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大手ゼネコン大林組も導入しているBIMソフト「Revit」とは?

大手ゼネコン大林組も導入しているBIMソフト「Revit」とは?

コンピューター上で3Dモデルを作り上げ、設計から施行まで情報を紐付けしつつ、いつでも更新できるBIM(Building Information Modeling)。情報共有がスムーズになり設計施工一貫プロジェクトが可能になるとして、建設業界では強い関心を集めています。

中でも、大手ゼネコンの大林組は早期の段階からBIMを取り入れ、設計実務でRevitを駆使しているのです。今回はそんな大林組をもとに、BIMソフト「Revit」を使うメリットや実際の活用例についてご紹介します。

この記事を読むと以下の3つのポイントが分かります
・大林組の取り組み
・BIM「Revit」で得られるメリット
・大林組がBIM「Revit」を使った実例

大手ゼネコン大林組とは

大林組は、大成建設や竹中工務店とともにスーパーゼネコン5社として知られている大手総合建設会社です。1892年創業と長い歴史を持っており、火力発電所や美術館、高速自動車道など、設計から建設まで幅広く業界に携わっています。

中でも大林組はBIMやCIMといった建設業界のICT化に早い段階で取り組み始めており、2012年から積極的なCIM活用をしています。その後、2017年にはAutodesk社が発表しているアワード「2017 AEC EXCELLENCE AWARDS」にて、国際コンテストで初の日本入賞を果たし注目を集めました。*1

いち早くBIMソフトや「Revit」を導入

国内の建設現場ではICT活用を促す「i-Construction」が推進され、建設・設計業界はBIMやCIMを使ったICT化が進みつつありますが、すべての事業所がノウハウを構築できている訳ではありません。

一方で大林組はBIMの導入を早い段階からおこない、2013年にはBIM推進室を設けています。2016年には大阪本店にPDセンターの駐在所を作るなど、社内全体でBIMへ取り組むよう活動を始めていました。
2017年には高いシェアを誇っているAutodesk社製BIMソフト「Revit」を標準ソフトとして定め、その後現場のサポートやマネジメントをおこなうBIMマネージャーという役職も設けたのです。*2

日本建築士事務所協会連合会が発表した「建築士事務所のBIMとIT活用実態にかかわる調査結果について」では、2019年時点でのBIMの導入率は「導入済みで活用中(17.1%)」と「導入済みだが未活用(12.9%)」を合わせた30.0%程度。*3

上記の点を踏まえると、大林組はいち早くBIMの導入、および「Revit」の有効活用をしているといえるでしょう。

BIMソフトの1つRevitとは?

Revitとは、Autodesk社が扱っているBIMソフトの中でも代表格として知られているソフトです。2Dや3D版の設計業界向けの作図ソフトはすでに存在しますが、「Revit」はBIM版として建設業界向けのソフトになっています。

BIMソフトの1つであるRevitは、設備や構造の設計、簡易モデリングの再現など専門的なツールが揃っていることが特徴です。データをクラウド上で管理することもできるため、専門分野の違う設計者が同じモデルを共有しながら、別々に並行作業を行うことも可能になっています。

BIMソフト「Revit」を使って得られるメリット

Revitを使えば、専門家が作り上げたBIMモデルへ同時に複数人がアクセスし、データ内容を遠隔で変更することができます。たとえば、プロジェクトの関係企業で1つの中央モデル(マスターモデル)を共有し、それぞれの分野ごとにローカルデータを作成・作業をして元のデータと同期するワークシェアリングが可能です。

中央モデルで変更できる箇所の権限を管理者ごとに設定することもできるので、別の設計者が自身の担当箇所に触れてしまう心配もありません。

異なる環境にいるユーザーにもリアルタイムで情報を共有できるほか、変更箇所を逐次細かくチェックできます。また、Autodesk社が発売している「AutoCAD」や「Civil 3D」など、他製品と連携できるのも特徴の1つです。

「大規模な設計情報を複数人で構築する」とき、ワークシェアリングで別々に作業ができる点がBIMソフト「Revit」を使って得られるメリットだといえるでしょう。

Revit向け鉄骨ファミリの仕様が共通化されつつある

Autodesk社は、BIMソフトに造詣の深い大林組や清水建設など大手建設会社の協力を得て、「Revit」の構造用ファミリを公開して業界の標準化整備に取り組もうとしています。

