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Apple Reality Composer ProであなたもARコンテンツクリエーターに!

「Reality Composer Pro」は、Apple社が提供しているARコンテンツ構築が可能なツールです。無料で利用でき、最新のXcodeに付属しています。専門的な知識や経験、技術がなくとも比較的簡単にARコンテンツ制作ができることが特徴です。
Appleが発売を予定しているARゴーグル「Apple Vision Pro」と共に、いよいよAR分野での具体的なプロダクトが出揃ってきました。

この記事でわかること
 ・Reality Composer Proについて
 ・Apple Vision Proの概要と特徴
 ・AppleのAR分野における市場の動き

Reality Composer Proでできること・特徴

Xcodeは、Appleが提供する統合開発環境です。Appleのデバイスである、MacやiPhone向けのアプリを開発することが可能です。iPhoneアプリ用の言語であるSwiftやC、C++、Javaなどの言語に対応しています。
また、誰でも無料で利用することができ、ドラッグ&ドロップで直感的に操作できるなど、今や開発者にとってなくてはならないツールとなっています。

Reality Composer Proは、「Xcode 15 beta 2」以降のバージョンに含まれており、連携して動作します。Appleはデバイスごとに専用のOSを準備しており、Xcodeを使うことによって、全てのOSに対応したアプリを構築することが可能です。

【Apple各デバイスのOS」
 ◯Mac・・・・・MacOS
 ◯iPhone・・・・iOS
 ◯iPad・・・・・iPadOS
 ◯Apple TV・・・tvOS
 ◯Apple Watch・WatchOS

Appleは、2024年前半にARゴーグルをリリース予定としており、このプロダクトでは「visionOS」が採用されます。Reality Composer Proは、visionOS向けにARコンテンツを作成する際、役立つ機能を持っています。

例えば、3Dモデリングされたデータを読み込み、AR空間内に配置しプレビューすることができます。また、パーティクルの作成、オーディオの設定、マテリアルを定義する機能なども備えています。
設定した内容をリアルタイムでプレビューすることができ、ARコンテンツ制作をサポートしてくれます。

Reality Composer ProはXcodeに付属しますが、これと名称が似ている「Reality Composer」は、iPhoneなどのデバイス上で独立したアプリとして働きます。Reality Composerは決して高機能というわけではありませんが、3Dコンテンツの作成やAR空間内への配置、アニメーション設定などが気軽にできる点で優れています。

Reality Composerの方なら、高度なモデリングスキルやプログラミングに精通していない初心者であっても、簡単にARコンテンツの制作ができます。しかも無料です。
もし、少し本格的なARコンテンツを制作するのであれば、Proと関連するソフトをうまく組み合わせて利用すると良いでしょう。

AppleはReality Composer Proと同時に、Vision Pro用のソフトウエア開発キットの提供も開始しています。Xcodeと同時にダウンロードすることで、物理的なデバイスにアクセスすることなく、開発したアプリの動作を確認することが可能であり、2024年発売予定のデバイスに向けて、今から開発を進めることができるようになっています。*注1

Apple Vision Proの概要と特徴

「Apple Vision Pro」は、Appleが満を持してリリースするARゴーグルです。デザインは、かなり大きめのスキーゴーグルのような感じで、存在感があります。
ARゴーグルは、すでに何年も前から多くのメーカーから発売されており、本来であれば軽量・スマート・シンプルへと進化するのが普通なのですが、今回Appleは真逆のデザインで市場に参加してきました。

また、「ARゴーグル」と表現しましたが、Appleは「空間コンピューター」と紹介しています。ARだけでなく、シームレスにVR世界へ移行できるユニークな機能が特徴です。
ゴーグルを装着した人の目には、カメラが撮影した現実世界を再構成したデータが表示されます。このAR空間上にオブジェクトを配置し、操作することが可能です。

つまり装着者に見えているのは、「現実世界を背景に設定した仮想空間」であり、レンズを通してリアルな世界が見えている訳ではありません。この背景をVR空間へと変更すれば、VRゴーグルとしても使えるという訳です。
VR空間への移行は、本体にあるダイアルを回すことで行います。少しずつAR(現実世界背景)からVR(仮想空間背景)へとシームレスに変わっていきます。これはぜひ一度体験してみたいものです。

