建設RXコンソーシアムとは?活動目的や生産性向上を実現する企業の取り組みも紹介
2024年4月1日、働き方改革関連法の改正により、建設業界でも時間外労働の上限規制が適用となりました。*1
現場作業員の高齢化や若手人材の不足など、課題を抱えている建設業界。
建設業界の課題を解決するために、現在も産官学で連携した取り組みが進められています。
そんな建設業界が抱える課題を解決するために設立されたのが「建設RXコンソーシアム」。
「建設RXコンソーシアムとは?」
建設RXコンソーシアムという言葉をはじめて知った方もいるのではないでしょうか。
今回は、建設RXコンソーシアムとは何か、活動目的や生産性向上を実現するための企業の取り組みもあわせて解説します。
最後まで読み進めることで、建設RXコンソーシアムの理解が深まるでしょう。
業務効率化や省力化、生産性向上に関する取り組みを推進するためにも、ぜひ最後までご覧ください。
建設RXコンソーシアムとは
建設RXコンソーシアムとは何かを詳しく解説します。
概要・組織体制について、それぞれ見てみましょう。
概要
建設RXコンソーシアムは、ロボット技術・IoTアプリケーションの開発や実用・ロボティクストランスフォーメーション(ロボット変革)を会員で協働するものです。*2
建設RXコンソーシアムは、2021年9月22日に設立。
当初の参加企業は16社でしたが、2024年7月3日に開催された2024年度の通常総会では、参加企業が263社に増えています。
建設RXコンソーシアムの活動目的は、以下のとおりです。
【建設RXコンソーシアムの活動目的】
- 各社の技術開発に関するコストを削減
- リスクの分散
- 技術開発の期間を短縮
- 施工ロボットやIoT アプリケーションの促進
- 建設業界全体の生産性と魅力の向上
- 社会の持続的発展
- 国民生活の安定と向上
組織体制
建設RXコンソーシアムの組織体制は、以下の組織図のとおりです。*3
引用)建設RXコンソーシアム「概要 組織図」
https://rxconso-com.dw365-ssl.jp/report.html
建設RXコンソーシアムは、企業などの参画による任意団体で構成された組織です。
正会員と協力会員の2つの会員種別があります。
正会員と協力会員から構成される分科会では、共同研究開発を実施しています。
分科会は、以下のとおりです。
【分科会】*4
- 資材の自動搬送システム分科会
- タワークレーン遠隔操作分科会
- 作業所廃棄物対応技術分科会
- コンクリート施工効率化分科会
- 墨出しロボット分科会
- 照度測定ロボット分科会
- 生産BIM分科会
- 相互利用可能な技術分科会
- 市販ツール活用分科会ドローンWG
- 市販ツール活用分科会バイタルセンサWG
- 市販ツール活用分科会アシストスーツWG
- 風量測定ロボット分科会
- AIによる安全帯不使用検知システム分科会
- ICT技術による配筋検査の効率化分科会
建設RXコンソーシアムの会員
建設RXコンソーシアムの会員企業は、正会員29社・協力会員237社(2024年8月11日現在)です。
「鹿島建設株式会社」「株式会社竹中工務店」「清水建設株式会社」「株式会社大林組」「大成建設株式会社」の正会員の5社が幹部会社となっています。
会員種別については建設RXコンソーシアム規約に記載されており、正会員と協力会委員の違いは以下のとおりです。
【正会員と協力会員の違い】*5
正会員 | 一般社団法人日本建設業連合会に加盟する全国的に総合建設業を営む一定規模以上の法人であって、自社技術開発を行う研究機関を有しており、かつ、第3条に掲げる本会の目的に賛同し、第4条に掲げる活動への参加を行おうとする者 |
協力会員 | 次のいずれかに該当する法人であって、かつ、第3条に掲げる本会の目的に賛同し、第 42 条に定める分科会への参加及び本会が提供する情報の入手等を行おうとする者① 前号以外の総合建設業を営む法人② レンタル業者、ロボット製造業者、ITベンダ、商社、専門工事業者等 |
建設RXコンソーシアムの会員企業の技術
建設RXコンソーシアムの公式ホームページでは、会員企業の技術が公表されています。*6
「作業×ロボット」「作業×ICT」「施工管理×ロボット」「施工管理×ICT」の4つに分類されています。
それぞれの技術を厳選して紹介するので、詳しく見ていきましょう。
1.作業×ロボット
「作業×ロボット」の技術を紹介します。
清水建設株式会社が行っているロボット開発は、以下の3つです。
【清水建設が開発するロボット】
- 建築内装ロボット「ROBO-BUDDY」*7
- 現場溶接ロボット「ROBO-WELDER」*8
- 耐火被覆吹付ロボット「ROBO-SPRAY」*9
現場作業の効率化や省力化、大型ワークへの対応、人員不足の懸念などを解決するために、
上記のロボット開発が進められています。
>現場溶接ロボット「ROBO-WELDER」の詳細を確認する
>耐火被覆吹付ロボット「ROBO-SPRAY」の詳細を確認する
2.作業×ICT
「作業×ICT」の技術を紹介します。
戸田建設株式会社では、BIMを活用してタワークレーンの揚重作業を自動化する「タワークレーン3次元自動誘導システム」を開発。
夜間や悪天候時の安全性を確保するのが難しいこと、熟練のクレーンオペレーターが少ないことから、タワークレーンによる揚重作業には課題がありました。
そんなタワークレーンの課題を解決するために、鉄骨工事におけるタワークレーンの揚重作業を自動化するシステムが開発されたのです。
タワークレーン3次元自動誘導システムでできることは、以下のとおりです。
【タワークレーン3次元自動誘導システムでできること】*10
