GoogleのEddystoneはビーコン活用なのに、なぜアプリ開発が要らないのか
最近耳にするようになったEddystoneとは、Bluetooth Low Energyを用いたGoogleのビーコン向けの規格です。競合はApple社のiBeaconだと、いえば直感的にお分かりいただけたと思います。
といっても、「クーポン送ったり店舗来店へのナビゲーションに使えたりするらしいけど、そもそもビーコンって何?」という部分がわからないと、GoogleのEddystoneの革新的な部分が見えてきません。
この記事では、ビーコンって何だっけ?というおさらいを含めてEddystoneの革新的な部分についてお伝えします。
ビーコンはクロスチャネルの時代に生き残れるか
ビーコンの活用にいち早く取り組んだのはAppleで、2013年に、iBeaconを発表しました。
iBeaconは基本的にBluetoothが機能するスマホ等のBeacon端末と、対応アプリ、そしてサーバーによって機能します。この仕組みではあくまで、ユーザーがアプリをインストールし、BluetoothをONにし、さらにアプリを開いていることが前提となりますが、アプリをダウンロードしておけば、受信したビーコンのIDから自動的にユーザに通知を行う、プッシュ機能を持っています。
EddystoneはBeacon市場の革命になるか
Googleが2015年に発表した新しいBeacon規格はEddystoneという名前で発表されました。Eddystoneでは識別のためにIDではなくURLを直接スマホに送る機能があり、これによりサーバーやアプリを経由せずに、スマホに搭載されているブラウザを立ち上げられるようになりました。iBeaconとは異なったアプローチが可能になります。
Eddystoneの主な特徴は下記のようになります。
①アプリの開発が不要で、App storeなどの厳しい規則に影響されない
②スマホに、Chrome ブラウザがインストールされている必要があれば良い
③スマホ利用者が、通知画面を受けて、表示アクションを取る必要がある
先行のiBeaconに、後発のEddystoneが使いやすさや、サービス開発の難易度を下げることで、競争を挑んでいるのが、現在のBeacon市場だといえるでしょう。
オープンソースのEddystone
それでは、アップルとGoogle2つのBeacon規格にどのような違いがるかを整理してみます。
AppleのiBeacon規格が、外部に対して仕様が明らかにされていないのに対して、GoogleのEddystoneは、コードを全て公開した、オープンソースです。Appache2.0ライセンスに準拠しているので、ソースコードを改変しても、再配布することができます。これによって、問題が起きた時にも、柔軟に開発者が改善の手段を持つことができます。また、ブラウザで動くので、iOSやAndroidなどのOSに左右されず、マルチプラットフォームで利用できます。
Beaconを利用してみたいと思っていた、メーカーや小売店にとっては、事実上全てのスマホ利用者に対して、利用していただける環境を用意できます。アプリを開発することが必要ないので、これまでに比べて、利用のための壁は低くなりました。
Eddystoreの3つの通信方法
Eddystoneでは、以下の3つの通信方法が提供されていますが、②のEddystone-URLがWEBと連携する基本の通信機能で、Webとモノ(自販機やポスター、自動車等)をつなげ、様々なサービスを利用できるようになっています。
① Eddystone-UID:アプリ側でIDを照合し、ユーザに通知を行ないます。iBeaconとの互換性はありません。
② Eddystone-URL:17バイトまでのURLを送信します。
③ Eddystone-TLM:ビーコン機器の電池残量や稼働状況を送信します。
Eddystoneが持つ課題は
Eddystoneは、iBeconから2年を経過して発表された規格ですから、iBeaconの課題を十分に研究し、Google得意のオープンソース戦略をとっています。
しかし、EddystoneもChromeブラウザを起動していなければ、利用できません。また、Eddystone-URLは、便利ではありますが、ビーコンから送信されるURL情報を残らず取得してしまいます。ユーザーが欲しい情報だけ選択することができないという欠点があります。
いずれにしても、クロスメディア時代に生き残るためには、生活者にとって便利なアプリケーションの開発が不可欠です。そして、開発面では規格の統合・融合なども検討されていくものと思われます。
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