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西松建設のBIM推進に向けた取り組みとこれから

建設業界のBIM運用が進められているのは、各社で積極的なBIM推進プロジェクトの立ち上げが行われていることも背景にあります。
西松建設でも最近BIM推進室が立ち上がり、本格的なBIM運用に向けた動きを見せるようになってきています。

西松建設におけるBIM推進の取り組みや、今後の動向についてご紹介していきます。

目次:
①西松建設のBIM推進の歩み

②BIMとVRの組み合わせに注力した西松建設

③西松建設におけるBIM運用のこれから

西松建設のBIM推進の歩み

西松建設では、2018年にBIM推進室を立ち上げて以降、BプロジェクトへのBIM導入に向けた動きが加速しています。

BIM推進室の立ち上げ

これまでの西松建設のBIM運用は、顧客の要望に応えてその都度行うというプロセスを採用しており、組織全体での取り組みとしては行われてきませんでした*1。
BIMの最大のメリットは、データの一元化による情報共有の簡素化です。
しかし従来の西松建設のように、リクエストに応じてBIMを導入するといった使い方では、十分な能力を発揮することができず、むしろコストがかさんでしまうリスクも発生しかねません。

BIM推進室を立ち上げたことで、西松建設は以降の社内BIM活用について一元化を目指し、設計から施工、そして保守運用に至るまで、一貫したBIM運用を目指すこととなりました。

BIM運用の鍵を握るフロントローディングの強化

BIM運用を社内文化として定着させていく上で重要なのが、フロントローディングの強化です。
フロントローディングは、設計段階に多くの時間と人員を費やすことで、下流の工程における人員削減や業務の効率化を促そうという取り組みです。

従来の建築プロセスにおいては、設計や施工などの各ステップごとに図面作成が必要でした。
しかしBIMは設計段階で構築したデータを以降のステップでも流用することができるため、何度も図面を作成する必要がなく、効率よく作業を進めていくことができます。

この結果、生産性の向上と省人化を進めていくことができますが、その分設計段階の負担は大きくなるため、施工以降の工程で余った人員を設計へと異動させる配置転換が必要になります。
BIMの導入を妨げているのは、実はこのような配置の大幅な転換が必要になるため、その擦り合わせに追われてしまうことになる負担を懸念しているケースも見られます。

今後西松建設ではこのような負担を軽減するため、どのようにBIMの推進を進めていくのかにも注目が集まります。

「西松BIMシステム」で独自の業務効率化も

西松建設におけるBIMの導入では、「西松BIMシステム」と呼ばれる独自の業務効率化システムの採用も進められています。
このシステムでは、3Dモデルを使った施工の検討、BIMデータを用いた詳細の検証、およびシミュレーションの実施が行われ、さらにVRを取り入れた安全教育も行われています*2。

現場の業務効率化に向けた包括的な取り組みを展開する予定で、BIMと新しい技術の組み合わせにも注目が集まっています。
例えばIoTとの組み合わせでさらに正確なシミュレーションや業務効率化の促進、AI技術との連携による、ロボットの導入や点検業務の効率化などにも期待することができるでしょう。

BIMとVRの組み合わせに注力した西松建設

西松建設におけるBIMの具体的な運用方法の中で、成果が生まれつつあるのがVRとの組み合わせです。

VRにおけるBIM運用のメリット

BIMデータの優れた点としてあげられるのは、実寸の3Dモデルを正確に再現できるだけはありません。
部材の性質や値段、耐久性などの数値をインプットできるため、3Dとはいえ現実同様の働きを仮想空間で期待できるという点です。
西松建設ではこの点に注目し、BIMデータをVRで体験できるようクライアント向けに提供しています。
VRでデータを閲覧できるようにすることで、2Dモニターで見る時とは違ったリアリティある体験を提供し、正確なフィードバックを得ることに成功しています。

VRでBIMモデルを見てもらうことで、まるで目の前にその建物があるかのように「ここはこんな仕上げにしたい」などといった具体的な指摘を受けることが可能になっています*3。
感覚的にクライアントがその建物の良し悪しを判断できるようになったことで、意思決定が高速化し、迅速にプロジェクトを進めていくことができるようになったのです。

VRで高度なシミュレーションを実現

BIMとVRの組み合わせは、クライアントとの打ち合わせだけでなく、社内での安全管理や高度なシミュレーションの実現にも役立っています。
鉄骨のBIMモデルを使ったクレーンの干渉チェックにおいては、BIMモデルに含まれた重量情報を活用し、転倒などの事故防止がないよう、正確なシミュレートを行うことが実現しています。

また、建物のBIMモデルを使った安全教育用 VR コンテンツの活用によって、現場における危険予知行動の向上にも役立っています。
リアリティある体験がBIMとVRの組み合わせで実現したことで、施工管理者と作業員の間で機器に対する共通認識の向上が生まれ、無事故無災害を促すことができました*4。

西松建設におけるBIM運用のこれから

BIMの本格的な運用は始まったばかりの西松建設ですが、次のステップに向けた取り組みは徐々に進行しています。

クラウドシステムの導入でさらなる効率化を

まず西松建設が注目しているのは、クラウドシステムの導入によるBIM運用のさらなる効率化です。
BIMデータは便利である反面、情報共有のための環境が整備されていなければ、そのポテンシャルを発揮することはできません。

そこで西松建設では「Autodesk BIM 360 Docs」を導入し、クラウドベースでBIMデータの管理を行えるよう整備を開始しています*5。
クラウドを通じてどこからでもBIMデータを閲覧、編集できるようにすることで、オフィスだけでなく、施工現場でも図面として活用することができます。

クラウドシステムの導入に合わせて、西松建設ではiPadの普及も進められています。
iPadから直接BIMデータにアクセスすることで、紙媒体での情報共有を廃止し、ペーパーレスによるコスト削減と業務効率化を実現しました。

BIMプラットフォームの活用も

また、社内におけるBIMの一括運用を進めていく上では、BIMオブジェクトを整備していく必要もあります。
従来の散発的なBIM運用では、オブジェクトが別個に管理しており、設計業務を阻害する原因となっていたのです。
そこで西松建設では丸紅アークログ株式会社との業務提携により、BIM総合検索プラットフォーム「Arch-LOG」の活用を開始しました*6。

「Arch-LOG」は、各建材メーカーが提供しているオブジェクトや各素材のカタログデータだけでなく、医療機器や厨房機器のデータも格納されています。
あらかじめ整頓されたあらゆる分野のカタログデータへ一つのプラットフォームからアクセスできることで、生産性の向上を進めていくことが狙いです。

おわりに

西松建設の本格的なBIM運用は、まだまだ始まったばかりです。
しかしそれでもすでに多くの成果を生み出しつつあり、新しいシステムの導入にも意欲的です。

今後の技術発展と合わせて、さらなるBIM運用が期待できるでしょう。

 

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出典:
*1 西松建設「西松建設のBIM推進」
https://www.nishimatsu.co.jp/solution/bim.html
*2 上に同じ
*3 AUTODESK「3 年で“業績につながる BIM”を見極める西松建設」
http://bim-design.com/catalog/img/Nishimatsu-Kensetsu-CaseStudy-A4-ja_Hi-rez.pdf
*4 上に同じ
*5上に同じ
*6 西松建設「BIMオブジェクト拡充に向けて丸紅アークログ株式会社と業務提携 - BIM総合検索プラットフォーム「Arch-LOG」の活用、BIMワークフローの効率化 -」
https://www.nishimatsu.co.jp/news/news.php?no=MzY5&icon=44GK55+l44KJ44Gb

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