G SuiteやGmailと連携するコミュニケーションツール「Google voice」の使い方
個人同士が、インターネットを通じてダイレクトに連絡を取り合うことができるコミュニケーションツールには、現在数多くのアプリやサービスが存在しています。
メッセンジャーやLINE・SMSなど、いくつかのツールを状況や相手によって使い分けている方が多いのではないでしょうか。
今回はその中でも日本ではあまり知られていない「Google Voice」についてまとめてみましょう。実は、これかなり優れた特徴のある便利なツールなんです。
この記事でわかること
・Google Voiceの概要と特徴について
・G Suiteとの連携も可能
・Gmailでの使い方について
Google Voiceの概要と特徴
Google Voiceヘルプを見ると、どんなことができるかの一覧が掲載されています。
【Voice でできること】
・パソコンやスマートフォンからテキストを送受信できます。
・メールのように、ボイスメールを読んだり検索したりできます。
・家族や友人用にボイスメール応答メッセージをカスタマイズできます。
・国際電話を低料金でかけることができます。
・スパム電話から保護し、迷惑電話をブロックするだけでなく、応答する前に通話をスクリーニングできます。
簡単にまとめると、
「音声やテキストを使ったコミュニケーションツールで、端末を選ばない自由度がある」
「国際電話や特定地域内での音声通話ではコストメリットがある」
「利用目的に合わせた高度かつ繊細な設定が可能」
といったところでしょうか。*注1
しかし、これだけでは他の似たようなサービスやアプリと比べて、どのような点が優位なのか正直よくわからないですね。
もう少し具体的に、それぞれの機能について見ていきましょう。
固有の電話番号を代表とすることで、端末やキャリアの制限から解放
Google Voiceの設定をすると、米国内で利用できる電話番号が一つ付与されます。
ただし、現時点では日本国内からは電話番号の取得ができませんので、これから紹介する機能についてはあくまで米国内で利用する場合に限られます。
日本国内からでも電話番号を取得できる方法もありますが、正規の手法とは言えません。またその手法自体が、安定して継続的に利用できる保証がないことなどを考慮し、今回の記事では日本国内で使用する方法の詳しい説明は行いません。
通常、携帯の電話番号というのは、キャリアが提供する端末に紐づけられています。
より正確に言うと、端末に差し込まれているSIMカードに紐づけられています。
このため、携帯端末が故障・紛失したときになど、一時的な代用として格安スマホなどを使用する場合であっても、新しい番号を取得するかMNPといった手続きが必要になります。
日本であれば、このために面倒な書類を何枚も書いて数千円の手数料を払い、結構長い時間店舗で待たされることになります。
一方、Google Voiceで取得した電話番号は、キャリアや携帯端末とは無関係です。
取得した電話番号を個人の代表番号として使い、その番号にかかってきた通話をその時使用している携帯端末に転送すればOKです。
携帯端末やキャリアを固定することなく、自由になれるというのが一つのポイントです。
転送先として登録できる番号は6個まで可能ですから、スマホを仕事用/プライベート用で複数台持っている人や、固定電話、IP電話などで使用する人にとって非常に便利です。
また、登録はオンライン上の簡単な手続きでできるため、携帯端末のリプレイスも気軽にすることが可能です。
相手は常にGoogle Voiceで登録した電話番号にコールするだけで、受ける側は自由に端末を選択できるということになります。
転送先の振り分けも細かな設定が可能ですので、仕事相手なら仕事用端末に、プライベートなら個人端末にといった使い分けができます。
さらに時間帯ごとの設定や、相手によって自動で留守録になる設定など、通常のキャリアでは有料サービスであったり、設定が不可能であるようなきめ細かな対応が可能となっています。*注2
これまでに説明した、Google Voiceの特徴として、
・電話を転送できること
・きめ細かい設定が可能であること
がわかります。
これだけでも、十分な魅力を感じる方は多いのではないでしょうか。
ところがそれだけでは収まらない魅力を持っているのが、このGoogle Voiceというサービスのすごいところです。
音声とテキストをシームレスに利用できる
Googleは、AI研究とその実用化でも世界のトップを走る企業です。
Google Voiceで録音された音声データは、クラウド上に保存され自動でテキストへ変換されます。
完全に正確なテキスト変換には課題が残っていますが、利用する上では十分な機能を提供しています。
そもそも、留守録に残される用件は相手と概要がわかれば間に合うことが多いため、100%完全な音声認識・変換ができなくとも良いからです。
録音された内容をテキストとして一読し、急ぎならコールバックして確認するという作業がシームレスできるのは、地味ですが便利な機能と言えるのではないでしょうか。
現在、個人間でのコミュニケーションは、音声通話・ボイスメッセージ・テキストなど、様々な形式で行われています。
メールやSMSでテキストメッセージを受け取って、内容によっては電話で詳細を確認するということは日常的に行われています。
それぞれ別々のツールを使うことに普段から慣れていますので、あまり違和感を覚えることはありません。
しかしよく考えてみると、メールを送るときはメールアドレス、電話をかけるときは電話番号、メッセージなら相手のアカウントをという風に、それぞれのツールで別々の連絡先をチョイスしてコミュニケーションをとっていることに気がつきます。
実は私たちは、複雑で面倒な作業を無意識に行なっているのです。
