファイルを活かしていく際には、まずはソフトウェアのバージョン把握や、目的に応じたファイル形式の選択、適切なパブリッシュ設定といった基本のステップを踏みつつ、必要に応じてクラウドサービスを統合するのがおすすめです。特に建築設計、舞台照明計画、ランドスケープデザインなどの多方面で役立つVectorworksなら、2D/3D作図からBIM、プレゼンテーションツールまで多くの機能を一つのプラットフォームで備えています。今後ますます業務効率化が求められるなか、VWXファイルの正しい理解と効果的な活用が、より充実したプロジェクト成果を引き出す鍵になるのではないでしょうか。
本記事がお役に立てれば幸いです。それでは、VWXファイルへの理解を深め、Vectorworksや関連サービスを最大限に活かして、さらなる作業効率アップと魅力あるデザイン表現の実現を目指してみてください。
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<参考資料>
・Vectorworks Japan 「Vectorworks 2025」
https://www.aanda.co.jp/Vectorworks2025/index.html
・Vectorworks Japan「Vectorworks Cloud Services」
https://www.aanda.co.jp/VCS/index.html
・Vectorworks Japan「Vectorworks 2024 Viewer」
https://www.aanda.co.jp/download/detail/vwviewerdl_2024.html
・Vectorworks Design Blog「よくある質問解説講座 第31回「パブリッシュ」」