設計業務においては、設計事務所や建設会社が異なるソフトウェアや社内ルールでデータが作成され、各部材のモデルに含まれる属性データが異なるために設計から生産、施工、維持管理などの各業務プロセスで活用されないケースが見られます。引用*4

たとえばRC柱(鉄筋コンクリート柱)を例にすると、A社ではB×D、B社では幅×高さと、対する意味合いが同じでもパラメータ名称が異なるため、データの受け渡し・共有をする際にマッピングが必要になっていました。

しかし、BIMソフト「Revit」を使って、鉄骨用のCADと連携させることで、今後は共通ファミリであれば設計情報をそのまま生産工程まで流用することができます。

複数の組織間でデータを共有するからこそ発生しがちだった生産性の低下をカバーできるよう、まずは3社の共通化をベースとして、将来的には鉄骨ファミリの国内標準化を目指しているようです。

大林組のBIM/CIMソフト活用例

それでは実際に大林組がBIMソフトを活用した実例についてご紹介します。

近畿自動車道紀勢線「見草トンネル」

大林組が2015年に完成させた山岳トンネル「見草トンネル」は、CIMを施行にフル導入したトンネル工事として全国初のプロジェクトです。*5

現場では属性情報と3Dモデルをフル活用して建設管理をおこない、トンネル掘削時の地下水位や地形、地質から変位情報までを現場と本社で共有。さまざまな情報をもとに次を予測する慎重な施工が必要なトンネル工事で、初めて行われた取り組みにより、実に35%も施工管理の効率がアップしたと言われています。*6

大阪みなと中央病院

大林組が現在取り組んでいる大阪みなと中央病院では、クライアントへの情報伝達も大きく改善されたとされています。

これまでは図面を見ながら顧客と話し合い、変更点を持ち帰り、設計担当に回して図面を書き直した上で後日、顧客に示していた。ワンモデルBIMの強みでもある情報連携効果によって、スケッチをその場でモデルに反映し、顧客と合意できるスタイルが、ここでは一般化している。引用*2

図面を大画面で投影や、VRでの体験などの新しい技術を提供することで、クライアントに対するヒアリングの効率が向上。細かな部分まで確認してもらうことで見えてくるクライアントの要望も病室の細かな寸法出しに役立っているようです。

「クライアントとの合意形成でも、情報伝達のしやすさから新しいカタチが生まれつつある」と建築本部PDセンターの中嶋潤副部長は語っています。*2

まとめ

大林組はBIMソフト「Revit」を早い段階から取り入れた大手ゼネコンの1社です。Revitは大規模な建築設計において複数の専門家によるデータ設計がしやすいだけでなく、社内間のデータ共有にも役立っています。

また、BIMやCIMとあわせ、VRを活用することでクライアントの合意形成をより円滑に進めているのも1つのポイント。これからの建設業界はBIM/CIMのソフトウェアとともに、VRを取り入れたICT化がより進んでいくと予想されます。

そんな中、BIMソフトの「Revit」であれば大手ゼネコンが使う共有ファミリをダウンロードできるため、「業務プロセスを最適化していきたい」と考えている方は一度導入を考慮してみてはいかがでしょうか?

BIM・CIM・CADについてのホワイトペーパーはこちら

*1 2017 AEC EXCELLENCE AWARDS
https://www.autodesk.com/solutions/bim/hub/aec-excellence-2017/construction/third-place

*2 建設通信新聞「大林組 ワンモデルBIMへの挑戦」
https://www.kensetsunews.com/web-kan/388797

*3建築士事務所のBIMとIT活用実態にかかわる調査結果について
http://www.njr.or.jp/list/01277.html

引用*4 AUTODESK® REVIT® 2019 向け構造用ファミリを公開
https://www.autodesk.co.jp/press-releases/2018-12-04

*5 見草トンネルにおけるCIMの取組みについて
https://www.kkr.mlit.go.jp/plan/happyou/thesises/2014/pdf05/17.pdf

*6大林組のトンネル建設プロジェクトが CIM で生産性向上
https://www.autodesk.co.jp/redshift/obayashi-mikusa-tunnel-cim/

引用*7建設通信新聞「大林組 ワンモデルBIMへの挑戦」
https://www.kensetsunews.com/web-kan/388797

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