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デロイト社の取り組み・考え方から学ぶ!RPA導入の基本方針

この記事では以下のことがわかります
・最初は、「典型的業務」にRPAを導入することでまず慣れる
・「満遍なく適用する」ことで全体プロセスの見直しが行われる
・RPAは「小さく生んで大きく育てる」

調査会社であるITRが2017年に実施したRPA市場に関する調査報告によれば、RPA市場は2016~2021年にかけ、年平均59.3%で成長し、2021年にはその市場規模は10倍に達するという予測をしています。別の調査ではその市場規模が世界で50億ドルになるという見込みを出しています。
では、そんなRPAの流れにどうやって乗っかっていくのか?いやむしろ乗りこなしていくのか?ということは、多くの企業・職場において大きな関心事ではないでしょうか。今回は日本最大級のビジネスプロフェッショナルグループの一つであるデロイト・トーマツコンサルティング(以下デロイト)のRPA導入事例から、RPA導入における基本方針を読み解いていきます。

デロイトがRPAを導入したプロセスの例

デロイト社はまず、5つの業務プロセスに対してRPAを試験的に導入し、大きな効率化を実現したようです。その5つとは以下となります。
・メールソフトにおけるメール受信確認
・Webシステムを利用してメールに添付されたファイルをダウンロード
・表計算ソフトで、ダウンロードしたファイルデータをテンプレートに転記
・ERPにファイルをアップロードし、処理を実行
・メールソフトにて、ユーザーに処理完了連絡メールを送信

つまり、「メールソフト」「Webシステム」「表計算ソフト」「ERP」という、デスクワーク四天王ともいうべきツール・システム類への導入を試してみた、ということですね。これだけでも大きな効果があったようで、そのことからも証明されているように、これはとてもよい取り組み方だったように思います。さすがデロイトといったところでしょうか。

「典型的業務」で「お試し」導入

デロイトの取り組みが「とてもよい取り組み方」である理由は二つあります。まず一つは、取り組んだ業務が「典型的な」業務だったからです。まだ扱い方もよくわからないツール(道具)なのですから、やり慣れた作業で試してみるのは考えてみれば当然ではあります。電動ノコギリを初めて使うなら、とりあえずただの板や角材を試し切りしてみるものですよね?それと同様に、初めて導入するRPAツールは、典型的でやり慣れた業務に適用するのが一番わかりやすく、慣れるのにも最適、というわけです。

次に「とてもよい取り組み方」であるのは、先程「デスクワーク四天王」と表現した、典型的なデスクワーク業務それぞれに適用してみた、という点です。勿論初めての導入なので、一つの作業だけを自動化してもよいのです。デロイトも恐らく一番最初はいずれか一つの作業のみを自動化したはずだと思います。しかしその1種類を極めるだけでは広く展開することはできません。最終的には社内の業務を広く自動化したいわけですから、デスクワークで使用する主要なツールやシステムに最初からある程度満遍なく適用してみて感覚を掴む、これがとても重要な進め方なのです。

試したことにより「更なる可能性」に気づいた

さて、「典型的な業務」に「満遍なく」適用して試してみると、「なるほどこうやって使うのか」という理解が得られるのと同時に、人間とは欲深い生き物なので「それならこんなこともできるんじゃないのか?」「こういうこともできるといいなぁ」という『欲』が出ます。RPAによる業務効率化ではこの『欲』が大事です。欲というと言葉は悪いのですが、つまり「欲求」であり、業務効率化への「意欲」ということになります。やり慣れた「典型的な業務」がこれだけラクになった。これはすごい!もっとやりたい!という意欲です。そして、その「意欲」が出たときに、「満遍なく」試していると、意欲が業務に「満遍なく」向かっていきます。ある人はメールの業務を、別の人はシステムへの転記作業を、といった具合です。一つの業務だけを徹底的に効率化してから次の業務に向かう、というプロセスが悪いわけではないのですが、複数の業務が同時並行的に自動化されていくと、前述のような効果のほかに「この業務とこの業務、一つにまとめてしまえばいいんじゃないか?」という「気づき」もあります。これによって業務プロセスがスリム化し、「自動化された状態」を前提とした最適化が進みます。この効果はやはり同時並行であればこそ得られる効果といえるでしょう。「業務効率化」は「作業の自動化」と「全体プロセス見直し」の二本柱が大事なので、こうした「気づき」による業務連携やプロセスの見直しは非常に重要になってきます。

「適用条件」も見出した

ここまでは「試して」「気づく」という話をしてきましたが、試して気づきを得て、さらに推進していく中では「どうやらこれは無理」/「これは別の手法のほうが向いてる」といった、「適用条件」も見えてくると思います。
最初の「RPAってなんかすごそう。きっと物凄い効率化ができるに違いない」とか、「RPAすごい!なんでもできそう!」という、ある種の夢、もっと言えば幻想ともいえる過大な期待値から大規模なRPA導入プロジェクトを立ち上げると、「RPAには無理なこと・苦手なこと」まで自動化のスコープに入れてしまい、結果、「あれもできない「これもできない」といった具合に突然現実を突きつけられることになります。そうなると期待値が大きかっただけに絶望もかなり大きく、そこでRPA導入が頓挫してしまう事態にもなりかねません。そうした事態を避けるためには、デロイトのように「まずは試す」「できることに気づく」「苦手/できないこと(=適用条件)に気づく」というステップを踏むことをおすすめします。このステップを踏むことで、余計な失望や絶望に直面することなく「妥当な現実」に軟着陸することができるのです。
「RPAは小さく生んで、大きく育てる」という格言がよく言われますが、デロイトの取り組みはまさにこの格言に沿ったものだったと思います。

まとめ

デロイトのRPA導入事例からRPA導入の基本方針についてみてきましたが、いかがでしたか?簡単にまとめると
・「典型的業務」で試す
・「満遍なく」適用して、業務プロセスの見直しにもつなげる
・「小さく生んで大きく育てる」中で適用条件を見出す
といったところになるかと思います。
既に大企業の8割は導入やトライアルを開始しているというRPAですが、今後どんどんと本格展開が進み、「当たり前」の施策になっていくものと思われます。
導入や展開に関する記事もよく見かけるようになりましたので、それらの記事や本稿を参考にしつつ、御社のRPA導入の取り組みを成功に導いていただきたいと願っています。

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