また、他のAR/VRゴーグルとは異なり、特別なリモコンやコントローラーは必要としません。AR空間内に表示されたメニューは視線で選択することができます。また、操作はフィンガーアクションで行います。
フィンガーアクションは比較的自由度が高く、あまり場所を気にしなくても機敏に反応してくれますので、慣れてくると違和感なく操作できるようになるでしょう。最近CMでよく見かけるApple Watchの操作に近いのかもしれません。

さらにスピーカーも内蔵されており、空間オーディオを採用しています。紹介ビデオを見る限り、AirPodsとの併用もできるようです。
バッテリー駆動なら約2時間、コンセントに繋げばリミットなしに稼働します。

「Apple Vision Pro」は、AR/VRゴーグルとしての完成度は非常に高く、ARゴーグルの分野において、最高の製品であることは間違いないでしょう。
ただし、問題は価格です。2024年前半からアメリカで発売予定となっていますが、その価格はなんと3,499ドル。為替レートにもよりますが、日本円では約48万円にもなります。価格もこの種のプロダクトにおいてトップクラスです。

また、「Disney+」と連携することで、Apple Vision Pro向けの3Dコンテンツも多数ラインナップしてくる予定です。ハードが売れるかどうかは、豊富で魅力的なコンテンツがあるかどうかにかかっています。
しかし、「Disney+」を見るために50万を掛けて「Apple Vision Pro」を買うかと言われると、なかなか難しいのではないでしょうか。

2024年後半には米国以外でも発売されることがアナウンスされています。もし可能であれば、日本発売時点で少し価格が下がって欲しいところです。円高になることを祈りましょう。*注2

AppleはAR分野の市場を拡大し、覇権を取れるのか

「コンピューター、ソフトなければただの箱」
これはパソコン黎明期によく言われていた言葉です。たとえどんな優れたスペックを持つハードがあったとしても、コンテンツが存在しなければ決して普及しません。

Appleが創業後すぐ、爆発的なセールスに成功したのは、非常に優れた設計と扱いやすいインターフェースも理由の一つでした。しかしそれだけなら単なるマニア向けの製品にすぎず、「ビジカルク」という表計算ソフトの原型が大きな原動力となったのです。
「ビジカルク」は大量の計算を効率よく処理し、バックオフィス業務を飛躍的に進化させた歴史に残るソフトです。

Appleが「iTune Music」をリリースした時には、当時不可能と思われていた大手レーベルのコンテンツを多数揃えました。
ジョブズがどんな魔法を使ったのかは分かりませんが、その甲斐もあってiTune Musicは大成功を納め、サブスク形式でのデジタル音楽・映像コンテンツサービスの先行事例となりました。

いうまでもなく、Appleが長年大切に温めてきて、やっとリリースにたどり着いた新たなプロダクトである「Apple Vision Pro」にも優れたコンテンツが必要です。
Disney+だけでなく、世界中の開発担当者が自由にコンテンツを制作でき、それが配布できる環境を整備することが非常に重要です。

Appleが、初期のMacintoshにビジカルクなどのビジネスソフトを採用したり、一般ユーザーでも簡単にゲームなどの開発ができる「HyperCard」を搭載したことなどが思い出されます。
このような事例は枚挙にいとまがありません。Appleは開発環境を整備することで、AR分野でも新たなユーザーを掘り起こし、市場自体を活性化するための取り組みに力を入れています。

バーチャル分野でのGAFAの取り組みにおいて、それぞれのコアとするビジネスの特徴が出て面白いです。
Meta(旧Facebook)は、社名を変更するほどメタバースという新たなプラットフォームの創出と普及に力を入れています。MetaもARゴーグルを発売していますが、どちらかというとゲームやメタバースというオンラインサービスを主とし、そのアクセス手段としてのツールを提供しているという感じです。

一方のAppleは、プロダクトのセールスがビジネスのメインです。常に各分野で最高のクオリティを持つ製品をリリースし、圧倒的なブランド力で一定のシェアを安定的に確保します。
付帯するサービスや手数料収入も重要ではありますが、大切なのは「Appleのエコシステムに世界中のユーザーを囲い込むこと」です。