しかしGoogle Voiceを使えば、ただ一つの付与された電話番号を指定するだけで、複数のコミュニケーションを取ることが可能となりますので、かなり画期的なツールになり得ると感じられるのではないでしょうか。
前述した通り、現在米国内でないとGoogle Voiceの電話番号が取得できません。
そのためかかってきた電話を転送する機能などは、残念ながら日本国内では利用できません。
しかしGoogle Voiceは、ハングアウトやG Suiteなど、他のサービスと連携しているため、機能制限つきながらもかろうじて米国以外で使うこと自体は可能となっています。
例えば、G Suiteと連携したGoogle Voiceを通して、電話をかけることは可能です。
ただし、番号を取得していないため「通知不可能」となり、かけた相手からのコールバックを受けることはできません。
このように電話としての機能には制約があることから、日本では今のところGoogle Voiceの存在はそれほどメジャーではないようです。
しかし、電話番号を取得するのは米国内に限られているのに対して、「Google Voice for G Suite」であれば、他のいくつかの国でも利用できます。
また、該当する地域で利用する場合、設定の手順が公開されています。*注3
G Suiteとの連携も
会社でG Suiteを導入しているのであれば、Google Voiceを設定することができます。
詳しい設定手順については「G Suite管理者ヘルプ」が参考になります。
次のような手順で設定を進めていきます。
【G Suite Voiceの設定方法】
・Google Voice を有効または無効にする
・チームメンバーに対する Voice 管理者の役割の割り当て
・ユーザーによる有料通話を管理する
・ユーザーの緊急対応用住所の変更
・固定電話の設定
・自動応答の設定
*注4
なお、G Suiteで利用できるようにするには、Google Voiceサブスクリプションへの登録が必要です。
Google 管理コンソールに管理者アカウントでログインし、アプリ>G Suiteから「サービスを追加」をクリックし、Voiceサブスクリプションのところで「今すぐ追加」を選択します。
あとは画面の手順にしたがって、組織のGoogleアカウントにVoiceを追加してください。
Voiceサブスクリプションには、Starter(月額10ドル/ユーザー)・Standard(月額20ドル/ユーザー)・Premier(月額30ドル/ユーザー)の3種類あります。
ユーザー数や想定される利用状況で選択すると良いでしょう。
Gmailでの使い方
Gmail(Web)を開いたとき、左側メニューの下部に電話マークが表示されます。実はこれがGoogle Voiceで、クリックすれば電話をかけることができます。
ポップアップされる一覧から相手先を選択するか、電話番号を入力するだけで通話ができる、簡単操作が特徴です。
米国内同士であれば無料通話が可能ですが、日本にかける場合は有料通話になりますので、クレジットをチャージしておく必要があります。
クレジットチャージ方法
ポップアップの上部、電話番号入力欄の右側に「$0.00+」とクレジット残高が表示されています。
「+」をクリックすると、クレジットをチャージする画面に飛びますので、あとは指示に従って必要な金額をチャージすれば利用できるようになります。
日本への通話が1分間0.03ドルですので、国際通話も格安でかけられるなどコストメリットが非常に高いのが魅力です。
アメリカ国内から日本へ国際電話をかける必要性があるときなど、選択肢の一つして非常に有力です。*注5
【まとめ】
Google+やGoogle Talkなど、現在はサービスを停止したコミュニケーションツールがあるように、Googleは長年音声通話の分野で試行錯誤を繰り返しているように見えます。
Google Voiceについては機能を拡張しながら、少しずつブラッシュアップを重ねより良いものを追求しているようです。米国内で利用するのであれば、非常に便利で有力なツールと言えるでしょう。
日本国内でも米国内と同様に、フル機能が使えるようになればかなりの衝撃があるサービスになります。
今後、さまざまな問題をクリアして、日本でも手軽に利用できるようになって欲しいサービスです。
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■参考文献
注1
Google Voice ヘルプ
https://support.google.com/voice/answer/115061?hl=ja&ref_topic=1707989
注2
Google Voice
https://cloud.google.com/voice?hl=ja&fbclid=IwAR0liBAhcob_2xAJFDbUol6i8iU5NDBU7cZ6bpo9KySTciq7OubqP-gYscQ
Google Voiceのオフィシャルページを中心に以下のページなどで情報を補足しています。
AndMem Google Voice 固定・携帯電話への無料通話が可能な「Google Voice」の使い方
https://andmem.blogspot.com/2014/11/google-voice.html
@IT Google Voiceはやっぱりすごかった
https://www.atmarkit.co.jp/news/analysis/201109/20/gvoice.html
注3
General requirements for Voice
https://support.google.com/a/answer/9206529
注4
G Suite管理者ヘルプ Voice
https://support.google.com/a/topic/9038926?hl=ja&ref_topic=7538609
注5
Google Voice の通話料金
https://voice.google.com/rates