ジョブズがここまで考えていただろうか?iPhoneの革新性はTouch IDにあり
なるほどなと言う記事をGigazineで見かけました。
iOSが「セキュアで使いやすい」のはiPhoneのロック解除が1日平均80回も行われているから?
市場調査や分析を行うCreative Strategiesでアナリストとして働くベン・ベジェリン氏は、「これまでさまざまなテクノロジー企業のテクニカルブリーフィングに参加してきましたが、これまでAppleほど深いカスタムシリコンソリューションをセキュリティ面に施している、という話は聞いたことがない」と、Appleのセキュリティ哲学と技術的なアプローチ方法を賞賛しています。
iPhoneがはじめて発売されたのが、今から約9年前の2007年のことです。
iPhoneが世界へ与えたインパクトは計り知れないです。例えばスマートフォンで当たり前になっている、WEBブラウザを開けること、音楽やアプリをいつでもどこでも買えること、誰でもアプリ開発ができて世界同一プラットフォームで簡単に売ることができることなどです。それらは、すべてiPhoneによって世界に広まっていった言っても過言ではありません。
iPhone出現以来、スマートフォンは携帯電話としてのスタンダードとしての地位をあっという間に獲得し、今ではほとんどの人がスマートフォンを持ち歩いています。
従来の通信手段としての携帯電話という枠を遥かに飛び越え、最も重要なライフラインの1つともなりました。
しかし、お気づきでしょうか、今取り上げた機能やスタイルは、上記9年前の動画でジョブズがすでに語っているものばかりです。
やっぱりAppleは相変わらずジョブズの遺産のもとに成り立っているのか?
いいえ。
さすが世界から優秀な人材が集まりイノベーションをし続ける企業アップル。
ジョブズが想像もしてなかったであろう方向でも(少なともジョブズは一度も公で語ったことがない方向でも)、圧倒的な革新性を保っていました。
それが、冒頭の記事にあるiPhoneのセキュリティに対しての卓越した取り組みです。
iPhoneを使っている人にとっては、もう当たり前になりつつありますが、指紋認証によるロック解除機能Touch IDについてです。
初代iPhoneからのユーザーである筆者も当然、Touch IDを当たり前のように使っていますが、そういえば、それができる前にはロックする習慣すらありませんでした。なぜならば、当時はスマートフォンにそれほどまでに個人情報が入ってなかったので、あまり気にしてませんでした。
しかし、現在ではクレジットカード情報や、各種iDパスワード、自分が持ちうるすべての写真や動画の情報など、はっきり言ってしまえば、個人情報すべてがiPhoneに入っていると言っても過言ではありません。
2、3年前まではパスコードを設定しないまま端末を使用しているユーザーも多くおり、端末を紛失してしまったり盗まれたりしてしまった場合、簡単に端末内の個人情報にアクセスされてしまいました。しかし、Appleによると現在では市場に普及しているiOS端末の89%がTouch ID搭載端末であり、iPhoneユーザーの約85%がTouch ID、もしくはパスコードを設定することでiOS端末にロックをかけている、とのことです。
セキュリティに対する意識が低いのは、私だけでなくiPhoneユーザー全体の傾向でもあったわけですが、アップルはスマートフォンには個人情報のすべてが集まることになる(むしろ集めようとしてるとも言える)ことを予測して、Touch IDを開発したというわけです。
つまりTouch IDはユーザー側がどうしても欲しい機能ではなかった(少なくとも私は想像すらしたことがなかった)わけです。しかし、アップルはユーザーの未来を予測して、卓越したアイデアとそれを実現できる技術力を持って、Touch IDをユーザーに根付かせたわけです。しかもごく自然に。
アップルの革新性は未だ健在です。現ユーザーが求めているものに囚われるのではなく、本当に必要なものをイノベーションで実現していく。それこそが、ジョブズが残した最大の遺産なのかもしれません。