Apple Vision Proはアナウンスされた内容を見る限り、この分野で最高級の性能を持つプロダクトであることは間違いありません。今後、量産効果で価格がもう少し落ち着いてきたら、一般ユーザーにとっても魅力的な製品となるでしょう。
成功するためのキーは、誰もが体験したいと思えるような魅力的なコンテンツが提供できるかどうかにかかっています。

多くのユーザーがMacではなくWindowsを選択するのは、ソフトが多いからです。特にビジネス分野で特定の業種や業者向けのソフトなどは、初めからWindowsを前提に開発されており、このことが日本企業ではMacを選択しにくい要因となっています。

さて、この章のテーマになりますが、Apple Vision ProがARゴーグル市場で急速にシェアを拡大することはないでしょう。どう考えても価格がネックです。
しかし、初めからProとして提供しているフラッグシップモデルであり、今後コンシューマー向けの廉価版モデルが登場することも十分期待できます。

Appleは、2024年前半ではイノベーター・アーリーアダプター層へ製品を供給し、市場の反応を見るつもりでしょう。その間に豊富なコンテンツを準備し、ハード・ソフト・提供方法などをブラッシュアップしながら、メインストリーム向けに本格的なセールスを仕掛けてくるはずです。
2024年後半から2025年ぐらいには、私たちが手を出したくなるような価格と性能を持った製品が出てくるのではないでしょうか。そこからが、本格的なAppleによるAR市場へのチャレンジが始まるはずです。

【まとめ】
AR/VRゴーグルには興味はあるものの、一般ユーザーの場合であれば、ゲームに利用する場面がメインとなるでしょう。私はゲームをほとんどやりませんので、これまでこのようなプロダクトにはそれほど触手が動かなかったのが正直なところです。
しかしそんな私でも、Apple Vision Proにはかなり興味があります。ただし、現時点で同じ金額を支払うのであれば、最新型の65inch有機ELテレビの方を選ぶかもしれません。

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■参考文献

注1

infoQ 「Apple、Reality Composer ProとともにvisionOS SDKを開発者に公開」

https://www.infoq.com/jp/news/2023/10/apple-visions-sdk-available/

CG WORLD 「Apple Vision Proの仕様から見る、3DCGとARの未来」

https://cgworld.jp/regular/3apple-vision-pro-3dreality-composer-pro.html

AR Marketing Lab 「Apple Vision Pro アプリ開発で使用する3Dコンテンツ作成ツール「Reality Composer Pro」の使い方について」

https://ar-marketing.jp/how-to-use-apple-vision-pro-reality-composer-pro/

Apple 「空間アプリ向けの制作ツール」

https://ar-marketing.jp/how-to-use-apple-vision-pro-reality-composer-pro/

Apple Store 「Reality Composer」

https://apps.apple.com/jp/app/reality-composer/id1462358802

先生の学校 「【第5回】動きのあるARコンテンツをつくる「Reality Composer」」

https://www.sensei-no-gakkou.com/article/appli-no-a-realitycomposer/

注2

MoguLive 「Apple Vision Proってなにができるの? いま考えられる使い方をご紹介」

https://www.moguravr.com/apple-vision-pro-introduction/

「「ここからは開発者のターン」圧倒的完成度で登場した“基盤” Apple Vision Proを試してきた」

https://www.moguravr.com/apple-vision-pro-experience-rhttps://www.moguravr.com/apple-vision-pro-experience-report/eport/

「Apple Vision Pro」を買おうと思いますか? MoguLiveアンケート結果発表」

https://www.moguravr.com/apple-vision-pro-mogulive-questionnaire-results/

Apple Newsroom 「Apple Vision Proが登場 ? Appleが開発した初の空間コンピュータ」

https://www.apple.com/jp/newsroom/2023/06/introducing-apple-vision-pro/

Apple 「Apple Vision Pro」

https://www.apple.com/apple-vision-pro/?afid=p238%7Csz4kaP7eg-dc_mtid_20925qtz40402_pcrid_664175989824_pgrid_149189919045_pexid__&cid=wwa-jp-kwgo-visionpro-slid—–

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