- タワークレーンで揚重する鉄骨部材の判別
- 鉄骨部材を取り付けるまでの移動ルートの設定
- タワークレーンの操作
- 吊荷の旋回方向、荷振れ等の制御
施工管理×ロボット
「施工管理×ロボット」の技術を紹介します。
株式会社安藤・間では、コンクリート床面のひび割れ検査を自動化する「ひび割れ検査ロボット」を開発しました。*11
2021年にひび割れ検査ロボットが初めて導入されてから、総検査面積は40万㎡を超えています。
ひび割れの検査業務を自動化することで、現場管理の省力化が実現できるといわれています。
ひび割れ検査ロボットによる検査は、目視検査に比べて2倍以上も生産性が向上。
さらに、ひび割れの見落とし防止や検査費用の削減なども期待されています。
施工管理×ICT
「施工管理×ICT」の技術を紹介します。
株式会社竹中工務店では、建設現場とオフィスをつなぐIoTの基地局として「TSUNAGATE」を開発しました。*12
携帯電話の電波がつながらないトンネル内や地下などの建設現場では、IoTの活用が困難となります。
「TSUNAGATE」を用いることでIoTを活用でき、現場作業の省力化や生産性向上が期待されています。
建設RXコンソーシアムの入会方法
建設RXコンソーシアムに入会する場合は、入会手続きが必要となります。
「入会申込書」「誓約書」の2点を作成の上、建設RXコンソーシアム事務局宛に送付しましょう。*13
建設RXコンソーシアムに入会する際、会費がかかります。
会員種別ごとの会費は、以下のとおりです。
【建設RXコンソーシアムの会費】
- 正会員:20万円/年
- 協力会員:10万円/年
入会に関して不明点がある方は、建設RXコンソーシアムの公式ホームページより問い合わせをしましょう。
まとめ
今回は、建設RXコンソーシアムの概要や活動目的を詳しく解説しました。
会員企業が開発を進めている技術も紹介したので、導入効果についての理解も深まったのではないでしょうか。
建設業界の業務効率化や省力化、生産性向上を実現するために、新技術の開発や既存技術の改善なども行われています。
建設RXコンソーシアムへの入会を検討している企業様は、事前に事務局へ問い合わせができます。
入会に関して不明な点がある方、活動の詳細を知りたい方は、以下リンクから建設RXコンソーシアムの事務局へメールでお問い合わせください。
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❷BIMを活かすためのツール紹介
❸DXレポートについて
❹建設業界におけるDX
*1
参考)厚生労働省「建設業 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」
https://www.mhlw.go.jp/content/001116624.pdf
*2
参考)建設RXコンソーシアム「建設RXコンソーシアム 設立趣意」
https://rxconso-com.dw365-ssl.jp/index.html
*3
引用)建設RXコンソーシアム「概要 組織図」
https://rxconso-com.dw365-ssl.jp/report.html
*4
引用)建設RXコンソーシアム「分科会」
https://rxconso-com.dw365-ssl.jp/custom.html
*5
引用)建設RXコンソーシアム「建設RXコンソーシアム規約 P.1〜2 第2章 会員」
https://rxconso-com.dw365-ssl.jp/img/file22.pdf
*6
参考)建設RXコンソーシアム「会員企業 技術紹介」
https://rxconso-com.dw365-ssl.jp/custom3.html
*7
参考)建設RXコンソーシアム「会員企業 技術紹介 建築内装ロボットROBO-BUDDY」
https://rxconso-com.dw365-ssl.jp/custom3/pdf/01_technology.pdf
*8
参考)建設RXコンソーシアム「会員企業 技術紹介 現場溶接ロボットROBO-WELDER」
https://rxconso-com.dw365-ssl.jp/custom3/pdf/02_technology.pdf
*9
参考)建設RXコンソーシアム「会員企業 技術紹介 耐火被覆吹付ロボットROBO-SPRAY」
https://rxconso-com.dw365-ssl.jp/custom3/pdf/03_technology.pdf
*10
引用)建設RXコンソーシアム「会員企業 技術紹介 BIMを活用してタワークレーンの揚重作業を自動化 タワークレーン3次元自動誘導システム」
https://rxconso-com.dw365-ssl.jp/custom3/pdf/27_technology.pdf
*11
参考)建設RXコンソーシアム「会員企業 技術紹介コンクリート床面のひび割れ検査を自動化 ひび割れ検査ロボット」
https://rxconso-com.dw365-ssl.jp/custom3/pdf/06_technology.pdf
*12
参考)建設RXコンソーシアム「会員企業 技術紹介 建設現場とオフィスをつなぐスマートボックス TSUNAGATE」
https://rxconso-com.dw365-ssl.jp/custom3/pdf/08_technology.pdf
*13
参考)建設RXコンソーシアム「建設RXコンソーシアム入会のご案内」
https://rxconso-com.dw365-ssl.jp/img/file9(%E5%85%A5%E4%BC%9A%E6%A1%88%E5%86%85).pdf