Eddystoneって何?ビーコンで世界が変わる
Eddystoneは、2015年7月14日にGoogleが発表したビーコンに関する規格です。
Eddystoneは、Appleが発表したiBeaconと同様のBLE(Bluetooth Low Energy:省電力近距離無線通信技術)を使ったビーコン通信の規格です。
GoogleはEddystoneのソースコードを公開して、広く一般に普及させようとしています。Eddystoneとビーコンによってどんなことが可能になるのでしょうか。
Eddystoneと切っても切れないPhysicalWebとは
Physical Webは、Googleが2014年10月に発表した、現実世界とWEBを融合する「リアル・ワールド・ワイド・ウェブ 」を実現するためのプロジェクトです。
Physical Webは非常に単純な仕組みとなっています。世界中の物は、BLEを使用してごく短いURL/URIをユーザのスマートデバイスに配信します。
それを、ユーザが、スマートフォンなどのスマートデバイスで受信することによって、ビーコンからの情報を得ることができる仕組みです。
つまり、ビーコンを発信する全てのものがURLを持ち、インターネットを通じて情報やサービスを取得することができるわけです。
そして、もう一つ、Physical Webが目指していることは、特定のアプリのインストールなしにビーコンを受信できる世界です。しかも、その規格自体は公開されたオープンな規格を目指しているのが特徴です。
現在のところ、スマートフォンではChromeブラウザをインストールしていれば、Physical Webを利用できるようになっています。
このPhsical Webによって実現される世界はどんなものでしょう。
たとえばバス停に近づけばバスの時刻表が表示されたり、レストランの前に立つとメニューが表示される。
そのほか家電製品にビーコンが導入されていれば、使用法の説明が表示されるなど、ビーコンによって、全てのモノがWebにつながることができる標準規格を目指しているわけです。
そして、このPhysical Webを実現するための通信の規格としてGoogleが発表したのが、Eddystoneというわけです。
Eddystoneの3つの規格
Eddystonは、Physical Webで規定されているURL/URIを送信する「Eddystone-URL」のほかに、「Eddystone-UID」「Eddystone-TLM」という、あわせて3つの通信の規格を定めています。
・Eddystone-UID
Eddystone-UIDは、iBeaconとほぼ同じものと言ってよく、専用のアプリで使用することを前提の規格となっています。
Eddystone-UIDでは、iBeaconと同様に16バイトのデータを送信します。
Eddystoneでは「名前空間」と呼ばれる最初の10バイトでドメイン名をハッシュ化したものを送信することが推奨されています。
・Eddystone-URL
Eddystone-URLは、Physical Webで規定されているのもと同じURLを送信するための規格です。Eddystone-URLでは、17バイトまでのURLを送信することが可能です。
Eddystone-URLは、専用のアプリケーションを必要とせず、ブラウザのみでビーコンを受信できることが特徴です。
しかし、専用のアプリでないために、iBeaconなどで実現しているPush配信ができない事は知っておく必要があります。
・Eddystone-TLM
Eddystone-TLMは、BLEのビーコン発信機器のバッテリー残量や温度や、起動時間などを発信する規格です。
この規格は、ビーコン機器のメンテナンスにも利用ができますが、ビーコン機器に接続したセンサー情報なども送信可能という事で、気温や天気に応じたメッセージを、スマートデバイスに送信することなどが可能になると期待されています。
たとえば、気温によっておすすめする飲み物を変えたり、雨の日には雨の日クーポンを送信したりすることが考えられます。
Eddystoneの課題とは
このようにIot時代の通信に規格として、期待されるEddystoneですが、課題もあります。
それは、ビーコン機器の電波の発信を制御することが難しいということです。
たとえば、お店に来店された人に対してのサービスをEddystoneで提供しようとしても、お店の外にいる人もその情報を受信できるかもしれません。
また、プッシュ通知がないことも問題と言えるかもしれません。
Physical WebとEddystoneが目指す世界は、特定のアプリなしにビーコンのURLを受信し、ユーザがそれを選択することのできる世界です。
しかし、ユーザが積極的に選択を行うことを想定しているため、もしかするとユーザがスマートデバイスを手に持っていない場合には、有用な情報を見逃す可能性もあるわけです。
また、ユーザ毎にパーソナライズされた情報を送信することも苦手です。
ユーザーに応じた情報を送信する事はできませんので、ビーコンから受け取った情報を元にWeb側で何かしらの処理をする、たとえばユーザがログインのような処理を行う必要があるかもしれません。
ビーコンの普及はまだまだこれから
Physical Webが発表されたのは2014年、Eddystoneが発表されたのは2015年ですが、いまだにビーコンを街で見かける事はほとんどありません。
ビーコンを使って、現実世界がWebとつながるというGoogleの構想が実現するには、もう少し時間がかかりそうです。
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