Revit LTとは?通常版との違いや活用メリットなどを解説
BIMソフトの代名詞とも言えるRevitは、国内外を問わず人気のサービスです。ただ、RevitのようなBIMソフトはまだまだ最新技術ということもあり製品価格が高く、気軽に導入ができないデメリットもあります。
そこで活用したいのがRevit LTと呼ばれる廉価版のソフトで、通常版と基本的な機能を共有しつつ、価格を抑えてBIMソフトを利用することができる便利なサービスです。
この記事では、そんなRevit LTの特徴や通常版との違い、活用メリットなどを解説します。
目次:
- Revitシリーズの概要
- Revit LTとは
- Revit LTとRevit通常版の違い
- Revit LTの活用メリット
Revitシリーズの概要
RevitシリーズはAutodesk社が開発と提供を手掛ける、世界でも有数のBIMソフトです。BIMはCADとは異なり、3Dモデルを組み立ててその中に2D図面情報やその他の付帯データを全て付与できるという高度な情報管理能力を備えています。
Revitはそんな高度なデータ活用を推進するBIMに特化したツールであり、Revitさえあればプロジェクトにおける設計業務を完結できるポテンシャルを秘めているのが特徴です。
BIM導入は現在国や行政を中心に活用が進んでいる将来性の高い取り組みであり、多くの公共プロジェクトにおいてRevitが使われています。大企業を中心にRevitの導入が進み、現在は中小企業においては段階的に採用が始まっている最中です。
Revit LTとは
RevitはCADに変わる次世代の3Dモデリングソフトとして、確かに強力なパフォーマンスを発揮するものの、問題となるのがその価格です。Revitは一般的なCADソフトよりも価格設定が高く、気軽に導入することはできません。
また、基本的にRevitはサブスクリプションサービスであるため、毎月、あるいは毎年ライセンス更新料が発生します。初期費用こそ小さく抑えられますが、半永久的にライセンスを支払続けなければならないのは大きな負担となるでしょう。
そこで登場したのがRevit LTと呼ばれるサービスで、これは一言で言えばRevitを安価に使うための機能制限版です。
Revitの機能をフル活用することはできませんが、基本的なBIM機能については問題なく使用でき、それでいてライセンス料金が半額以下に抑えられている、とにかくコストパフォーマンスの高いサービスと言えます。
Revit LTとRevit通常版の違い
廉価版のRevitとして知られるRevit LTですが、それでは通常版のRevitとはどのような違いがあるのでしょうか。
ここでは、両者の違いを以下の3つに絞ってまとめています。
料金
Revit LTと通常版Revitの最大の違いは、料金です。通常版のRevitは1年間のライセンス料金が42万7,900円であるのに対し、Revit LTのライセンス料金は1年間でわずか8万5,800円と、その価格は5分の1程度にまで下がります*1。
これまでRevitが高価でなかなか手が出ないと感じていた方でも、Revit LTであれば気軽に利用を開始することができるでしょう。
機能
Revit LTが安価なソフトであることはよく分かりましたが、気になるのはその機能です。価格が抑えられる分、Revit LTではRevitでは使えた機能のいくつかが制限されています。
Revit LTで制限されている主な機能としては、BIMモデルを有効活用するための各種機能、例えばシミュレーション機能や関係者間のコラボレーション機能といったものが挙げられます。
いずれの機能もBIMのポテンシャルを最大限引き出すためには重要な機能ですが、価格が安くなっている分、仕方のない措置であると言えるでしょう。
ただ、その代わりRevit LTではBIMモデリングに必要な基本的な機能についてはRevitと同じように使用することができます。
そのため、Revit LTでまずはBIMソフトやRevitの様子を確かめ、より効果的に運用できそうな目処が立った際、そこで通常のRevitに切り替えるような判断も良いかもしれません。
パッケージプラン
Revit LTと通常版Revitでは、異なるパッケージプランをAutodeskが提供しているのも特徴です。通常版のRevitではAutoCAD PlusやCivil 3D、InfraWorksなどの高機能BIM・CADソフトが一つになった「Architecture, Engineering & Construction Collection(AEC)」と呼ばれるパッケージが用意されており、お得に全ての製品を利用することができます。
一方のRevit LTでは「Revit LT Suite」と呼ばれるプランが存在します。こちらはRevit LTと廉価版AutoCADのAutoCAD LTをセットでさらに安価に利用できるのが特徴です。
いずれのパッケージプランも、Revitに興味があるだけでなく他のAutodesk製品も試してみたいと感じている方にとってはコストパフォーマンスに優れるプランと言えるでしょう。
Revit LTの活用メリット
Revit LTを活用するメリットとしては
- コストパフォーマンスに優れる
- 組織的な導入が進めやすい
- 気軽にRevitの使い方を学べる
という点が挙げられるでしょう。ここまでも何度か触れた通り、Revit LTは通常のRevitよりも安価であるため、コストを気にせず導入できるのが強みです。
コストがかからないというのは個人利用の際はもちろん、組織的な法人利用においてもありがたいメリットです。人数分のRevitを一度に用意するのは大きな費用負担となりますが、Revit LTならそのコストを大幅に減らし、速やかにRevitを普及させることができます。
また、安価ながらもRevit LTは通常のRevitと基本的な操作性などは同じなので、とりあえず段階的に使い方を身につけたいという需要にも応えます。BIMソフトはまだまだ十分に普及していないため、Revit LTのような導入しやすいソフトの存在はBIM普及においてもプラスに働くでしょう。
まとめ
この記事では、Revit LTと通常版のRevitの違い、そして導入メリットなどについて解説しました。気軽に導入できるRevit LTの存在は、BIM普及がまだ十分に進んでいない日本にとって、頼もしい味方となるはずです。
通常版のRevitほどのパワーは求めていないが、BIMソフトは試験的に使ってみたいという需要にも応えられるRevit LTは、予算の都合上導入に踏み切れない企業が注目すべき製品と言えるでしょう。
建設・土木業界向け 5分でわかるCAD・BIM・CIMの ホワイトペーパー配布中!
CAD・BIM・CIMの
❶データ活用方法
❷主要ソフトウェア
❸カスタマイズ
❹プログラミング
についてまとめたホワイトペーパーを配布中

出典:
*1 Autodesk「Revit」
https://www.autodesk.co.jp/products/revit/overview?term=1-YEAR&tab=subscription
Autodesk「Revit LT」
https://www.autodesk.co.jp/products/revit-lt/overview?term=1-YEAR&tab=subscription